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カテゴリ:サウンドノベル( 740 )


2014年 07月 01日

フリーサウンドノベル関係の雑記 箸休めvol.65

道玄斎です、こんにちは。
いやぁ、色々最近忙しくってねぇ。忙しいって事もあるし、お気楽な毎日を過ごしているようだけど、私は私で、結構デカイ決断を迫られたり、って事もあるんだよ。
なので、落ち着いてゲームをプレイする、って事は、今は出来ないのでした。「これは、プレイしないとな」ってな作品は2本くらい見つけてあるんだけどもね。

で、例によって例の如く、「日々之雑記」や「箸休め」でお茶を濁そうって訳なんだけど、今日は「箸休め」の方だよ。



■ファンタジーを巡る問題

RPG作品なんかでは、ファンタジーは、かなりメジャーなジャンルなんだけど、ノベルゲームになると、意外とファンタジー作品は少ないんだ。

そもそもファンタジーとは何か? みたいな話になっちゃうとアレなんだけど、大体のイメージで、「異世界や、現代とは違う場所が舞台」となり、「現実には存在しない化け物が存在」しており、「魔法などの超自然的な力が日常的に受け入れられている」世界、という感じかな。

ファンタジーの区分けも色々あって、例えば、ノベルゲームでもお馴染みの伝奇モノ。あれなんかは、「エブリディマジック」なんてファンタジーの系統に入れられそうなんだよね。
このエブリディマジックっていうのは、舞台は現代、というか現実世界なんだけど、その中に不思議な存在(要素)が入り込んで事件が起こっていく……というタイプ。読んで字の如し、って奴で、「日常生活に入り込んでくるファンタジックな要素」を持った作品なんだ。

伝奇なんてのは、まさにそういう要素があるでしょ? 何事もなく生活していた主人公がいて、彼の周りで不思議な事件なんかが起こる。で、超自然的な力を駆使して戦う奴等が出てきて、いつしか主人公も自らの力に目覚めて……みたいなパターンだよね。

けど、今回話していこうと思うのは、最初に挙げたタイプの「いかにもファンタジーっぽいファンタジー」の世界について、だよ。



■ノベルゲームはエブリデイ?

で、「ノベルゲームでは、直球のファンタジーは少ない」って事だけど、それもそうかな? という気もするんだ。だって、わざわざファンタジックな世界を創造するのは、ちょいと手間が掛かるし(世界の設定や、その説明が大変だもんね)、日常の中にファンタジックな要素を放り込めば、大凡、所期の目的(シナリオの目的)を果たせちゃうんだよね。

つまり、エブリディマジックで十分、って考え方なんだ。
「不思議な行き倒れ少女を拾う」タイプの作品だってエブリディマジックだし、「不思議な魅力を持った転校生の女の子がやってくる」っていうのも、エブリディマジックのパターンが多いよ。

こうして見てみると、ノベルゲームには、ファンタジックな要素を持った作品こそ多いんだけど、「直球のファンタジー」は意外な程少ないってのが分かるよね。

一方、RPG作品なんかは、『ウィザードリィ』や『ウルティマ』、或いは『ドラクエ』や『FF』のように、その元祖的存在が、既に「直球のファンタジー」世界を舞台としているから、今でも、「取り敢えず、ファンタジー世界で」という感じになっている、んじゃないかなぁ……。



■キャラから? 物語から?

ここで、少し話が飛ぶんだけど、どうやらゲームを作る時って、大きく分けて二つのパターンがあるみたいなんだ。
一つは、「ストーリー先行型」。「こういう物語を作りたい!」って事で、あれこれ考えていって、キャラクターや設定を煮詰めて一本の作品に仕上げるってやり方だね。

で、もう一方は、「キャラクター先行型」なんだ。
「このキャラクターが活躍出来る話を作りたい!」って事で、シナリオを練っていくタイプだよ。
勿論、この二つの考えが入り交じって、作品が作られていく、なんて事も実際には多い訳だけど、話を単純化しよう。

こりゃ、私の何となくのイメージなんだけど、女性がゲームを作る時って、割と「キャラクター先行型」が多いような気がするな。特に、イラストを描ける人なんかには、そのパターンが多いみたいだね。

女性のウェブサイトを見てみると、「お絵かき」と称して、自作のイラストが多数展示されている事が多いよね。そうやって、自分の「とっておき」のキャラクターが何人か集まってくると、「じゃあ、このキャラクター達を使って、物語を作ろう!」って考えるのは自然な事だよ。

で、まぁ、その中の一定数の人が、キャラクターを産み出す時に、「ファンタジーらしいファンタジー」の設定を使うんだ。メインキャラとなる女の子がいて(剣士系か魔法使い系かにザックリ二分出来る)、騎士団とかに所属しているカッコいい男性キャラがいて、普段はぼんやりしているけど、実は凄い魔法使いとか、耳が長いエルフのキャラがいて……と、そんな風に、キャラを作っていくわけ。

そうやって、キャラクターを増やし、設定を固めていくんだけど……そこで、問題が起こったんだ。



■キャラ先行の落とし穴

ある日、私は、人のツテで、そうした「(ファンタジー)キャラクター先行型」で物語(ノベルゲーム)を作ろうとしてる人にアドバイスをする事になったんだよ。

けど、私のアドバイスなんて別に大した事はないし、殆ど役に立たないんだ。
とはいへ、「アドバイスが欲しい」っていう人の殆どが、実は、具体的なアドバイスを求めている訳でもなくて、「話を聞いてくれ!」という、そういう事が往々にしてあって、その時も、そんな感じだったね。

まぁ、話を聞くくらいは出来るよね。
それに、「話をする」っていうのは、意外と物語作りには役に立つんだよ。
だって、全く知識の無い人に、その作品がどういうテーマを持っていて、どういうキャラクターが出てきて、どういう事件が起こって……みたいな事を話すんだから、自分の頭の整理になるんだ。

当然、会話は一方通行じゃなくて、こっちも混ぜっ返したりするから、それで、設定の不備に気付いたりって事も良くあるよ。

ともあれ、私は話を聞く事にしたんだけど……。


「わたし、自分の作ったオリジナルキャラクター(オリキャラ)を使ったファンタジーを作りたいんです!」

「ほうほう」

「それで、RPGとかは難しそうだから、乙女ゲームみたいにノベルにして、まとめたいなぁって」

「意外と、ファンタジーのノベルゲームは数が少ないから、上手く作れば面白いものが出来るかもね」

「キャラには自信ありますよ! 何しろ5年もキャラクター作り続けてきたんですから!」

「えっ! 五年!? そりゃ、また随分練り込んだねぇ……」

「やっぱ、キャラを色んな人に愛してもらいたいじゃないですか? だから作品のウリはキャラクターですね」

「まぁ、それも一つの考え方だけど、やっぱり、肝心のシナリオがしっかりしてないとね。シナリオの方は出来てるの?」

「バッチリです! 少しづつ設定を積み重ねたので、設定やシナリオには厚みがありますよお~」

「じゃあ、ちょっと設定とかシナリオとか、見せてもらえる?」


と、そこで、その彼女から、設定やシナリオを纏めたページのURLが送られてきたんだ。
正直、そのURLを見て、ちょっと厭な予感がしたんだよ。
だって、「story001.htm」「chara0001.htm」なんて書いてあるんだぜ。

何で、ストーリーに三桁の数字が必要なんだ? キャラクターに至っては四桁じゃないか!
兎にも角にも、先ずは「story001.htm」の方に飛んでみたんだよ。

開けてびっくり玉手箱、じゃないけど、滅茶苦茶驚いたね。
だって、いきなり「全8章」とか書いてあったんだ! で、「第1章 追憶の指輪編」、「第2章 闇の伯爵編」、「第3章 暗黒教団の陰謀編」……なんて調子で、各章立てがしてあったんだよ。

けど、肝心のストーリーは何故か妙に薄かったんだ。
第1章のストーリーは、確かこんな感じだったなぁ……。

「生まれ故郷を追われたリカ(主人公ね)は、放浪の旅に出る。そして旅の途中、荒野にて、魔物達から襲撃を受けてしまう。しかし、そこに現れたのはセリグリア王国の騎士団。魔物達を蹴散らした後、騎士団の団長はリカに問い掛ける。『俺たちと共に戦わないか』と。リカの旅は今まさに始まったのだ……」

みたいなね。
それは……ストーリーというよりは、その発端部分っていうか、序章というか、そういう感じだよねぇ。
まぁ、それはいいとしても、何で、都合良く騎士団がやってきたのか、とか、何で、いきなり主人公に入団を勧めたのか、とか、色んな疑問があるんだよね。
そもそも、何で、生まれ故郷を追われてしまったのか、ってトコも、サブタイトルの「指輪」についても不明だし。


「えっと……色々聞きたい事があるんだけど……。いきなり騎士団に誘われるって唐突過ぎない?」

「それはですね、ネタバレになるんですけど、リカと団長には実は血縁関係があるんです。団長はリカを見て、すぐに自分の姪だって分かったんです。だから彼女を誘ったんですよ」


えっ!? ネタバレ!? 
そういうのは、本来、ちゃんとストーリーに書いておくべきなんだけどもなぁ……。


「……そこらへんはキャラクターのページを見れば書いてあるのかな?」

「はい! バッチリです!」


というわけで、今度は「chara0001.htm」を見てみたんだ。
確かに、キャラページの方には色々書いてあったんだよ。キャラクターのイラストは言うに及ばず、身長、体重、血液型、守護星、属性(?)、好きな食べ物、嫌いな食べ物、気になる異性……etc etc

