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2008年 07月 13日

フリーサウンドノベルレビュー 『タリナイモノ』

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今日の副題 「今までにないタイプの恋愛モノ」

ジャンル:三角関係アドベンチャー(?)
プレイ時間:4~5時間くらい。
その他:選択肢無し、一本道。メインキャラはフルボイス。
システム:吉里吉里/KAGEX

制作年:2008/7/? (もしかしたら制作は以前で、フリー公開の時期が2008/7かも)
容量(圧縮時):193 MB




道玄斎です、こんばんは。
というか、もうお早う御座います、の時間かもしれません。今日は久しぶりに大量にお酒を呑んでしまって、べろんべろんになって、夕食後寝てしまったのでこんな時間に更新です。
さて、今回はちょっと変わった恋愛を描いた作品、という事になりましょうか。何と三角関係が起きてしまいます。というわけで「PBP」さんの『タリナイモノ』です。
良かった点

・美麗なイラスト。

・少々マンネリ気味な恋愛作品に一石を投じる設定。

・本作での素材の一部を、フリーで使用出来るらしい。とっても素敵な決定です。


気になった点

・フリーノベルゲーム史上最大のへたれ主人公w

・人物描写で少し気になる部分が。

・もう少し、ラストで何か結論が出ても良かった。

ストーリーは、サイトのURLを張っておきましょう。こちらからどうぞ。



ボリュームのある作品でした。193MBという容量は、フリーのノベルゲームの中でも最大級の部類に入ります。容量が多いだけあって、音楽、イラスト、背景とどれをとっても高水準で、とても美麗でした。ウインドウのサイズも作品に良くあっていたように思います。

システムもしっかりとしており、歴戦のフリーノベルゲームプレイヤーは、起動した瞬間に「これは!」と思うんじゃないでしょうか? システムや音楽、イラスト、背景といった部分に関しては、間違いなく高水準です。若干、表示される文字が、画面下部に表示される「save」「load」といった部分に掛かってしまう所はあったのですが、それもさほど気になりませんでした。
そういえば、メインキャラはフルボイスとなっております。声優さんも熱演していたと思います。ただ、声が全体的に半オフくらいで聞こえてきたりして、ちと録音環境が良くなかったのかなぁ? なんて思ってしまいます。とはいえ、ボイス付きはちょっと嬉しいですよね。

さて、本作の大きな特徴の一つは、「三角関係」を描いた作品、だという事です。
すごく珍しいタイプですよね。しかも、主人公は一度ヒロインの一人であるまりかに袖にされている、という状況で、滅茶苦茶ワクワク感のあるストーリーの始発部でした。

これは、蛇足なんですが、ノベルゲームの恋愛モノって、商業・同人を問わず「恋愛が成就する」という地点で或る意味で終了ですよね。けれども声を大にして言いたいのだけれども、実は「そこからが本当の始まり」なんですよね。
想い想われ振り振られってな訳で(ちょっと違うw)、本当にドラマティックな展開は、現実世界では「付き合った後」の方が多い気がします。

で、本作の場合、「ヒロインの一人まりかに既に振られている」「冒頭部で彩子先輩から告白をされ、しかもOKをしてしまった」という状況から物語が始まります。
こういう従来の恋愛モノの常識を或る意味で覆していくような、ストーリーの展開、とってもいいですね。「一体、どういう方向に話しが進んでいくんだ??」と嫌が応にも期待が高まります。

ちょっとエキセントリックな彩子先輩と付き合っていく事になったわけですが、この彩子さんのエキセントリックさも、不愉快なものではなくて、妙にほほえましいというか、私はこういうタイプの女性、凄く好きです。
結構、そのエキセントリックさに対して、主人公が思いっきり悩んだりするわけですが、私個人は、「そんなに悩む事?」とちょっと思ってしまいました。まぁ、確かに現実に存在していたら、ちょっとヤバイタイプである事は確かなんですが、高潔さというかそういうものを感じさせてくれるヒロインでしたし、それにちょっと近いタイプの女性を知っているので。。

さて、本作の主人公なのですが、恐らく、フリーノベルゲーム史上最強のへたれかもしれませんw 兎に角優柔不断で、結果的に二股を掛けてしまいますw 
先輩と付き合っておきながら、振られたとは言え、一途に主人公に好意を寄せてくれるまりかを言葉は悪いですが、スペアとしてとっておくみたいな所があって。。
結構、グジグジと悩んだかと思えば、一気に猪突猛進的に行動的になったり、はたまた彩子先輩とまりかの間を行ったり来たりしたり、ちょっと主人公がはっきりしねぇなぁ? とw そんな所も本作の特徴の一つなんですけれどもね。


そういえば、本作では、試験で赤点を取ると「補習」がある、という設定でした。
皆様の高校時代は如何でしたか? 私の通っていた高校は赤点を取ると「再試験」という仕組みでした。再試験で合格点を取らないと単位が取得出来ない=留年、という図式に。尤も再試験はかなりハードルを落としているので、再試験で引っかかる人なんて殆どいなかったのですが、再試験には一つ、罠があったのです。
それは、「再試験料を学校側に支払う」というシステムw 確か一教科につき300円とか、500円とかそのくらいだったと記憶していますが、友人が「再試験で学校に3000円も払った!」と言っていたのを思い出しましたw
ここらへんはただの蛇足なんですが、彩子先輩は、いかにもなキャラ通り成績優秀です。何と全教科満点を取るという凄まじい人。当然学年で一番の成績です。
ここも又、蛇足なんですが、全教科満点って人、見たことある人います?w 先ほど、ちらっとお話した彩子先輩にちょっと似てる人、は全教科満点を取っても可笑しくない人ではあったのですが、如何せん高校時代はその人の「名前だけは知っていた」けれども、実際に会ったことは無かったしそこらへんの事情は分かりませんねぇ。そもそも高校別だったしね。

