久住女中本舗

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2008年 05月 26日

フリーサウンドノベルレビュー 『平安御子女恋絵巻』

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今日の副題 「五月雨の 絶へ間に遊ぶ 我が身には 独り寝る夜も 何とおもはず」

ジャンル:平安時代恋愛アドベンチャー
プレイ時間:一ルート、20分くらい
その他:選択肢有り。全部で二ルート。
システム:コミックメーカー2 ※コミックプレイヤー2をインストールしておくこと。

制作年:2004/3/1
容量(圧縮時):1.02MB


道玄斎です、こんばんは。もうそろそろお早う御座います、の時間かもしれません。
なんだか寝付きが悪くて、全然眠れなかったので、先程お酒を久々に頂きましてその勢いでゲームをプレイしております。今日も今日とて「明鏡止水」の吟醸酒です。こう、なんていうかすぅっと体に入っていくとても良い日本酒ですね。この「明鏡止水」の大吟醸の粕で粕漬けを作ると、またこれが旨くてねぇ……。日本酒好きの人は是非おためし下さい。

さてさて、今回はいつもと毛色を変えて「平安時代モノ」です。
そっちで大学院まで出ている私の言わば「専門分野」なわけですねw 
ここのところ、古典には正直あまり付き合いがなくてですね、寂しい思いをしていたのも事実。久々にゲームという形ではありますが、直球で好きなモノに触れられて、とても嬉しいですね。
酔った勢いというやつで、わざわざコミックプレイヤー2をダウンロードして遊びました。
というわけで、「綾の国」さんの『平安御子女恋絵巻』です。
良かった点

・絵がとても綺麗で、可愛らしい雰囲気。

・どのキャラクターにも好感が持てる。


気になった点

・コミックメーカー製じゃない方がプレイしやすい。

ストーリーは簡単に私が纏めておきましょう。
帝の娘、つまり内親王である朝姫は、お転婆娘。宮中での少々気詰まりな生活に少し飽き飽き。
そんなある日、朝姫は、父帝が自分を内大臣の息子と結婚させようとしている事に気付き、「自分で恋を探してきます」と置き文を残し宮中を脱走して……。

という感じのストーリーです。

今まで、微妙に避けていた「平安時代モノ」の作品ですね。
何故避けていたのか、というと自分がそれで修士号を持っていたりするからですw だから本当はとても大好き。なんだけども大好きだからこそ、ひっそりと心の奥にしまっておきたいな、なんて思ったりもしますし、私はその道で食っていく事を諸事情により諦めた人間ですから、ちょっと古傷になっているような所もあったりしてw

けれども、今回、本作をプレイしてみて良かったな、と素直に感じました。
自分がその道に入るきっかけになったような、「平安時代への憧れ」のようなものを強く感じたからです。勿論、時代考証とかそういうのは完璧じゃない。けれども、「平安時代」と聞いてイメージするような美しさや、雅さ、そういうものがひしひしと作品から感じられたんですよ。
自分が国文科(私の大學では国文科という言い方では無かったのですが)に進もうと思った18歳の頃の、今よりもちょっと素直だった自分を思い出してしまいました。
今日は、ちょっとお酒が入っているから饒舌になっているかもしれませんw

さて、本作はストーリーの所でも触れたように、お転婆姫の冒険という趣でしょうか?
ただ、「冒険」と言っても文字通りの冒険ではなくて、「恋の冒険」と呼べるようなタイプのものです。
宮中を飛び出した朝姫は人さらいに連れ去れる所を、間一髪で尾張守の俊貴なる人物に助けられます。彼は丁度妻を亡くしていて、朝姫と自分が惚れるか、朝姫が自分に惚れるか、という「恋のゲーム」をする事にして、自分の別荘に彼女を引き取る事に。

