2008年 07月 22日

フリーサウンドノベルレビュー 『stREI sheep』

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今日の副題 「これからは、ずっと一緒」

ジャンル:ミステリー(?)
プレイ時間:1ルート1時間半くらい。
その他:選択肢あり。全部で四つのエンドが用意されている。
システム:吉里吉里/KAG

制作年:2008/7/20
容量(圧縮時):48.0MB




道玄斎です、こんばんは。
今日もやたら暑かったですね。しかし、暑さに負けずに今日も今日とてゲームをします。
というわけで「Studio Beast」さんの『stREI sheep』です。『You’ve got a friend』という作品が著名な作者様の新作、という事になりますね。
良かった点

・グイグイと引き込まれていくイントロ部分。

・叔父と姪の奇妙な共同生活が見ていて楽しい。

・割とぶっ飛んだ設定ではあるが、丁寧な作品作りの為、違和感が少ない。


気になった点

・少し性急になってしまっている所も。

ストーリーは、サイトのURLを張っておきましょう。こちらからどうぞ。


久々にエンディングリストを実装しているタイプの作品をプレイしました。
選択肢音痴の私なんですが、今回はすんなり全てのエンドを見ることに成功。まぁ、選択肢の数はそこまで多くないですし、そういう意味でもプレイのしやすい作品だったと思います。

本作と同じ作者様の作品に『You’ve got a friend』というのがありまして、先日もお勧めして頂いた作品なわけですが、私は実は未プレイです。けれども、本作をプレイしてみると、やっぱり未プレイながらも「良いものがありそうだ……」と期待せざるを得ませんね。

本作も普通に面白かったです。
期待を煽るムービーや、序盤、特にイントロ部分は秀逸だったと思います。
仕掛けみたいなものは、割とすぐに看破出来てしまうのですが、それを踏まえた上で「どうなるんだ?」と期待を煽ってやまない、希有なタイプの作品です。

叔父さんである主人公の元に、姪を名乗る中学生の女の子、玲奈がやってきて奇妙な共同生活が始まります。同時に「殺し受付サイト」でほんの少しの好奇心で依頼した“自分自身への殺人依頼”という影の部分と相俟って、ストーリーが盛り上がっていきます。

また、この二人の共同生活の描写が少しコミカルで、時に優しく、プレイしていてとても心地よい。こういう空気感ってとっても好みです。
親の敷いたレールの上を脱線する事なく歩んできた中年に差し掛かった主人公が、この姪の玲奈との生活の中で変わっていく部分も定番と言えば定番なのですが、いい感じ。
作中で、玲奈の過去とか、はたまた主人公の過去とかが随所に挿入されるのですが、或る意味で本作は「家族の再構築」とか「家族の回復」とかそういうテーマも持っているように思えますね。

ここで玲奈と主人公の関係をおさらいしておくと、主人公の弟の娘が玲奈という事になります。が、それは恐らく法律上の問題で、血のつながりは無いみたいです。
主人公の弟が結婚した相手に連れ子が居て、その子が玲奈、という事になります。少しだけややこしいですね。ですので、実は主人公と玲奈は「血のつながり」があるわけじゃない。
けれども、玲奈にとっては唯一の親族と呼べる存在が主人公で、主人公からしてみれば、自身の喪った家族的なものを再現してくれるような存在が玲奈なわけでした。
そんな二人が不器用ながら、そして試行錯誤していくように一緒に生活をして、家族の絆のようなものを持つに至る。そこの部分が私のお気に入りポイントでした。

ミステリー風味なのですが、実は家族愛みたいな、そういう部分が後半から大きくフィーチャーされていくように感じました。
ちなみに、玲奈、可愛いです。私の大好きな黒髪で、例の「姫カット」っぽい髪型。シックなセーラー服と直球で私の心を打ち抜いてくれますw これは蛇足なんですが、主人公のおじさんも中年に差し掛かっているのに、結構カッコいい。エンディングのスタッフロールを見ると足が滅茶苦茶長いです。