けど、「団長と血縁関係にある」なんて書いてないぞ……。
と思ったら、説明文の中に、妙な空白がある事に気が付いたんだ。
そう、そのネタバレの箇所は、「反転で表示」になってたんだよ。画面を反転させてみると、確かに、団長と血縁関係であること、実はリカは女神の生まれ変わりで、世界の命運を担う者である、なんて情報が載ってたんだ。

そんな事は、けど大した問題じゃなかったんだよ。
「関連キャラクター」なんて項目があって、そこには人名のリストが載っていたんだけど、それが数人なんてレベルじゃないんだよね。20人くらいはいたかな……。当然、その人名はリンクになっていて、そこをクリックすれば、そいつのキャラクターページに飛ぶって寸法。で、当然、そのキャラクターのページにも「関連キャラクター」が数十人単位で書いてあり……。


「あのさ……又しても聞きたい事があるんだけど、キャラクターって全部で何人くらいいるの?」

「全部で1500人ですね。主要キャラは100人くらいです!」


1500人だって!?
それじゃ、ゲームにならないだろ! ここに来て、やっと「chara0001.htm」の謎が解けたって訳だよ。マジでキャラクター数が四桁だったんだ……。
ん……? となると、シナリオの方は……。


「え、じゃあさ、シナリオは全8章って事だと思うんだけど……その8章の中に1500人が詰め込まれてるの?」

「えっと、各章には色んなエピソードがあって、細かく分けていくと、全部で300個くらいのエピソードがあるんですよー。だから全員入れられます!」

「もしかして、300個のエピソード、全部一人で考えたの?」

「実際、考えてあるのは5つくらいかな……」

「あっ、じゃあ、残りの295個のエピソードは、未定……?」

「そうですねー。けど、色んなキャラを見てもらいたいですから、頑張ってエピソード作りますよー!」



■その後の顛末

もう分かるよね?
私がアドバイスする余地なんてどこにも無かったんだよ……。
勿論、「メインキャラは5~6人がいいとこで、敵キャラも同じくらい。合計で10~12人くらいのキャラクター数の方が作りやすい」なんて、常識的なアドバイスも出来る事は出来たんだけど、止めておいたんだ。
結局、当たり障りのない、「ゲームを作るためには、こういうツールがあって、BGMなんかは借りたりして~」みたいな、本当にゲーム制作の概略、みたいな話をしてお開きになったのさ。

キャラクターに凝るのはいいけど、懲りすぎると、こういう事になっちゃうんだなぁ!

結局、彼女は「ゲームを作るより、キャラを増やす方が楽しいや」って事になって、今でもきっと、順調に1500人に向かってキャラを増やしてるはずだよ。
まぁ、楽しみの形は人それぞれだし、ゲームにするってのが絶対解ではないしね。



■そして再びファンタジー

話は戻るんだけど、エブリディマジック系のお話だと、どんなに頑張ってもある種の制限があるんだ。
飽くまで、「日常の」というか「常識の」範囲内での設定っていうのがあるからね。その中に、いかに面白いファンタジックな要素を入れるか、がキモだから、あまりにも常識ハズレのキャラや設定にしちゃうと、もはや「エブリディ」じゃなくなっちゃうんだよ。

一方、直球のファンタジー世界だと、一から自分で世界を創造していかないといけないわけだから、ある意味で好き勝手が出来るってわけ。
神様の分類をやたら細かく決める事も出来るし、武器や防具、魔法のアイテムだって好きにデザインしていい。これは、制作者の設定欲を満たしてくれるって言い換えてもいいのかな。

けど、本当の事を云っちゃうと、「ある程度の制約があったほうが作品としてまとめやすい」っていうのも事実だと思うな。何もかも自由に出来ますよ! って云われて、本当にそれを綺麗にバランス良く(ここが大事)デザイン出来ちゃう人はいいんだけど、誰しもがそういうパワフルな能力の持ち主じゃないからね。

だから、ファンタジーだったら、『指輪物語』みたいな、影響力を今なお持ってるような作品を下敷きにしておく、なんてのは、意外と有効な方法だと思うな。
ある程度のお約束に則って、自作品の世界を創り上げていく、って方法だよ。

そうやって創られるファンタジックな世界観で、RPGにするならともかく、ノベルゲームでは、ちょっと考えた方がいいって事もあるんだけど……それは、次の機会に致しましょう。


というわけで、今日はこの辺で。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2014-07-01 16:14 | サウンドノベル | Comments(2)
2014年 06月 13日

フリーサウンドノベル関係の雑記 箸休めvol.64

道玄斎です、こんばんは。
ちょっとご無沙汰しております……。ここの所、色々忙しくて……。あっ、けど、ゲームに関係した作業は、チマチマやってますよ! そんな作業の中で感じた事なんかを書いて、今日はお茶を濁します。



■校正って大変だよねぇ

ゲームを実際に作る時って、個々人で作業の順番とかに違いはありそうですけど、「書いた文章をチェックして、誤字脱字を洗い出したり、或る表現を、より良い表現に置き換えたり、シナリオ上の矛盾を解消する」なんて作業はどこかで必ず入るハズです。

一般的に、「デバッグ」と云われる作業に、こうした文章校正が含まれている事が多いんですが、これが中々大変なんです。
そりゃ、15分ポッキリで読了出来る、くらいの作品規模なら、そこまででもないのですが、プレイ時間が一時間、二時間……と増えていくと、こうした校正の手間は劇的に増えてしまいます。

勿論、執筆者自身が、校正をするというフェーズもあるわけです。ちょっとカッコつけると著者校正って事になりましょうか。
でも、悲しい哉、そもそも著者は「変な文章を書こうと思って執筆しているわけではない」ので、自分の誤りに気付かないって事が多々あります。自分で読み返してみて、「あっ、こりゃ分かりにくいわ……」とか感じるならば、そこは最優先に修正すべきでしょう。

で、自分で自分の誤りに気付きにくい以上、第三者の力が必要になります。
そう、デバッガーの存在です。或る程度の大所帯でゲームを作っているのならば、他のメンバーが総出で、文章を読んでチェックして……ってやればいいんでしょうけど、「何もかも、手作りでやってます」なんて人は、こりゃ、協力してくれる人を探すしかないわけです。

自分の経験や、他の人のデバッグを手伝った経験から云わせて頂くと……やっぱり、「第三者に文章を見て貰う」っていうのは、とっても大事な事だと思います。
別に、「デバッグ」なんて大上段に構えなくても、知り合いに「ちょっと読んで、おかしいとこがあったら教えて」とか頼むだけでも、大分違うんじゃないかな。

しっかりと渡したシナリオを読み込んで、どんな小さな疑問点も漏らさず報告してくれる人……凄く貴重です……。耳に痛い事でもちゃんと云ってくれる人がいるならば、その人を大事にしてあげてください。「ディスられたぜ!」なんて怒らないで、指摘してくれた箇所を、ちゃんと検討すると良いと思うのです。

「俺ぁ、他人の意見なんざいらねぇ!」ってな姿勢も、意外にカッコ良かったりするんですけど、それで「完成度の高いテキスト」を作れちゃう人は、本当にまれなんじゃないかしら。
ここで云う、「完成度が高い」っていうのは、文章的に優れているとかではなく、「誤字脱字や、慣用句の誤り、様々なレベルでのシナリオ上の疑問や矛盾がキチンと解消されているテキスト」だと思って下さい。

文章の巧さとかは、その次のレベルの話ですからね。
そう云えば、作品名は挙げませんけど、「これは、推敲とか全くしていないのでは……?」という作品をプレイした事があります。
誤字脱字は当たり前、日本語としてかなり違和感の残る文章。主語と述語が一致しない……等々、挙げればキリはないんですが、一言で云うと、「表現能力が乏しい」というか。

しかも、その作品は「雰囲気で読ませるタイプ」の作品だったんですよね。
しっかりとしたエピソードが積み重なって、ラストに向かっていく、というのではなく、「全体の雰囲気で感動してくれ」みたいな。

私は、そういう作品ならば、尚更、「それを支える文章」が大事になるんじゃないかな、なんて思うわけです。
文章という土台がしっかりしていて、初めて、その世界観や全体の雰囲気が活きてくるんじゃないかと。ノベルゲームでは、「表現の手段としてのテキスト」が大きな役目を担っていますからね。
でも、それを作った方は、割と自信過剰というか、文章の推敲とかしないタイプでしてw 当然、誰かに文章を読んで貰って、修正箇所を探したり、なんて事はしないわけです。

そういうのは、ちょっと勿体ないよなぁ……なんて思うんですよねぇ……。
イエスマンじゃなくて、ちゃんと問題点を指摘してくれる人に、事前に文章を見て貰っていたならば、その作品も、もうちょっと化けたんじゃないかなぁ。



■で、何すりゃいいのよ?

