久住女中本舗

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2008年 02月 24日

フリーサウンドノベルレビュー 『時計塔へ -ciel et neige』

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今日の副題 「Il neige sur......」

※吟醸
ジャンル:ちょっと暗めのお伽噺
プレイ時間:一時間半くらい
その他:選択肢なし、一本道。ややダーク風味。
システム:Nscripter



道玄斎です、お早う御座います。
今日もまだ眼帯付けてますが、頑張って書きますよ?
眠る前にちょっとだけプレイしておこうかな、と思っていたら、あまりにも直球の私好みの作品で、ついついこんな時間になってしまいました。なんだか、ここ最近、良質の作品が増えてきてプレイヤーとして本当に楽しいです。

というわけで、今回は「空と雪」さんの『時計塔へ -ciel et neige』をご紹介いたします。
良かった点

・エリー、ミミの姉妹の設定が嫌みがなくて、私好み(特にエリー)w

・音楽や背景などが作品の雰囲気にばっちりあっていて、多少暗い雰囲気ではあるものの、良い演出が多い。

・(やっぱり暗めではあるものの)独特の雰囲気がたまらない。


気になった点

・誤字などが少し目に付いた。惜しい所。

・意外と難解な所がなきにしもあらず。

ストーリーはサイトの方から引用しておきましょう。
私(メリー)と妹(ミミ)は幼い頃に疫病で両親を失い二人で生活をしていた。
金銭的名面は、母の兄あたるおじさんに支援してもらえていたので
ある程度の生活を送ってはいたけれど・・ 

※原文ママ。恐らく「私(メリー)」は「私(エリー)」と思しい。

こんな感じです。

「空と雪」さんの作品は以前『春になると』を取り上げた事がありましたね。
『春になると』もそうだったんですが、本作も独特のセンスが光る作品だったと思います。正直、物凄い私の好みです。

NScripterのカスタマイズもそうですし、イラストも磨きが掛かって更にワンランク上がったな、と素直に感じました。ちょっと偉そうですみません……。

作品の雰囲気自体が割と暗めです。加えて結末部分も素直な大団円のハッピーエンドっていうわけでもありません(よね?)。
或る意味で、暗い影を残したエンドで印象的でしたが、「ハッピーエンドじゃなきゃいや」って人には合わないかも。

エリーとミミの姉妹の描き方が良かったですね。
ミミは純粋な妹で、エリーはしっかり者のお姉さん。ミミの発話なんかを見ると、彼女の性格というか性質が、へんてこなギミックを使わなくてもばっちり理解出来ます。それはエリーもそうで、彼女の語る言葉にエリーというキャラクターが存分に反映されています。
或る意味でこの姉妹の造型そのものが分かりやすいって面もないわけじゃないのですが、それでもしっかりとした描写力を感じさせます。

実は、プレイする前は本作は「ファンタジー」に近い作品だと思いこんでいたのですよ。
で、冒頭部をプレイしていったら、意外と「現実世界」に近い手触りでびっくりしました。そうね、産業革命後の倫敦みたいな、ちょっとそんな感じかしらね。
電気は通っているけれども、その恩恵に与れるのは一部の富裕層だけ。エリーとミミの姉妹は昔ながらのオイルランプや薪を暖炉にくべて生活しています。
こういう、なんていうか「生活実感」みたいな描写も中々なものがあるのではないでしょうか。

プレイを進めていくと、何となくダークで「ほの暗い」感じのする雰囲気を持った作品である事に気がつきます。いっつもいっつも明るい学園モノばっかりプレイしていると食傷気味になってしまいますしw こういう作品は本当に貴重。

前半部はエリーとミミの慎ましやかな生活が描かれます。
ここを或る程度の時間を掛けて丁寧に描写した事で、プレイヤーがキャラクターに思い入れを持てるのではないかと愚案する次第。正直、プレイしていてエリーに惚れそうになりましたからw

