久住女中本舗

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2007年 08月 31日

フリーサウンドノベルレビュー 『遠来』

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今日の副題 「離れていても繋がるもの」

ジャンル:SF(?)
プレイ時間:二時間半~三時間程度
その他:選択肢あり。
システム:HyperNovelSystem

製作年:2002/?/?
容量(圧縮時):


道玄斎です、こんばんは。
昨日は、ちと忙しく更新が出来ませんでしたね。ちょっと残念です。

さて、今回は今まであまり扱ってこなかった(というか、そういうジャンル自体が少ない?)SF作品です。アーサー・C・クラークの短編が大好きな私にとっては、SFというのはそれだけで魅力的なものなのです。
ということで、今回は、「Team NagiKaze」さんの『遠来』です。


良かった点

・宇宙船が飛び立つ様子など、随所にムービー(?)が使われている。

・ハード過ぎず、ユル過ぎずの絶妙なバランスのSF作品。


気になった点

・音楽が切り替わる時のウエイトが、スムーズなプレイの妨げになっている。

・NScripterや吉里吉里とは違う、ちょっと使いにくいシステム。

・もう少し、ヒロインのマヤオアの境遇に触れても良かったのかも。



この作品をプレイしながら、私の頭の中にはずっと、アーサー・C・クラークの『遥かなる地球の歌』や『明日に届く』、『天の向こう側』なんかの短編作品が思い出されていました。
多分、これらのアーサー・C・クラークの作品は「ハードSF」というのとはちょっと違うんですよね。
それこそ「アーサー・C・クラーク風味」みたいな。

ハードでも無く、かといって緩すぎるわけじゃない。そういう多分私のようなSFファンが好むような。本作はそうした感触の作品です。

ストーリーを見ておきましょう。


 それは突然の出来事だった。

 深宇宙を転移航行中に起きた事故。

 止む無く降り立った未知の惑星。

 俺達は出逢った。

 地球から遠く離れたこの星で。

 どこまでも限りなく青い空の元で。

 俺達は出逢った。



こんな感じ。
宇宙冒険家フタバの宇宙船がり着いた星は、20世紀後半の地球そっくりの惑星。オマケにかつての「日本」なる国とそっくりの土地でだったということで、足が八本生えてる火星人だか木星人だかは出てきません。
ま、今私たちが生きている日本そのものが舞台、と言ってもいい感じですね。

しかし、差異も当然生じていて、「名前」が「逆さま読み」する事で私たちになじみの深い名前になる、と。
例えば、ヒロインの「マヤオア」は「アオヤマ」→「青山」だったり、フリーライターの「イワサ」は「サワイ」→「澤井」だったりと、そういう感じです。
SFで良く出てくる「逆さまの世界」を意識して、こういうネーミングになったんでしょうかね。


多少、前半部に誤字が多いのですが、割と読みやすい文章でサクサクと読み進める事が出来ます。しかし、気になるのはサウンドが切り替わる際のウエイトに時間が掛かりすぎる点です。
多分、スペック的には十分なマシンでプレイしている筈なので、システムの問題なのでしょう。
NScripterなどで作られた方が良かったのかな、と。

中身自体は、単純そのもので、宇宙人フタバが現地民であるマヤオアと交流する、というもの。
ですが、宇宙船のAIクルーMIKAN(美少女型)の存在や、宇宙の悪者「灰色」や「星渡り」などの存在が示唆される事で、SFらしさに抜かりはありません。

良いな、と思ったのは、作中に出てくる神社の起源が、実は宇宙人が降りてきた事に端を発していたりした所で、私はそういうのは結構夢があって好きなので、楽しく読むことが出来ました。

そういうSFらしさ、と女の子との交流という所謂「ボーイミーツガール」的なテイストが、お互いを邪魔せずに併存している点、評価出来ます。
最近、よく感じる事なのですが、ストーリーがありきたりかどうかではなくて、そのストーリーをどうやって料理するか、そこが重要なのだと思います。その意味で本作は、なかなか味のある作品なのではないでしょうか。

一番、気になったのは、マヤオアとウコ(フリーライター)がフタバが宇宙人である事を知るくだりです。
正体がバレる事自体は問題はないのですが、フタバがこの星を離れなければならない前日に正体がバレてしまう為に、ラストのエピソードがやや唐突に感じてしまいます。
もう少し、マヤオアの葛藤やら、或いはフタバの葛藤やらが描かれていても良かったのかな?と。あと、作中で示唆されるマヤオアの境遇についても、もう少し補足が欲しかったですね。

