久住女中本舗

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2008年 05月 09日

フリーサウンドノベルレビュー 『キャバ嬢 A GOGO!!』

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今日の副題 「フリーサウンドノベルの良さがギッシリ」

※吟醸
ジャンル:新人キャバ嬢奮闘記(?)
プレイ時間:1ルート、1時間半~2時間くらい。
その他:選択肢有り。全部で6ルート。微百合アリ。
システム:Yuuki! Novel

制作年:2004(?)
容量(圧縮時):7.61MB



道玄斎です、こんにちは。
ここ数日、あれこれと取り紛れていたのと、ちょっとじっくりと付き合うべきゲームをプレイしていたので、更新間隔があいてしまいましたね。
というわけで、もう界隈では著名な作品ですが、改めて紹介致します。
アンダーカヴァー2」さんの『キャバ嬢 A GOGO!!』です。
ちょっと他ではお目にかかれないような、独自の作風や舞台設定でとても楽しくプレイできました。
良かった点

・独自の舞台設定がとても興味深い。

・ギャグからシリアスまで、何でもこなす楽しい作品。

・脇役キャラがとてもグー。


気になった点

・やっぱりYuuki! Novelなので操作性が……。

・キャラなど、素材が多い。気になる人は気になるかも。

ストーリーは、ベクターの紹介文を引用しておきましょう。
さくらは新人キャバ嬢。ドジで貧乏で田舎者だけど、素敵な先輩や可愛い同僚に囲まれて目指すは店のナンバー1!
恋に仕事に奮闘するさくらの成長を描いた『Loveラブ業界成り上がり』アドベンチャーノベル。ちょっと百合あり(笑)。

こんな感じのストーリーです。


さて、今更感が漂いますね……。
界隈では既に著名な作品であり、作者様ですよね。
斯く言う私も『外道狩り』を昔プレイして、「なんか新しい感じがする……」と感動した記憶があります。単純な現代伝奇っていう感じじゃなくて、そこには確かな「+α」があったように思えます。

本作も、切り口がそもそも斬新。
主人公がキャバクラに勤める所謂「キャバ嬢」なのですから。
この切り口に惹かれてプレイしてみた人、或いはこの切り口が嫌いでプレイを躊躇した人、色々といるかと思います。が、どちらの人も恐らくプレイしてみると想像しなかったような、楽しさやシリアスさにびっくりするのではないでしょうか。

いや、私自身「んー、キャバクラかぁ……」と本作の存在は知りつつもずっとプレイをためらっていました。
一つには「キャバ嬢」という職業に対する、ある種の偏見があった事を正直に告白しなければならないでしょう。というのは「男心をもてあそんでいる」というそういう感じを受けたからなんですよね。
ほら、たまにテレビでそういうキャバ嬢の特集とかやっているじゃないですか?ああいうのを見ていると、「リピーターを増やす為なら何でもやる」的な、ちょっとダーティな部分でキャバ嬢を捉えてしまうんですよね。

それにご存じの通り、男ってのはアサハカな生き物でして、「女の子は清廉にして清純なのを最上とする」みたいな、所がありますよ、ね?
事実、商業でのノベルゲーム(まぁ、18禁美少女ゲームと言い換えると通りがいいかしら?)をプレイすると、ヒロインの女の子の95%くらいは男を知らない世間知らずの娘さんです。
つまり、そういう女の子の方がニーズは(少なくともゲーム業界の中では)あるようですので、キャバ嬢がヒロイン(主人公)というゲームは成立しにくい。
或る意味で本作は「離れ業」ですよね。こういうゲームが成立して、尚かつ人気を得るというのはやはり「フリーのサウンドノベル」ならではの現象じゃないかな、と。

兎にも角にも、「知らない世界をちょっと垣間見てみる」くらいのライトな感覚でプレイするのがお勧めです。知らない事を知るっていうのは、決して損はないですから。
私ですか?キャバクラは未体験と言って差し支えないでしょう。一度だけ付き合いで、キャバクラ+αくらいのお店に連れて行かれた事があるのですが、やっぱりちょっとニガテですねぇ。


まぁ、それはさておき、内容の方に移りましょう。

本作は、新人キャバ嬢の「さくら」(源氏名)の奮闘記という感じでしょうか。
男にだまされて、借金を背負ったさくらが選んだ返済手段は「キャバ嬢になってお金を稼ぐ」というわけで。まだ入店して半年、半人前のキャバ嬢です。
田舎育ちの純朴さで、ミスをしたりするけれども良き先輩や同僚に囲まれて、頑張っていくみたいな、うんと大雑把に纏めるとそういう感じのお話です。