またグダグダになってきましたけど、著者自らが校正を行う場合と、第三者がそれを手伝ってくれる場合、大きく分けて二つの校正の機会があるわけですが、「何でこれをやらないのかな?」と疑問に思う事があるんです。

何をやるのか、というと、ズバリ「音読」です。
書いた文章、書かれた文章を、実際に口に出して読んでみる。これだけで、不自然な日本語の大部分が追放出来るハズです。

もし、声を出せないような状況なら、「心の中で読んでみる」とか。
漫然と文章を眺めているだけでは気付かない、文章のリズムだとか、違和感なんかが、それによってあぶり出されてくるわけです。

第三者に校正をお願いする前に、著者が音読によって、文章を修正出来ていたならば、その後の校正もスムーズになりますし、誤字脱字みたいな細かな指摘ではなく、もっとシナリオに対して突っ込んだ指摘も出来るようになるかもしれません。


もう一個、文章校正の技を書くならば、「一度プリントアウトして、それを読んでみる」というものもあります。パソコンの画面上で文章を読むのと違い、プリントアウトしたものを読むと、結構色んな発見があるものです。
但し、シナリオ容量が大きいと、かなりのプリント枚数になっちゃうので、そこが難点と云えば難点ですね……。

プリントアウトすると、「紙に直接修正点を書き込める」というメリットもあります。
校正記号なんて知らなくってもいいんです。赤ペンを使って、分かりやすく直せばOK。これが、パソコンの画面上だと、「修正すべき文字列を一度消去し、新たな文章に差し替える」という作業になってしまいますし、「修正前の文章を見たい」という時に不便ですよね。消しちゃってるんですから。かといって、一々バックアップを取っておくのも面倒ですし。

なので、「シナリオ量によっては、プリントが大変」という問題を抱えてはいるものの、実際にプリントアウトして校正する、というのは、結構いい方法なんです。

実際、本とか雑誌とかに文章を載っけた事がある人なら分かると思いますけど、ゲラは、「紙媒体で送られてきます」よね? その後の第二稿、第三稿なども然り。
今の技術とかだったら、それこそ、PDFなり何なりで送ってしまえば、切手代は掛からないし、印刷代も掛からない。けど、今でもアナログな方法で多くの出版物は校正されている、という事を考えると、やっぱり、そこに何かメリットや、デジタルデータに勝るアドバンテージがあるんじゃないでしょうか。

今、ちょっと調べてみたら、PDFを利用した電子校正なんてのも、やっぱりあるみたいです。
けど、やっぱり、世の中の大多数の原稿は、アナログな紙媒体で校正されている、と思いますよ。



以上、校正にまつわる話をちょろちょろしてみました。
「音読する」なんてのは、すぐに使える技だと思うので、どうぞお役立て下さいまし。


それでは、今日はこの辺で。
あっ、あと、NMの方でも少し動きがあります。リニューアルのような大きな変更ではないのですが、使い勝手を向上させる為の、企画が動いている事、お伝え致します。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2014-06-13 21:11 | サウンドノベル | Comments(4)
2014年 05月 24日

フリーサウンドノベルレビュー 『硝子の月-Retrouvailles-』

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今日の副題 「周回プレイの愉しみ」

ジャンル:学園ノベルゲーム(?)
プレイ時間:一周5時間くらい。
その他:選択肢なし、一本道。
システム:NScripter

制作年:2012/12/17
容量(圧縮時):86.5MB




道玄斎です、こんにちは。
今日は、珍しくも丸々一週間くらい掛けて読んでいた作品のご紹介。一応「学園ノベルゲーム」って事にしてありますけれども、実は結構奥が深い作品で、そこら辺を軸にしながら何かお話出来たらな、と。
というわけで、今回は「森野いづみ」さんの『硝子の月-Retrouvailles-』です。ダウンロードはこちらからどうぞ。
良かった点

・周回プレイで魅力が出てくる、不思議な作品。

・かなり緻密に組み上げられた物語世界。


気になった点

・見やすさ/分かりやすさを、もう少し追求しても良かった。

・色々考察が出来、懐が深い反面、分かりにくい部分も。

ストーリーは、ふりーむから引用しておきましょう。
「この世界は、僕達用には出来ていないんだよ」
 それは昔、彼の大切な友達の言葉。
 それから数年の月日が流れて、高校生になった少年は、どこか歪な、だけど変わらない日々を過ごしていた。

 彼の周りに集まるのは、世界から弾かれた少女達。

 一人は、花の様な容姿の転校生。
 一人は、規律正しい幼馴染の委員長。
 一人は――美しい白銀の髪を持つ、白い少女。

 そして――


 ――この世界に、君の生きる場所はあるかい?
   世界の終わりはまだ遠く――

こんな感じ。


さて、ノベルゲームのレビューと云っても、当然、「書きやすい」タイプの作品もあれば、「書きにくい」タイプの作品もあるんですよね。ストーリーが理解しやすいものは書きやすいですし、ストーリーそのものが難解だとやっぱり書きにくい。
そうした分かりやすさの問題とは別に、「これはネタバレせずに書くのは困難だなぁ」なんて思う場合も、やっぱりちょっと書きにくいですよね。

それは兎も角、今回取り上げる作品も、ちょっと書きにくいな、と思ったのは事実なんです。
一つは、一周しただけでストーリーを理解出来る人は多分いないでしょうし、同時に二周目以降のプレイで明らかになるネタをバラしちゃうのは、ちょっと忍びない。

と、いつもだったら泣く泣くスルーしてしまう所だったんですが……実は本作、私のノベルゲーム友達に猛プッシュされたんです。


友人「確か、同じ作者さんの『Good Days』はプレイしてたよな? 『硝子の月』はやったのかい?」

私「いやー、それがねぇ。何となく手を出せてないんだよねぇ」

友人「いや、これ、もう最高だから、絶対にやってくれよ!」

私「そこまで云うなら、ちょっとやってみるよ」


というやり取りがあったんですね。
しかも、その友人、ただのノベルゲームファンってわけでもなくて、某作品にスタッフとして参加していたり、かなりディープなノベルゲーマーなんだよ。自作の作品を作った経験こそないものの(作りかけて頓挫した経験アリ)、片足くらいは「制作者」の領域に突っ込んでいるような、そういうタイプ。

そんな友人が、ここまで猛プッシュするって事は、いい作品なんだろう、と思って、チマチマとプレイを開始したんだけど……。


友人「おい、やってるか?」

私「うん、今日から読み始めたよ」

友人「今、どの辺りだ?」

私「えっと、今、○○と○○がこういう話をしていて……」

友人「いいとこまできたな。ところで、その前のシーンのアレ、どう解釈した?」

私「え……あれはさ、○○が△△だって事でいいんじゃないの?」

友人「なるほどね。そういう解釈か。読了した暁には、お互いの解釈を語り合おうか」

私「お、おう……」


ってな、やり取りが連日ありましてw
で、今のやり取りで分かって貰えると思うんだけど、「尺は長目」そして、「解釈を求められるような難解さがある」って事なんです。

私も丸々一週間、この作品に付きっきりでした。
もう、本当に一周しただけじゃ分からないんですよ。取り敢えず、表面的に起こった事象を追いかけていく事は出来る。けど、その背後にあるコンテクストがどうにも理解出来ない。というか、もっと積極的にミスリーディングさせていくような、そういう手触り。

二周目以降の楽しみをツブしちゃうのはアレなので、ボカしながら書いていくと、本作の主人公(という云い方が一番いいか)は、離人の凄いヤツを患っているらしい。それが故に、所謂「生きづらさ」みたいなものを抱えて生きている、という設定です。

ところで、離人って分かりますか? 作品中では「俯瞰で物事を見てしまう」みたいな説明があったと思うんですが、もうちょい補足しておきましょう。
例えば、あなたがいつものように、ノベルゲームをプレイしていたとしますよね。右手をマウスに添えて、クリックしながら物語を読み進める。いつもの光景です。

それが、何かの拍子で、フッと画面から目を逸らして、マウスに添えた自分の手に一瞥くれたとしましょう。
普通の人なら、何も思わないんです。「おっと、いけねぇ。続き読まなきゃ」ってな具合に、またゲームに没入出来る。
一方、離人の場合は、何気なく見た自分の手が、「自分の手と即座に認識出来ない」んです。「あっ、マウスに手が置いてある!」みたいに、自分の手のハズなのに、その一体感が薄れてしまうんですよ。自分の身体が自分のものでない感覚。それが離人の第一歩。

それが、もっと酷い事になると、「自分が自分でない」みたいな感覚になっていくらしいですね。
本作の主人公が罹っているのは、そういう症状です。そうした悩みを抱えた主人公を軸に、物語が進んでいくんですが、第一章(Moon Dream)は分かりやすいんです。
勿論、謎もたっぷりあるし、凄い気を持たせるような、意味深の発言はてんこ盛りなんですが、何とか追っていける。


問題は、第二章(Sentimental syndrome)以降なんですよね。
多分、一周目では、何がなんだかサッパリ分からないんじゃないでしょうか? 私は最初、「実はSFだったのか!」と軽く衝撃を受けたんです。SFでお馴染みのアレじゃないかと思ったわけですね。で、確かに、そう解釈すれば、一本道にも関わらず、「ヒロイン級」の女の子が何人も出てくる説明はつくんです。

こっちではこの人だけど、あっちではあの人。
みたいに、多様な人間模様が描けるわけですから。それに作者さんはスティーブン・キングとか好きそうだしね。けど、作中でその説がバッサリ否定されて、謎を深めたまま、一周目が終わってしまいました。


で、一周すると作者さんの後書き(兼ネタばらし)が読めます。
そして、二周目にいくと、かなり気持ちよく今までの謎が解ける。更に「ネタバレモード」が選択出来たりするので、そういうのを利用すると、物語の謎の大部分が解けるようになります。

この、一周目は謎を大量に散りばめて、二周目でそれを回収させる、というのは、(プレイする方にも)手間暇が掛かる仕掛けですけど、意外と面白いものですね。一種の爽快感すらあるわけで、「こりゃ確かに中々凝った、面白い作品だぞ」と。
よーく、注意して見ていると、同じような台詞(って云ってもいいのかな)でも、それが平仮名なのか、カタカナなのか、で実は違いがあるとかね。

