「ほっ」と。キャンペーン

カテゴリ:未分類( 17 )


2011年 07月 20日

フリーサウンドノベルレビュー 『なかない負け犬』

b0110969_18425858.jpg

今日の副題 「乙女、王族、メイドさん!」

ジャンル:乙女向き寄り短編ノベル作品
プレイ時間:コンプリートまで40分程度。
その他:選択肢有り。再度プレイすると選択肢が増えたりするので注意。
システム:NScripter

制作年:2011/6/23
容量(圧縮時):16.3MB



道玄斎です、こんばんは。
今回は、ちょっと目先を変えて、若干女性向け――所謂乙女向き――の作品をプレイしてみました。
ただ、飽くまで「微」乙女向きであって、男性であっても普通に楽しむ事が出来る作品だったと思いますよ。
というわけで、今回は「晴れ時々グラタン」さんの『なかない負け犬』です。
良かった点

・サックリプレイ出来、且つ一枚絵が豊富でゴージャスな作り。

・メイド要素など、個人的に好みなものが多い……。


気になった点

・本ルート、にもしかしたら気づかない人がいるかもしれない。

ストーリーはベクターの紹介文から引用してきましょう。
――父は王。母は乞食。
その間にできた子は、王族か。それとも負け犬だろうか。

例え、後者だったとしても――私はなかない。

乙女の王城復讐ADV(短編)。

※一部、暴力表現やインモラルな表現を含みます。苦手な方はご注意下さい。

こんな感じです。

※で注意書きが付くほど、暴力的でインモラルか、と云えばそんなでもありません。
こうした注意書きが無く、本作よりも遙かに暴力的な作品、一杯ありますしw

というわけで、昨年の夏でしょうか、『夏の雫』という作品を取り上げさせて頂きましたが、同じ作者さんの作品です。

一読して気づくのは、ビジュアルが綺麗、という点。
「ビジュアルにダマされちゃいかん!」といつも云っているんですけれども、勿論、中身やテーマの部分でも面白いものを持っていたので、取り上げる事に致しました。

主人公、という位置づけでいいのかな? リズのビジュアルが良かったですねぇ。
ちょっと冷めたクール系で、「これだよ、これ!」と思わず叫びたくなるくらい、直球のストライクでしたw

ストーリーを補足する形で、作品の内容に踏み込んでいきましょう。
王と乞食の女との間に生まれた主人公は、ある事件をきっかけに城から姿を消し、素性を隠しその日暮らしの生活を送っていたが、ある日、王城から「メイドとして雇いたい」との打診をされ、図らずも自身が育った城に戻る事になるのだった……。

って感じでしょうかね。
ここまで書けば、ストーリー紹介もわざわざ引用しなくても、そのまんま載せればいいじゃないか……という気はしますが、そこはあまり考えるのはやめましょうw

折に触れて、主人公リズの過去の記憶と現在が折り混ざって、状況が説明されるわけですが、その辺りに、インモラルな描写がある、って感じでしょうか。
性虐待とか近親相姦とか、ちょっぴりドロドロっとした部分が垣間見えます。

そして、愛すべき妹ヒルデガードの「今の姿」を目の当たりにし、そして、自身の父である所の王に憎しみを募らせていくリズだったが……。
と、ストーリーのテンポは上々です。結構な数のエンド(七つ)がありますが、既読スキップもちゃんと効きますから、コンプリートも比較的容易だと思います。

随所随所に出てくる一枚絵が豪華でいいですよね。
短編……って云って良いような作品ですが、一枚絵の数は長編作品と並べても遜色ない程多く、作品の一つのウリになってたんじゃないかな、っと。
一番好きな一枚絵は……黄色い薔薇の最後の一枚絵(コンプリートすれば意味が分かるハズ!)ですね。リズの何とも云えない表情が最高ですね……。


さて、「微」乙女向き、と云っておきながら、まだ乙女的な要素について触れていないのですが、実は、そっち(本編?)に入る為には、再度プレイし直す、という作業が必要になります。

最初の段階で見ることが出来るエンドは限られていて、あまりストーリーの核心に迫らないものだったり、バッドエンド風味だったりするわけですが、その段階で、最初からプレイし直すと、ある箇所で選択肢が増えます。そこでやっと「乙女向き」の要素も出てきます。

選択肢捌きも比較的容易なのも、好印象でした。
あまりに難しいと、プレイする気力も萎えちゃいますからね……。
多分……これも順番で、彼と彼のエンドを見た後じゃないと、彼のエンドに行くことが出来ないんじゃないかな? と思います。ちょっとややこしく、またボカして書いてますけれども。

最初の二つくらいのエンドを見た時点で、プレイを止めないように。
是非、また最初からやり直して、作品の全貌を見てみて下さいませ。
やはり、コンプリートする事で、引っかかっていた部分が解明されたり、といった事があるので、そういう意味でも各ルート共に良く練られていたのではないかと。

反面、もう少し、何かしらのインパクトがあっても良かったかな……と思わないでもないので、今回は無印で。


私も、時々、こうした女性向け(本作は“微”ですけれども)の作品をプレイする事があります。
で、女性向けという事は、恐らく作者さんが女性なのでしょう。傾向……ってほどじゃないんですが、女性向けの作品には男性作者の作品には無い「凄み」がたまにあったりして面白いですよね。

本作だと、ラスト間際のリズの台詞だったり心中思惟だったりが、やっぱり「凄み」を感じさせるものになっていました。タイトルからして、結構強烈ですしね。
たまに、女性向けの作品をやってみる、というのもいいものですねぇ。


というわけで、今日はこの辺りで。



それでは、また。
[PR]

by s-kuzumi | 2011-07-20 18:43 | Comments(0)
2011年 04月 15日

フリーサウンドノベルレビュー 『桃色☆パニック』

b0110969_19535433.jpg

今日の副題 「ベタだけど、良質ラストに泣かされます」

ジャンル:短編恋愛ノベル(?)
プレイ時間:30分程度。
その他:選択肢無し、一本道。
システム:Live Maker

制作年:2011/4/6
容量(圧縮時):42.7MB



道玄斎です、こんばんは。
最近、憂鬱な事が多くて厭になってしまいますが、そんな時に心の支えになってくれるのがノベルゲームだったりします。大体、こういう塞ぎ込んでいる時には、短めで、且つ心が温まるような、そういう作品がいいんですよねぇ。
というわけで、今回は「INFERIOR」さんの『桃色☆パニック』です。
良かった点