良いなぁ、と感じた所は正直いっぱいあるんですが、それを全部ひっくるめると「フリーのサウンドノベルの良さが詰まってる」という事になります。

先ずは、キャバクラの適度なリアリティ。
多分、現実のキャバクラをそのまま描写したらそれはきっとこういうお話にはならないと思うのです。実際のキャバクラを手本にしながら、ゲームとして楽しむ為の加工っていうのかな?そういう「なじみやすさ」を持っている感触です。
現実のリアリティと「ゲームの中でのリアリティ」っていうのは恐らく必ずしもイコールにならないですからねぇ。
そういや、キャバクラのシステムって、焼酎、ウイスキー飲み放題なんですか?w けど、これって呑めるお酒決まってるのかなぁ??グレンフィディックの21年モノ(あのラム酒の樽に保存したヤツ)が飲み放題とかだったら、普通に安いんじゃないか……?w 焼酎だったら「百年の孤独」とかが飲み放題とかだったら嬉しいなぁ……。
っと、また脱線しかけた……。
兎も角、「新人キャバ嬢」の視点から、その業界をちょっと垣間見ていく、みたいな部分がとても美味しい。

そういや、舞台は横浜でいいのかな?
伊勢佐木町なんて懐かしい。私は昔横浜に住んでいた事がありますよ。有隣堂ってでっかい本屋さんがあってねぇ、あそこで学校の教科書の虎の巻を購入して、宿題を処理していたという思い出が……w


話を戻して、名脇役の存在について。
名作には名脇役が存在すると言っても過言ではないのです。
本作の場合、私は(多分、プレイした人の多くも)百合姉に惹かれるんじゃないでしょうか?
先輩キャバ嬢で、お店のナンバーワン。芯が強くて尚かつ知的。
ちょっぴり歳は取ってるけれども(といっても27なんだから、まだまだだ)、キャバ嬢達のリーダー的存在です。

この百合姉がカッコいいんだわ……。
まさに姉のような包容力と、厳しさをもった女性で、お嫁さんに欲しいくらいですw
あんまりここで、百合姉の魅力を語りすぎてもアレですから、是非実際にプレイして思いっきり嵌って下さいw

同じキャバ嬢の桃ちゃんもいいですねぇ。
ちょいロリ入ってる子ですが、さくらよりもキャバ嬢歴は上。同僚だけれどもちょっとした先輩みたいな存在。人なつっこさが魅力の女の子です。
一緒に居ると楽しくなれるような、そんな子ですかね。

あと忘れちゃいけない黒服のジンさんとかね。
ルートによっては、彼が店長に昇格するものもあったり、意外と美味しいキャラですよ。

更に、ギャグとシリアスの混ざり具合も秀逸ですよね。
或る意味で、気が抜けちゃうような、ギャグテイストな文章がきたと思いきや、一転してシリアスな場面になったり。このタイミングが秀逸。
シリアスな部分も、しっかり確保していて言うこと無しですな。さくらの母親からの手紙なんて、目頭が熱くなってしまいますね。

これは、気になった点と少し被るのですが、キャラクターの絵なんかが全て素材なんですよね。その点、気になる人はいるかもしれません。
が、ストーリー自体の面白さとテンポの良さで、私はそんなに気になりませんでしたよ。
まぁ、そういう意味でちょっと「垢抜けていない」感じがあるのは確か。だけれども、それすら本作の魅力になっているような、そういう作りがとても好きです。
「フリーのサウンドノベル」である事を最大限に活かして、しかもそのおいしさを全部詰め込んだという感じです。
おいしさの中で、私が特に好きだったのは「精神の継承」みたいなものが描かれる所ですね。新人のさくらは、先輩である百合姉から時に殴られたりしながらも色んな事を学び、吸収します。その時に百合姉が言った台詞を、なぞるようにして、さくらが新人で入ってきたばかりの蘭ちゃんに「キャバ嬢の矜恃」のようなものを語る場面があり、とても印象的でした。
人は変わっても精神は継承されていく、みたいなそういうテーマ、私は物凄く好きです。
「集まり散じて人は変われど 仰ぐは同じき理想の光」 っていうじゃないか。私の出身大學の校歌ですけど……w


気になった点は、先に一点述べましたが、致命的な欠点があります。
それはシステムがYuuki! Novelだという点。
セーブ、ロードが非常にやりにくい。またバックログが出来ず、且つ「既読スキップ」がないので、思わずスキップしすぎてしまうような部分があったり。

全部で6つルートがあると書きましたが、システムのせいで全部見ようとすると結構時間が掛かるw 中には、終了をちゃんと栞に挟み込んで、その栞からスタートしないと開けてこないルート(蘭ちゃんのルートだ)もあるので要注意です。
もう少し、使いやすいシステムで、オリジナルのキャラ絵が使われていたら文句なしに大吟醸ですね。これだけの作品なので、システム的に使いにくいというのは本当に惜しい。


プレイした後、キャバクラに対する認識が変わった、って?
そりゃ、変わりましたよ。「こんなお店なら行ってみたいな」って。まぁ、これはゲームの中の「お話」ですから、実際にこういう店があるのかは分からない。けれども、偏見を持たずに一度くらい自主的に行ってみてもいいかもなぁ、なんて思ってしまいました。
それと、「女って大変だよねぇ」と「女って強いなぁ」と二つの或る意味で相反する感想を持ちました。

寧ろ、本作は「キャバクラ」をテーマにした、というよりは「女の生き方」みたいなそういうものが本当のテーマなのかもしれませんね。

お勧め作品です。
キャバクラというキーワードに尻込みせず、先ずはプレイを。
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by s-kuzumi | 2008-05-09 13:43 | サウンドノベル


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