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2008年 01月 23日

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『冬ぎつね』 

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道玄斎です、こんばんは。
今日は番外編です。
またいつものように、一応言っておくと「番外編では特に良かった点、気になった点などを項目を立てて挙げる事は致しません。又『大吟醸』『吟醸』などの評価も付けません。ご了承下さい」。

というわけで今回は「しゃま」(何故かサイトの方、接続出来ず。しょうがないからvectorのアドレスを張っておきます)さんの『冬ぎつね』です。
「デジタル童話」という位置づけですが、まぁ普通のNscripterで動くノベル作品です。
ただ、完全にオートで進んでいく為に(セーブも出来ない!)、プレイ時間十分くらいの間は、コンピュータの前から離れる事が出来ない、という最大の欠点があったりしますw

こういう童話って凄く好きなんですよね。
童話だとか、神話だとか古典文学とか。大体その辺りが私の好みです。
そういえば、つい先日角川文庫から出ている『グリム童話』をⅠ~Ⅲまで全部買いました。平行して柳田国男全集を読んでいます。昔大学の図書館からかっぱらってきて、書庫に放置してあるものです。
いや、かっぱらったって言っても、盗んだわけじゃありません。廃棄本を持ち帰っただけです。

ま、それはともかく面白い試みでした。
新美南吉の『手袋を買いに』を練り直した、というわけですが、原作自体そもそも記憶から消えかかっているんですよね。で、本作を読みながら記憶を辿ってみたりして。

今、原作の文章を発見したので読んでみたのですが、原作は難解すぎる……。
なんか物凄い「文学」しちゃってるんですよ。三四郎が「ストレイシープ」って繰り返してるような終わり方をしています。

こいつは難しい。作品に込められたメッセージ性、或いは作者が想定している意味みたいなものを多分、問うのはナンセンスでしょう。テクスト論的な立場になってしまいますが、これは読んだ人それぞれ思う所があっていい。そんな作品。だからこそ童話なんだろうなぁ。

それで、本作の方なのですが(今までは原作のお話)、ウリは「わかりやすさ」です。
勿論、良い意味でね。
悪いヤツVS良いヤツの構造が非常に分かりやすい。多分原作を一つの方向にうんと突き詰めていくと本作のような形式になるんだろうな、と。
けれども「人間っていいヤツなのか、それとも悪いやつなのか?」というその究極的な悩みが薄くなってしまっているのが少し残念。

けれども、そーんな事考えなくて、何となく暖かい感じの作品を何となく眺めるともなく見る。
それもいいじゃないか、と。
奇しくも、今日、東京は雪が降りました。ほんのすこしだけ積もりましたね。
こんな日にゃぁ、ココアでも飲みながらのんびりと、こういうゲームをやるのが吉ですよ?

原作があまりに凄すぎるのでアレなんですけれども、本作だって物凄い暖かいハートウォーミングストーリーだし、実際このくらいのわかりやすさがないと、「ノベルゲーム」という形式にした時に伝わりにくかったりしますしね。

ちょっと操作性に難はあるんですが、こんな寒い日にはぴったりの作品だと思います。
向こう十年くらいを予想すると、童話とか神話とかがもっともっと見直されてるような気がするんですよね。原始的な愛や力のある物語。そういうものが「次」に求められているんじゃないかと、一人で納得しつつ筆を擱くことにします。
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by s-kuzumi | 2008-01-23 22:01 | サウンドノベル


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