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2008年 03月 01日

フリーサウンドノベルレビュー 『ムに。』

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今日の副題 「完全分岐。気合い入り」

ジャンル:終末未来型SFアドベンチャーor友人との絆(?)
プレイ時間:一時間or一時間半くらい。
その他:選択肢アリ。物語がそこで大きく分岐。
システム:吉里吉里/KAG


道玄斎です、こんばんは。
ちょっと珍しいタイプの作品をプレイしました。作品の完成度も高かったですし、あるルートでは物凄く自分に引きつけて読んでしまった為、不覚にも少しだけ泣いてしまいましたが……。
という訳で、今回は「TRANSPARENCY」さんの『ムに。』です。
良かった点

・選択肢によって、世界観まで完全分岐。こうした分岐の仕方は珍しい。

・設定に気合いが入っていたと思う。特に長い方のシナリオ(w は正直、少しだけ泣いた。


気になった点

・後書きを読むと作品への思い入れがぶち壊れるw

ストーリーはサイトの方から引用しておきましょう。
目が覚めたら、世界は崩壊していた。

それでも俺は生きている。生きていた。
そして出会った。天使のような、彼女に。

こんな感じ。
って、これだけじゃ、ちょっとつかみ所が無いのかもしれないのですが、それもむべなるかな。
実は、本作の場合は、選択肢が一箇所あり、どの選択肢を選ぶかで、物語が大きく分岐します。

分岐っていうと、誤解するかもしれませんが、作品を構成する「世界観」そのものが、選択肢の結果によって大きく変化します。バッドエンドとトゥルーエンドとかそういうレベルではなくて、本当に作品そのものが別の作品になってしまいます。
いやぁ、こういうタイプの作品って、他にあったっけなぁ?ちょっと類を見ないタイプの選択肢の使い方で、びっくりしました。この手法、「アリ」ですよね。勉強になりました。

ただ、こうした手法が活きるのは、やはり共通ルート部分の作品が丁寧に描かれ、尚かつアンビバレントというか、許容範囲の広い良い意味で「のりしろ」が多い、という条件を満たしていないといけない事になりますね。
本作の場合は、この点を上手に処理していて、舌を巻きました。

正直、私は最初にプレイした時には「ちょっと後味が悪いな……」と感じたくらいだったのです。けれども、選択肢からロードして、もう一方のルートをプレイしてみて、びっくりです。
最初の世界観との齟齬に最初はちょっと戸惑いを覚えたのですが、読んでいくうちに何とか付いていく事が出来ました。
しかも、これが又「泣かせる」シナリオでして、私自身、ちょっと自分に引きつけて読んでしまった為か、少し泣いてしまいました。
いや、最近ちょっと涙もろいんですよw 某商業ゲームを今朝方プレイしていて、泣きましたからw 泣いたっていうのは作品の感動で泣いたというよりも、やっぱり自分に引きつけて読んでいて「何故、私はこうならなかったんだ……」と考えて、「私も選択如何では、こうなれたんじゃないか?」とか思ってしまったら自然に涙が……。もう、なんていうか、歳を取ると駄目ね……。


その「泣かせる」タイプのシナリオですが、ちょっとだけ痛みを伴う感動です。
読んでいて、じわりじわりと来る痛みを感じます。止めよう止めようと思っていた煙草に手が思わず伸びてしまいました。
けれども、描かれるのは、幼なじみの絆というか、そういう或る意味爽やかなものでラストは安心感を持って終了出来ます。

最近、こうした恋愛を至上命題にした作品ではなく(勿論、恋愛も重要な要素だけども)、友情を根底に据えた絆を描くような作品がちらほらと出ているような気がしています。
商業のものではKeyの『リトルバスターズ!』や(やはりKeyのような影響力の強いメーカーは牽引力を持っていると思われます)、フリーソフトでは、ここでレビューをした『ムゲンの絆』などがそうした作品として位置づけられるのではないでしょうか。
私個人としては、本作の一つのルートはそうした「熱い友情」を描く作品の系譜に位置づけられるのではないかと愚案する次第です。


気になった点としては、先ほどもちらっと触れましたが、選択肢の選び方によって、全然世界観が変わってしまうので、一端一つのルートをエンドまで見ると、別のルートに進んだときに違和感を感じてしまう事がある、という点です。
プレイヤーの頭には、エンドを迎えた「そのルートの世界観」がすり込まれているわけで、その後別の選択肢を選ぶとまったく違う世界観になってしまうので多少戸惑いを感じてしまう。
けれども、こういう手法は意欲的だし、高く評価したいと思います。って、気になった点ではないのかしら?w

もう一点。
後書きは……もうちょっとあっさりとしてもよかったんじゃないかなぁ……?w
本編で「をををっ」と感動した後に、後書きを読むと「ありゃ?これは一体何だったんだ?」とw
ただ、後書きでは重要な事が判明します。