結果、私は三周したわけなんですけど(部分的にはもっと回ってるんですが)、繰り返し読めば読むだけ、理解が深まっていく、という構造は、ホント面白いと思いましたね。
取り敢えず一回プレイしちゃえば、全部分かってスッキリするよ、って作品がある一方で、こうした複数回プレイを求めてくるような作品ってのも、意外と味があっていいもんだなぁ、と。

ともあれ、かなり緻密に計算されて作ってある物語世界なんですよ。
この作者さんは、物語を作る力がありますよね。『Good Days』は、比較的シンプルな作品でしたけど、本作の複雑な構造は、中々作れるもんじゃないと思いますよ。


さて、一方で気になった点ですが、もう少し、見やすさや分かりやすさを考慮に入れても良かったかな、という所がまず挙げられます。

全画面表示タイプの作品(本作も基本それです)の場合、地の文と会話文の間に適度なブランク行があった方が見やすいんじゃないかな、なんて思ったりするんです。

私が好きなのは、さっきの私と友人との会話のように、地の文と会話文の間には「二行」ブランク行を設ける。会話文が連続する場合は「一行」ブランク行を空け、また地の文に戻る際に「二行」空ける。
そういうスタイルです。地の文と会話文を明確に分けてやって、読みやすさを確保する、って事なんですけど、意外とやってる人が少ないみたいですね。

こうした見やすさに関連して話すと、かなーり誤字が多いので、そういうトコが少し勿体ないかもです。
「僥倖」が「行幸」になってたりして、それじゃ、帝のお出かけだよ! って所があったりw 
こだわりや、作りたいモノの方向性との兼ね合いだと思いますけど、「出来れば易しい言葉を使う」「無理に漢字にしない」なんてのは、ちょっと意識すると、大分読みやすくなるんじゃないかな。

何しろ、ストーリーそのものに掴みにくい所があるわけですから、体裁的な部分でも読みにくくなっちゃうと、ちょっとプレイヤーの負担が増えちゃうんですよね。


もう一点は、「それでも分からない問題がある」って所。
昨晩も、友人と語り合ったんですよw お互いの疑問を持ち寄ってね。

ここで初めてキャラクターの名前を出しますけど、本作の裏の主人公っていうのかな、そういうのは多分、アイリスって事でいいんじゃないかしら? 銀髪の美しい少女です。
私の読解だと、主人公と鏡像関係にあるような、そういうキャラだと思うんです。ネタバレモードで、二周目を見れば、多分、そういう感想は出てくると思いますが。

よって、アイリスっていうのは、本作において物凄いキーパーソンなんですよね。
クールビューティーと称される丙さん、聖女と呼ばれる敷野さんよりも、物語の核心にグッと食い込んでいるっていうか。

で、本作は、そのアイリスの発話によって幕を下ろします。
その時のアイリスの発言、それがまた意味深長で、且つ、理解しづらいんです。作品の〆としてはバシッと決まった感はあるんですが、真面目に考えると、良く分からなくなっちゃうんですよ。

一応、私が考えたのは……「二周目以降をプレイする事によって、プレイヤーは二つに分かれていた(と思われた)世界を一つのものとして統合出来る。けど、最後の最後で、二つの世界の境界線上にいるようなアイリスの発話を以て、その統合の認識が本当に正しいのかどうか、プレイヤーに揺さぶりを掛ける」みたいな、感じなのかな、と。
だから、実質的な意味はあまりないんじゃないかとw 昨晩もこの問題は決着が付きませんでしたw

たまにSFで、そういうのありますよね。
或る認識と、別の認識の二つがあって、結局は一方が正しい、って事になるんですけど、最後の最後で、やっぱりもう一方の認識の存在感が増してきて、世界や、認識そのもののあやふやさを感じさせる、みたいなね。
それと同種の表現方法、なのかなぁ、という感じ。

アイリスに関しては、本当に分からない事が多いんですよ。
そもそも、中学編で、アイリスが主人公と出会った時、本来ならばアイリスには二つの認識の選択肢があったと思うんです。けど、アイリスは疑いなく、その内の片方を選択してしまい、それが、物語の始発部に繋がっていく……みたいな。


そういう語られないというか、明らかにならない部分は、気になる所でもあり、且つプレイヤーに思考で遊ばせてくれるというか、そういうプラスの面もあるんですよね。


そういえば、本作の一応のヒロインは、学校の先生、みのぎちゃんです(裏ヒロインはやっぱりアイリスでしょう!)。今回のスクリーンショットの人ですね。最初は、「物語に於ける役割が希薄なので、この人がヒロインなのは何だか納得がいかん!」と思ったんです。勿論、キャラそのものは物凄く好みだったんですがw

けど、逆に、物語による負の束縛みたいのが無いからこそ、彼女はヒロインになり得るのかも……と、複数回プレイしていく内に考えが変わりましたw ホント、今回一番云いたいのは、「複数回プレイすると作品の見方が変わるよな」ってトコなんですw
当たり前っちゃ当たり前なんだけど、最低二周しないと、物語が掴めないような、そういう作品だったわけで、改めて「複数回プレイの良さ」みたいのを教わった気がします。


時には、一周ではスッキリしない作品に、腰を据えて取り組んでみるのもいいんじゃないでしょうか?
今回は、迷った末の無印ですが、私の友人のように、「吟醸」や「大吟醸」だと感じる人も絶対にいるはずです。好みが別れそうなところではありますが、気になったら、是非プレイしてみて下さい。



それでは、また。



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by s-kuzumi | 2014-05-24 16:35 | サウンドノベル | Comments(17)
2014年 05月 18日

フリーサウンドノベル関係の雑記 箸休めvol.63

道玄斎です、こんにちは。
今日は、以前軽く予告しておいたお話をしようかな、なんて思っています。
本当は、猛プッシュされている作品があるので、それをプレイするのがいいのかも、なのですが、ちょっと長そうだから、こうやっていつものようにワンクッション入れるのでした……。



■悪友達に愛の手を!

前回、『メモリア-day of memory-』という作品をプレイした時に、お馴染みの悪友ポジションの竜司というキャラが気になってしまいました。
正確に云うならば、その竜司を起点として、「悪友とはなんぞや?」という、大きな問題が気になり始めたというか。

『メモリア-day of memory-』の時に書いたように、「悪友にもちゃんと見せ場があるといいよね」という結論自体は変わらないのですが、同じ事を繰り返して書くのも気が引けるので、ちょっとだけ角度を変えて考えてみましょう。

昨晩、いつものように眠れない夜。
「悪友って何だろう?」と考えていたわけですが、「悪友→ノベルゲームではお馴染みのキャラ→ノベルゲームでの定番の存在?→ノベルゲームって何?→そもそも物語とは?」みたいに、思考が及んできました。



■物語と欠損

私にしては珍しく、深入りしているというかw
で、まぁ、色々グダグダ考えたんですが、ここは一つ、思い切って大上段に振りかぶって云ってしまいましょう。「物語とは“欠損”を埋める創作物」だと。

所謂、「無気力高校生、聖母のようなヒロインと出会う」型の作品なんかでも、主人公は「やる気」だったり、「生活のハリ」だったりが欠損しているわけですよね。
或いは、「謎めいた女生徒が転校してくる」型でも、その女生徒は、何か秘密を抱えていて、それが為に苦悩する。そこに欠損がありますし、下手をすれば、それが主人公の失われた記憶(これも記憶の欠損だ)とリンクしていたりして。

もっと分かりやすい例だと、主人公は既にして、肉体的な欠損があり、それを乗り越えて、何とかやっていく道を探す、みたいなタイプの作品がありますよね。有名な所だと『Brass Restoration』とか。

欠損っていうと、ちょっと大袈裟な気もしますけど、「腕を切断しちゃった」なんて分かりやすいものから、「そのキャラクターが内側に秘めているコンプレックス」みたいに、分かりにくく、且つ、そのキャラの「認知」の問題で起こる欠損なんかもあるから、実は、かなり幅広い概念で、何だかんだで、色んな作品に当てはまっちゃうんですよねw


■キャラクターの魅力

で、ノベルゲームなんかをプレイしていて、「お、何かこのシーン、いいじゃねぇか……」と思う時って、告白成功後のラブラブシーンなんかはさておいて、「キャラクターが非常に人間らしい悩みで葛藤する」所だったり、或いは「そうした葛藤を乗り越えていく、キャラクターが成長していく様」だったりしません?

