2007年 12月 15日

フリーサウンドノベルレビュー 『ある国のある屋敷のお話』

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今日の副題 「一冊の絵本」


※吟醸
ジャンル:絵本風の優しいストーリー(?)
プレイ時間:15分くらい
その他:選択肢が一箇所アリ。
システム:Nscripter



道玄斎です、こんばんは。
今日は一日中眠っていました。まだ少し目がしぱしぱします。
眠気覚ましに昨日の内にダウンロードしておいた作品をプレイしたら、これが眠気を一気に覚ますほどの良作で、びっくりしました。
というわけで、今回は「Mole Waltz」さんの『ある国のある屋敷のお話』です。
短いながらも、非常にレベルの高い作品だと感じました。
良かった点

・沢山のイラスト。本作自体が一冊の「絵本」であるかのような仕上がりに。

・音楽のチョイスが秀逸。作品の内容と音楽が非常に良くマッチしていた。

・独特の余韻を残す優しい手触りの作風。


気になった点

・後半、セナがあっさりとナットと結婚してしまうのが……。

ストーリーは私が手早く纏めておきましょう。
十二歳で、領主に見初められた少女セナは、領主の館にある一室で生活をしている。
屋敷に連れてこられて、一年が経つも、セナは夫である領主と一度もあった事がないばかりか、その部屋から外に出た事がない。
セナを世話をしてくれるナットという少年が持ってきてくれる絵本だけが、彼女の単調な日々の楽しみだったのだが……

こんな感じ。

短いながらも、非常に満足度の高い作品でした。
後書きを読むと、どうやら一晩で制作なさったとか。脱帽です……。
いや、ホントに良くここまでの作品を一晩で……と思わせてくれる出来でした。

ストーリーも平坦なものではなく、緊張感を感じさせる場面なんかもあり、非常に良く作られた作品である事が分かります。
先ず気付くのが、一枚絵が多い事ですね。線画がメインになるわけですが、作品の雰囲気にはこっちの方があってます。その代わりに一般的に使用されている「立ち絵」は存在せず、場面ごとにそれぞれのキャラや場面の一枚線画が表示されています。
このイラストも、暖かみのあるもので、好印象です。ヒロイン(?)セナちゃんも13歳という設定に相応しい少女らしさが存分に出ていて、見ていて非常に好ましいw

音楽も作風に合っていましたね。
ヴァリエーションは多くはない。というか、結局全体で一曲だけなのかしら?
けれども、こうしたシンプルな演出が却って好印象です。

ストーリーやイラスト、そして音楽。
この三つが巧みに組み合わさり、一つの魅力的な作品世界を作っている印象。
以前「それじゃあ、またね」という作品を取り上げたのですが、本作もそれに近い「完成された短編」の印象がありますね。

個人的には「絵本」が重要な小道具だったのではないかと感じています。
絵本作家のペッカーが、かなり重要なパートを担っているような感じ。
本作が、何となく「絵本仕立て」であるような印象を受けるのも、この「絵本」という重要な小道具と無縁ではないのだろうな、と感じました。


個人的に気になった点としては、セナが後半真実を知った後、あっさりとナットと結婚してしまうわけですが、そこが少しあっさりとしすぎていたかな、と感じました。
まぁ、あそこでああいう選択を取らねば、処刑されてしまうわけですからねぇ……。
ただ、もう少しセナの心の動きみたいなものを描写しても良かったのかもしれません。


今回は、あまりストーリーを追っていくような形で、書く事を止めておきました。
まあ、15分くらいの作品ですからね。
けれども、最初っから言っておりますように、素晴らしい作品です。

プレイし終わったあともじんわりと心の中に残り続ける、優しい余韻が堪りません。
是非是非、プレイしてみて下さい。
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by s-kuzumi | 2007-12-15 23:09 | サウンドノベル


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