・結構ありがちな展開だが、キッチリと纏まっており、ラストも良質。


気になった点

・もうちょっと作品内で語られない背後関係が分かると、より納得感が持てるかも。

ストーリーは、サイトの方から引用してきましょう。
ある日、雨に打たれ、ずぶ濡れになった少女がいた。
いつの間にか隣にいて、いつの間にか一緒に暮らすようになって、いつの間にか惹かれいた……。

こんな感じ。


このストーリーを見ると、究極的にベタな気がします。
実際、ベタベタなシチュエーションです。

外に出るのも億劫な、不精の青年八神が、梅雨の最中に思い立って、ゲームショップとコンビニに行くと、雨に打たれた少女がいて、何となく放っておけない彼は、彼女に声を掛けるのであった……。

この手のストーリーは、本当に定番で、至る所で見る事が出来るわけですけれども、「上手いベタ」と「下手なベタ」っていうのがやっぱり、あるような気がします。
定番のものを定番通りにしっかりと仕上げる事は実は難しいはずです。
「またこのパターンかよ……」と感じさせてしまうか、「定番だけれども、ちょっと面白そうだな……」と感じさせるか、そこにライターの実力が反映されるような気がします。

で、勿論、本作は「良いベタ」感があって、プレイを進めてみたら、ラストでしっかり感動させてくれる作品だった、というわけです。

あー、脱線しますが、「夜、見知らぬ女の子と出会い仲良くなる」って、現実にはなさそうですけれども、実は私、経験があったりしますw
あれは、もう何年前かな、随分昔の事なんですが、夜中に目が覚めてしまって、何の気無しにコンビニに行ったんですよね。そしたら、「お兄さん?」と声が聞こえてくるじゃないですか。きょろきょろっと周りを見回しても誰もいない。けれども、視線を下に移すと、しゃがみながら煙草をふかす妙齢のお嬢さんが居たんです。

いきなり声掛けられてますから、しばらく戸惑って、目をぱちぱちしていたら、今度は「お金かしてくれませんか?」ときましたw
そこで、私も、ハッと我に返り、「いやいや、なんでお金が必要なのよ?」と聞き返します。気がつけば煙草に火をともしていたりして。
どうやら、話を総合すると、この街にあてどなくやってきたはいいけれども、帰りの電車賃が無くて困ってる、という事でした。ってか、もう終電もない時間だよ?w まぁ、困っている人を助けるのは市民の義務ですから、「千円で足ります?」と千円札を握らせて、コンビニに入りました。

で、お約束の展開として、その娘も何故か、コンビニの中にまで着いてきますw
私は煙草とコーヒーか何かを買おうとして、お会計をしようとしたら、その娘が「実は、ストッキングが破れていて寒い……」だの「リップクリームがなくて唇がガサガサ……」だの云い出しましたw 一度、面倒を見ちゃった以上は、最後まで付き合ってやろうかと思って、取り敢えず、彼女にとって必要なもの一式と、私の買い物を持ってレジにいったら合計で3000円くらい取られて……。

って、長くなるから、この辺りでやめましょう。
っていうか、半分、これ、「出会い」じゃなくて「たかり」じゃねーかっていうw


そんな事はどうでも良くて、作品について語りましょう。
ノベルゲームを何本もプレイしている人ならば、気づくであろう、おなじみの曲、が作品を彩ります。率直に云ってしまえばありきたり、の感がなきにしもあらず、なのですが、寧ろ、定番の出会いから始まる作品ですから、定番の音楽が使用されている事、なんだか妙に納得してしまうのです。

で、作品中でも、何故かとてもナチュラルに、ヒロイン楓は、主人公八神の自宅まで着いていってしまいますw そして、奇妙な出会いから始まった奇妙な生活が始まるけれども、ヒロイン楓には何か謎があるようで……。

と、こんな感じでストーリーが進んでいきます。
あっ、大事な事、一つ云い忘れてました。ヒロイン楓は所謂「僕ッ娘」です。一人称が「僕」の女の子ですね。古くは『Kanon』の“うぐぅ”辺りから台頭してきた、ヒロイン造型です。
ちょっと幼げな容姿(18歳だったっけ?)なので、僕という一人称も良く合っていたんじゃないかな、っと。

で、やっぱり、本作の一番美味しい所はラスト、ですね。
ネタバレはしないようにする積もりなんですけれども、シンプルだけれども、ジワッと来る、とても温かい、印象的なラストでしたよ。
非常にソツ無く30分という時間で作品が完結しているのも、力量を伺わせますねぇ。


一方、気になった点は、もうちょい、作品の背後関係について知りたいな、という事。
ヒロイン楓の謎がメインなんですけれども、他にも主人公の立ち位置とかね。結局主人公は、ぷー太郎だったのか? とかw
何となく、ですが、主人公の成長なんかも併せて描かれていたらいいなぁ、なんて思いました。又、さらりと流れてしまうヒロインの設定なんかもね、もうちょい開示してくれても良かったかな? 

ただ、ここらへんは、好みの問題でもありそうです。
シンプルに無駄をそぎ落とした形で作品が成立しているので、余計なものを付与しない方が良い、という意見も当然ありましょうし、私のように、もう少し追加要素があってもな、なんて意見もありそうです。

ともあれ、30分くらいでキチッと纏まっていた、という点。そして、ラストの温かい感動が本作の何よりの魅力です。非常にベタな出だし、なんですが、是非30分最後までプレイしてみて下さい。
きっと、予想していないような、良質なラストに驚くと思いますよ。


それでは、また。
[PR]

by s-kuzumi | 2011-04-15 19:54 | Comments(2)
2011年 03月 14日

なんてことない日々之雑記vol.328

道玄斎です、こんにちは。
なんだか、随分ご無沙汰してしまいました。今回の地震の件でメールを頂いたり、又、コメントを付けて下さったり、という方も多くて、「私の事を気にしてくれてる人もいるんだなぁ……」と、少し嬉しくなりました。