後半部分、何となく急展開な気がしないでもないのですが、平和な日常は消え去ってしまいます。一応、前半部で伏線は張られているんですよ?けれども、やっぱりちょっと唐突な印象があるかな。で、物語は更にダークな方向へ進んでいく事に……。
どういう事件が起きるのか、どうダークな方向へ進んでいくのか、は実際にプレイして確かめてみて下さいね。

さて、イラストについて触れなければならないでしょう。
前回『春になると』のレビューの「気になった点」にて私は、

・イラストはお世辞にも上手とは言い難いw

と書きました。正直な所、かなり人を選ぶ絵かもしれません。
けれども、フックがあるというか、妙に気になる絵なんですよ。凄く味わい深い。前回の時よりも本作では更に絵に磨きも掛かっています。けれども作者様の持ち味みたいなそういう部分は変わらない。

実は、私もこっそりノベルゲームを作ろうなんて考えていて、最近制作はストップしているものの、割といつもあれこれ考えています(ゲームの制作がストップしている代わりに音楽を二曲ほど作ってみましたが)。
で、イラストって本当に描くのが難しくて、頭の中にあるイメージをトレースすればいいんだろう?なんて考えていたら手痛い目に遭いました。確かに努力で何とかなる部分っていうのは大きいのかもしれないけれども、やはりある種の「才能」がないときついよなぁ、と感じています。

で、「もし、自分がノベルゲームを作って、且つ絵を外注するとしたら誰に頼むか?」という問題をこの前ずっと考えていたのです。過去にレビューした作品を全部見返してみて、勝手に結局二つ・三つに絞ってみたのですが、その中に「空と雪」さんをノミネートしてしまいました。
単純なイラストのレベルみたいな話で言えば、もっと上手に描く人はいるかと思いますが(そもそも上手い/下手なんて主観的なもんだしね)、「雰囲気」や絵の持つ「手触り」なんかが、私の趣味に凄く近いんですよね。

最近、特に私自身が違和感(?)を感じているのが所謂「アニメ塗り」みたいな、あの手のタイプのイラストです。誤解しないで欲しいのですが、そういうテイストが嫌いっていうんじゃないんです。
ただ、自分の中でのイメージや求める雰囲気を考えていくと、ラフの線が少し残ってしまっているような、そのくらいのイラストで且つ塗りに関しても「アニメ塗り」じゃなくて、もっとオーガニック(何となく雰囲気でオーガニックって言っちゃったけど、自分でも結構意味不明だなw)な感じの塗りが好きだという事に気付いたのです。

だから、本作のイラストはなんか物凄くゆかしい感じを受けました。
正直な所、男性キャラはちょっとw なんですが、女性のキャラは凄く魅力的。だから、本当はもうちょっと一枚絵があっても良かったかなぁ、なんて思いますね。
特に後半部に集中して一枚絵が出てくるわけで(といっても全体的に少ない)、前半部にエリーとミミの一枚絵があったら良かったなぁ、と。スクリーンショットで載せた画像は本当にお気に入りの画像です。
絵の描き方とか、使っている道具なんか教えて貰いたいなぁ……。


さて、気になった点としては、そうですね、結構誤字が目立ったように思えます。

「訳」が「分け」

「言って」が「行って」(もしかすると逆かも?)

「離した」が「話した」

になっていた所がありました。あと恐らく「良くないこと」とするべき所が「良くこと」になっているという脱字もあったりして、凄く惜しい。

あとは、意外と難解な部分があって、これは単純に私の頭の出来かもしれないのですが、随所に出てくる「神話」と物語がどうリンクしていくのか、がちょっと分かりづらかった所がありました。


ちょっとダークな雰囲気があるのですが、オススメです。
暗さの中から綺麗なものを抽出しようとしているような、そんな手触りです。
是非、一度プレイしてみて下さい。


※2/24 午前七時半、誤字について書いてある場所で、自分が誤字をしていました。猛反省して修正しました。
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by s-kuzumi | 2008-02-24 06:10 | サウンドノベル


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