久住女中本舗

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2008年 08月 28日

フリーサウンドノベルレビュー 『氷城の鏡』

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今日の副題 「暖かい雪国の御伽噺」

ジャンル:御伽噺風ファンタジックノベル(?)
プレイ時間:1時間くらい
その他:選択肢なし、一本道。
システム:NScripter

制作年:2008/8/20
容量(圧縮時):6.70MB



道玄斎です、こんばんは。
今日は寝付けずにこんな時間になってしまったので、お酒を久々に呑んでいます。
一升瓶で日本酒を頂いてしまったので、それをお燗で。

さて、今日はまだ八月のこの時期に、季節的に若干合わないかもしれないのだけれども、冬を扱った作品のご紹介。「空と雪」さんの『氷城の鏡』です。
前作までの独自の雰囲気を保持しつつも、テンポが良くなりさくさくと読み進めるようになったのではないかと思います。
良かった点

・テンポが良くなり、読みやすさが増した。

・どことなく不思議で、ノスタルジックな世界観は健在。


気になった点

・もうちょい捻りがあっても良かったかも。

ストーリーは、サイトの方から引用しておきましょう。
どこか遠い国の雪の深い森の中での物語です。
ある日森に氷でできた巨大なお城が姿を現しました。

近くの村の人々はそのお城に探索に入って、その城の主である
氷の王女様に次々と凍り付けにされてしまいます。
そんな不穏な日々が続き、主人公のリュシーもまたお城に入りますが・・・

こんな感じです。


この間、作品をご紹介したと思ったら、もう新作がでており吃驚しました。
で、早速プレイというわけです。

いつものように、一般的な「ノベルゲーム」の文体とはちょっと違う、どこか詩的で地の文というか、登場人物の心中思惟が多いわけですが、それにも関わらず、本作はテンポが格段に良くなっていたように思いました。
作品のパーツパーツが明確に見えてくるという感じでしょうか。

ストーリーを見て頂ければ分かるように、童話とか御伽噺を洗練させたようなタイプの作品ですね。作品の舞台は、ロシアの方とか、或いは北欧の方の田舎の町とか、そういう雰囲気でしたね。
実は数年前から、私の中でこっそり北欧ブームがきておりまして、上手く言えないのですが、冷たさの中にある暖かさみたいな、北欧のインテリアとかデザインとか、凄く興味があります。たまには意図的に「日本離れ」をしないと、自分の中でバランスが保てなかったりするので、時々、こうやって全く文化圏の違う国に興味を持つのでした。

それは兎も角、持ち味を活かした作品だったと思いますね。
主人公のリュシーのイラストも可愛かったです。着ているものもちょっとセーラー服っぽくて、「完全にバタ臭い」なんて状況が回避されていて、好感が持てます。
いくら舞台が寒い国だからって、完全に実在の現地の人の格好とかにしちゃうと、それはそれでノベルゲームにした時に違和感を感じてしまうのですが、いかがでしょうか?

今回、改めて気がついたのですが音楽のチョイスのセンスがいいですよね。
割と頻繁に音楽が変わったりするのですが、五月蠅い感じは全然しませんし、作品の合う音楽を選んで選んで使用されているんだな、と分かります。

今日は脱線しまくってますが、最近、エレクトロニカって音楽のジャンルが凄く気になるんですよね。特に「非ダンス系」と呼ばれるタイプです。ダンス系に関して言えば私も結構好きなUnderworldとかもその括りに入るのかしら?
で、非ダンス系はやっぱり、北欧のような寒い雪国の中にある戦い雰囲気が電子音の中に不思議と存在していて、独特の存在感があってとってもいいですね。本作のようなタイプの作品に入っていてもマッチしそうだし、意外と普通の「青春ノベルゲーム」みたいなものに、入れてもグーな効果が出そうなんじゃないかな、と。

今回、ちょっと印象的だったのは、台詞回しですかね。
「行きはよいよい……」とか出てくるのです。こういう純和風(?)の言葉をさらりと入れるセンス、とっても好きです。
下手をすると、こういうセリフって作品の世界観を壊しかねないんですが、印象を残しつつも世界観から浮きでていないわけで、面白い試みだったと思います。


さて、気になった点ですが、先程も述べましたように、童話とか御伽噺に近い感触があるわけで、もうちょい捻りがあっても良かったかな、と感じました。
大体、グリム童話にしてもそうですけれど「ハッピーエンド」か「バッドエンド」の二択なんですよね。で、作品を読んでいくと「この流れだと、~でシメになるか、~でシメになるかの二択だな」と或る意味、ラストが見えてしまう部分があるように思えます。
もしかしたら、今回のテンポの良さとも関係があるのかもしれませんね。
前作までの、或る意味つかみ所の無い(あっ、勿論良い意味で、です)、どう転ぶか分からない感じが、私は好きだったので余計にそう思うのかも。

そうそう、また脱線していいですか……?
本作の中で重要アイテムは「杖」です。杖を持った人が氷の城の主になれる、というアイデアは、実は、結構重要な問題を孕んでいます。
というのは、古代王権と杖というアイテムは実は結構繋がりがあるんですよ。詳しくは柳田国男の本を読むなり、或いは「御杖代」なんて言葉で検索を掛けてみるといいかもしれません。
実際に、そこらへんを意識なさった設定なのかは分からないのですが、個人的に「おっ」と思いましたね。


さて、今日はまた脱線しまくってしまいました……。
ちょっと季節的には合わないのですが、割と短めの作品ですし、それこそ童話的な良さを持った作品だと思うので、是非プレイしてみて下さい。


それでは、アルコールが回ってきたのでこのへんで。
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by s-kuzumi | 2008-08-28 03:44 | サウンドノベル


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