で、東京は、地震による直接の被害、のようなものはあまり無いのですが(私は本棚と書庫がとんでもない状態になった……というだけで済みました)、昨晩唐突に発表された計画停電なる仕組みのせいで、交通機関がマヒしています。
私の住んでいる地域は、もう、少なくとも、本日は最寄りの駅(二つあるんですけれどもね……)に、電車が止まる事はありません。

そんな訳で、真っ昼間に更新しています。
こういう状況なので、街は人に溢れ、スーパーでは買い占めなどが横行しており、正直、正常な「買い物」という行為すら結構厳しい状況です。

幸いな事に、私や家族、或いは友人達も無事なようで、ホッとした所で、この記事を書いています。買い物は出来なかった、とは云え、一応備えだけは日頃からしていたので、何とかなるんじゃないかな? と若干甘めですけれども、予想しています。


こうした日常とは少し違う状況下に於いて、何よりも恐いのは、デマ、流言飛語の類です。
ネットを覗いてみれば、今回の一連の災害について、ツイッターやブログなどで、色々と書かれています。が、或る内容が正しい、という保証は誰にも出来ません。
……と、書くと、このブログの内容も疑わしい事になって、自己言及のパラドックスに陥るのですが、ラジオ、テレビといったオフィシャルな手段を用いて発信される情報以外、取り敢えず、深刻に考える必要はないのでは? というのが私の意見です。
勿論、インターネットでテレビ局の放送が見られたり、っていうのは除きますよ?

大事な事は、多分、そんなに多くなくて、必要以上に慌てない事、デマに惑わされない事、いざという時の準備はちゃんとしておく事……大凡こんな所じゃないでしょうか?

出来れば、普段通りの生活をして、ノベルゲームをプレイして……といきたい所なんですが、私は私で小心者ですから、何となくビクビクしている部分もあって、今は楽しくゲームを遊べる気がしませんw
やっぱり、或る程度の心のゆとりがあってこそ、のゲームプレイだと思いますし、レビューを書くにも、そういうゆとりは必要だよね、って事で。


取り敢えず、私は無事です。
コメント下さった方、又メールなど送って下さった方、本当にありがとうございました! 個別の返信に代えて、この場でお礼申し上げます。

又、同時に皆様のご無事を心よりお祈り申し上げます。


ま、何が云いたいのかってーと、こういう時だからこそ、必要以上に騒がず、焦らず、冷静にいこうぜ! って事ですw


それでは、また。


/* P.S. Novelers' Materialも、今回の計画停電に伴い、第二グループに該当する状態なので、その期間サービスの提供は出来なくなります。どうぞ宜しくお願い申し上げます。 */
[PR]

by s-kuzumi | 2011-03-14 14:01 | Comments(8)
2011年 02月 21日

フリーサウンドノベルレビュー 『Colorless Day』

b0110969_20161497.jpg

今日の副題 「洋モノだって短編集!」

ジャンル:色のない世界での短編集。
プレイ時間:一話凡そ10分ほど。三話あるので合計30分程度。
その他:選択肢なし、一本道。
システム:Ren'Py

制作年:?/?/?
容量(圧縮時):11.7MB




道玄斎です、こんばんは。
先日、『ウィンドチャイムに連れられて』という優れた短編集のご紹介をしたばかりなんですが、今日は、洋モノのゲームの短編集。
というわけで、今回は「denzil」さんの『Colorless Day』です。リンクは、例によってRen'Ai Archiveの方に張っておきます。
良かった点

・どの作品も割と平易な英語で読みやすい。

・“物語の中のワンシーン”を切り取ったような作品、國産では珍しいのでは?


気になった点

・基本の舞台設定が暗めなので、少し憂鬱になるかもw

ストーリーは、Ren'Ai Archive(良く考えれば、これも凄いネーミングだw)から引用しておきましょう。
Everything faded into grey. Everyone continues their lives without the ability to change them. And the sun cannot break through clouds with its light...

こんな感じ。

というか、これが基本の舞台設定であり、且つ一話目である所の「in silence」の説明になっている、という感じでしょうか?

変わり映えの無い日常、ひたすら続く毎日。生きている……というよりは生かされているような日々。
そんな冒頭の描写は、ノベルゲーム……ではある種おなじみではあるのですが、本作のそれは「本当にそういう異質な世界」になっています。

ですので、最初っから最後まで、画面が「モノトーン」以外になる事はありませんw
常に、白・黒・灰色で構成されてますので、少し気が滅入ってしまいますねw あっ、真っ暗な画面と云えば、國産の作品でも『A Story of Black』というものがありましたね。あれは、実はその後「ヒロイン視点」から作品を読み直す事が可能だったのですけれども、一風変わった演出で印象に残っています。

「in silence」は、そんな世界の異質さを自覚してしまった、少年が主人公です。
で、これまたルーチンの様に本をめくるだけだったハズの女の子(ちょっと長門有希似)も、その異質さに気付き二人でその状況に抗おうとする……という感じでしょうか。

Merry X'mas you, for your closed world, and you...』にも、少し近いような……そういう感触はありましたね。奇妙な世界の中に気がついたら居て、そこからあがいていく……みたいな部分で通底する部分、やっぱり感じます。


私は二本目の「last dance」が一番好みでしたね。
最後の一曲をバンドが演奏する間、「私」は「貴女」と一緒に踊り、二人の過去を回想していく……みたいな、そういう趣でした。
何て云うか、もっと大きな枠組みのストーリーがあって、その中のワンシーンを焦点化して見せてくれる感じで、國産の作品にこういうタイプのものって少なくないですか? 思い起こせば、ちらほらと「アレは、そうかな?」という作品は出てくるんですけれどもねw

最後の一曲を踊っている間……という時間的なリミットの中に、ギュッと回想で以てストーリーを詰め込んでおり、密度があったなぁ、という感じ。

ただ、これも、やっぱり「色の無い世界」という舞台設定だそうで、最初は「おや? 別の舞台になったのかな?」と思いきや、やっぱり画面はモノトーンでした、というw
そうは云っても、少しこの「last dance」は毛色が違う作品、という印象はありましたね。