私は個人的に、どうも超人的な主人公には、あまり感情移入出来ないんですよ。
人間らしい弱さもちゃんと持っていて、それに真正面から向き合って、折り合いを付けていく、みたいな、定番ではありますが、そういう魅力があると、プレイヤーも感情移入しやすくなるんじゃないかしら。
あとは、普段はちゃらんぽらんだけど、ここぞ、という時には熱い行動力を発揮したり、とかもね。



■そして悪友に戻る

主人公やヒロインっていうのは、さっきの説に従えば、欠損を軸にしながら、それを乗り越えて成長していくものです。だからこそ、そこにドラマが生まれるわけです。

一方、悪友っていうのは、主人公やヒロインの周りをうろちょろして、イジられたりイジメられたり、と、あまりドラマがないんですよね。所謂賑やかしだったり、ギャグ要員としての「面白さ」はあるものの、「ドラマのある面白さ」を感じさせない、というか。

もっと云うと、主人公と悪友の間には、優位/劣位の関係があって、飽くまで主人公の方が上、みたいなのを感じさせる作品も多いですよねぇ。
中には、本当に悪友が可哀想になっちゃうような、そういう作品もあったりしますからw

けど、もし、そうした主人公と悪友の間に優劣をあまり感じさせず、悪友は悪友としての人間的なドラマがあったなら……その悪友はもはや単なる悪友ではあり得ず、立派な助演者としての地位を確立出来るんじゃないかな、というのが、私の主張です。

私が今まで取り上げてきた作品で云えば、『電波電波カプリッチョ!』の明夫なんかは、悪友というか、もはや「舎弟」なんですけど、そういう典型的な「イジられキャラ」のイメージを強く見せつけておきながら、或るルートでは、主人公に対し反旗を翻すような所があったりして、ドラマが生まれています。
しかも、典型的な悪友的キャラとの落差、という部分でインパクトを残しますし、かなり面白い、独自性のある設定だったと思いますよ。

他には、割と最近プレイした『箱庭のうた』なんかは、更に一歩進んでいた印象があります。
プレイしてみると分かるんですが、色々キャラは出てくるんですが、飽くまで「主人公の友人」であって、「悪友」みたいな感じのキャラがいないんですよ。それに近いキャラとして、夏之ってのがいますけど、彼も亦、ただのウザキャラやバカキャラじゃなくて、妹の為に一肌脱ぐみたいな所で、一般的な「悪友」と違う事が示されます。

『箱庭のうた』は、主人公とヒロインを軸とする物語と平行して、「仲間の物語」が描かれており、それぞれのキャラクターはその「仲間」の一員である、という描かれ方なんですよね。
となると、もはや、そこには「悪友」的ポジションのキャラは存在せず、それぞれのキャラクターが、物語内でそれぞれの人生を歩んでいる、という感じで、物語そのものに深みや厚みを感じる事が出来ます。

『電波電波カプリッチョ!』の様に、悪友(舎弟?)のテンプレを使いながらも、それを裏切る、みたいな変化球も面白いですし、『箱庭のうた』のように、「(それぞれにちゃんとキャラが立っている為)もはや悪友と呼べるようなキャラがいない」みたいな設定にしても、魅力的。

「ま、学園恋愛ものだし、悪友出しとくか……」みたいな、惰性での悪友の登用ではなく、何か、目的意識を持った悪友の起用だったり、悪友を魅力ある一人の人間として描けるのならば、その時、悪友は単なる悪友を越えて、物語の名脇役になれるのではないでしょうか。



■色々あるんだけどもね、実際

と、まぁ、主張は同じなんだけど、ちょっと回り道をしながら、色々話してみました。
例によってちょっととっ散らかった感じはありますけど、「悪友達に愛の手を!」というのが、今回のお話のテーマです。

あまりに不遇な悪友達を、もっと積極的に活かしてやってもいいじゃないか、という事ですね。
何も、強烈な存在感を放たなくても、「その世界に確かに生きている」感触が伝わってくるだけでも、随分違うんじゃないかな、なんて思いますよ。

ちょっと恥ずかしながら、大鉈を振るって、「物語とは」みたいな話もしましたけど、当然、例外はありますよね。「○○という作品では、欠損なんてどこにも出てこねーよ!」みたいな反応は当然あると思いますw
一々例外を挙げて、「○○という作品ではその限りではないが」みたいな文章を入れる、ってのも一つの案ですけど、それはめんどくさいし、そこらへんは読解力っつーか、そういうので察して下さいw

けど、「欠損」っていうキーワードで、解釈出来ちゃうものも結構多い、というのも、亦事実なんじゃないかな、と思いますよ。
少し広く解釈していけば、ミステリー作品なんかでも、「事件の真相」という欠損が、読者を惹きつけていくわけですし、その真相を突き止め、還元すれば、その欠損を埋めた所で物語は幕を下ろします。


まぁ、鵜呑みにしないで、話半分で聞いて下さいなw
私のどうしようもない思索が、誰かの考えの種の一つにでもなれば幸いです。


というわけで、今日はこのへんで。

これから、お勧めされた作品プレイしてきます。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2014-05-18 17:12 | サウンドノベル | Comments(0)
2014年 05月 08日

フリーサウンドノベルレビュー 『メモリア-day of memory-』

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今日の副題 「超王道に癒されろ!」

ジャンル:学園恋愛ノベル
プレイ時間:5時間程度。
その他:選択肢アリ。されど、メインのストーリーには変化無し。15禁。
システム:NScripter

制作年:2014/3/3(ふりーむ公開時)
容量(圧縮時):250MB




道玄斎です、こんばんは。
今日は、連休中にちまちまプレイしていた作品のご紹介。非常に王道的な作品ではあるものの、しっかりと作られた作品でしたよ。
というわけで、今回は「エロゲ道は一日にして成らず」さんの『メモリア-day of memory-』です。ダウンロードはこちらからどうぞ。
良かった点

・こっちが恥ずかしくなってしまうような甘酸っぱいシーンが大目。

・テンポの良さはかなりのもの。五時間のプレイが比較的楽。

・愛らしいヒロインに癒される。


気になった点

・ヒロインである所の愛が、喋られない、という設定に、もう一工夫欲しかった。

・悪友竜司の扱いがひどいw

ストーリーは、ふりーむの方から引用しておきましょう。
―日常系恋愛アドベンチャーゲーム―
桜が咲き乱れる四月。亀岡高校二年生になった赤坂天馬はバカな悪友、戸塚竜司。天敵の華山明日香。そしてしゃべれない友人、神山愛と同じクラスになる。
そんなある日、天馬はひょんなことから愛と一緒に学級代表をやることになる。 スケッチブックでしか会話できない愛と悪戦苦闘しながらなんとかクラスをまとめる毎日。 そんな矢先、学級代表としての一番初めの大きな仕事、春の文化祭が迫って来ていた。
問題ばかりの日常。動き出す青春。はたして天馬たちは文化祭を成功させることが出来るのか。
――思い出に残る日常が今、始まる。

こんな感じです。


いきなり脱線しますけど、一昔前は、ノベルゲームのコンテストっていうと、ふりーむのゲームコンテストか、或いはVectorのレビュー(厳密にはコンテストではないけど)で取り上げられる、くらいしかありませんでした。
中には、主催者がいて、レギュレーション有りの小規模なコンテストが行われる、なんて事もありましたけどもね。

でも、私もちょこちょこ言及していますけど、最近、「ゲームの実況」というあり方が一般的になってきてまして、そうした状況もあって、ニコニコ動画の方でゲームのコンテストが行われているようです。「ニコニコ自作ゲームフェス」ってヤツですけども、ご存じの方も多いのでは?
私も、今、ちょっとその規約なんかを見てみたんですが、かなりユルいです。紹介動画を作るスキルさえあれば(まぁ、他の人に頼んでもいいわけですが)、結構気軽に応募出来るみたいです。

一方、昔からある、ふりーむのゲームコンテストは、「ふりーむ以外の場所にゲームを置く事」が禁じられてしまいました。自分のサイトであってもダメ、という結構厳しい条件です。。
しかし……「ニコニコ自作ゲームフェス」の協力企業に、ふりーむが入っているという謎……w

と、のっけから大幅脱線しましたが、本作『メモリア-day of memory-』もニコニコ自作ゲームフェスに登録されている作品です。

ストーリーは、先ほど引用した通り。
更に「学園恋愛モノ」「文化祭を一つのテーマとする」「悪友がいる」「暴力癖がある女の子アリ」なんて、特徴を挙げていけば、自ずと「ああ、このタイプね」と分かってしまうような、超王道作品だとひとまず云えましょう。

一応、選択肢があり、選択肢直後の文章は多少変化するのですが、実はヒロイン固定の一本道です。
ヒロインは、喋る事が出来ない大人しめの少女、愛です。スケッチブックに素早く文字を書き込む事で、他の人との会話を成り立たせているという設定ですw

本作の魅力を支えているのは、この愛のキャラクターなのかもしれません。
大人しめだけれども、実は芯にシッカリしたものを持っている。何と云っても可愛い。そして主人公に無限の愛情を注いでくれます。大人しめ、或いは無口系ヒロインの系譜を引いているわけですが、非常に魅力的で、安心感を持ってプレイ出来ます。やっぱり、ゲームの中でくらい、思いっきり愛されたいもんね……。

で、お馴染みの悪友ポジションの竜司、そして愛の親友で暴力癖のある女の子明日香が、主人公天馬、そして愛を取り巻く主要人物です。

ちょっとこの悪友については、考えたい事もあるので、また日を改めて何か書きましょう。。
本作と関係のある所で、少しだけ言及するとすれば、「ちょっと、この手のキャラは不遇すぎるんじゃないかなぁ?」という、素朴な疑問があったりするのですw

主人公と一緒になってバカをやる。これも悪友の典型的なパターンですけど、もう一つの軸があって、それは「とにかく、主人公(やヒロイン達)からイジられる」という、そういう役目です。
イジりと、イジメの境界線って凄い難しいと思うのですけど、「これは、もうイジメの域に入ってるよなぁ」なんて感じる事も屡々です。本作をプレイしていても、ちょっと思いましたw
脇役が単なるバカキャラ、そしてイジられキャラを越えた存在感を発揮する時……その作品は、一味違うものになるのではないか、と思うのです。


ま、それはさておき、ストーリーは非常にスムーズに進んでいきます。
冒頭部で示される、愛と天馬が、学級代表になって、クラスをまとめていく、みたいな下りは、物語の始発部としていい感じです。
天馬は、所謂「女心に鈍感」なタイプなのですが、主人公らしい熱さを持ったヤツで、グイグイと愛、そして物語を引っ張っていきます。

