2008年 03月 08日

フリーサウンドノベルレビュー 『包丁さんのうわさ』

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今日の副題 「ただの猟奇作品じゃない」

ジャンル:ホラー+α
プレイ時間:一時間~二時間くらい?
選択肢:沢山アリ。選び方によっては即死するものも。
システム:NScripter
その他:猟奇描写、流血描写アリ。自己責任でプレイする事。

制作年:2007/08/31
容量:圧縮時、20.6MB



道玄斎です、こんばんは。ぼちぼちお早う御座います、かもしれませんが。。
これから、今までのペースで更新を続けていく事が非常に困難になってきそうなので、プレイ出来る時にプレイを、という事でこんな時間までゲームをしています。
今回は、久々のホラー作品です。が、ただのホラーに留まらないもっと深いメッセージ性のある作品だと思いました。
というわけで「たぶんおそらくきっと」さんの『包丁さんのうわさ』です。
良かった点

・ただの猟奇ホラーに留まらない深いメッセージを持った作品だった。

・アイテムリストをコンプリートしていく作業が、単調になりがちな探索に楽しさを与えてくれ、バッドエンド自体を楽しむことも出来る。


気になった点

・文章が少しごちゃごちゃしている印象。適度にスペースを設けて表示されたら、もっと読みやすいと思う。

ストーリーは、readme.txtから引用しておきましょう。
「包丁さんって知ってる?
呼び出したら誰でも殺せるんだって。
でも、そのかわり・・・・
呼び出した包丁さんは本当の名前を言わないと帰ってくれないんだって」

この町には昔から伝わる昔話がある。
それが包丁さん。
都市伝説でもなく単なる怖い話でもなく存在する。
だって、包丁さんはカミサマだから。

普通の肝試しの感覚で包丁さんを呼び出す儀式をやっていた。
ほんの、軽い気持ちでその呼び出す儀式をしてしまった。
それが、どうしようもないほどの恐怖を生み出すとは知らずに。

こんな感じです。

久々のホラー作品のプレイでした。
大体、ホラー作品っていうと、本作もそうなのですが割と沢山の選択肢を選んで「生き抜く」みたいなそういう要素が強いので、意外とクリアするまで手間が掛かりますし、何より怖いのが苦手なものでしてw あんまりプレイしていないように思えます。

いや、怖いのは好きなんです。けれども大体いつも夜にゲームをプレイしているわけですから、しかも今これを書いている時も丑三つ時なわけで……。まぁ、ちょっと複雑な感情が渦巻いていて、「ホラー作品が好きです」とは言えないくらいの、ヘタレホラーユーザーです。

けれども「たぶんおそらくきっと」さんの作品は、以前レビューした『奥様は惨殺少女』でもそうなのですが、ただの猟奇ホラーに終わらない「深み」を持った作品が多いんですよね。
殺人鬼がいる山荘に閉じこめられたぞ! 何とか生き残って逃げるんだ! 的なものとはちょっと違う。
寧ろ「何で殺人鬼が誕生するようになったのか?」というようなアプローチの仕方の作品が多いように思えるのです。
まぁ、やたら「猟奇」っぽい雰囲気で実際、そういう作品が多いんですけれどもw そうした雰囲気を緩和してくれるものとして「妙にほのぼのとしたイラスト」が付いていたりして、なんだかとっても新しいホラーの見せ方みたいなものを感じるんですよ。本作でも「包丁さん」はなんだかとっても可愛らしいしね。

今回は自力で、選択肢を試行錯誤してプレイしてみました。
途中で地震がきて、滅茶苦茶吃驚して椅子から飛び上がるというハプニングはあったもののw プレイ自体は順調で、ぴったり一時間で攻略(トゥルーエンド回収)出来ました。
こまめなセーブは必須なのですが、バッドエンドからロードし直したのは結局三回くらいだったから意外と好成績じゃないかと、密かに満足しています。