で、最後が「unkept promise」。
タイトルが内容を如実に表している……というかw
これは、一話目の「in silence」に近い印象がありますね。プレイしていてもある種の息苦しさを感じるような、そういう感じですね。まぁ、舞台設定は三作品とも共通という訳ですから、どうしたって、この舞台設定では息苦しさ、は出てきてしまいますよねw

で、割と引っ張っておいて、ラストはストン、というタイプ。
ちょっと憂鬱になる展開、ですよねぇ……。


全部プレイしても、エンドロールが流れたりとかは無かったです。
割と、愛想無く始まり、愛想無く終わっていく……みたいな、そういう雰囲気でしょうか? ちなみに、本作、どうやら……元々はチェコ語……っぽいですねぇ。
で、どなたかに手伝って貰って英語にしたヴァージョンもプレイ出来るようにしたらしい。普通に起動してやって「English」と書いてある方をプレイすればOK。

分からない単語、細かい部分で訳せない所はチラホラ出てきますが、あまり気にせず読み進められますね。洋物ノベルゲームをやっていて、超頻出なのは「as if~」という文章でしょうw 本作もまたその例に漏れません。
これは、「まるで~のよう」と高等学校で習ったので、そのまま適用してやれば大丈夫だと思います。

何だろう、洋物のゲームをプレイしていると、「自分が習った英語ってどういう種類の英語なんだ?」とちょっと疑問を感じたりしますねぇ……。
何て云うか、今まで習ってきたものって「英語学習の為の英語」という気がしてくるんですよ……。ノベルゲームという、もう少しカジュアルな文体と明らかに位相は異なりますよね。
倒置が頻繁に起きたりとか、中学・高校で習わなかったような、そういう文章なので、少しは「現場に近い」感じなのかな? と思って勉強ついでにちゃっかりノベルゲームも楽しむ、というスタンスでやっていますw

いや、ほんと、凄く勉強になると思うので、英語学習にも是非どうぞ。
高校生くらいだったら、読めちゃえると思うんですよ。中学生……だとちょっと厳しいかも。
ま、なんにせよ、ゲームは楽しむ為のものですから、気軽に、ね。


というわけで、今日はこのへんで。



それでは、また。
[PR]

by s-kuzumi | 2011-02-21 20:16 | Comments(0)
2011年 02月 09日

なんてことない日々之雑記vol.325

道玄斎です、こんばんは。
昨晩、東京は少しだけ雪が降っていましたね。私が云うのもアレですが、どうぞお風邪など召されませんように……。



■ときにはフリーでないものも

私も時にはフリーでは「ない」ノベルゲームをプレイしたくなります。
けれども、新作や話題作をチェックする、というプレイの仕方ではなくて、ふとした瞬間に「もう一度読みたいな」と思える……そんな作品を読み返す。そういうプレイの仕方が殆どです。

私好みの作品は、このブログを読んで下さっている皆様はご存じの通り、「明朗学園ラブストーリー」というよりは、どこかほろ苦い所のある、云ってしまえば少しジメジメっとしたタイプのものなんですよね。

で、今、ちょっとプレイし直している作品があって。
ザラッと内容だけ確認する、という感じでもなくて、割と一文一文しっかりと読んで、合間合間に我が身に擬えて考えてみたりして。

って、かなり暗いプレイの仕方ですよねぇw
まぁ、作品名は出さない積もりですが(けど、以前このブログでチラッと名前出した事ある気がする……)、個人的にかなり心に残っている作品で、もしかしたら「一番好きな商業作品は?」と問われたら、その作品の名前を挙げてしまいそうな気すらします。

毎日、何かしらの作品が発売されているこの時代で、8年も前のゲームと云ったら、ある種「古典」なのかもしないけれども、やっぱり、名作は色あせる事がないですよねぇ。そこに今の自分では受け入れられない青臭い部分があったとしても。

何か、今、そういう作品読み返したい気分なんですよね……。
フリーの作品でも、何かの折りに読み返したくなる作品、というのも多いですよね。プレイ数や、読み返しの絶対量で云えば、断然フリーの方が多いわけですがw ゴールデンウィークになると、アレを読み返したくなったり、ねw



まぁ、今日くらいは、少しジメジメっとした感じにして、また明日から気持ちを切り替えていこうかな、と思ってます。
多分、「これは期待出来るんじゃないか?」というような、ノベルゲームも実は既にダウンロード済みですしね! 



というわけで、今日はこの辺りで。



それでは、また。
[PR]

by s-kuzumi | 2011-02-09 19:57 | Comments(0)
2011年 01月 20日

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『かわわらべ』

b0110969_21135684.jpg

道玄斎です、こんばんは。
ちょっと間が開いてしまいましたが、今日も今日とて作品のご紹介。30分くらいはあるかな? と思いきや、10分で読了出来る短編作品でしたので、番外編にて扱わせて頂きます。
というわけで、今回は「底原明」さんの『かわわらべ』です。作者様HPが分からない為、ふりーむへのリンクを張っておきます。


何となくタイトルがゆかしくてダウンロードしてみました。
可愛らしい女の子の立ち絵がスクリーンショットに写っていたのも、プレイへの後押しになった、かな。

さて、主人公はどうやら帰省で田舎に帰ってきている模様。
そして、思い出の山奥の沢に足を運ぼうとすると、何やら彼の後を付いてくる存在がいて……。

と、そんな感じのストーリーです。
本編と「おまけ」があるのですが、両方合わせて凡そ10分もあれば読めちゃえるんじゃないかな? っと。気軽にプレイ出来るのはちょっと嬉しいですよね。

で、タイトルが『かわわらべ』ですから、何となく作品の内容に関しては予想していた事があるのですが、短いシナリオではあるものの、ちゃんと良い意味で期待を裏切ってくれて、「ああ、なるほど!」と思えるようなエンドになっていました。

久々に脱線をしてみようと思うのですが、河童って存在があって、色んな名前が各地に伝わっています。それこそ「かわわらべ」だったり、「河太郎」とかね。
「かわわっぱ」なんて呼び名が縮まって「河童」になった、なんてのは、何となく納得出来そうですよね。そういえば、東京にもかっぱ橋なんて場所があって、調理関係の問屋街がありますね。あれも、河童達があそこらへんの治水工事をしたから「かっぱ橋」と呼ぶ、なんて説を聴いたことがありますねぇ……。


