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2008年 03月 07日

フリーサウンドノベルレビュー 『向日葵の少女』

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今日の副題 「思いっきり泣きました」

※大吟醸
ジャンル:じんわりと来る感動ノベル(?)
プレイ時間:一時間くらい。
選択肢:無し。
システム:NScripter
その他:ヴァージョン1.4にてプレイ。

制作年:2005/07/10(readme.txtによる更新日)
容量:圧縮時、5.84MB


道玄斎です、こんばんは。
今日はちょっと早い時間帯での更新ですね。
昔プレイした記憶があるようなないような、ちょっと曖昧だったのですが、落としてきてプレイしてみました。やっぱり読んだことありませんでした。
けれども、「正統派」と言いたくなるような、丁寧な作品の作りと、感動的なストーリーで涙を禁じ得ませんでした。間を空けずに大吟醸が出てしまいました。
というわけで今回は、「Spiral Market」さんの『向日葵の少女』です。


良かった点

・色んな意味でフリーサウンドノベルの「正統派」的にして「王道」的な作り。

・作品の雰囲気やストーリーに味のあるイラストが載り、手作り感がありながらも、高いクオリティを持っている。

・〆の余韻が抜群。


気になった点

・一箇所、会話の場面で「啓子:~」とか登場人物名が表示される形での会話があり、そこがちょっと違和感が。

ストーリーはベクターの方の紹介文から引用しておきましょう。
夏の暑さが続く中、老人がふとしたきっかけで昔を思い出す。
自分が少年だった頃に失った記憶。その記憶とは一体?
読み進めるだけのビジュアルノベルとなっています。

こんな感じです。

良い作品でした。
履歴を見てみると、実は全編・後編と分割されてリリースされ、前後編を統括する形で今プレイした形式のリリースがなされたようです。
前編が2004年ですから、実はそこまで昔の作品というわけではない。今回プレイしたヴァージョンは文章が修正されたもので2005年リリースのものです。

なんていいますか、とても「王道」的な作品だったと思います。
こうしたフリーのサウンドノベルを、プレイし始めた頃の気持ちが蘇ってくるようです。
作品自体はそこまで古くはないけれども、古き良き時代の作品の息吹が確かに感じられる傑作だと思います。

暖かみのある手作り感があって、しかも丁寧に綴られた本作はフリーのノベルゲームの「一つの基準」に十分為りうるものだと個人的に感じました。

当初、前後編と分けられていた事からも明らかなように、前半部では、一樹少年を巡っての謎とめぐみちゃんとの交流が描かれる事になります。
そして、後半部では前半で示された謎を一つ一つほどいていくような、そういう仕組み。
けれども、謎の「消化不良感が残らない」という基本的なところはばっちりと抑えているので、危なげなく読み進めていく事が出来ます。
意外と、前半部で怒濤のように謎が提示されるけれども、いくつかの謎については未消化のまま幕を下ろしてしまう、なんて作品もあるので、本作を別の言い方で表せば「基本をしっかりと抑えた作品」とも言えるのではないかと。

ただ、本作の場合は大体一時間くらいでプレイが終わってしまいますからね。
これがプレイするのに5時間だ8時間だって掛かるような作品だと、伏線の回収も凄い手間が掛かると思いますし、思わぬ伏線回収ミスも出てくるんじゃないかな、と。


内容自体は、多分そんなに凝ったものではなくて寧ろシンプルな方なんです。
一樹少年がいとこの少女めぐみと交流していく中で、五年前の記憶を取り戻していく、みたいな。丁寧にそして印象的に描かれているわけですが、こうしたストーリー自体は、シンプルですよね。
私が気に入ったのは、この「一樹少年」の時間が、「一樹老人」の時間によってサンドウィッチされて提示されている、という点です。こうした構造を持った物語でしたので、深みと厚みが出ていたように思えます。

又、ラストの余韻が堪りませんね。
多分、一樹老人はボケが始まって(?)いるようで、大事な事を忘れかけてしまっています。
だけれども、心の中に残っているものは消える事がない。どこか大切な場所で記憶されている。
そういう見せ方で幕を下ろすので、じわーっと感動と余韻が染み渡ってきます。
結構、作品全体でみても、場面場面でじわっと来るんですよねぇ。寧ろ「何でここで自分が泣いているのか認知出来ない」みたいな。

イラストも作品の雰囲気にあっていて好感が持てました。
やっぱり、今現在の水準(それがどんなものかは自明ではないけれども)では、もしかすると「ちょっと垢抜けない」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
けれども、この雰囲気はやっぱりちょっとアニメ塗りみたいな感じでは出せないんじゃないかなぁと愚案する次第です。


さて、一方で気になった点はなんといっても、作中に出てきた会話シーンでしょう。

啓子:~~~~~~

と、些か唐突に「登場人物名」を冠しての会話文が始まってしまうのです。
それ以前には、そうした事もなくスムーズに物語が進んでいったので、この点は結構違和感を感じてしまいました。
この作者様の力量ならば、わざわざこうした形式にしなくても、ちゃんと処理出来るのではないでしょうかね。


往年のノベルゲームファンは固より、今だからこそ最近のノベルゲームプレイヤーに是非、プレイしてもらいたい作品です。
あなたはどんな感想をこの作品に持ちますか?
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by s-kuzumi | 2008-03-07 19:05 | サウンドノベル


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