久住女中本舗

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2008年 03月 14日

フリーサウンドノベルレビュー 『I'm...~心の向こう側に~』

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今日の副題 「初期フリー美少女ゲームの集大成」

※吟醸
ジャンル:感動アドベンチャー(?)
プレイ時間:各ルート二時間半~三時間くらい。
その他:選択肢アリ。三つのルートに分岐。
システム:NScripter

制作年:2002/6/12(初版)、今回は2004/3/5の改訂版でプレイ。
容量:112MB(圧縮時)


道玄斎ですこんばんは。
いまさらかよって声も聞こえてきそうですが、避けて通れない作品ですね。
「いつプレイし直そうか?」とずっと考えていたのですが、ゲームのオーバードーズを止めて、その代わり、一つ一つの作品にちょっぴり深く付き合っていく事を決めた今が、タイミング的にはいいのかな?と思って封印を解きました。
というわけで、今回は「Tea-Room」さんの『I'm~心の向こう側に~』です。
良かった点

・初期のフリー感動(+美少女)ゲームの集大成的存在で、マイルストーン的存在。

・立ち絵などのレベルがとても高い(当時は衝撃的でした)。

・「泣きシナリオ」好きにはたまらない展開。


気になった点

・良くも悪くも「美少女ゲーム」或いは「ギャルゲー」風。

・実はイラストの原画さんが複数いるので、微妙に絵の違いが気になる所も。

・フラグがリセットされない事もある。注意。

ストーリーは、サイトのURLを張っておきましょう。こちらからどうぞ。


本当に今更なんですが、久々にプレイしました。
もう説明不要の作品の一つですよね。どのくらい説明不要かというと、wikipediaにこのゲームの項目があるくらいなのですから、推して知るべし。

何よりもこの作品で思い出深いのは、多分私のネット環境が当時まだ「ISDN」かなんかで、ダウンロードに一苦労したというw フリーにして100M越えです。今じゃ、このくらいの容量の作品も大分増えてきてそんなに珍しいって感じではなくなっていますが、当時は衝撃的でした。
シナリオも正統派(?)の感動系ギャルゲーの路線を踏襲しつつも、完成度が高く、兎に角話題になった作品です。
古参のノベルゲーマーなら、みんなプレイしているハズ。。
このゲームがきっかけでゲームを作る事になった、なんて話も良く聞きますよね。兎に角容量やイラストやシナリオ、或いは音楽などが当時の基準で群を抜いていました。

かくいう私も、初めてプレイした時は凄く興奮しながらプレイしました。
先ず、ビジュアル的に分かりやすい柚香の立ち絵にやられました。商業クオリティの立ち絵がついています。ちょっと今見てみると髪の毛に違和感を覚えないでもないけどw
そうそう、業界を先導しているKeyのゲームに似ている、と言われる事もしばしば。実際プレイしてみると、何となくそう言われる理由は分かります。
けれども、本作には根強いファンがいて「KanonよりもI'mが好き」って人も居るんですよ。何となくだけども、『Kanon』と比較するよりも『One』と比較するほうが、私的にはしっくりきますが如何でしょうか。

キャラクターメイキングみたいなものは、2008年の現在からみるとあまり新味はないかもしれませんね。
ヒロインは三人。年下の妹系幼なじみキャラに元気印のクラスメイト、ふわりぼんやり天然系の先輩と、まぁ或る意味最強の布陣なわけですがw
外連味(プラスのイメージでこの語を使ってますよ?)もたっぷりです。
何しろ、高校生にもなって主人公の事を「おにいちゃん」と呼ぶ女の子だったり、手にするもの全てを破壊してしまうと女の子だったり、植物とお話が出来て昼食がいつもおはぎの女の子だったりと、これでもかと盛り上げてくれます。

そうそう、少し脱線してもいいですか?
おはぎを昼食にしている女の子はさくらちゃんと言います。主人公の先輩にあたります。
で、おはぎは彼女の自作なんですが、皆様は、人の作ったおはぎって食べられます?
おはぎだと少し抵抗感がないかも。
そうね、他人が作った「おにぎり」って食べられますか?私は絶対に駄目です。母か祖母が作ったおにぎりなら食べられたのだけども、それ以外の人が作ったおにぎりは、なんだか気持ち悪くって食べることが出来ないのです。
だから、たまにこういうゲームで、「恋人がお弁当を作ってきてくれる」なんてシチュエーションがあって、そこにおにぎりが同梱されていてしかも主人公が、

「う、うまい……あぁ、俺ってなんて幸せなんだろう……」

みたいな、セリフが出てきたらもう駄目ですw
「何でこいつは他人の作ったおにぎりが食えるのだ」と考え込んでしまうのです。
勿論、ゲームに限らず普通の小説なんかでも人が作ったおにぎりを食べるシーンが出てくると私は頭を抱えてしまいます。以前、『マリア様がみてる』で祥子様がおにぎりを食べていて、失望した記憶がw
で、極論しちゃうと、おはぎって餅米おにぎり+あんこでしょ。だから何か、こう、私の感覚では、他人が作ったおはぎを食べるってちょっと気持ち悪いような。
私は絶対に恋人とかが居ておにぎりを作ってくれても、食べませんもん。まぁ、そんな事は今までなかったわけですがw
何か、私がトラウマとか心に問題を抱えているような気がしてきましたw さらっと聞き流して下されば幸い。