っと、軌道修正。
本作で良いなと思えたポイントの一つに、綺麗な背景素材の使用があります。
また、こう、素材のね、さりげない要素が、ちゃんとシナリオにも活きていて、そういう所の工夫があったのではないかと。

更に、右クリックを押した時の、挙動にも拘りが。
単純にセーブ/ロード画面が出てくるのではなくて、画面右下に、セーブ/ロード、早送り、ウインドウを消すなど、右クリックから行いたい挙動が綺麗に纏められており、これは使いやすいなぁ、と感心しました。
本作は、短編且つ一本道ですから、そこまで活躍する機会は少ないのですが、もう少し長目の作品ならば、かなり使い勝手が良いんじゃないかな、と思いましたね。


大体、こんな所でしょうか?
綺麗なグラフィックと、意外でありながら納得感のあるラストが印象的な作品です。
10分そこそこで読了可能なので、何か作業の合間にでもプレイして、少し優しい気持ちになってみるのも良いかもしれません。



それでは、また。
[PR]

by s-kuzumi | 2011-01-20 21:14 | Comments(0)
2011年 01月 13日

フリーサウンドノベル関係の雑記 箸休めvol.45

道玄斎です、こんばんは。
今回は久しぶりの箸休め。ノベルゲームに関連したネタをお届け……出来たらいいなぁ。



■アメリカ製商業ノベルゲームをやってみた

というわけで、アメリカ製の商業ノベルゲーム、の体験版をプレイしてみました。
サンフランシスコにある会社が作ったゲーム……みたいですよ。お値段は24.99$だそうで、そんなに高くないですよね。

タイトルは『Shira Oka: Second Chance
。一応、公式サイトを見てみると、「Shiraoka」=「白丘」みたいですねぇ。

多分、Ren'Py製かなぁ?
ムービーも付いてますし、立ち絵はこれムービーで動いてるって感じでしょうか? 意外とスルスルッと動きますw 昨今の商業ゲームで求められる基本スペックは抑えてあるって印象ですね。

ただ、イラストを複数人で書いていると思しく、女の子の絵の質感にばらつきがありますw
日本で流通している商業ゲームのソレとは、ちょっと違うタイプのイラストですよねぇ。


かるーくストーリーについても触れておきますか。
どうやら主人公(男)は、人生の敗北者……。無為に青春を過ごしどうしようもない日々を送っていたのですが……彼の目の前に天使が現れ、人生をやり直させてくれる、と告げるのであった……。

と、まぁ、こんな感じ(あってる?w)。
で、主人公は学園生活をやり直すわけですけれども、今度の人生では、女の子と知り合う機会もどっちゃりありますw で、前の人生を繰り返さないように、スポーツに勉強に、そして恋愛に精を出すのであった……。

ちなみに、ループモノっぽい要素もあったり結構頑張ってますね。
ゲームの基本設計としては、月~金曜日、土日に何をするか、を選択して、その選択の結果でパラメータが上昇(や下降)。そして、合間合間に、イベントが入って……という、『ときめきメモリアル』方式ですね。

主人公が「出来る事」は、イベントを進めていけば自ずと増えていきます。
また、学生らしく試験期間とかもあるので、それに備えて、それなりにお勉強系のパラメータを上げておくと良いかも。


結構可愛い女の子もいましたよ。
私がイチオシなのは、Yui Arakawaかな。Kikuなる和風の子も捨てがたいけれども、大人しい系のYuiがやっぱりベスト……かw

最初、全然セーブやロードが出来なくて「なんじゃこりゃー!」って思ってましたが、ゲームを進めていくと色々と出来るようになります。
バックログは、一々「Log」を教えて表示させないと、見られませんねぇ。マウスホイールが使用出来たらそれがベストなんですけれどもねぇ。


で、肝心の英語、なんですが、やっぱりそこまで難しくありません。
辞書は引かなくても、何とかなるんじゃないかと……。こういうのはね、別に勉強やってるわけじゃないんですから、何となーく話の流れが追えていればいいんですよw



たまには、外国製のゲームの紹介も、という事でw
ここんとこ、また國産のゲームとはご無沙汰しているんですが、そちらの方もボチボチ、ね。



それでは、また。
[PR]

by s-kuzumi | 2011-01-13 21:30 | Comments(2)
2011年 01月 09日

フリーサウンドノベルレビュー 『春椿』

b0110969_16263548.jpg

今日の副題 「絶妙の余韻を残す短編作品」

ジャンル:不治の病系ノベルゲーム(?)
プレイ時間:凡そ30分程度。
その他:選択肢なし、一本道。
システム:Ren'Py

制作年:2011/1/8
容量(圧縮時):50.2MB




道玄斎です、こんにちは。
今日はRen'Pyを使用した作品のご紹介。基本的にRen'Py製の作品は海外のものが多いんですが、日本人向けのリリースは、非常に少ないわけです。で、前作『フォルトゥナに口づけを -un bacio per Fortuna-』も既にしてプレイしていますし、レビューまで書いています。積極的にRen'Pyというツールを取り入れている所、先ずは評価出来ます。
というわけで、今回は「堕天の旋律」さんの『春椿』です。
良かった点

・割と良くあるパターンか? と思いきや、かなり好みの所に着地していくので良い感じ。

・リアリティのある描写や発話。


気になった点

・実は他作品(EX,『『フォルトゥナに口づけを -un bacio per Fortuna-』)などと世界観が繋がっている? 勿論単独でも支障なく遊べますが。

ストーリーは、興を削がない程度に私が纏めておきましょう。
ある日、死神の管理職をやっているテレンスは、ふとした事から日本を訪れ、病に冒された少女椿と出会う。
自分は死神で、相手は人間の少女、という隔たりがありながらも、二人は交流を続けテレンスは椿に惹かれていき……。

という感じでしょうか?