愛と天馬は、学級代表になり、文化祭を成功させるべく動く中で、例によって例の如く、恋仲になっていくわけですが、その、意識し合う二人のやり取りが、きゅんきゅんしちゃうんですよねw 甘酸っぱさ全開で、読んでいるこっちが恥ずかしいというw 何て言うか、少女漫画を読んでいて、一人で「うわー!」とか叫んじゃう感覚に似ていますw

オーソドックスだけれども、こういう時代が変わっても楽しめるポイント、っていうのは多分存在していて、そういうのが、王道の持つ力の一端なのかもしれませんね。

ちなみに、このきゅんきゅん具合は、天馬と愛のやり取りだけではありません。
本作に於ける名脇役、明日香の立ち位置や言動が、またきゅんきゅんしちゃうんですよ。私は、どっちかっていうと、愛よりも、明日香の方が好きだったなぁ……。詳しくは是非、プレイして確かめてみて下さい。


さて、気になった点の最大のものは、愛の「喋る事が出来ない」という設定です。
その設定が、実はキャラの味付け以上の意味があまり無い、という所なのです。別に愛を、「非常に無口な女の子」にしても、実はストーリー的な破綻は起きないんですよね。
確かに、スケッチブックを介してのやり取り、みたいなものが、後半の見せ場になっている部分はあります。が、これもちょっと他の小道具を使うなり、工夫してやれば破綻は起こらない。

愛が喋られない、という一つの大きな特徴が、グッと活きてきて、この物語独自の良さや面白さをもっと見せてくれたら、と思うわけです。


そういえば、本作は15禁でした。
イラスト的なアレでしたら、せいぜい下着姿くらい。描写的なアレでしたら、せいぜいディープキスくらいなので、実はそこまでエロくありません。ちょっと際どい単語が出てきたりはしますけどもねw


非常に良く目にするタイプの、王道学園恋愛ノベルです。
15禁になっていたり、ヒロインが喋られない、なんて特徴はありますが、奇を衒ったものではなく、王道を昇華させていったような、そういう作風だったと思います。
凝った物語が作れる、というのが同人ゲームの一つの面白さではあると思うのですが、一方で、安心感のある作品もやっぱり、みんなが好むものの一つの方向性なのでした。

ちょっぴり尺は長目ですが、テンポは良いので、意外とサクサク読めると思います。
ストレートできゅんきゅんしちゃう恋愛物語に是非、癒されて下さい。



それでは、また。



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by s-kuzumi | 2014-05-08 20:31 | サウンドノベル | Comments(2)
2014年 05月 03日

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『明日へ踏み出す、僕の物語』

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道玄斎です、こんにちは。
今日は、ちょっと気になっていた短編作品をプレイしました。プレイ時間が凡そ20分程度でしたので、いつものように番外編で。
というわけで、今回は「Project TKM」さんの『明日へ踏み出す、僕の物語』です。ダウンロードはこちらのページから指示に従って下さい。

過去に、このサークルさんの『forever more ~俺と彼女の、奇跡の5日間~』を取り上げた事もありました。また、レビューこそしていないものの、『夏色流星群』という作品もプレイしています。
このサークルさんの特徴は、「新王道宣言」なるものがなされている事からも分かる通り、王道の良さや面白さを追求していく、そういう作風のようです。

が、本作『明日へ踏み出す、僕の物語』は、実験的な要素もあるようで、王道とは違う、暗めのストーリーとなっています。いや、もっと云ってしまえば、「ストーリー」というよりは、その一部のような手触りです。

主人公は所謂引き籠もり。
大学三年時に、或る事件があって以来、人間不信に陥り、部屋から出る事が出来なくなってしまいます。そんな彼が、何とか引き籠もりからの脱出するきっかけを見つけた……という所で、物語は終了です。
もう少し長い物語でしたら、本作の内容は「序章」や「第一章」に相当するような、そういう感じでしょうね。

何とか引き籠もり脱出のきっかけを見つけた主人公が、これから奮闘して、少しづつ大袈裟な云い方で云えば、社会復帰を目指していく。ただ、その道は順風満帆ではなく、色々な困難を伴ったものである……。
みたいな、全体のストーリーがひとまず想定されるのですが、本作はそうした大きな物語の一部、という印象があります。

故に、この作品が、何か未完成のダメな作品か、って云ったら、それも違うなぁ、と思うのです。
確かに実験的だと思いますし、起承転結(や、序破急)みたいなストーリーの流れも薄め。
けど、主人公が悩む事となる、過去の出来事に関する描写が限りなくリアル。「こ、これはもしや実体験なのでは……」と思わず考え込んでしまうような説得力が存在しています。

主人公の身に降りかかった出来事とは、ご多分に漏れず「女性絡み」の問題です。
この主人公の過去の回想が兎に角リアルで、「いや、こういう事ってマジで良くあるよな……」とw
そして、男の方は、女性から手ひどく袖にされると、結構傷つくものなんです。半年とか一年くらい、それを引きずるなんて当たり前。数年引きずってしまう、なんて事だって良くあるんです。

大体……女性の方から別れを切り出される時って、女性の方には次の相手が既にしているんですよねw だから安心感を持って、今付き合っている相手を捨てる事が出来る。一方、男の方は、別れ話が青天の霹靂なわけで、取り乱して、醜態をさらす事に。男ってバカな生き物です……。

でも……。そんなに何年も引きずってしまうくらい相手の事が好きだった。その気持ちくらいは自分で褒めてやってもいいんじゃないでしょうか? 世の中には女と男がいるわけで、そういう手ひどい振られ方、なんてのも実は割とありふれたものです。

女性みたいに直ぐに気持ちが切り替えられる、っていうのは、ちょっと羨ましい気はしますけれども、そう出来ない以上は、何とかそれでやっていくしかないわけで。
そこまで相手の事を好きでいられた自分、を肯定してやる、っていうのは意外と大事なのかもしれませんよ。勿論、ストーカーとかになっちゃダメですけどw

こういう問題って、女性の側にも当然問題があって、既に新しい相手がいて、早く目の前にいる男と縁を切りたいのは分かるんだけど、なんつーのかな、とりつく島がなさ過ぎるというか。
新しい相手を作る前に、ちゃんと別れるというプロセスを経て、それから次に別のヤツと付き合えばいいじゃないか、と。そして、或る程度納得感というか、「別れる」という合意を形成して欲しいですねぇ。

本作のように、別れ際になって、今までの不満をぶちまけられたり、こちらの話を100%聞いて貰えない、なんて状況になったら、本当に男は多大なダメージを負ってしまうのです!
そういう時に、方便というか、「優しい嘘」というのも大事なんだと思いますよ。何も今までの恨み辛みを云わなくたって、円満に別れる方向っていうのも残ってると思うのです。優しい嘘が、男女を救うのではないかと、私は思ってますw


と、まぁ、ど派手に脱線しましたけれども、主人公の過去の重さ、そしてそのリアリティが、プレイヤーに何かを突きつけてくるような、そういう激しい何かを感じさせてくれる、という点で本作を取り上げる事にしました。
「こんな酷い体験した事ねーよ!」って人もいるでしょうし、「俺は別に女に袖にされたからって引きずらん!」って人もいるでしょう。

けど、ある種の人には、物凄く響く作品だったのも、亦確かな事だと思うのです。たまには、一般的な意味での「面白い作品」ではなく、こういう、人を選ぶかもしれない作品も紹介したいですよね(ちょくちょくやってるつもりなんですけどもね)。

こうした実験的な作品を経て、次にリリースされる作品がどんな「王道」になっているか、今から楽しみにしています。女性……にはあまり響かないと思うのですが、恋愛で苦い経験のある男性は、ちょっと痛いかもしれませんが、プレイしてみると面白いと思いますよ。



それでは、また。



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by s-kuzumi | 2014-05-03 17:49 | サウンドノベル | Comments(0)
2014年 04月 26日

フリーサウンドノベルレビュー 『未来都市2』

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今日の副題 「今度は王道、宇宙のSF」

※吟醸
ジャンル:SFアドベンチャー
プレイ時間:~3時間程度
その他:選択肢が一箇所アリ。内容自体はそこまで変わらない。
システム:NScripter

制作年:2012/10/24(Ver.1.00)
容量(圧縮時):119MB




道玄斎です、こんばんは。
大分、体調も良くなりまして、今日からまたボチボチ、積んでいたゲームを消化していこう、と思ってます。
取り敢えず、手始めに、私の好きなSFモノから行こうかな、という事で本作をチョイス。
というわけで、今回は「WORLD COMICS」(Twi☆Light)さんの『未来都市2』です。ダウンロードはこちらからどうぞ。
良かった点

・一章が程よい長さで区切られている為、サクサクとテンポ良く読んでいく事が出来る。

・90年代のアニメの様なイラスト。私は凄い好みです。

・或る意味で直球のSF作品、宇宙モノが好きなら是非どうぞ。


気になった点

・ラストが妙にあっさり。選択肢に拠る分岐と併せて、もうちょい余韻を残してくれたら良かった。

・もう少し掘り下げて欲しいキャラも居たり……。

ストーリーは、ふりーむの方から引用しておきましょう。
未来世界を描いたSFノベル第2弾。
今作では舞台を宇宙へ移し、最後に残された
人類の選択が描かれる。

時は宇宙開拓時代―。
新たに開拓された惑星で安住していた人類だが
ある日、惑星崩壊という不吉な噂が流れる。
そんなフロンティアへ現れた青年イツキは
とある少女を助けた事で壮大な運命へと
巻き込まれてゆく…。

