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久住女中本舗

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2007年 12月 13日

フリーサウンドノベルレビュー 『歪ミ回廊』

フリーサウンドノベルレビュー 『歪ミ回廊』_b0110969_23221954.jpg

今日の副題 「これは怖すぎる……」


ジャンル:ヤンデレ或いは狂デレ
プレイ時間:全部読んで一時間ちょいくらい。
その他:18禁。18歳未満はプレイをお控え下さい。まぁ、色んな意味で18禁w。システムはNscripter



道玄斎です、こんばんは。
ヤンデレってなにさ?とたまに耳にしていながら、別段深く追求してこなかったわけですが、本作は結構気になっていたので、少し前にダウンロード済みでした。
今、改めてヤンデレなるものがいかなるものか、調べてみると「精神的に病んじゃってる女の子が、病んだやりかたで主人公を愛する」みたいな。そういう事みたいっすね。
というわけで、今回は「ぱんけーき」さんの『歪ミ回廊』です。
全部で六つ+αのお話が詰まった短編集です。18禁はあまり取り上げない方針なのですが、本作はそういうえっちぃシーンがメイン、というわけでもなく、寧ろ「病んだ」女の子の怖さみたいなものに重きが置かれているので、今回取り上げさせていただきました。
良かった点

・兎に角、怖い!この手の怖さは本当にゾクゾクしてしまいます

・音楽のチョイスも上々。

・一個一個の話が、良く作り込まれていて怖いながらも、楽しめる。


気になった点

・もしかしたら一般的な意味での18禁シーンはいらなかったのかも。

というわけで、ヤンデレです。
私の人生初「ヤンデレ」デビューとなってしまいましたw

怖かった……。
改めて述べておくと、本作は短編集です。全部で六つ+αのお話が読めるわけですが、「切断回廊・前」「切断回廊・後」は、プロローグとエピローグのような感じで、メインのシナリオというわけではないようです。けれども全体を包括するという意味でやっぱり重要なパート。これらは大体一分もあれば読めてしまいます。

で、「地下回廊」「眼帯回廊」「包帯回廊」「哀弱回廊」の四つが、本作のメインパートという事になりましょうか。
最初はこれらのシナリオが全部表示されないかもしれませんが、表示されているシナリオを順にプレイしていく事で、他のシナリオも表示される事になります。
今回は、変則的に各シナリオを解説していくような形でレビューを進めていきましょう。

「地下回廊」は、監禁モノでいいんでしょうかw
監禁された主人公が、謎の少女(監禁部屋の主?)と交流していく、というのがメインの流れ。
だけれども、謎の少女は案の定というか完全に病みきっていますw
けれども、最初に何の先入観も無く、読んでいった時には、寧ろちょっと幻想的で美しい感じすらしていたのです。それが、謎の少女が「らくがき」を主人公の服にし出した辺りから……。
あれは、本当に怖かったですねぇ……。
病んでしまっている少女もさておき、その少女にいつのまにか心惹かれる主人公の心理描写みたいなものも怖い。良質のサイコサスペンスだと思いました。

「眼帯回廊」は、まぁ言ってしまえばオーソドックスなホラーものに近い感触。
眼帯を付けた女の子(私は眼帯は刀の鍔が一番綺麗だと思う……。脇差し用の鍔でね)が、主人公に一週間に一度、色んなものをプレゼントしてくれるという。
一見するとなんてことないプレゼントなんだけども……みたいな、まぁ一度は見たり聞いたりしたことのあるようなタイプのホラーですね。
これもやっぱり追い詰められた主人公の精神崩壊の場面や、最後の最後がもう怖くてねぇ……。

「包帯回廊」なんですが……。
まぁ、これぞヤンデレって感じなんでしょうかね。
いや、昔リアルに、ここまでじゃないけれども、それに近い人間を知っているので(あっ、いや自傷行為の件じゃなくて、壊れっぷりの面で)、笑えないというか、怖すぎるというか……。
包帯少女クゥの壊れっぷりに本当にゾクゾクさせられました。特に精神が壊れてしまった主人公を「こんなのいらない」と平気に言えてしまうクゥに何とも言えない怖さを覚えます。
何となく、何となくなんですけれども、自分の実体験を交えて考えると、こういう病んでいる子って何かに異常なまでに執着を見せるけれども、それが自分の欲しかったものと違ったり不必要になるとあれだけ執着していたクセに、平気でそっぽを向いてしまいますよね。私にはそういうヒトの心の動きが一番怖かったりします。

「哀弱回廊」は、ストーリーがあるというよりも、壊れきったテキストと最後の最後にある演出で、どこが怖いとは言えないけれども、そこはかとない怖さを演出した作品です。


で、これらを読んで「おまけ」を読んでみる。
「あとがき」を見てみると、後書きまでも病んでるw ここはダークな病みじゃなくて、明るい笑ってしまうようなタイプの、演出としての病みだったので、最後の最後に少しほっと出来たかな、と思います。

ただ、この後書きを読むと、「おまけ」から入れる「歪ミ回廊」をまだプレイしていなかった事が判明したのでそっちもさっくりとプレイ。
これまで読んできたお話を一つの視点から纏めたもので、これ自体にストーリーみたいなものはないのですが、〆として相応しいものだったと思います。


全体的に、一個一個のストーリーは短さと密度を両立していて、なかなか読み応えもあり良かったのではないかと。
ストーリーを盛り上げるBGMのチョイスも良かったですね。イラストも美麗。だけれども大半のイラストが病んでる為か、妙などす黒さがw

一方で、何カ所か、えっちぃ意味での18禁と思しきものが入っているわけですが、あってもなくてもそんなに変わらなかったような。
いや、正直見ていても、心が騒ぐというよりも、怖くて怖くてそれどころじゃないw
ま、これは個人的な意見ですね。


くりすますいう゛、くりすますが近づいてきて、街も華やいで参りました。
特に何も予定がない方は、本作をプレイして鬱憤を晴らしたり(?)、或いはちょっとだけ病んでみるのもまた一興かもしれませんw

by s-kuzumi | 2007-12-13 23:23 | サウンドノベル | Comments(0)
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