「堕天の旋律」のきりかさん、と云えば、NMのイラストを描いて下さっている方ですね。
もう、足を向けて寝られない程にお世話になっています。特に、NMのマスコットキャラクター「神風史」は、私の脳内イメージだけが物凄く先行している中で、何度もリテイクを出してしまったりしたのですが、本当に根気よく付き合って下さり、現行のとっても可愛らしいキャラクターが仕上がりました。

さて、前作の『フォルトゥナに口づけを -un bacio per Fortuna-』に引き続き、本作『春椿』もRen'Py製。
私なんかは考え無しに「れんぴー」って読んでいたのですが、きりかさんとお話していると「れんぱい」と呼んでいるじゃないですか。
話を伺ってみると「Ren'Pyの“Py”はPythonの“Py”だから」という、非常に論理的且つ明快な答えが返ってきました。うーん……やはりこれは「れんぱい」って読んだ方が正しいのかな?
あとこれは余談ですが、英語読みじゃなくてフランス語読み風にすれば「らんぴ」とかになって、「れんぴー」に近くなるようなw


っと、のっけから脱線していますが、本作タイトルから分かるようにちょっぴり「和風」なテイストが入っている、しっとり系の感動作です。
やっぱりRen'Pyという事で、ガワ的な部分なんですが、右クリックを押した時のメニューの表示がいい感じなんですよね。私達が普段良く目にするNScripterや吉里吉里/KAGといったものと、殆ど変わらないくらいまでカスタマイズされています。

デフォルト状態でのRen'Pyは以前、このブログでもご紹介しましたが、結構「要らない」ものもごちゃごちゃ入っていて、「声アリ、BGMアリ、効果音アリ、イラストアリ、ムービーもどんとこい!」ってなくらいフル装備でないと、中々意義が見いだせない設定も多く搭載されています。
それがかなりスッキリカスタマイズされていて、細かい所ですが、個人的には「お!」と思いましたね。


さて、いよいよ作品の中身に入っていきましょう。
病に伏せっている少女の元に、死神と思しき人物がやってきて……なんて聞くと、割とありがちなパターンを想像してしませんか? 別に病に伏せっていなくとも、主人公の元に死神がやってくる……というタイプの作品は枚挙に暇がありません。
『Dear∽Life』や『ゆめいろの空へ』、或いは割と最近プレイした作品だと『明けない夜が来る前に』とかも、近いパターンかな。

こうした作品が多いという事は、人間という生き物が「死」に対して非常に関心がある、という事を示しているようです。
そりゃ、「死んだらどうなるんだ?」ってのはやっぱり人間の根源的な不安ですし(各宗教色々解釈があるんでしょうけれども)、「もう、起き上がってくんなよ……」って事で「屈葬」なんて事もしてましたよね。そこには、死に対する絶対的な恐れがあったり、未知に対する恐怖って側面もありますよね。
「死んだらどうなるのか?」ってのは、実際死んでみなけりゃ分からないんですからw

で、本作もまた、「このパターンか……」なんて思いきや、意外や意外、絶妙な余韻を残す作品、になっていましたねぇ。あっ、ちなみに私の大好物の「ちょっと暗い」感じですw

本作に於いて、私が一番評価したい所は「テレンスの描写」です。
彼が死神という職業に就いていて、だからこそ「死ぬ事」に関して、そしてそれと裏返しの「生きる事」に関して非常に敏感であり、無神経な言動は許せない、という性格が、先ず「これはいいぞ」と思わせてくれましたね。

そして、ここが一番大事なんですが、テレンスの心中思惟に、「凄く共感出来る」んです。
設定としては百年以上生きている死神、なんですが、椿を前にして見せる戸惑いや、言動は私達と変わらない等身大の人間そのものです。
個人的にいくつか印象に残ったセリフがあるので、挙げてみましょう。

“また明日、と別れ際に言わなかったのは、これが初めてかもしれない”

これ……何だか共感出来ませんか?
何か、二人の間にいつの間にか出来上がったルールのようなものがあって、そして、そうした日常にとけ込んでいる決まり事……というか暗黙の了解が、崩れる瞬間というものがやっぱりあって。
で、悲しい哉、男の方が不覚にもそれに気づいてしまうんですよw そして悶々としてしまったり……。

そして、恋愛要素がある作品で、私が良く云うのは「何故、他でもないこの相手を好きになったのか?」という理由が欲しい、という事です。
明確に「○○だから好き」というので無くとも、自分が相手への恋心へ気づく、その描写ですよね。そこに何か説得力があると、リアリティがグッと増してきます。本作の場合は、

“それなりに長く生きてきて、この感情が何なのか手に取るように分かる。そして、その前にはいつでも自分が滑稽で仕方なくなってしまうことも”

という言葉で以て、それを表現していました。
うーん、これも何だか共感度が高いなぁ……。自分自身の経験として、こういう感慨を頂いてしまう事、屡々あります。いや、ありました、という云うべきかな……。

今挙げた二つのセリフを見た時に、「ああ、これは良い作品だな……」と感じましたね。
ドロドロっとした俗っぽさもない。そして男の方が死神、という特殊なバックグラウンドを抱えているけれども、そこには何か過剰に美化したり、飾り立てたりする所もない。
その恋愛描写に於けるバランス感が、絶妙でした。


最後に語るべき所は、ラストシーンでしょうか?
30分ちょいの短編ですから、ネタバレは避けようと思います。

私の私的な用語で「ヒロイン殺し」というものがあります。
中々説明するのが難しいのですが、「ストーリーの都合によって安直にヒロインを殺してしまう」っていうと一番伝わりやすいかな。ちょっと非難がましいもの云いですけれども、私は結構好きなんですよ、困った事にw

それはさておき、一方で、「安直なハッピーエンド」っていうのもありますよね?
想いの力で不治の病が治っちゃったぞ! ってなタイプです。
これもやっぱり非難がましいようですが、やっぱり嫌いじゃないんですよw

で、考えてみるに、「どういう結末を迎えるにせよ、そこに何かしらの納得感が欲しい」という事なんです。
そういう結末に至るまでの説得力があるかどうか……という事なんですが、中々難しい所ですよね。
ですが、本作は、そこが凄くスムーズで、結末を静かに受け入れる事が出来たように思えます。

また、結末部分がちょっと暗いんですが、何とも云えない絶妙な余韻があるんですよねぇ……。
このブログを長いことご覧頂いている方はご存じかと思いますが、私は割と「ダーク」なエンドだったり、ラストに棚引く余韻たっぷりの作品を好む傾向があって、本作もその系統なので、プレイ後、しばし放心状態でした。