そう、私が最初「後味が悪いなぁ」と感じた方が、最初に出来たシナリオで、「感動した」シナリオは半分付け足しみたいにして足されたという事ですw
なんだか折角の感動が薄れてしまう気がしないでもないのですが、まぁ、これはこれでいいのかしら……?ただ、作品のイメージがぶっ壊れてしまう恐れがあるので、そういうのが厭な人は見ない方がいいのかもw


あまり類を見ない仕掛けで「魅せて」くれる作品です。
作者様は本作の他にもゲームを公開して下さったり、シェアの作品にも取り組んでいらっしゃるようですから、興味を持ったら是非そちらの方も。

それでは。
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by s-kuzumi | 2008-03-01 17:59 | サウンドノベル | Comments(6)
Commented by くじら at 2008-03-02 22:49 x
ここのサイトさんは女性向にもつくっていらしたんでチェックしていたのですが、作者さんお気に入りの人外ロリの単語に挫折。ちょっと敬遠していたのですよ。
ですがこのレビューをみてムニ。をプレイしてみました☆
私は最初に「泣かせる」シナリオに進んでしまって、あとからロードしなおしてプレイすると、うーんイメージが固まってしまっていて、もう、うまく感情移入できませんでした凹
でもでも、あとがきとおまけには爆笑させてもらいましたよwww
またレビューを参考にさせてもらうかもしれませんがそのときはよろしくです。

Commented by s-kuzumi at 2008-03-03 21:24
>>くじらさん

こんばんは。
そうですね、ちょっと作者様のお付けになっている「ジャンル」が、ロリとか出てきてしまいますからねw 実は私も最初、それでちょっと引きましたw

けれども、やっぱりこういうゲームは「プレイしてみないと分からない」という面はありますからねぇ。 作品世界が大きく分岐してしまう、というのはやっぱり「最初に見たルート」に印象が固定されてしまうので、賛否あるかもしれませんね。私自身は、意欲的な手法だなぁ、と思って肯定的に捉えているのですが。。

こんな感じで、書いてますが、又何か参考になるような記事があれば、私も嬉しいです。どうぞ今後も宜しくお願い申し上げます。
Commented by くじら at 2008-03-05 15:31 x
そうですよね。「プレイしてみないとわからない」。まさにその通りでした。
反省しますorz
すぐにロードしなおさないでしばらく時間をおいてやってみたら良かったかな。と今ふと思いました。そしたら2倍楽しめるような気がしますw

あっ!話は少し変わりますが今日初めて本館にお邪魔させてもらいました。
サウンドノベル密かに楽しみにしていますねw
Commented by s-kuzumi at 2008-03-05 20:10
>>くじらさん

意外と、プレイしてみると最初に持っていたイメージを覆される事ってあるんですよね。なーんとなく、なんですが、作者様が自虐的だったり、自嘲的に作品紹介しているものって良いものが多い気がしますw

こういうゲームの楽しみ方は、本当に人それぞれで、一気にプレイしちゃうもよし、ルートが分岐していたら、一月経ってから別のルートをプレイするのもよし、と、人それぞれだと思います。
実は、私も全ルートを読んだと思っていたら「トゥルールート」を見ていなかったという致命的なミス(?)があったりしましたからw 結果的に二年くらいの間を空けて別ルートをプレイしたり。

あんな、何もない本館まで訪れて下さって有り難う御座いました。
あちらも何とか体裁だけでも整えないとなぁ、と思っています。一応キラーコンテンツ(?)は音楽室「能登屋」だったりします……。

んー、やらなきゃいけないことが多いですが、これからも頑張って活動を続けていきます。
コメント、有り難う御座いました。
Commented by みつぎ at 2008-03-12 16:24 x
はじめまして。

このムに。のサイトさんのゲーム好きなんですけど、Lも男性でもできるゲームだと思います。というか、あまり女性向だとかそういうの意識してらっしゃらないと思うので。
ぶちころに至っては一般向けなのかさえちょっとアレなきもしますけど。

とりあえず面白いのでプレイしてみてはいかがですか。
このブログの話の説明文が好きだったので、他のゲームの説明も読みたいだけだったりしますが(笑)
Commented by s-kuzumi at 2008-03-12 21:00
>>みつぎさん

こんばんは、はじめまして。
情報有り難う御座いました。今、作者様のサイトで確認してきました。
短編(一時間くらいで読了可)という事でしたので、あまり偏見を持たずプレイしてみようと思いますw

そう、やっぱり作者様が少し自虐的に説明を書きすぎていて、そこで引いちゃうんですが、ゲームはプレイしてみてなんぼなわけですから、近いうちにプレイしてレビューを書こうと思います。

ご紹介有り難う御座いました。
どうぞ、また気軽に書き込みなどしてくださいね。


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