前作とは世界観のつながりはあるものの、
独立したストーリーなので初めて読まれる
方も問題ありません。

という事で、以前、私も取り上げた事のある『未来都市』の第二弾です。
ストーリー説明に書いてある通り、本作『未来都市2』は、「2」という表記ではあるのですが、実質的に続編という形ではなく、独立したストーリーになっています。なので、本作から読み始めても、全く問題ありません。

さて、『未来都市』が、海底のSFという、比較的地味な(けど、物凄くSFらしい)舞台だったのに対して、本作では、舞台が宇宙に移ります。
舞台背景としては、今から数千年先の未来。人類は地球を捨て宇宙に飛び出してきました。そして、ある星に定住する事になるのですが、その星も崩壊の危機が迫っており……。

と、これまた物凄くSFらしい設定で、特に宇宙モノが好きな人にとってはたまらないんじゃないでしょうか?
何度も書いてますが、私もSFって凄く好きなんですよ。かなり懐の広いジャンルでしょう? 本作のような宇宙を舞台とするようなSFがあるかと思えば(ハードなものも、『スターウォーズ』のようなスペースオペラもある)、ミステリーと意外なほど親和性が高かったり、近年リバイバルしているクトゥルフ神話のような、ホラーとも仲良く出来る。

本作は、かなり「分かりやすいSF」である事は確かです。
その星の人間を全て収容出来るような、巨大な母艦があったり、ちょっと『マクロス』っぽいかもしれませんね。本作にも、世界のアイドル的な女の子いますし、ね。

本作をプレイして、すぐに気付くのは、そのテンポの良さです。
最終話を入れて、全部で9章あるんですけど、8章までは、一つの章の長さが15~20分程度なんです。最終話は流石にちょっと長いんですけど、一つ一つのチャプターが凄い計算されて作られてるな、という感じがしますね。

ストーリーも無駄がなく、引き締まっていたと思います。
主人公イツキのキャラも厭味がなく、云ってしまえばありがちな造型ではあるんですが、好漢。
それなりに登場人物が多いんですが、どのキャラクターも魅力的ですよね。イツキと同居する事になる、ヒロコとマコトを始め、チーフのアキ、超お嬢様兼アイドルのユミもいい味出してます。

スクリーンショットを見て頂ければ分かるように、90年代のアニメのような雰囲気のイラストが、キャラクターの魅力を増してます。
ちなみに……作中で、ブラウン管のテレビだとか、結構レトロなモノも出てきますが、それはヒロコとマコトの趣味という事になってます。宇宙開拓時代のSFには合わないような気もするんですが、そこら辺は恐らく、素材調達の関係でしょうね……。そうした点を以て、「SFらしからぬ!」と云うのは簡単なんですが、そのくらいは目をつぶらないと……とも思います。皆様はどう思います??


イツキが成長していく姿(勿論、ライバルもいる)や、人類存亡の危機など、見所も多くて、普通に面白い作品ですよね。今回は、何の迷いも無く、「吟醸」です。

一方で、ちょいと不満に思う所もありました。
一つは、ラストがかなりあっさり風味だという事。少しづつストーリーが盛り上がって、ちゃんと山場があって、じゃあ、どう纏まるんだ? って時に、割とあっさりと終わってしまった感が。

これは、単にラストの締め方だけの問題ではなく、八章目で出てくる選択肢の問題とも関わりがありそうです。最後の山場を前にして、選択肢が出てきます。つまり、「ヒロイン」の中から一人を選ぶ、という事なのですが、実は、ここで誰を選んでも、その後のストーリーに変化はありません。
勿論、選んだヒロインとの固有の会話がちょっと入る……んですが、変化といえばそのくらい。その選択によってラストが変わるとか、そういうのではないんですよね。

折角、魅力的なヒロインが居て、「ルート分岐」と思しき選択肢が提示されるのに、それがラストに影響を全く持たないわけで、ちょっとそこが残念でしたね。
もう少しでいいので、ヒロイン固有のルート感が出て、そうした形でラストが示されれば、もっと納得感があったんじゃないかな、と思います。

更に、主人公のライバルの黒田カズキも、初登場時は、単なる厭なキャラ、という感じだったのですが、ストーリーが進むにつれ、その魅力が明らかになってきます。
で、彼とヒロコの間にある問題は、その全貌が分からないまま、何となく流れてしまいました。後半でカズキは物凄く魅力を増すいいキャラなわけですが、もうちょい掘り下げてあげると良かったかな、という気が。


大体、こんな所なんですが、実は、本作で描かれている人類の生き残りは、「日本人」という事になっています。どうも、我々が住む現代から見て、未来に(作中では遙か昔に)、例によって世界大戦のようなものが勃発したらしいんですよね(第三次世界大戦も、SFでは定番のネタですよね)。
で、日本人は「戦わない」という選択を採る事で、生き延び、宇宙に住処を求めていった……という事らしいのですが、この辺り、未来を舞台としていながらも、現代に生きる我々へのメッセージのようなものを感じる所でもあります。

専守防衛というのが、果たしていいのかどうか……。
本作で描かれるように、それが一つの美徳であり、それによって明るい未来が開けるのかどうか……それは正直良く分かりません。専守防衛の立場を取っている国が戦わないといけない時って、既に戦いが本土に及んでるって事ですからねぇ……。侵略させない、という意味で、或る程度の軍事力の強化、充実は必要になるんじゃないかなぁ……なんて思ったりするんですが。

ともかく、架空の未来を描きながらも、実は、現代に生きる我々へのメッセージ性みたいなものを、その裏側に秘めている。こうした作りもSFらしいですよね。
本作の発している、一つのメッセージについての賛否はありましょうが、本作が、凄くテンポ良く楽しめる良質のSF作品だというのも、亦事実です。

三時間程度と、少し長目の尺ですが、SFがお好きなら是非プレイしてみて下さい。
それでは、また。



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by s-kuzumi | 2014-04-26 20:33 | サウンドノベル | Comments(0)
2014年 04月 06日

Novelers' Materialリニューアル公開!!

道玄斎です、こんにちは。


お待たせしました。
やっと、私達が運営している、ノベルゲーム素材ポータルサイト、Novelers' Materialのリニューアルが完了致しました!

Novelers' Material(http://novelersmaterial.slyip.com/

見て頂ければ分かる通り、随分、旧版のものとは変わっています。
大幅に変わったデザインに目がいきがちですが、機能的な部分でもバッチリ進化してますよ。

ちょっと、どの辺りが進化したのか、書き出してみましょう。

・大幅なデザイン変更。グリッド表示も出来るように(画面最上部のアイコンから)。

・従来の「展開表示/省略表示」はなくなり、常に素材をプレビューしながら利用出来るように。

・素材規約に「初期値」が設定出来るようになりました。より投稿しやすい形に。

・簡易メッセージ機能搭載。素材作者とのやり取りがよりスムーズに。

・mp3、ogg、wavなどの音素材は、設定無しで、視聴出来るように。


と、この辺りが大きな改良点でしょうか。
素材を投稿する人にとっても、そして素材を利用する人にとっても、随分、使いやすくなったと思います。

サイトデザインがかなり変わったので、最初は戸惑う部分もあるかと思いますが、慣れてしまうと、旧版のものより断然使いやすい事がお分かり頂けるはずです。

論より証拠、まずは使ってみて下さい!
そして、ゲームを作っている人、ゲームをプレイする人、或いは、音楽を作ったり、写真を撮るのが好きな人などに、広めて下さると嬉しいです。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2014-04-06 11:44 | サウンドノベル | Comments(0)
2014年 04月 05日

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『ネームテイカー』

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道玄斎です、こんばんは。
今日は、さりげなく積んであった作品をプレイしてみたら、尺が10~15分くらいの短いもので、且つ、ちょっと笑えるものでしたので、番外編にてご紹介。
というわけで、今回は「がっかり亭」さんの『ネームテイカー』です。ダウンロードはこちらからどうぞ。


「がっかり亭」さんと云うと、例の『無理やり主人公』の作者さんです。
今回も、軽妙で楽しい物語になっていたと思いますよ。

さて、中身の方ですが、舞台はファンタジックな世界。
主人公の女の子の名前は、何と、「ゼムギルガン」。およそ女の子の名前とは程遠いものですw
彼女は、もっと女の子らしい可愛い名前に改名しようと、彼女の住む国の首都までやってきたのだが……。

というが、簡単なストーリーの纏めになりましょうか。
つまり、主人公ゼムギルガンが改名を果たす、というのが、この作品の一つの目的です。
ストーリーのテンポは良すぎるくらい良いですし、本当にサクサクとプレイ出来て、合間合間にちょっと笑えるネタ(勿論、名前絡み)が入ってきます。

私がプレイして気になったのは、ストーリーというよりも、この作品の持つ、一つのテーマというか、そういう部分だったりします。
それは、所謂「キラキラネーム」(別名:DQNネーム)がハバを効かせている昨今の、現代社会を反映させているのかな? という辺りです。

とんでもない当て字系のもの、女の子なのに男の名前が付いている、もはや意味が分からないもの……沢山のキラキラネームがあります。
本作は、ファンタジー世界が舞台ですが、「男の名前が付けられた女の子」が主人公です。彼女の葛藤や苦悩、そしてそれが故に生み出される爆発力(とギャグ)を軽妙に描きながらも、ちょっと、そうした名前を巡る問題に踏み込もうとしているのかな、という印象でした。