主に、この俊貴の屋敷での数日間が本作のメイン、という事になりましょうか。
『古今和歌集』や『万葉集』の歌、更にびっくりな事に自作の和歌なども出てきたりして、お勉強になる事請け合いです。
選択肢は、朝姫の振るまいを選択していく事となります。文に返信するかどうか、どういった曲を琴で奏でるか、といったような事です。
本当なら、お琴って言っても、いくつか種類があるんですけれどもね。

実際の平安時代にはありえないような、お姫様だったりするわけですが、厭味がなくて好印象です。俊貴も「失恋の傷」を武器にするようなタイプでもないし、朝姫の幼なじみ的存在の成樹もちょっと不器用な男キャラで、やっぱり読んでいてほほえましいというか。
この二人が最終的に朝姫の恋の相手となるわけですが、二人とも厭なヤツではないので、何故か私自身がほっとしているというw
エンドもこの二人に合わせて二種類あるので、是非可愛らしい朝姫の恋の行方を二種類チェックしてみて下さい。

今日は、ちょっと蛇足多めでいきますよ?
多分、本作は「平安時代のイメージ」という作品として捉えると良いかと思います。
時代考証だとか、細かいつっこみなんて野暮な真似はしないで素直に「1000年くらい前の恋愛モノ」として楽しむのが吉。
けれども、折角ですから、少し語ってみようかな?なんて。


■平安時代は、貴族と庶民とでは、言葉が通じない可能性があった。

『源氏物語』なんて読むと、どうやらそういう事だったみたいですよ?
勿論、外国語くらいに違うという事ではなくて、東京の人間が方言バリバリの田舎に行った時の感触、くらいのもんでしょうけれども。
本作の場合、人さらいのおじさん達と、朝姫は普通に会話が成立しているんですが、そういう野暮なつっこみは無しでw

そうそう、本作の時代は、平安時代は平安時代なんですが、「おまけ」では平安中期と書かれていましたね。少なくとも延喜5年(905年)の『古今和歌集』が出てきているのでそれ以降という事になります。今の数え方ですと平安時代は、鳴くよ鶯平安京ですから、794年から、源頼朝が全国に支配体制を敷いた1185年までとなっています(つまり最近の数え方では鎌倉時代は、いい国作ろうの1192年ではなく1185年から始まるという訳です)。
あんまり、細かい事を言ってもアレですけれども、大体本作の舞台は1000年前後と考えればいいのかな?

他にも本作をプレイして、色々と思い出した事があるので、蛇足だって分かっているのですが、もうちょい色々書いてみます。


■平安時代は一夫多妻制じゃなかった可能性がある。

平安時代と聞いて、結構多くの人がイメージするのが、一夫多妻制なのではないでしょうか?
けれども、そうでなかった可能性があるんですよね。具体的にどういう事かと申しますと、当時の法律を見ると、普通に「重婚の禁止」が書いてあるんですよね。
と、そういう事を書くと「じゃあ、『源氏物語』とかは何だよ?」とかそういう声が聞こえてきそうです。私はあんまりそういうこの時代の結婚の制度とかには詳しくないのですが、昔読んだ本に拠れば「妻とは別枠で、お妾さんを持っていた」という事になるわけです。
だから、現在の我々から見ると一夫多妻制に見えるけれども、実は「奥さん」と「お妾さん」と区別は一応付いているので、一夫一妻制、という事になるようです。
ここらへんは、あんまり知られていない話だと思いますが、如何でしょうか?

このくらいで止めておきましょう。本筋と関係ない事をつらつらと書くのもアレですしね。
正直、平成年間で生きていくのに「全く不必要な知識」ですw ま、話のタネくらいにはなるかな?


ともあれ、なんだか懐かしい気持ちになって色々書いてしまいましたが、本当に細かい部分なんて無視して楽しむべき作品ですし、それで楽しめる作品です。
気負わずに、平安時代の恋愛の「雰囲気」を楽しんでみて下さい。

それでは、また。
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by s-kuzumi | 2008-05-26 04:50 | サウンドノベル | Comments(0)


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