実は、エンディングが三パターンあり、三つともちゃんとした終わり方なので安心です。
バッドエンドが無いというのはいいですよね。こういう作品にバッドエンドがあったら興ざめしてしまいますからw
一応、トゥルーエンドがあるのですが、やっぱりトゥルーエンドこそが、真実のエンドだなぁ、と。いや、意味が重なりまくって変な言葉になってますが……。

エンド2、エンド3は簡単に辿り着く事が出来ると思います。
トゥルーエンドを見る為のヒントは、タイトル画面の「オプション」から見ることが出来る親切設計です。

全体的に、SFとボーイミーツガール的な要素が上手に混ざり合った纏まりのある作品だと思います。SFを読んだ事が無い人でも十分に楽しむ事が出来る筈です。
最初タイトルが『遠来』だなんて、ハードSFっぽいタイトルだったので、少しだけ身構えてしまったんですけれどもね。
SFファンの人は、「あーこの場面は、~に似てるなぁ」なんて楽しみ方も出来ると思いますよ?

システム面での難を除けば、非常に遊びやすい(プレイしやすい)作品です。
是非、この機会にプレイしてみて下さい。
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by s-kuzumi | 2007-08-31 22:53 | サウンドノベル | Comments(0)
2007年 08月 30日

フリーサウンドノベルレビュー 『ON ~恩返し~』

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今日の副題 「袖振れ合うも多生の縁」

※吟醸
ジャンル:感動系(?)
プレイ時間:一ルート30分~一時間くらい
システム:Yuuki! Novel

製作年:2007/3/21(プレ公開日)
容量(圧縮時):


こんばんは、道玄斎です。
久々に「遊んだ」感のあるゲームをプレイした気がします。
ということで、「KUROFUNE PARADISE」さんの『ON ~恩返し~』です。
サイトの方だけだと、概略が掴みにくかったので、100%ふりげストアの該当ページにもリンクを張っておきます、

全部で四つほどルートがあると思うのですが、どのルートへも比較的入りやすい。
しかも、メインルートみたいのが存在しているわけでもなく、各ルートがちゃんと独立していて、どれか一つのルートに比重が偏るということもなく、ちゃんとボリュームがあって良いなぁ、と。

エンディング数が10を越えてしまうような作品だと、流石にプレイするのがダレてしまうんですよね。細かい選択肢を気にしないといけないのは、やり込み派のゲーマーにはたまらないかもしれないのですが、私のように「普通に楽しむ」タイプのゲーマーとしては、あまり有り難くないといいますか……w
ま、ルートへの入り口は簡単な方が個人的には好きって事ですな。


良かった点

・オープニング・エンディングにヴォーカル曲有り。特にエンディング曲は必聴!80年代テイスト全開で、懐かしさのあまりについ涙が……w

・シンプルで、先読み可能なストーリーながら、しっかりと読ませてくれる上手なストーリーの描写と構成。

・イラストがこうしたノベルタイプのゲームであまり見ないような彩色が。上手く言えないけれども、パキッとした色遣いでちょっと新鮮。


気になった点

・良く聞く音楽・良く見る背景だったので、そこの所もう一工夫あっても良かった。

・本体がYuuki!NOVELだった為、操作性が……。



返す刀で、ストーリーも紹介しておきましょう。


主人公の掛田雪之丞はどこにでもいるような
平凡な高校生。
ただ、少しばかり動物好きで、動物にもよく好かれた。
平凡な毎日を暮らす雪之丞だったが、
最近ヘンな夢を見るようになる。
それを境に、色々な人に出会い、色々な事に
巻き込まれていって・・・。

動物との愛情や、愛情のあり方などを描いた物語。


こんな感じです。
いやぁ、久々にシンプルだけども面白いゲームをプレイした、という印象です。
シナリオのネタバレ部分というか、キモの部分は実は冒頭で明示されます。
先に、「どういうお話しなのか」を説明しておく、というのも一つの手なのかもしれません。
そうすることで、読者は「物語の方向性」を理解した上で、それぞれのストーリーそのものに没頭出来るからです。
ただ、こういう形式ですと、最後の最後で謎が明かされる、みたいなそういうどっきり感とかは無くなってしまうんですけれどもね。