さて、最後になってしまいましたが、気になった点(という程でもないのですが)を。
テレンスは死神である、と何度も描いていますが、まぁ、云ってしまえば「アッチの住人」です。で、唐突に「中立界」なる言葉が出てきて「アッチの世界」が単一ではなく複数の層を成している事に気がつきます。
これは、前作でも出てきた設定ですよね。本作は本作で独立しているけれども、世界観としては繋がっている、という事なのでしょうか。

本当に気になったというレベルではないのですが、これは寧ろ、前作と併せて読んで楽しむといいかな? という部分ですね。

そういえば、ヒロイン椿はちょっと嬉しいフルボイスです。
プレイ時間は凡そ30分程。個人的には男性にお勧めしたい感じはあるのですがw

是非、登場人物の心情なんかに注目しながら、少しダークで余韻の残るラストをご覧下さい。



それでは、また。
[PR]

by s-kuzumi | 2011-01-09 16:26 | Comments(0)
2011年 01月 08日

フリーサウンドノベルレビュー 『マンション前の時計』

b0110969_21363312.jpg

今日の副題 「ちょっと一息、不思議な話」

ジャンル:ちょっぴり不思議な短編集
プレイ時間:小一時間ほど。
その他:基本選択肢なし、一本道(三話目のみ選択肢はあれど、どれを選んでもエンドに影響無し)。
システム:NScripter

制作年:2010/9/19
容量(圧縮時):61.7MB



道玄斎です、こんばんは。
今日は、以前ご紹介した事のある『ユリカ』という作品の作者さんの作品を、プレイしてみました。
短編集、という事で取っつきやすく、又、ちょっと不思議なストーリーは、クスリと笑えるもの、はたまた、どこかしこりを残すものなどバラエティに富んでいて、面白かったですね。
というわけで、今回は「fragment」さんの『マンション前の時計』です。
良かった点

・少し不思議な感触を残す話が多く、どこかホッとする手触りが。

・一話一話の尺の長さがほぼ一定。どれか一つの比重が偏る事の無い作り。


気になった点

・三話目の選択肢は無くても良かったかも……。

ストーリーは、ふりーむ! の方から引用しておきましょう。
マンション管理人である広田はとある問題に頭をかかえていた。それはマンションの前にある時計のことだった。
何度修理してもいつの間にかに遅れる時計に業を煮やした
広田は、なんとかして原因を突き止めようとするが・・・・・・。

表題作"マンション前の時計"を含む短編五話で構成されるオムニバス形式ショートストーリーです。

という感じです。


少し懐かしく、ホッと出来るような、そんな感触を持った短編集です。
今、ご紹介したストーリーは、表題作で、最終話に位置する「マンション前の時計」という作品について、ですね。

普通のカッコでくくった「マンション前の時計」ではなく、それを包含する全体としての『マンション前の時計』という事ならば、きっと「ちょっぴり不思議な短編集」という纏め方が適当でしょうか。

最近、あまり見かけなくなってきた「影絵」が使用される話があったり、ジワッと感動出来る良質の短編があったり、はたまた、日常の中にある「どこか不思議な出来事」をフィーチャーした作品があったり、とバラエティに富んでいる印象です。

何しろ『ユリカ』という作品が、サイコホラーの趣がありましたから、本作もどこかホラー的な、そういう「不思議さ」なのかな? と漠然とイメージしていました。
実際、プレイしてみると、確かに第一話、第二話辺りまでは、少しホラー的なテイストを取り込んだ作品になっていたのですが、第三話目でしてやられましたね。

その三話目は、就職など、将来に対して不安を抱く大学生が、本屋のアルバイトで知り合った女の子に恋をして……というタイプの作品なのですが、短いながらも素敵な話として纏まっており、好印象でした。
タイトルも「想いは夜空に散って」とどこか詩的な感じで、とっても良いですよね。
これは、気になった点、になるのですが、この三話目のみ、選択肢がついています。しかし、どちらを選んでもエンドに変化はありませんでした。
他の作品が、全て「選択肢なし一本道」でしたから、この三話もそれに準ずる形にした方が、全体としての纏まりが良いかな? と少しだけ思いましたが、実はそこまで気にする所ではないのかもしれませんね。


そして、四話目、五話目では、「どこか不思議」なストーリーが展開されていきます。
そういえば、藤子・F・不二雄さんの「SF」というのは「サイエンスフィクション」ではなく、「少し不思議」という意味である、とどこかで聞いた事があります。
本作も、後半になると、藤子・F・不二雄的ではないにせよ、「少し不思議」と冠するに相応しいストーリーに。

結構、内容的にも出だしで「お!」と興味を惹くようなものが多いんですよ。
「食べた人が、涙を流してしまう幻のラーメンを出す屋台」がある、とか、「何故か時間が五分づれる時計」があるとか。

ラーメンのお話は、第四話の「幻のラーメン」ですけれども、強烈にスッキリとするオチが付いているわけでもないんです。だけれども、そこが一つの味になっていた、というか。
時計は、表題作なんですが、最後まで読むと「ええ!!」と軽く驚き、そして思わず笑ってしまうような、そういうオチがついていますw


本作に関して、「これは中々凄いぞ……」と思ったポイントが一つあって、それは「どの話もほぼ一定の長さ」なんですよね。
大体、私のプレイ速度では、全て7分ほどで読む事が出来ました。たまに短編集であっても、濃淡が非常にハッキリとしているタイプの作品もありますよね。例えば、一話目が10分くらいで、二話目が30分あって……とかね。
オムニバス的な短編集(ストーリー的に繋がりのある短編集)なら、そういう濃淡もあって当然、と思うのですが、本作の様に、前後に繋がりのないストーリーが何本も集まって一つの作品を成している場合、或る程度尺が揃っていると、まさに「短編集!」という感じがしませんか?
勿論、尺が揃っているから良いとか、揃っていないから悪い、とかそういう意味じゃなくて、ですよ。

ともあれ、一話一話がほぼ一定の長さ、というのは、プレイもし易いような気がしますし、本作のような短編集には向いていますね。逆に、これは一話一話の長さをほぼ一定になるように調整しているのかな? だとすれば、中々凄い技術だと思います。


