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2008年 03月 16日

フリーサウンドノベルレビュー 『無愛想と笑顔』

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今日の副題 「ニヤニヤが止まらない」

ジャンル:学園青春アドベンチャー(?)
プレイ時間:三十~四十分程度
その他:選択肢なし、一本道。
システム:NScripter

制作年:2008/3/15
容量:圧縮時、10.3MB



道玄斎です、こんばんは。
休日は何の憂いもなくゲームがプレイ出来るので嬉しいです。実際問題として最近、ゲームのオーバードーズを止めているせいか、却って土日になるとゲームを渇望してしまうような、そういう感じがします。
大分、プレイの仕方も変わってきました。まぁ或る意味で「読むだけ」ってノベルゲームにプレイの仕方もなにもないんですが、以前は「一気読み」がメインでした。
ここ最近は、途中で散歩に出たり、買い物をしてきたりしながら「この後どうなるんだろうなぁ?」なんてちょこっと頭の片隅で考えてみたり。果たしてそれが良いレビューに結実するかどうかってのは、また別問題だと思うのですが、マイペースにやっていこうと思います。

というわけで、今回は「あおぞら幼稚園」さんの『無愛想と笑顔』です。
良かった点

・「あおぞら幼稚園」さんのエッセンスが詰まっている。往年のプレイヤーは思わずニヤニヤする事必定。

・テーマとリンクしたシメが綺麗に纏まっていたと思う。


気になった点

・仕掛けが速攻で分かってしまうのがちょっと……。

ストーリーは、サイトの方から引用しておきましょう。
笑ってるけど、笑顔にならない。
クラスの皆から、笑顔が怖いと言われ続けていた。
まぁでもそれに慣れてしまったせいか、
別に周りになんて思われようが、どうでもいいと思っていた。

が、ある日、親友の紹介で一人の少女と出会う。
それは俺には持ってないものを持っている可愛い少女だった。

「頑張って、笑顔にしましょう!」

そう言って、俺にちょっかいを出し始めてきた──

こんな感じになっています。

いつもの「あおぞら幼稚園」さん直球のシナリオです。
何となくだけどもプレイ時間は、いつもの作品よりちょっぴり長目かも。
爽やかで、それでいてほのぼのとしてる作風は健在です。

さて、主人公の男の子は無愛想でどうしようもない。
その男の子がある女の子と交流して……という或る意味直球のシナリオ。
今回の見所の一つは、主人公が親友の啓太郎に「嫉妬」するくだりです。

いやいや、よく分かります。
ああいう場面をみちゃったりすると、もう本当に投げやりになっちゃうし、無愛想にも磨きが掛かってしまう。私自身仏頂面なので、本作の主人公には結構感情移入が出来ましたね。学生時代女の子ばっかりの環境だったにも関わらず「笑わない人」として有名であった為、青春を無為に過ごしてしまった……。あー、いや本当はちゃんと笑う人ですよ……?くだらない事とかバカみたいな事とか大好きだし。

問題は、その女の子―真奈ちゃんというのですが―と主人公の親友たる啓太郎との関係はなんなんだ?という事です。これが嫉妬の原因になっているのですが、なんというか、序盤開始三分くらいにして判明してしまうというw
読者=プレイヤーはばっちり分かっている。だけれども知らぬは主人公のみ、という状況でそこがちょっと。。っていうか、主人公が鈍すぎるw
主人公と読者=プレイヤーが一体となって「彼女は何者なんだ?」というクエスチョンに向かっていくような、そういうストーリーの流れの方が読者を引き込めたのかもしれません。

これは単純に私の意見なんですが、うんと大雑把に分けて「読者と主人公が一体となって物語を進めていくタイプ」と「読者は一歩引いた位置から物語を俯瞰していくタイプ」と二種類あるんじゃないかしら。この二つを見せ場によって使い分けたり、なんて事も出来ると思いますし、私自身はあまり好きな言葉ではないものの、起承転結みたいな場面場面でこうした見せ方を変えていく、というのはアリですよね。。