これらのスタイルが良い/悪いではなくて、作品やストーリーに合ったスタイルを選択する事が一番です。私は、本作はこのスタイルで良いかなと思っています。

ストーリーは単純明快。『夢の少女~DreamGirl~』+『ごんぎつね』みたいな。ちょっと違うかも?w
ま、タイトルが作品内容を示唆してしまっているわけですがw

本当に良くあるタイプのお話しです。最近のフリーのノベルゲームでは「あおぞら幼稚園」さんの『MYペット曜日』がかなり近いですね。
ちなみに、「あおぞら幼稚園」さんはまた九月に新作が出るそうで……。いや、本当に吃驚させられますね……。

非常にありがちなストーリーで、尚かつ非常にありふれてる音楽や背景の選定。
なんだけれども、無駄の無い丁寧な描写や、起伏のあるストーリーで読んでいて退屈する事がありません。
ダラダラと特に意味の無い日常が続くわけでもなく、かといって一つのシナリオが長すぎず短すぎずと絶妙なバランスで構成されています。

ストーリーのありきたり感や、おなじみの音楽・背景も、無駄を省き、且つ丁寧に上手に語る事でここまで昇華出来るのか、と思われますね。きっと作者さんのライティングセンスがかなりのものなのでしょう。正直、兄檄ラブな妹の存在はあってもなくても、なんですがw。

私事で恐縮ですが、私は以前ウサギを飼っていまして、非常に可愛がっていたんですね。
まぁ、約10年ほど生きたんですが、死んでしまった時はそれは悲しかったです。ペットロスなるものを身を以て体験しました。
動物をお飼いになった事の有る方は、ピンとくるかと思いますが、奴らは日本語なんて理解出来ない顔をしつつ、ちゃんとこちらの考えている事を分かってるんですよね。
多分、「悲しい」とか「嬉しい」とかそういう大雑把な感情を掴んでいるんでしょうけれども。
こちらが落ち込んでいると、向こうも妙に神妙な顔をしてじっと側についていてくれていたり、と動物って本当に気持ちのあるものなんだなぁ、と思いました。

だから、本作のような或る意味でファンタジックでそしてベタベタなストーリーも、私はあまり気になりません。寧ろ、好きなくらいです。
動物が恩を返しに、生まれ変わってやってくる。いいじゃありませんか!w

ただ、こういう動物転生モノには、タブーがあります。
例えば『鶴の恩返し』を思い出して下さい。そう、転生した動物は、その正体を知られると姿を消さなければならないのです。
四つのルートの内、一つこういうエンドのものがあります。ただ、ちょっとだけひねりがあって……。

又、全体で四つのルートがあるので、バラエティに富んでいます。
ありがちなストーリー、という事を何度も言っているのですが、四つも見せてくれると危なげなくプレイ出来、且つ色々と楽しめるわけで作り方として上手だよなぁ、と。
ちょっと悲しめのエンドから、ハッピーエンド、余情を残すエンドとエンドのパターンも複数あり、良いですね。生命倫理の問題に触れるようなストーリーもあったりするので、意外と内容は深いんですよ?

個人的に好きなシナリオは「咲姫」ルートです。
終わり方の余韻がたまらないです。
Yuuki!NOVELなので、操作性の方はアレなんですがw、本当にどなたにもお勧め出来る作品です。

ちょっとノスタルジックで、心温まるストーリーを是非味わってみて下さい。


※8/30 午前四時頃、ちょっと文章の一部を手直し。もう眠ります……。おやすみなさい。
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by s-kuzumi | 2007-08-30 01:02 | サウンドノベル | Comments(5)
2007年 08月 28日

フリーサウンドノベルレビュー 『Even girl』

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今日の副題 「女の子って何で出来てる?」

ジャンル:シチュエーションオムニバスショートショート(?)
プレイ時間:全体で15~20分程度
その他:若干、女性向けかも?
システム:吉里吉里/KAG

製作年:2007/06/11
容量(圧縮時):



