2008年 10月 03日

フリーサウンドノベルレビュー 『ゴミ箱の下の空』

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今日の副題 「ダークな感じがお勧めです」

※吟醸
ジャンル:ちょっとダークな短編集(?)
プレイ時間:1時間前後
その他:選択肢有り、エンド分岐したりしなかったり。
システム:NScripter

制作年:2008/5/26(ダウンロード開始)
容量(圧縮時):71.7MB



道玄斎です、こんばんは。
今日は少し久しぶりですが、ゲームをプレイしましたのでご紹介致します。
短編集、という事なのですが、どの作品にもダークというかブラックな香りがしていて、私はこういうの結構好きなので、ついつい夢中になってプレイしてしまいました。
というわけで、今回は「サイコロード」さんの『ゴミ箱の下の空』です。
良かった点

・ちょっとブラックな雰囲気が好きな人には堪らない。

・「カーストの鐘」は設定や、ストーリーがとても面白く、興味が惹かれる。


気になった点

・「カーストの鐘」は体験版? 是非、全てのストーリーを読めるようにして欲しかった。

大体、こんな所でしょう。
「カーストの鐘」とは、本作に収録されているお話の一つ、ですね。ちなみにスクリーンショットも「カーストの鐘」からです。

ストーリーは、サイトのURLをはっておきましょう。こちらからどうぞ。


「短編集」という事で、気軽に遊んでみよう、と思いプレイしてみたのですが、思いの外ダークで、しかもそれでいて面白い作品で、良い意味で期待を裏切ってくれました。
重たくて暗いのは厭だって人にはあまりお勧め出来ない部分はあるのですけれども、『本当の願い事』とか、あんな感じの作品が好きな方はハマること請け合いでしょう。

特に面白かったのは、「カーストの鐘」と題された作品でした。
近未来SFっぽい要素があって、その世界ではカースト制が実施されており、「マスコット」という人種(というか種族?)が、下層にいるわけです。
主人公は勿論、マスコット。正マスコットではなく、日雇いマスコットとして今日も今日とて、野球場でパフォーマンスをして生活しています。正社員と非正社員みたいな……。

ここまでプレイした時、何となく、似た感触のマンガを読んだ事がある気がして、必死に検索してみたら見つかりました。『キぐるみ』というマンガです。
確か、昔付き合っていた女の子が、貸してくれた本(というか、正直な所、読むように強制された)でした。内容は、「着ぐるみ特区」みたいな地域があって、その住人は着ぐるみを着て、マスコットとして生活しなければいけない、みたいな。ね? 少し似てるでしょ。

で、「カーストの鐘」で特筆すべきなのは、実在の野球球団が出てくるという所w
それぞれの球団にマスコットっていますよね? あれを主人公を始めとする「マスコット」が担っているというわけです。中々可愛い女の子キャラもいたりする一方で、ちょっとアレな怖いキャラもいて、バラエティに富んでいます。
カーストが存在する社会で、自分の居場所を探し求めていく、みたいなものが話の本筋なんだと思いますが、実は、未完みたいです。というか体験版みたいな位置づけで、或る程度まで読み進めると「ベータB版のハイライトです」とか出てきて、一気にプロモーション的なストーリーが展開されてしまうという。多分、球団の数だけストーリーが分岐しそうなので、結構完成版は大がかりになりそうな。

正直、本作には三編、作品が入っているわけですが、この「カーストの鐘」が一番面白く、完全版として収録されていないのは、非常に残念。
時にコミカルで、けれども実はダークでシニカルな部分もある。とっても期待感の高いイントロだったので、是非是非この「カーストの鐘」の完全版をリリースして欲しいですね。まぁ、そういう期待を籠めて、今回は吟醸にしてみました。


「終わらない夏」は割とありがちなサイコサスペンス(?)みたいな感じなんですが、やっぱりダークで、後味が悪いw いや、私はこういうタイプの作品って、結構好きなんですが。


最後の一篇「故障式」は、小学生のイジメみたいなものを切り口に、病んでいく少年と少女を描くお話でした。
やっぱりずしりと重たい。けれども不思議と目が離せない作品だったと思います。
なんて言うのかな、社会の病みみたいなものを、個人の病みに還元して表現する、みたいなそういう部分もあったりするのかしらね。
作中に出てくる極めて全うな主人公の母親が、まとも過ぎて逆に浮いてみえてしまうくらい。

最後に選択肢があって、エンドが選べます。
私としては「病みエンド」をお勧めしたいw まぁ、そっちを選ばないと、さらっと終わったりするわけで、そういう理由もあったりしますが。
虐めたり、虐められたり、或いは理不尽な扱いをされたりって描写は、ゲームであっても辛いものです。けれども、「つらさ」とか「痛さ」みたいなものって、表現の分野では或る意味で欠かせない部分ですよね。NHK的な「最後はみんなで仲直り!」っていうのではなくて、とことん崩壊していってしまう世界。是非は兎も角としても、こういう「毒」の部分ってやっぱり必要だなぁ、なんて考えてしまいました。

少し脱線しちゃうと、最近ネット上で読める小説で『ラストメンヘラー』ってのを読んだんですよ。
実は、この『ラストメンヘラー』の作者様の前作『オナニーマスター黒沢』もしっかり読んでいるんですが、凄くいいんですよねぇ。
読んでいて、凄く「痛い」。だからこそ素晴らしい作品になり得ている気がします。『オナニーマスター黒沢』はタイトルはアレだけどもw
そうそう、『オナニーマスター黒沢』はマンガ版もネットで閲覧可能ですし、実はノベルゲーム化もされるようです。そちらの完成も楽しみですね。興味があれば、是非原作小説でも、マンガの方でもチェックしてみて下さい。お勧めです。
是非、タイトルによる先入観に囚われず、是非最後まで読んで欲しい作品です。実は物凄いシリアスな話なんですよ。『黒沢』も『ラストメンヘラー』も。



大体、こんな所でしょうか?
後半、ちょっと例によって脱線してしまいましたが。

ちょっぴりぴりっとしたブラックな作品を読みたい方にお勧めの短編集です。
「カーストの鐘」は本当に完成したら、かなりの傑作になるような気がしていますよ?

それでは、また。
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by s-kuzumi | 2008-10-03 20:24 | サウンドノベル | Comments(0)


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