私は高校生の時、大体いつも学年で一番の成績だったんですよ(念のため言っておくと、私の高校はちょっと程度があまり宜しくない高校ですw)。
それでも8教科の試験で、トータルで760点とかだったから、全教科満点っていうのは、或る意味で憧れでもあるし、「現実に存在していて欲しい」と願っているものでもあったりします。


また脱線してしまいましたね。
彩子先輩と主人公、そしてまりか。この三人の三角関係がメインとなっていきます。
彩子先輩に関しては、全面的に私は受け入れられるのですが、ちょっとまりかのキャラクターメイキングに違和感が。
というのは、主人公の友人としてお馴染みのポジションにいる志士というキャラがいます。まりかはこの志士に対して容赦がなさ過ぎるんですよ。一例を挙げると、

「志士。用無し、価値無し、意味無し。3つ揃って存在価値無し! そんなの私いらないよ」

なんて言っちゃうんです。大体、まりかが志士に発言する時には、全編に渉ってこんな感じなんですよねぇ。けれども、志士というキャラが厭なヤツかっていうと、全然そんな事はなくって、スポーツマンであるし、成績もそこそこ、沈着冷静で主人公が悩んでいる時にはちょっとぶっきらぼうなやり方だけれども、ちゃんとアドバイスもしてくれる。
それにまりかにだって、けちょんけちょんに言われても、優しさを見せるキャラでもあるんです。

なんて言うのかな、上手く言えないのですが、良くあるタイプにこういう、主人公の友人って「いじられキャラ」である事が多いですよね。主人公とか、本作のまりかのポジションにいるような、女の子から結構辛辣な事を言われたり、微妙に邪険にされたりw
けれども、それは「愛情があるからこその、いじりなんだよな」と分かる場合が殆どです。いざって時には実はみんな結構頼りにしたり、或いはそのキャラ自体が意外とシリアスな面を見せたりするわけなのですが、本作の場合、何か一方的に志士がまりかによって、そして主人公によって「虐められて」いますw そこに「実は愛情が根底にあるのか?」って言われたら、ちょっと……。
そういう意味で、ヒロインの一人たるまりかの印象が悪いんですよ。ラスト付近で、まぁ少し事情が分からなくもない部分が説明されるものの、何となく、ね。
口の悪い女の子、ちょっと厭味な感じの女の子、色んなヒロインがいると思うのですが、大抵の場合ヒロインなわけですから「不器用さ」とか「愛しさ」を感じるようなものであって欲しい、というのが私の意見。

ですが、まりかに関しては、ちょっと感じが悪いように思えるんですよね……。
色んなヒロインのタイプがいてもいいと思うんだけども、「感じが悪い」というのは、ちょっといただけない。もしかすると、こういう部分で違和感を感じるのは私だけなのかもしれません……。人によってはやっぱり、まりかに対して好意的に思える場合もあるんじゃないかな。是非是非、プレイした方の感想を伺いたいですね。


あと、人物の描写に関して、少し説明不足だった所が無きにしもあらず。
例えば、序盤から中盤に掛けて主人公の発言で「決定」という言葉が出る際には、カッコつきで「決定」という言葉になっています。
どうやら、これは主人公の過去と関係しており、「決定」した事は、何が何でもやり通す、みたいなそういう性格らしいんですよ。だけれども、その「決定」という言葉の持つ、バックグラウンドの説明がちょいと不十分だったんじゃないかしら。
又、彩子先輩のエキセントリックな行動だったり、或いは彼女の言う「物語」という言葉の意味も、そのバックグラウンドがいまいちすっきりと理解出来ないので、何となく浮いてしまっています。そこらへんをしっかりと説明すれば、より登場人物達の行動に深みが出てくるのではないでしょうか。
そういう部分で、志士というキャラは凄くいいキャラだったと思うんですよ。最後の最後に、志士の行動原理みたいなものはちゃんと分かりますしね。いや、プレイしている最中から何となく分かっちゃうんだけどもw


最後に、ラスト部分でもう少し結論みたいなものが出ても良かったのかな、と。
少し宙ぶらりんのまま終わってしまうので、何かしらの結論が出ても良かったと思います。まぁ、あれも結論といえば結論なんですが、何となく消化不良で終わってしまう部分があったように感じました。



登場人物のバックグラウンドをもう少し丁寧に描写されていれば、より本作は纏まりが良くなったのではないでしょうか? まりかの感じが悪い、みたいな事をちらっと書いたわけですが、まりかにだってそういう描写がなされるバックグラウンドがあるハズなんですよね。そういう所を匂わせたり、描写してみたりするだけで、大分変わってくると思います。

ともあれ、今までとは違った恋愛モノを楽しめる作品です。
全体的にレベルは高いですしね。そういえば、作者様に連絡を取れば、本作で使用されている素材の一部を使うことが出来るようです。こういう試みは嬉しいですよね。ゲームを作られている方は検討してみる価値はあると思いますよ。素材は間違いなく高レベルのものですしね。


今日は少し長くなってしまいましたね。
或る意味で、飽和状態にある恋愛モノに一石を投じた作品である事は間違いないですし、「王道パターン」を楽しんで遊んでいるような高度な部分があるのも事実。
何はともあれ、プレイしてみて下さい。
それでは、また。
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by s-kuzumi | 2008-07-13 05:15 | サウンドノベル | Comments(0)


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