道玄斎です、こんばんは。
昨日は、結構時間をかけてプレイしていた作品があったのですが、何と申しましょうか、フリー版ではまっとうなエンドを迎えられないというか、シェア版を購入しないと作品全体が分からなくて。折角プレイしたのですが、「フリーのノベルゲーム」に拘っている私としては、その作品はレビューで取り上げるわけにはいかないな、と。
それで、昨晩(というか今朝?)うんと短い作品のミニレビューを載せておいたわけです。

で、今日は、「雨夜」さんの『Even girl』です。
では、いつものように……。


良かった点

・写真素材をふんだんに使ったプレイ画面。食べ物の写真が美味しそう。

・一話一話が短いので、サクサクとプレイ出来る。


気になった点

・好みの別れる立ち絵。

・あのフォントだと微妙に読みにくさが……。

・一個の作品として内容がある、というよりも割とシチュエーション重視の短編集。一話一話にもう少しボリュームがあって、作品全体で「一個の作品」になっていた方が良かったかも。


と、こんな感じです。
ストーリーは、一話一話が非常に短い(2~3分程度)ですので、紹介するまでもないでしょう。それにそうした短編が10本(+おまけ)詰まっていますから、一々紹介するのも無粋ということで。
ちなみに、ふりーむさんの紹介文では「女の子はいつまでも女の子。でも……的な、暖かめの短編ストーリー」と記されています。

んー、少し女性向きの作品なのかな?という印象です。
いや、恥ずかしながら女性向きの作品(乙女ゲーム)って実はプレイした事ないんですよね。
ですので、本作が一発目という事になるのかな。

作品のキモは、シチュエーションなのではないかと。
何だか妙にオシャレなシチュエーションでの何気ない会話。そのシチュエーションを楽しむみたいな、そういう感じです。
個人的に良いな、と思ったのは料理の描写ですね。ミントティーとか、白ワインの卵焼きとか、手作りゴマダレを掛けたサラダとか、バニラービーンズ入りのコーヒーとか。
ほら、やっぱりちょっとオシャレな感じですよね?


オシャレ感と、「女の子」的なものを追求しているのは良く分かるのですが、フォントが気になりました。凄い丸字?というかまぁそういう字体で、読みにくさを感じました。
そうですね、例えばPlamo Linuxが標準搭載している「みかちゃんフォント」くらいにしておけば、作品の雰囲気を損なう事なく、尚かつ見やすさも両立出来たのではないかと。

サイトの方も覗いてみたのですが、作者さんは小説をお書きになっている方のようで、本作は、その小説に背景・音楽・イラストを付けノベルゲーム化したようです。
1000字、3000字、6000字という制限の中で小説をお書きになっていて、本作に収録されているストーリーは、一本1000字のものみたいです。

美味しいシチュエーションを1000字で切り取る、というのは難しいと思うのですが(原稿用紙二枚半だもんね)、サイトに掲載されている小説で見ると、結構頑張ってるなぁ、と素直に感心します。

ただ、それをノベルゲームにした時に、何かしら手を加えた方が良かったのかもしれません。
ノベルタイプのゲームは、「文章を読む」のがメインの作業ですけれども完全に「小説」かといったら、又違うわけで。
もう少し、オムニバス短編集という一個の作品の中で、起伏があっても良かったのかな?と。
淡々と、シチュエーションやオシャレ感を味わう分には、良いのですが、ゲームとして楽しむ場合、もう一工夫欲しい所でした。
先生こと正樹と、宮乃ちゃん、そして香里ちゃんの絡みでもう少しストーリーに起伏が出せたのかも、と思います。


多分、女性向きの作品だと思いますので、女性のプレイヤーからの意見も伺ってみたいですね。
女性向き、といいつつもサクッとプレイできますので、男性の方も是非是非。
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by s-kuzumi | 2007-08-28 22:16 | サウンドノベル | Comments(2)
2007年 08月 28日

フリーサウンドノベルレビュー番外編 『ふすま』

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道玄斎です、こんばんは。
今日は変則的に「ミニレビュー」を書こうかと。
いや、単純に3分でプレイし終わってしまったっていう……w

ホラー系の作品だと、かなり短いプレイ時間のものも割とあると思うので、そういう場合は「ミニレビュー」にして、いつものやり口とは少し変えていこうかな、と。
だから、お勧め指数とかは付けません(3分じゃ、評価のしようがないもんね)。画像もいつもより小さめですよ?

