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2007年 12月 03日

フリーサウンドノベルレビュー 『七夜幻想』

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今日の副題 「懐かしい日本の昔話+α」


ジャンル:和風オムニバス短編ノベル集
プレイ時間:全て読んで30分くらい
その他:選択肢なし。デフォルトの画面サイズが小さい。立ち絵・一枚絵などは無し。



道玄斎です、こんばんは。
今日は、「番外編」に入れようかどうか迷いましたが、私の好みがモロに出ている作品だった為、普通のレビューとして扱おうかなと思います。
というわけで、今回は「パストラルノート」さんの『七夜幻想』です。
良かった点

・古式ゆかしい日本の昔話の手触りが。

・割とシュールな終わり方などに現代的なセンスが。


気になった点

・いかんせん、画面が小さすぎるので字が読みにくい。

ストーリーは、短い作品ですから特に纏めたり、引用したりは今回はやめておきましょう。
是非、ご自身でプレイして確かめてみて下さい。

まぁ、何と申しましょうか、所謂「日本の昔話」というか「民話集」みたいなそういう趣です。
多分、これを読んで下さっている皆様はご存じかと思いますが、私はそういうの大好きです。
多分、「創作昔話」「創作民話」とかそういうジャンルになるんじゃないでしょうかね。果たして、そうしたジャンルが存在するのかはまた別問題ですがw

一応、七つ、お話が詰まっています。
七つ目のお話は、それ以前の六つを総括するような話で、ストーリーらしきものではなかったのですが、それ以外の六つのお話はどれも意外と面白い。
大体、一話につき五分掛かるか掛からないかくらいですかね。
昔話をアレンジしていく、というのは古典的な技術ですが普通はそれと分からないような形で加工して使いますよね。ところが本作の場合は直球で「昔話の体裁」を取っているので、また一味違ったものになっているかと。

個人的に気になったものは、「太郎の話」ですかね。
まぁ、ベースとなっているのはアレです、わらしべ長者です。太郎なる人物が善行によってモノを貰う。すると困っている人がいて太郎はその貰ったモノを差し出す。すると助けてあげた人がまたモノをくれる……という連鎖です。
けれども、ラストに大きなひねりがあって、一瞬拍子抜けしてしまうのですが、よくよく考えてみるとなんだか妙に奥が深いような気がします。
「霧女」なんてお話も、まんま「雪女」のアレンジだと思うのですが、やっぱりなんだか終わり方に現代的なセンスが見え隠れしています。

古典文学としての民話や広い意味での説話に相当するようなストーリーな訳ですが、本来なら、こういうのって文末に教訓みたいなのが付くんですよね。
専門的にはなんて言ったかな……、なんとか説語とか単に「説語」とか言ったっけ。ちょっとど忘れしてしまいました。ご存じの方がいらっしゃいましたら是非、ご教授下さい。
今、そういう事を専門にしている人に電話してみたのですが、「なんて言ったっけ?」と二人して悩んでしまいました。。
まぁ、それはさておき、本作の場合、昔話、或いは説話っぽさを持ちつつも、こうした伝統的な「~してはいけません」「~すれば良いことがありますよ」的な文言が排除されています。

私たちは、子供の頃からこういうお話を聞かされて育ってきていますから、常にこの文末に出てくる教訓みたいなものを「期待してしまう」んですよね。
だけれども本作では、その期待をするりと裏切って、なんだか妙に淡々とシュールに一話一話が終わっていきます。
ストーリーそのものの面白さは別としても、非常に興味深い手法ですね。
多分、私と似たようなものに興味を示す人(そんな人がいるのかしら……w)だったら、凄く興味深く読めてしまうんじゃないでしょうか。

で、最終話という位置づけになるのかな、七話目の「山神さまの戯言」を読むと、それまでのお話で描かれる世界を統括していると思しき存在としての「山神さま」の祈りの言葉が出てくる。
一話一話を見ていくと、オーソドックスな民話の匂いがするのですが、全体を一個としてみるとなんだか妙に重厚な仕掛けが施されているというか、近代的なセンスを感じさせるものとなっています。
こういうの好きなんですよねぇ。

そうそう、画面サイズが一般的なサウンドノベル作品に比べると、かなり小さいです。
割と昔良くあった短編作品のサイズって言えば分かるかな?
尤も、それはデフォルトのサイズであって「画面の切り替え」を行う事で最大サイズに出来ます。
が、元々デフォルトでの表示を前提として作られている為に、画面サイズを大きくしちゃうと字がぼやけたりするんですよね。それにプレイ画面自体はそこまで大きくならないという(※当方vistaにてプレイ)。そこがちょっと気になりました。

けれども、例えば画面サイズを一般的なものにして、ちょっと幻想的なイラストでも鏤めたら十分一個の作品(短編集だけども)として通用するポテンシャルを秘めた作品だと思います。
興味があれば、是非プレイしてみて下さい。
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by s-kuzumi | 2007-12-03 22:39 | サウンドノベル | Comments(0)


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