キャラクターに新味はない、とはいえ各シナリオはしっかりと魅せてくれます。
主人公が、苦難を経て「アイデンティティを確立する」みたいなものが、テーマの一つの柱になっています。と、こういう風にかくとちょっと青臭い感じがしますね。
けれども、このアイデンティティの確立が「恋愛」というテーマと上手く結びついている為に、妙に鼻につくような感じもなくて、すんなりとテーマを消化出来るんじゃないかと思います。
「俺は頭も悪いしどうしようもないけれども、君の事を好きな俺はわるくはない」みたいな。
んで、ヒロインも「あなただから好き」という感じで、主人公の良いところ、そして悪いところもひっくるめて愛してくれます。
まさに現実ではあり得ない、ゲームならではの演出ですw

駄目な自分でも、その駄目な部分を含めて愛してくれる人が居て、自分も自身をもっと愛せるようになる、という感じです。
駄目な部分をひっくるめて肯定してくれる女の子が居たら、私なんかは一発でオチますな……。


柚香のシナリオは立ち絵の素晴らしさも手伝ってオーソドックスながら凄い楽しめました。敢えてネタバレはしたくないので詳細は伏せますが、結構どんでん返しがあったりで楽しめるシナリオだと思いますよ。
正統派の「妹系」シナリオ+αみたいな。

朝季のシナリオは、「元気で、友達みたいな女の子」の正統的なシナリオでしょうか。
意外と、初々しい雰囲気はリアリティがあって私は気に入りましたが、朝季はイラストにちょっとクセがあるというか、アホ毛とバンダナと鈴と頭だけでこんなにオプションパーツがついていますw 柚香と比べてしまうとちょっと垢抜けない所があるかなぁ。

残るは「おはぎ」のさくら先輩。
こういうおっとり和風美人、私は好きですねぇ。柚香も捨てがたいけれども、さくら先輩も中々……。

一番力が入っているのがこの「おはぎ」のさくら先輩シナリオでしょう。他の二つのルートとエンディング曲が違うんですよ。分量も一番多いかな?他のシナリオが大体二時間ちょい~二時間半くらいなのに、さくら先輩シナリオは三時間くらいはありますからねぇ。
割とありがちなシナリオなのかもしれない。けれどもやっぱり真のルートなるものがあるとしたらこのさくら先輩ルートだと思います。あれこれ説明を書くよりも実際にプレイしてもらった方が手っ取り早い。
このさくら先輩シナリオは安直なハッピーエンドにならない所が最大の魅力でした。
余韻があるかっていうと、ちょっとアレですけれども、後半からぐっと盛り上がってきて凄く好きです。最後のあの主人公のモノローグみたいなのが良かったですね。
キャラクターでいったら一番ヘンテコ系なのに、一番感動出来るというw


で、実は、この作品「未完成」なんですよね。
本当はもう一個「人形編」なるものが用意されていたらしいのですが、途中でチームが解散してしまった為に、「人形編」を抜いたヴァージョン(つまり今プレイ出来るヴァージョンです)がフリーでリリースされる事となりました。
この「人形編」の片鱗は「さくら先輩シナリオ」にちょこっとだけ出てきています。
で、今プレイ出来る三人分のシナリオを読み終わると、「人形編」なるものが、実は最後の纏めの章なんじゃないか?と思ってしまいます。

結局、一つの器に二つは入れられないってわけだったでしょ?(ぼかして書いてますよ?)
で、人形は器だけで、そこには何も入っていないんじゃないかと。
私は、もしかしたら「さくら先輩シナリオ」のベストエンドがこの「人形編」じゃないかとにらんでいるのですが……。あるいはさくら先輩シナリオだけじゃなくて、柚香、朝季のシナリオも全部統括するようなエンドなのかも……??


良くも悪くも「ギャルゲー」みたいな趣があります。
ただ、これは良いところ悪いところと表裏一体だから、「ギャルゲーっぽいから駄目」じゃなくて、商業クラスのギャルゲーがフリーで!と前向きに捉えるのが正解なのかも。

兎に角、初期のフリーサウンドノベルを語る上では欠かせない作品です。必読文献みたいな感じかな。ま、今更って感じだけどもね。
実際、私も何だかんだで「吟醸」にしていますし、名作である事に疑いの余地はありません。
ギャルゲー風味が苦手って人は、合わないかもしれませんが、そういうのが好物な人にはきっと堪らない一品でしょう。


最後に一点。
今回、昔昔にダウンロードして保存しておいた本作をプレイしたのですが、柚香を攻略した後に朝季シナリオに行こうとしたんですよね(さくら先輩シナリオは最後のお楽しみです)。
けれども、どうやっても朝季ルートに行かず、柚香のルートに入ってしまいました。

ちょこっと調べてみたのですが、どうもルート分岐のフラグがリセットされない、なんて事があるみたいなんですよね。柚香ルートを最初にプレイしちゃうと、そのルート行きのフラグが「New game」から初めても既に最初から立っているというw
そういう時は、大人しく別のディレクトリに新しいゲームを落としてきてそこでプレイすると良いかもしれません。なんとなく、もうちょっとスマートなやり方がありそうな気はするんだけども……。

昨晩(とういうか朝に近かった?)書いたものをカットしたりして少し書き直しました。
けれども、最初に書いたものがアレだったからあんまし宜しくねぇなぁ。折を見てまるまるリライトしちゃおうかと思っています。
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by s-kuzumi | 2008-03-14 03:46 | サウンドノベル


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