ま、何はともあれ、作品紹介。
以前『雨やどり』という作品のレビューを書いたのですが、同じ「からめるぼっくす」さんの『ふすま』です。

本当に短くて、尚かつ選択肢はあれど、基本的に一本道。
ちょっとヒヤッとするのに最適です。

ボイス有りだったり、風鈴の音がしたりと、滅茶苦茶短い作品ですが頑張っている印象です。
『雨やどり』の時にも思ったのですが、演出が上手ですよね。
どこかノスタルジックな、和式ホラーといった趣です。

多分、あんまり恐くないw
けれども、私にとってはそれなりに恐くて、「こりゃ丸腰のままじゃ危ない」とか思って刀を持ってきて抱きながらプレイしたら、一瞬で終わってしまったという……w

ひねりも無い、直球の一発ホラーみたいな感じです。
まだまだ寝苦しい日が続きますが、夜中に目が覚めた時にでもプレイしてみて下さい。
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by s-kuzumi | 2007-08-28 03:50 | サウンドノベル | Comments(2)
2007年 08月 27日

フリーサウンドノベル関係の雑記 箸休めvol.4

今日の副題 「あの頃の気持ち」


道玄斎です、こんばんは。

更新頻度を落とすかも、といいつつ、あまり落ちませんでしたね……。
多分、約「一日一レビュー」を維持しているのではないかと。

更新頻度は高ければ高い方が良いのですが、心配なのが、その分、一個一個のレビューが雑になる事です。一日一レビューが半ばノルマになってしまうと、そのノルマを達成する為に、雑なレビューになってしまわないかどうかとそれだけが気がかりです(今でも雑かもしれないけれども、もっと雑に、という事)。

ま、そろそろ生活との兼ね合いも考えつつ、更新頻度についても考えないといけないかもしれませんね。自分に最適な更新頻度、何とか模索していきたいです。

それでも、実は手当たり次第、目に付いた作品をプレイしてレビューしている、っていうわけでもなくてやっぱり、どこか惹かれる作品を選んできているのです。
それは、タイトルであったり情報サイトに書いてあるストーリーだったり、或いは過去にプレイして、心に残っているとかであったりと様々なのですが、一応、自分の基準で作品を選んだ上でレビューをしています。
尤も最近では、作品を紹介して頂く事もあり、少しプレイの幅が広がったかな、という感じもあるんですけれどもね。


そういえば、前から考えていたのですが、段々「学園モノ」をプレイするのが実は少し辛くなってきています。歳を取るとさすがに感情移入しづらくなってしまいますよね……。
授業をサボったり、学食戦争でパンをゲットしたり、屋上でパンを食べたりなんて描写を意外と冷めた目で見ている自分に気付きます。
ここでいう「学園モノ」の「学園」とは「高等学校」、つまり「高校」の事です。

多くの商業美少女ゲームの舞台が高校であるからなのでしょうけれども、主人公が「高校生」で、舞台が高校という作品は多く存在しています。
勿論、そうした作品を十把一絡げに扱う事は出来ないのですが、たまには「大人」のゲームがやりたいなぁ、なんて思ったり思わなかったり。
或いは、学園モノでもベタベタなものではなくて、ちょっと一ひねりあるものがプレイしたいですね。そういう意味では昨日プレイした『幻想世界』なんて、なかなか良い感じなんですが。

そういえば意外と、「大学生」が主役のゲームはないですよね?いや、私が知らないだけかな?
兎に角、もうちょびっと、年齢層の高めのゲームをプレイしてみたいな、と最近思うわけですよ。


全く話は変わるのですが、ついさっき急に思い出した事があるのです。
私が大学生だった頃、友人がフリーのゲームを作っていましたw 何で忘れていたんだろう?
調べてみると、今でもビリジアンさんの「シミュレーション」4に載ってますね。某ときめきメモリアルの二次創作的な奴ですw

今にして思えば、その友人は自分のサイトを拠点にしつつ、多くのファンとの交流を重ね、シナリオを書き、絵も自分で書き、恋愛シミュレーションツクールの使い方を覚え、とあれこれやっていたんですよねぇ。
んで、その友人は、「ときメモ」である事に非常にこだわっていたわけですが、同時に「高校生である事」に異常にこだわっていた気がします。やっと前半と話が繋がりました。