さて、謎のカミサマ「包丁さん」を呼び出す儀式(というよりおまじないに近いかな?)をやったら、本当に包丁さんが出てきてしまって、何故か呼び出した自分たちまで襲いかかってきた、というのが大まかなストーリー。
一読してすぐに気付くのは、「都市伝説」とか「民話」とか「語り継がれてきたモノ」を、その発生源とか伝播経路なんかも含めて、丸ごと作品が取り込んじゃっている、という点。
本作自体が「一つの都市伝説」として語られる可能性があるような、そういう手触り。一つの都市伝説がリアリティを持って「創作」されているんですよね。

こうした「都市伝説」とか「学校の怪談」系の知識が確かなのだと感じさせます。
私自身、怖いのは苦手ですが、同時に結構好きでもあるので、それなりに詳しいんですよ。けど、ここまで「都市伝説」「学校の怪談」を自分のモノに出来る、っていうのは流石の一言です。

で、包丁さんから逃げつつ、学校という閉鎖された空間を探索していく、というのが中盤~後半に掛けての流れになります。
ともすれば単調で「しらみつぶし」的な作業が退屈になってしまう探索なのですが、タイトル画面→おまけ→「コンプページ」に行く事が出来ます。
これは探索で見つけたアイテムが、一覧になっており、そのアイテムの属性や、或いは探索で見つけた情報を確認出来るのです。バッドエンドに到達する事でこの「コンプアイテム」にアイテムが増える事もあるので、探索に一つ「意味」が付与されて楽しんで試行錯誤出来るんじゃないかと。中には包丁さんとサイコロで遊ぶことの出来るアイテムなんてものもあるんですよ。
実は、コンプリストをコンプリートしなくても攻略可能です。私も攻略時にはコンプリストに穴が結構空いていました。
実際に、トゥルーエンドまでプレイしてみると、本当に攻略の為に必要なアイテムは意外に少ない事に気がつきます。やりこみ派のユーザーの方は、是非全アイテムコンプリート、全エンドコンプリートを目指してみて下さい。

探索で判明するのは、主に「包丁さんからどう逃げるか?」という情報になります。
だから、実は「包丁さんは何者なんだ?」という根本的な疑問はラストにならないと分からないのです。 主人公美春の兄が仲間に加わった辺りから一気に包丁さんの情報が増えていくのですが、それでも決定的な謎は包丁さんを撃退(?)したあとに。

侮れないのが、この包丁さんの正体です。
上手いなぁ、と素直に感心してしまう話の作り方だと思いましたね。
同時に、ここまでプレイすると本作が「単なる猟奇作品ではない深いメッセージ性を持った作品」である事が分かります。いや、ホントに。
「人間の愚かしさ」であるとか、「誰かを恨み、呪いを掛ける事の是非」とか、こういう風に文章にしちゃうとちょっと軽々しいけれども、深いメッセージが込められているのだと感じました。
プレイし終わった後に、作者様のHPの方で本作の後日談的なショートストーリーを読んだのですが、ここまでプレイしたら是非、そのショートストーリーまで読んでみて下さいね。作品のメッセージの一端が明らかになるんじゃないでしょうか。

あっ、ちなみにトゥルーエンドを回収し終わった後にタイトル画面から「おまけ」を見ると、五年前のストーリーを読む事が出来ます。これを読むと本編でバッドエンドになる理由が分かったりして面白いですよ。


ノベルゲームっていうとちょっと違うのかもな、という気がしないでもないのですが、毎回とても楽しくプレイさせて貰っています。 ただ、年齢制限は特にないとは思うけれども、人を選ぶ作品ではあると思うので、敢えて無印にしています。
私イチオシの「ホラー作品メーカー」さんです。ただのホラーに留まらない深みを持った作品です。猟奇的なシーンや流血が苦手でないのなら、プレイしてみてください。
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by s-kuzumi | 2008-03-08 03:46 | サウンドノベル | Comments(0)


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