2008年 01月 19日

フリーサウンドノベルレビュー 『黒のクロノス』

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今日の副題 「クロいけど、白い笑顔の女神様」

ジャンル:時の女神と平凡な高校生の一日。
プレイ時間:一時間くらい。
その他:選択肢無し、一本道。
システム:Yuuki! Novel



道玄斎です、こんばんは。
今日も昔プレイした作品をやり直しています。といっても私が昔プレイした時はタイトルが『時間の女神の贈り物』というものだったと記憶しています。
たまたま情報サイトで、本作の画像を見て「タイトルが変わりヴァージョンアップがなされた」と分かったので早速プレイ、というわけです。
というわけで、今回は「ゆいしき思想」さんの『黒のクロノス』です。
良かった点

・女神であるクロのキャラクターが魅力的。時間の女神であるがゆえの苦悩などが語られて好印象。

・行動を起こすたびに時間がカウントされていったりと、細かい演出がグー。


気になった点

・文章がいささか読みにくい。漢字使用率が劇的に高い。

ストーリーはベクターの紹介文から引用しておきましょう。
ある日の朝、凡人の青年の前に時間の神を名乗る少女が現れた。
その時、窮地の追い込まれていた青年は、少女に頼んで時を止めてもらう。
1時間だけ止まる世界の中、青年はある行動に出た。

停止世界のファンタジーサウンドノベル。

こんな感じ。

プレイ時間も大体、ぴったり一時間くらいで収まって良い感じでした。
さっくり読めるし中身も悪くない。

これって作中時間の一時間とプレイ時間がリンクするように、或る程度調整しているんでしょうかね。主人公が行動を起こすたびにカウントされる「残り~秒」という表示も、適度な緊張感と(当たり前だけども)時間の経過を読者に感じさせるものとして機能しており、地味ながらも良い演出でした。

キャラクターは時間の女神の「クロ」、そして高校生の主人公という二人しかいません。
主人公は、まぁ良くあるタイプなので割愛して、クロの方を。
クロは以前のタイトル『時間の女神の贈り物』が示すように、時間の女神です。まぁ、今回のヴァージョンでも『黒のクロノス』ですから、属性自体は一発で分かりますよね。
「クロノス」から派生した語は一杯あります。
腕時計に付いている「クロノグラフ」とかもそうだし、「クロニクル」なんて言葉もそうですよね。時間に関わる言葉の多くが「クロノス」から出ています。ギリシャ神話の神様の名前ですね。

ここでご注意を。
「クロノス」って名前だからって、ゼウスの親父のクロノスとは別物ですよ。ゼウスの親父の方は農耕の神様と言われています。
発音はそっくりだけれども微妙に違うみたいです。日本語の表記だとどちらも「クロノス」になってしまうんですが。このあたりは蛇足ですね。

で、この時間の女神であることの「強さ」と表裏一体になった「弱さ」が、このクロというキャラクターの魅力を支えています。
最初はただのゴスロリ少女といった趣なんですがw あっ、立ち絵はとても可愛いです。

彼女のセリフに「八百万の神の中で、最も人間の命を助ける力に長けているのが自分。だけれども最も人間を助ける事が出来ないのも自分」と、まぁこういうのがあるわけです。
ギリシャ神話由来なのに八百万とは何とも日本っぽいけれども、それはさておき、こういう設定は中々いいですね。
彼女が時間を操る力を使えば、事故を無かった事に出来る。
けれどもそれを一度でもやってしまえば、過去から未来永劫自然死以外で死亡する人間を助けていかなければならない。よって誰も助ける事が出来ない。こういう「神であること」のジレンマや弱さみたいなものが、クロというキャラクターの大きな魅力です。
完璧超人的(超越神)な存在がいたら、それはもうドラマになりませんからねぇ。

クロの支配出来る時間という領域が作用する範囲も明確に語られていて、これも好印象。
細かい矛盾のようなものがしっかり潰されています。こういう細部の設定こそが、作品を支える重要なものなのです。


全体的なオチみたいな所は、まぁ割とオーソドックスなところに落ち着いているのですが、作品の内容を考えるとこのくらいがベストでしょうか。
主人公が平々凡々な高校生である、という点が良い方向で作用していました。
帰着する所はオーソドックス。だけれどもほんのり幸せで、優しい気持ちになれるような良いエンドだったと思います。


さて、気になった点は文章でしょうかね。
完全に私個人の意見なんですが、割と凝った文体なんですよ。まぁそれ自体はともかくとして、漢字変換率が異常に高い。
こうやって私が書いているものも、かなり漢字変換率が高いわけですがw

で、不覚にも「読めない漢字」がありました。恥ずかしいけれども告白しますよ。
今そのせいで、物凄く凹んでいます。大抵の漢字は読める私ですが、パッと画面に表示された時に全く読めなかった。

「罅」

という漢字です。
この読み方は「ひび」です。「ひび割れ」の「ひび」です。
せめてこのくらいのレベルの漢字にはルビが付いたらいいなぁ、と思うのですがどうでしょうか。
Yuuki! Novelも多分、ルビを付ける機能は付いていますよね。

あと、漢字変換が文章で付け加えておくと「これ」とかそういう部分までも「此れ」と漢字変換されていて、スムーズに読みにくい。あと主人公の心中の言葉の中では、「擦過傷」なんかは「すり傷」って書いた方がいいんじゃないかな。
兎に角変換出来そうな言葉は全部漢字に変換されているわけで、そのせいかどうかわかりませんが、誤字も見受けられました。「無情にも」という言葉が「無常にも」になっていたり。

まぁ、そういう意味で文章がちょっと読みにくいかも、と感じました。
ちなみに私の文章も読みにくいです、申し訳ない……。


全体的に良くまとまった作品です。
元々、短編小説として公開なさっていたものと思しいのですが、短編の良さが存分に出ている作品だと思いますよ。

プレイ時間は一時間、是非さっくりとプレイしてみて下さい。
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by s-kuzumi | 2008-01-19 18:12 | サウンドノベル | Comments(0)


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