2008年 01月 12日

フリーサウンドノベルレビュー 『Nymph』

b0110969_15171996.jpg

今日の副題 「森羅万象に宿る命」

ジャンル:ファンタジック短編(?)
プレイ時間:15~20分くらい
その他:選択肢無し、一本道。立ち絵無し。
システム:Nscripter



道玄斎です、こんにちは。
ここの所、更新が停滞気味です。
もうかなり過去にプレイした作品も紹介してしまった気がしています。まぁ、まだストックはあるんですけれどもね。
是非、お勧めの作品などがあれば、自薦他薦を問わず大募集です。どうぞ宜しくお願いします。


さて、今回は「wind-bell/」さんの『Nymph』です。
短めのストーリーでしたが、ほんのりと心が和むような、そういう優しい雰囲気の作品でした。
良かった点

・物語の最初で、全体像がつかめるので方向性がはっきりしていてプレイしやすい。

・シンプルな演出が、作風にあっていた。


気になった点

・もう一ひねりあったら、より一層深みが増したかも。

ストーリーは短めですから、今回は省略しましょうか。
本作とは違いますが、似たような手触りのシナリオが確か『I'm ~ 心の向こう側に ~』にあったような気がします。さくらちゃんのシナリオです。
まぁ、これで大体どういうストーリーか分かっていただけるのではないかと。

冒頭で、大体ストーリーの全体像がつかめるのですが、私はわりとそうした形式の作品って好きなんですよね。どういう方向に話しが進んでいくのかが定まった上でプレイ出来るという安心感があるんです。
勿論、意表を突いていくような作風が嫌いって事じゃないですよ。ただ、中には二転三転して、なんだか落ち着かないままストーリーが進行していく、みたいなものもあって、そういう落ち着かなさみたいなものよりも、終着点が見えているようなもの安心感があるというか、腰を据えてプレイ出来るというか。

さて、タイトルが示唆しているように、本作のメインヒロイン葉子ちゃんは、妖精というか、木に宿る精霊というかまぁそういう存在。
特に立ち絵などは付かない作品なんですが、葉子の描写が良かったですね。
黒髪ショートヘアで、真っ白いワンピースを着ている。肌も真っ白。理想的な「少女」のたたずまいです。こういう一種浮世離れした見た目と、やっぱりちょっと一般人とは違う言動が、葉子の存在のあり方みたいなものを良く表していました。

ストーリー的な部分で言えば割と良くあるタイプの作品です。
けれども、葉子が魅力的に描かれているので、あまりステロタイプだと感じにくい。良くありそうな話だけれども何となく違う。その「何となく違う」というのは実は凄い重要です。
そういう所に個々の作品のキモがあるんですよね。

結局、葉子が宿っていた木は雷に打たれて、死んでしまうのですが、そのくだりを読んだときにふと思い出した事があります。
雷が落下して、木を切り裂く。木は木っ端みじんとなるわけですが、この時生じた木の破片は、昔から珍重されてきたものです。
何で読んだのか、あるいは誰から聞いたのか、思い出せないのが歯がゆいんですが、この木の破片は「勇気」を与えてくれるものとして、武士なんかに珍重されたという話しを聞いたことがあるんですよね。ま、これは蛇足ですな。

この葉子が宿っていた木が破壊される時は、もうクライマックスなわけですが、その後、冒頭部とリンクする描写が出て、主人公ミキル君のその後みたいなものが描かれます。
葉子との出会いと別れという辛い経験をした筈のミキルは、強く生きています。担当の看護師さんだったハナちゃんと付き合い、葉子の木を挿し木にして育てながら。

ハナちゃんと付き合うというのは、冒頭部で既にして示されていた事ではあるんですが、果たしてエピソードとしてどうだったのかなぁ?と思わないでもない。
寧ろ、ミキル君が単独で葉子への想いを大切にしながら、挿し木を育てていくという方が私的には好みかな、と。

そうそう、ラストシーンが良かったですね。
挿し木した木が大分育って、葉子と思しき存在が声を掛けてくるという所でエンド。
これもありがちなパターンなのかもしれないのですが、私はこういうの好きです。
ただ、やっぱりそうなるとハナちゃんの存在が余計なものに……w
ハナちゃんの処理を考えつつ、もう一ひねりストーリーが練り込まれていたら、もっと深みのある良い作品になったのではないかと思います。
実際、葉子との交流をもう少し丁寧に描いていくとか、もっともっと話をふくらませる事が出来る、そういう良い意味でののりしろの多い作品だと思いました。


プレイ時間は20分ほど。
さっくりと遊べる作品です。気負わずプレイしてみて下さい。
[PR]

by s-kuzumi | 2008-01-12 15:18 | サウンドノベル | Comments(0)


<< なんてことない日々之雑記vol.37      フリーサウンドノベルレビュー ... >>