そこまで派手さや、豪華さはないものの、少し不思議でどこかホッと出来る短編集です。
ちょっと一息つきたい、とか、気分転換なんかにぴったりだと思いますよ。



それでは、また。
[PR]

by s-kuzumi | 2011-01-08 21:36 | Comments(0)
2011年 01月 05日

フリーサウンドノベルレビュー 『セイシュン真っ盛り!』

b0110969_21413962.jpg

今日の副題 「カラリと爽やか、ダメ系青春ストーリー」

ジャンル:ダメ系青春アドベンチャー(?)
プレイ時間:40分程度。
その他:選択肢アリ、バッドエンド3種類。
システム:NScripter

制作年:2010/12/?
容量(圧縮時):32.5MB




道玄斎です、こんばんは。
新年二本目のノベルゲームレビューという事で、ちょっとコミカルで楽しい作品を持ってきました。ちょっと気になってダウンロードだけしてあったものですね。
というわけで、今回は「九州壇氏」さんの『セイシュン真っ盛り!』です。
良かった点

・テンポの良い文章で、軽いノリで読む事が出来る。

・ツボにはまれば破壊力大、のギャグw


気になった点

・メタ発言ギャグを入れずに、下ネタ系ギャグで通した方が良かったかも。

ストーリーは、ふりーむ!の方から引用しておきましょう。
主人公「風間雄太」は、平和な日常を過ごしていた。
暴力的な委員長に殴られながら親友とカオスなトークを楽しみ、漫画の濡れ場でウハウハしながら自分で自分を慰める日々。
そんな彼が、不思議な雰囲気を持つ女の子に出会って……?

と、こういうストーリーになっています。
九州壇氏さんの作品も、今まで随分プレイしてきましたね。長編の『乙女心と夏の空』は、実は未読ですが、近い内に読みたいな、と思っています。

さて、私の九州壇氏さんの作品に対するイメージは、「良い意味で生真面目」とか、そういう感じなんですよね。登場人物がほぼ全員非常に善人ですし、ある種のテーマに向かっていく「まっすぐさ」みたいなものを感じていたわけなんですが……ここに来て、まさかの「ギャグテイスト」な作品が登場しました。

パステル調の優しい立ち絵素材が使用されていたり、テンポの良い会話や、ギャグなど、今まであまり表に出てこなかった、九州壇氏さんの新しい魅力が、垣間見える一作になっていたんじゃないかと思います。

学校を、主要舞台の一つに据えている作品は、世の中に数多いですが、「青春」というのは一つのキーワードになっています。
中学~高校生くらいの主人公が、時に人生に悩んだり、或いは恋愛をしたり、はたまた部活に打ち込んだり……「青春」と明言されなくとも、そこには「青春的な要素」がかなり多く盛り込まれています。
一つの青春テーマに特化した作品もあれば、複合的に青春を見せてくれるような作品、様々あるわけですけれども、本作がちょっと変わっているのは「ダメな青春」を描く、という所にあります。

そこには、人生に深刻に悩み込むわけでもなく、真摯で真面目な恋愛もなく、かといって部活動に打ち込むわけでもない、そんな主人公が居るわけです。
恋愛を打ち出しているような作品は、そこから「一人の少女と出会って、主人公が成長する」という話が多いんですけれども、本作の場合、そうした要素がありつつも、やっぱり少し位相が異なるかな、という印象です。

主人公は中学生男子、という事でちょっとえっちぃ事ばかり考えていて、友達である光一も筋金入りの馬鹿野郎w 
主人公と悪友光一、そして委員長といったキャラが織り成す「下ネタ」ギャグは思わず笑ってしまうものがあります。ただ、まぁ下ネタですから……ちょっと人を選ぶ部分が無いわけでも……ない……かなw

寧ろ、気になったのは、主人公と光一の「メタ発言ギャグ」ですかね。
それまでのノリの下ネタギャグ一本槍で通した方が、全体の統一感があるのではないかと。


先ほど「ダメな青春」と書きましたが、えっちぃ事しか頭にない主人公は、どうしようもない馬鹿な失敗をやらかして、毎度毎度、「僕って本当にダメなヤツ……」と嘆きます。
が、それは悲壮感のある嘆き、ではなくて、どこか自嘲的であったり、苦笑い的な、そういう嘆き、なんですよね。

そして、エピソード毎にその「僕って本当にダメなヤツ……」というセリフが出てきて、作品のテーマを一本貫くものになっていた、という事も併せてお伝えしておくべきでしょう。
一種のアイキャッチ的な、そういう効果も感じられて、「印象的なセリフをリフレインする」というのは、良い手法だな、と改めて感じさせてくれました。
全く、作品の内容は異なりますが、『Serenade』という作品があり、「からかってるでしょ?」というセリフが印象的に、散りばめられていましたね。


後半は、割とシリアス路線になっていくんですが、そこにも、思いも寄らない下ネタギャグが出てきて、暗くなりがちなシーンを明るくみせてくれています。
主人公は、謎の同級生吉野さんに共感を覚えるのですが、「え? 何で共感してるんだ……?」と私は、一瞬分からなくなりましたw それは、あまりに吉野さんが抱えている問題と、主人公の「ダメな性癖」がかけ離れていたから、なんですが、その齟齬があんな形のギャグになるとは……w


結局、主人公は表街道の「青春」ではなくて、ちょっとダメな「セイシュン」を続けていく事になるんですが、表街道じゃなくてもいい、というような、一種カラリとした爽やかな境地に至る事に。
そして、そんな主人公の傍には、吉野さんが居て、馬鹿野郎の光一も居る。きっと、いつもの「ダメ」な「セイシュン」が続きます。


前半のギャグから考えたら、意外なほど綺麗に物語は纏まっていきます。
中々、良い作品だと思います。尺も小一時間、というところですから、是非気軽に読んで、ちょっと笑って。そんな風に楽しんでもらいたい作品です。

あっ、そういえば、一応選択肢があるのですが、ストーリーの流れに沿うように選んでいけば、バッドエンドは回避出来ます。間違った選択肢を選べば、すぐにバッドエンドの旨、表示されますから、そちらの方も合わせて楽しんで(?)みて下さい。



それでは、また。
[PR]

by s-kuzumi | 2011-01-05 21:41 | Comments(0)