今、検索して出てきたんですが、「恋恋愛(れんれこ)」やら、「振門体(ふるもんてぃ)」なんて名前もあるそうです。ホントかなぁ。
ともあれ、私が、キラキラネームに関して、物凄く気になっているのは、「その子が、歳をとった時にどうなるのか?」という事ですw

例えば、今の例ですと、「恋恋愛ばあさん」とか「振門体じいさん」とかに、最終的にはなっちゃうわけですよねw それはちょっと、いくらなんでもおかしいだろう、と思うわけですよw
赤ちゃんだったら、ちょっと変な名前を付けても、何となく馴染んじゃうような部分ってあるのかもしれないですけど、子供も成長して、老いて、やがては死んでいきますからね……。


というわけで、かなり短めのギャグノベル(一箇所選択肢アリ)なのですが、内側には、ちょっと、キラキラネームに対しての主張というか、問題提起というか、そういうものも持った作品だったのではないかと思います(そこが選択肢になっているのが、またいい感じ)。

ちょっと笑える部分もあり、名前について考えさせられる部分もあります。
短い作品ですから、サクッとプレイしてみて下さい。



それでは、また。



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by s-kuzumi | 2014-04-05 17:57 | サウンドノベル | Comments(2)
2014年 04月 03日

フリーサウンドノベルレビュー 『喉の渇くその前に』

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今日の副題 「主軸に寄り添う、もう一本」

ジャンル:死後の世界での問答ノベル(?)
プレイ時間:1時間程度
その他:選択肢なし、一本道。
システム:吉里吉里/KAG

制作年:2013/10/12
容量(圧縮時):59.5MB




道玄斎です、こんばんは。
ついに新年度、突入ですね。進学や就職、色々あるかと思いますが、ゲームを楽しむくらいの余裕は欲しいものです。今日は、前回レビューした作品『よんひくいちは』の作者さんの処女作です。あれをプレイしちゃったら、前作がどんなのだったのか、気になりますからね。
というわけで、今回は「現屋」さんの『喉の渇くその前に」です。ダウンロードはこちらからどうぞ。
良かった点

・「思い込み」という、ちょっと変わったテーマの作品。

・予想以上に、密度が濃いストーリーと、何とも云えない不思議な読後感。


気になった点

・もうちょっと易しく表現出来る部分は、易しくした方が、全体が理解しやすいかも。

ストーリーは、ふりーむの方から引用しておきましょう。
――ここは死後の世界へ誘う空間。
真っ白な世界には、イスとティーカップと、番人。
どこまでも孤独な、一縷の幸福を祈る番人。

こんな感じ。

って、これだけじゃ、ちょっと物足りないので、私が補足しておきましょう。
主人公は、日々の生活に疲れ、自殺を決行……したものの、気がつけば、真っ白な世界で倒れていた。その世界には、扉のようなものがあり、倒れている主人公に声を掛ける人物もいる。
声を掛けてきたのは、イノという名前の性別不明の子供。イノは、どうやらこの空間の番人で、イノとの問答によって、「天国」か「地獄」に行くかが決まるらしいのだが……。


という所でしょうか?
「死んだらどうなるのか?」というのは、宗教の根本的なテーマです。
兎にも角にも、人間は「死」に対する興味関心が強いようで、ノベルゲームの場合なんかだと、本作でも描かれる「自殺」に焦点を当てたものも、結構良く目にします。

これは、やっぱり、『ナルキッソス』という作品が与えたインパクトが大きかったのかな、と思いますね。
『ナルキッソス』以降、似たような手触りを持つ作品が多数出てきたように思います。
単なる『ナルキッソス』の亜流、みたいな作品もあれば、そこから一歩進んでオリジナリティを出している作品もあって、ノベルゲームに於ける「死」、特に「自死」は、今なお、メジャーなテーマであり得ています。

本作も亦、「自殺」が描写されますが、所謂「死後の世界」と現世の中間地点みたいな所が舞台となっており、『ナルキッソス』の流れを汲むもの、とは一線を画しています。
何にせよ、『よんひくいちは』の作者さんの作品ですから、一ひねりあるんだろうなぁ、と思いながらプレイしていったら、案の定、「生死」、或いは「自殺」の問題ではなく、「思い込み」という、非常に変わったテーマを主軸にしていた、というわけです。

イノの力によって、主人公は、自らの過去と向き合う事になるわけですが、どうも彼は生前、思い込みによって、随分と損をしてしまったようです。
この主人公というのは、もしかすると「この物語の主人公」なのではなく、プレイする私達自身なのかもしれませんよ。

私達も、絶えず、思い込みをしながら生活をしています。
「思い込みなんてしないよ」と云う人ほど、「思い込みをしないという思い込み」があったりするわけです。
思い込みとは、一面的なモノの見方、と言い換える事も出来ます。例えば、ネット上ではHNだけで、性別が分からない、なんてケースがありますよね? その人の文体とか内容とか、或いは顔文字の頻度なんかを見て、勝手に「あいつは女」とか、逆に「あいつは男」なんて思ったり。

或いは、一旦嫌いになっちゃうと、その人がその後、どんなに良い事を云ったり、善行を積んでいても、その人の厭な部分、つまり「嫌い」の面しか見えなくなっちゃうとか。


作中でも描かれますが、自分の中で完結しているような、思い込みなら、まだいいんです。
問題は、対人関係に於ける思い込み、だったりします。
誰かの行動、言動に対して、自分の中で、最初っから枠組みを作ってしまって、その裏側にある真意や、事象に気付かず、後々悔いるような事をしてしまう。身に覚え、ありませんか? 私はいっぱいありますw

ともあれ、こうした「思い込み」に関するテーマを掘り下げていったのが、本作『喉の渇くその前に』という事になりましょうか。
自殺をして、一度死んでから、自分のそれまでの人生を振り返ってみると、何と、不必要な思い込みが強かった事か。主人公を通じて、私達は、それに気付く事になるわけです。


かくして、「一面的なモノの見方は良くないよな」と改めて気付かせられるんですが、この作品の魅力は、その「思い込み」を推進力とするストーリーで50%です。
もう半分は、白い空間の番人ことイノと、主人公の不思議なやり取り、そして彼らの間に芽生える、友情……というのはちょっと違うのですが、不思議な関係です。

友情でも愛情でもピンと来ない、何とも云えない不思議な、魅力ある関係が、ストーリーの進捗と共に描かれていきます。そして、ちょっとフワフワっとした、捉え所が難しいけれども、優しい手触りのエンディングへと繋がっていきます。


この作者さんは、ちょっと、プレイヤーに考えさせるような、そういう懐の深いテーマの作品を作っていますよね。
この作者さんが作った二作品に共通しているのは、表面上の事象というか、テーマみたいなものは、比較的くみ取りやすい。けれども、もう一本、フワフワっとしたもう一つのテーマが寄り添うような形で、一つの作品として纏まっている。そんな印象があります。

前回取り上げた、『よんひくいちは』でも書きましたが、ちょっと文章表現が難しくて、その「もう一本の軸」が見えにくい部分はあるのかな、という気はします。
例えば「穎悟」なんて言葉、私は生まれてこの方、使った事がありませんw 主人公の心中と同化した地の文でも、かなり凝った文章ですので、サラッと読めるわけではないんですよね。

勿論、凝った文章が悪いとか、そういう事が云いたいんじゃありません。
こうした、「小説寄り」の文章のノベルゲームがある事、それ自体は、寧ろいい事だと思います。サウンドノベルにせよノベルゲームにせよ、「ノベル」という文字が入るわけで、文章に凝る、というのは非常に大事な事だと思うのです。
その方向が、「より読みやすい」方に向くのか、「じっくり読む」方に向くか、とザックリ二つに分けられそうですけれども、後者の「読ませるタイプ」の文章を持った作品があってもいいんじゃないか、と思いますよ。ライトなものもいいけれど、それだけだと物足りなくなっちゃいますからね。

ただ、それでも、「易しく表現/表記出来る所は易しくする」というのも、亦大事な事だと思うのです(「亦」なんて漢字を使ってる私が云うなって話ですけどw)。
作品の雰囲気や、世界を壊さない範囲で、もう少しだけ平易な言葉に置き換えてみる。それだけで、グッと読みやすくなりますし、この作者さんの場合で云うと、「もう一本の軸」がより明瞭になるような気がします。


最後に、一個、脱線を。
作品中に「信号の『進め』を、青という人もいるし緑だという人もいる」みたいな文章が出てくるんですけれども、これ、実は日本語の問題なんです。日本は古来から、「緑のものを青と呼ぶ」ケースが結構あって、野菜を「青物」とか云ったりしますよね? あれなんかは、その典型的です。色と言語って結構密接に繋がってるんですよ。良く聞くのが「虹の色」。私達は疑いなく、虹を七色って云いますけれど、世界には、三色だとか二色だとか、云う所もありますよね。あれも、或る色に相当する言葉が存在するか否か、って問題と繋がってきます。


というわけで、いつものクセで長々と書いてしまいましたが、この作者さんの独特な作品の雰囲気は、やっぱりプレイしてみないと分かりづらいと思います。
少し、読みにくい所はありますけれども、フリーのノベルゲームを探してて良かった、と思えるような、そんな作品である事、間違いないと思いますよ。一時間くらいのものですから、気になったら是非、気軽にプレイしてみて下さい。



それでは、また。



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by s-kuzumi | 2014-04-03 17:34 | サウンドノベル | Comments(0)