2008年 06月 29日

フリーサウンドノベルレビュー 『一籠の眼』

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今日の副題 「不思議な纏まり感と良質の余韻」

ジャンル:微伝奇風ノベル
プレイ時間:30~40分程度
その他:選択肢あり。エンドも何種類か。
システム:NScripter

制作年:2004/1/24
容量(圧縮時):9.72MB




道玄斎です、こんにちは。
今日は少し昔の作品を。と言っても、実は過去にプレイした作品ではなく、今回新たに発掘してきたものです。シンプルでありながら、中々楽しめる作品だったと思います。
というわけで、今回は「MARK ZERO」さんの『一籠の眼』です。
良かった点

・尺こそ短いが、満足感のある作品。

・トゥルーエンドの余韻に良質なものが。


気になった点

・ワクラバ(悪役)の出自に対して、もう少し説明があっても良かったのかも。

ストーリーはベクターの紹介文から引用しておきましょう。
ワンダーフォーゲル部に所属する主人公・長坂巡。
山の下見の最中に彼は遭難してしまう。
右も左もわからない状況で迷い込んだ場所は、全く人気を感じさせない、小さな村だった…。

最後の方に少しだけ選択肢がありますが、ほぼ一本道の短編ビジュアルノベルです。

こんな感じです。


伝奇っぽい作品も実は久々ですね。
ただ、そんなに伝奇伝奇している、というよりも「微伝奇風味」くらいの印象です。

舞台は600年程前から生活様式を殆ど変えぬままに、存続する山間の村となります。
言わば隠れ里的な場所でして、現代の生活は流入していないし、この村の存在は外界には全く知られていない。そんな場所に主人公長崎巡が迷い込んで、一人の少女四咲、そしてワクラバと名乗る怪人(実は神様)と出会い……、といった感じ。

600年前っていうと、室町時代ですね。
当時から変わらぬ生活をしている人間と、会話が可能かどうかって野暮な事は考えない方が吉。土間で飯を炊いたりとか、それっぽい雰囲気はちゃんと確保されていますし、刀だって室町時代にはちゃんと今の形で(大体、現行の打刀が室町時代あたりから出てきています)存在しますから、違和感みたいなものは殆どないですね。

ちなみに、『暴れん坊将軍』とか『三匹が斬る』とか、『御家人斬九郎』とか所謂時代劇で使われている刀は、「打刀」と呼びます。一方、源平の合戦とか、或いは戦国時代の合戦で使うような刀は「太刀」と呼び、これらを区別します。
どこがどう違うのか、と言うと、まぁ、装着の仕方ですね。打刀は「刃の部分が上を向くように帯に差す」。太刀は「刃の部分が下を向くように腰に佩く」。とこんな違いがあるわけです。

実は形態も微妙に異なっていて、太刀は鍔もとから大きく反っているのですが、打刀は全体的に緩やかに反っていたりね。
こういう違いはあるのですが、先に述べましたように現行の打刀や脇差の形は室町時代から出てきていまして、ネットで刀剣屋のサイトとかを見てみると、意外と室町時代の刀、脇差を見つける事が出来ますよ。興味のある方は是非。


っと、また脱線してしまいました。
兎にも角にも、主人公は、そうした室町時代の生活様式のままで生活する村に遭難してしまう訳です。村人は全滅しており、唯一の生き残りが四咲という少女。
そして、その村の「神」であるワクラバ。この二人(?)と主人公の三人が登場人物です。

ワクラバは、どうやら遙か昔に村の人間によって召還された神らしく、その異能で村を守っていたハズなのですが、千里眼みたいな能力があり、外界を見ることで段々と外界への興味を覚え、ついに村人を殺し、外界に出て行こうとするのでした。
微妙に『送電塔のミメイ』っぽさがあるように思えるのですが、如何でしょうか……?

そうそう、結構ワクラバのビジュアル笑えますw 確か「わくらば」って「病葉」なわけで、万葉語だった気がしますね。『万葉集』って実は私ニガテで、全部読んだことないんですよ。恥ずかしい事に。ですので、語源やらそういう事に関しては、あまり踏み込まずこのへんで切り上げますw 興味のある方は辞書を引いてみたり、あれこれしてみると楽しいですよ。

それはさておき、そういうタイミングで遭難してしまった主人公は、四咲と共にワクラバと対峙していく、というのが全体を通してのストーリーラインです。
登場人物がこれだけなので、ストーリー的な広がりというかノリしろの部分は少ないんですよね。ですが、意外にすっきりと綺麗に纏まって、不思議とプレイ後の満足感のある作品に仕上がっていました。
ストーリーの流れが単純だったからこそ、焦点がぶれなかったのかもしれません。消化不良感みたいなものは無いし、まぁ、敢えて言えばワクラバって結局なんだったんだ? という疑問があるくらいで。

で、お約束通り、微妙にボーイミーツガール的な、微恋愛模様みたいなのも入っていて好印象。選択肢が後半でちょこちょこっと出てくるのですが、常識的な選択をすれば、一発でトゥルーエンドに到達出来ます。トゥルーエンドはちゃんとしたスタッフロールが流れるので、それで判別しましょう。
トゥルーエンドの最後の最後「了」と出てくるところで、背景写真が出てくるのですが、それがとってもオイシイ。作品そのものを統括するような、とっても良い写真で余韻もばっちり。
最後の最後で、「あぁ、良かったなぁ」と思える終わり方でした。

こういうエンド好きなんですよね。
「余韻型」であっても「結論型」であっても、やっぱりラストが良いとそれ以前の粗が気にならなくなったりするので、ラストは大事。
ここで紹介したものや、或いは紹介していなものを含め、いつものようにあれこれプレイしているのですが、最近ラストが妙に軽い作品が多い気がしています。軽いっていうとちょっとアレだけども、ラストの扱いが飽くまで「物語の終着点」というそれだけになってしまっているというか、或る意味で、ラストが物語のクライマックスというかそういう方が私的には好みなんですよ。
ここらへんは感覚的なものなんですけれどもね。

例によって、脱線しまくってしまいましたが。中々良い作品だったように思います。無印にはしているんですが、結構気に入っています。
尺も短いですし、是非気軽にプレイしてみて下さい。
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by s-kuzumi | 2008-06-29 15:36 | サウンドノベル | Comments(2)
Commented by Tner-Harold at 2008-06-29 16:58
お友達になりたいです。
貴方のブログを私のパソコンのお気に入りに登録しました。
この機会にお返事をいただきたくコメントを書いて頂きました。
Commented by s-kuzumi at 2008-06-30 17:58
>>Tner-Haroldさん

こんばんは、はじめまして。
なんて言うか、まぁこんな感じで、グダグダと活動しているブログですが、宜しければご愛顧下さいませ。

本当ならば、もうちょっとアクティブな活動がしたいところなのですが、今はこれが精一杯みたいです。
どうぞ、又お気軽に書き込みなさって下さいね。


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