勿論、この二つのどっちが優れている/劣っているって事じゃなくて、作品のタイプによって、或いは想定している「見せ方(魅せ方)」によって異なってくると思うのですが、「あおぞら幼稚園」さんの場合は、やっぱり読者一体型の方が、今の路線では向いている気がするんですよね。
それが、本作の場合結構いい感じに読者と一体化させつつも、ある場面ではそれがするりと俯瞰型になってしまうような、ちょっと落ち着きのなさみたいなものを感じてしまう。
これは以前、コメント欄で、色んな作者様などがお話して下さったのですが、高校が舞台っていうのは、そもそも殆ど誰しもが経験している事で、暗黙の了解が成り立ちやすい、みたいな、そういう事を仰っていた方がいました。多分、そういう事だったよね……。
まぁ、だから敢えて言うと「高校生青春シナリオ」っていうのは、そもそも割と読者一体型の方が向いているのかな?なんて愚案する次第。
ですので、本作の場合も飽くまで私は、なんですけれども主人公のクエスチョンと読者のクエスチョンが重なっていたら、良かったな、と少し考えました。

そうは言っても、女の子がお弁当を作ってきてくれるとか、ニヤニヤポイントはちゃんと保持していて、妙にうれしさを覚えますw
皆様は(男性限定です)、女性からお弁当を作ってもらった事ってありますか?
私はありません。食事を作ってもらった事はあるけれども、お弁当だけは未経験ゾーンですねぇ。だからいつも言っているように「女の子の手作りお弁当」は私の憧れであり、一つの目標点です。誰か作って!!最近の私のお昼の定番はコンビニで売っている「リラックマのミルクホットケーキ」ですw あっ、ちなみにお弁当っていっても私は「おにぎり」は食べられませんよ?w

本作で、良いなと思ったのは、主人公の親友たる啓太郎の存在です。
まぁ、彼と真奈ちゃんを巡る謎はともかくとして、熱血な部分を担っているキャラで好感が持てました。しかもラスト付近の盛り上がる所で、凄いカッコいい役回りを……。
以前だったら、「主人公とヒロイン」、或いは「お兄ちゃん(主人公)と妹たち」みたいなw 或る意味で閉じた世界だったわけですが、親友キャラが立っていた事で、もう少し広がる世界が見えてきています。
やっぱり、脇役が活き活きしている作品はいいですね。或る意味で主人公やヒロイン以上に脇役が作品そのものを支えているような、脇役にはそんな重大な任務が課せられているように思えます。

そういえば、もうおなじみの「えっちぃ犯罪を目論む敵役」も健在です。
私の見たところ、『ゆめかちゃんの一日』以降、コンスタントに出てくる悪役のタイプですね。
定番中の定番っていうのは、意外と悪くないかも……?w

私もたまーに、副業として雑誌や電子媒体に文章を書いたりする事があるのですが、「頑張っていつもと違う俺を見せよう」と思ってやってみると意外と評判が悪かったり。いつもの路線を求めている人みたいのは、少なからず居たりするのでそういうジレンマは感じなくもないのですが。
自分自身の修練の為には、色んなタイプの書き方、見せ方みたいなものを工夫しなければならないのだけども、やっぱり一度出来ちゃった「型」を崩していくっていう作業は、難しいし痛みを伴うものであります。
最近は、それだったら「新しい型」を作って、色んな「型」を自在に使いこなせるようになれたらいいんじゃない?と思っているところですね。
今までよりもゲームから少しだけ距離を置こうと思ったのも、実はそういう理由があったりもするのです。

ちょっと脱線してしまいましたね。
定番は定番として保持しつつも、何か新しいもの、そんなものが見せられたらとても面白いし楽しいなぁ、と思います。ここらで少し「あおぞら幼稚園」さんの冒険を見てみたいな、と一読者として思いました。

そうそう、シメの部分は今まで以上にすっきりすんなりと纏まっており、とても良かったと思います。プレイを進めていくと色んな事件が起きて、主人公が「無愛想」という設定をつい忘れてしまう。そんなタイミングでテーマと絡んだ「笑顔」が出てきて「をを!」と思わず嬉しくなってしまいました。


気軽にプレイ出来る作品です。
こういう容量も小さいし、ちょっとした息抜きにプレイすると幸せな気分になれるかもしれませんよ?
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by s-kuzumi | 2008-03-16 18:43 | サウンドノベル


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