そのまま晴れて家族になりましたメデタシメデタシ、で終わらないんですよ。
ここで、最初の方にあった「殺人依頼サイト」の伏線が活きてきます。まぁ、その普通に考えれば、かなり早い段階で仕組み自体は分かってしまうんですが。。
自分で自分を殺すように依頼した主人公の運命は? そしてその時玲奈は? というのが物語のハイライトになりますね。

四つのエンドがあるのですが、「冬色のオルゴール」というエンドが恐らく、トゥルーエンドに相当するものと思われます。
二番目の「Thank you & Good bye」というエンドも私は好きですねぇ。この二つが「正式なエンド」という感じで後の二つは所謂「バッドエンド」に相当するものだと思います。

正式エンドの二つは、好みの問題もあると思いますが、どちらも力が入ったエンドでした。
作中でさりげなく出てくる歌を効果的な伏線にして、エンドで活かしているちょっと渋めの良質エンド。ただ、もう少し最後の最後での爆発力みたいなものがあっても良かったかな、と。


さてさて、気になった点なんですが、先ずは本当に下らない私の疑問から。
良く、こういうゲームをやっていると出てくる言葉があります。
その言葉は「ファンシーショップ」と言いますw

このファンシーショップって何なんでしょうかねぇ? お店がファンシーなのか、ファンシーなものを扱っているお店なのか……。そもそもファンシーってなんだか曖昧だよなぁ……。

どうやら文脈を推測するに、女の子向けの雑貨品を売っているようなお店らしいのですが、ファンシーショップなるものを見たことがない私はどうにもイメージしにくいのでした。
大体、何歳から何歳くらいまでの女の子が利用するお店なのか? 果たして実在するのか? 実在するとしたら何というお店なのか? ネットで見ることが出来るのか? という辺り非常に気になっていますw そういえば私が一昔前、たまに買い物をしていた「KIDDY LAND」ってなんだかそれっぽいのですが、どうなんでしょうか? 
是非、女性の方、ご教授下さいませ。


で、話を戻しまして、気になった点です。
たまにノベルゲームをプレイしていて「この空気感をもっと味わっていたい」と思う事があります。大抵の場合はストーリーを進める上であまり意味がない日常のやりとりだったりするのですが、本作の場合、主人公と玲奈の共同生活のパートがまさにそれに当たります。
あんまり、そういう日常シーンがダラダラ続くのも厭なんですが、少し本作では、ストーリーがテンポ良く進みすぎてしまった部分があるように思えるのです。
もう少し、二人の共同生活を見てみたい。そんな事を考えました。本筋とはあんまり関係がないようなエピソードを一個か二個くらい挟んでも良かったんじゃないかしら?

もっと言ってしまえば、全体的に「決め手」となる部分が少し乏しかったのかもしれません。そうした決め手は、やっぱりそういうさりげない日常生活の中の一コマとリンクしていると、とっても良かったりするんですよ。

もう一点は、結局「あの組織」は一体なんなんだ? という結構根本的な疑問です。
もう少し組織の全貌というか、実体についても説明があっても良かったかな。

そうそう、本作ではセーブを行うと、そのセーブした時点での物語の「ブロック」の名前が分かります。英語で書いてあって「Apologize or not」とかまぁそんな名前が付いているわけです。セーブ画面、ロード画面から確認する事が出来ますよ。
で、「House shereing」というブロックが前半にあるんですよね。
これ、多分、スペルミスなんじゃないかなぁ? ハウスシェアリングってのを英語にしたかったと思うのですがシェアは「share」ですよね。で、ingを付ける際にはラストがeで終わっていますからそいつを取っ払って「sharing」が正しいのではないかと。私自身英語、そんな得意じゃないのでアレなんだけども、まぁこれは蛇足ですね。


ほんの少し切なさの残るエンドなんかもあって、満足致しました。
少し性急な所があるけれども(というか、もう少し二人のやりとりを見ていたかった)、中々面白い作品です。興味を持たれた方は是非是非。
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by s-kuzumi | 2008-07-22 21:01 | サウンドノベル


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