恋愛をメインとするような作品で、高校生を主人公にすること。それはゲーム制作者の何かを刺激するのでしょうかね。
実体験を踏まえつつ、現実的に考えてみると高校生の恋愛って、割と不毛ですよねぇ?
お互い未熟なもの同士がお付き合いするわけですから、苦い経験でしかないw って事も多々あるような気がします。

けれども、大学なんて入ると、そうした苦い経験を踏まえつつ、少し賢く立ち回るようになる為か、不毛度は低下します。だけれども、高校生の時のようなあの、ドキドキ感っていうのはやっぱり薄れてる、と。

してみると、高校生の恋愛を描いたりする、っていうのは一種の「無垢」だったり「純真」だったり、或いは「衝動的」だったりの象徴として仕掛けなのかなぁ?とか考えたり。
あー、もしかしたら私は、学園モノに抵抗を感じているのではなくて、「予定調和的な学園モノ」に抵抗を覚えているのかもなぁ……。
ドキドキ感を追求したゲームを求めているのではないか、と。

学生サークル活動的なドキドキ感、ワクワク感は以前紹介した『あやじょ』なんかには、出ていますよね。しかし、恋愛モノでそうした作品は意外と少ないような気がします。
ちょっと一部の人にしか分からないネタで説明すると、初期の谷川史子のマンガみたいな、ああいう切ないドキドキ感。それをゲームで追体験したいですね。

そんなゲームをご存知の方がいらっしゃいましたら、是非紹介して下さい。



あらたまの 月はかはれど 我が身には
             無明の闇の なほぞ残れる


 道玄斎


/*
そういえば、フリーゲーム同人誌の話が出ていて、私も「同人活動の全て」みたいな本まで購入する、という異様なやる気を見せているわけですが、何か、フリーゲームに関わる人たちが、それぞれの長所を生かしつつ、一本ゲームを創っちゃうってのもアリかもしれないなぁ…なんて又しても浅はかな事を考えたり……。

良く見るタイプのものは、原作とイラストをそれぞれ担当する二名の方で構成されている、というもの。
もっと簡単に言えば、ライターさんと絵師さんという職掌で構成されたチームという事になるのかな。場合によっては、動画担当の人が居たり、ロゴの制作をする人が居たりと大所帯になることも稀にありますよね。
けれども、良く考えてみたらレビューを書いてる人って、こういうチームに加わっているのを見たことがないよねぇ。例えば、だけれども「文章校閲」とか、「シナリオ監修」とか結構活躍出来る場もありそうな気がする。青写真を原作を書いている方から示して貰って、そのシナリオを監修したりなんて、かなり面白いと思うんだよなぁ。
レビューを書く、という事で間接的に作品に関わる事が出来るわけですが、もうちっと直接的な関わりが出来てもいいかもね。

なんか、ゲーム創りたくなってきたぜ……。

*/

※8/27日 午前二時頃ちょこっと手直し。

※同じく、午前四時頃に手直し。
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by s-kuzumi | 2007-08-27 00:41 | サウンドノベル | Comments(7)
2007年 08月 26日

フリーサウンドノベルレビュー 『幻想世界』

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今日の副題 「秘密の花園」


ジャンル:学園百合モノ(?)
プレイ時間:30分~40分くらい
その他:百合描写アリ。
システム:NScripter

製作年:2006/8/3
容量(圧縮時):9.11MB



道玄斎です、こんばんは。
何だかこの一週間は割と重たい作品を多くプレイしたような気がしています。
容量もそうですが、内容的にも割と「重め」だったのかな、と。終末世界が舞台の作品とか多かったですよね。

それで、案の定というか、今度は軽めにプレイ出来る短編を探している最中です。
あっさり、さっくりとしていながらも、何か心に残るものがある、そういう作品を探しています。
さて、そんな探索をしつつ、ちょくちょく気になった作品はダウンロードしているわけで、「雪国の人」さんの『幻想世界』もそうした調査の最中に見つけてきた作品です。


良かった点

・背景画像とイラスト、音楽がマッチしている。貴族的で退廃的な空気を上手く表現している。

・意外としっかりとした構成。


気になった点

・若干の百合描写。苦手な人は苦手かも。とはいへ、15禁とかそういうレベルではない。

・捉えどころの無い、或る意味でぼんやりとした世界観。



ということで、やってみました。百合モノとして一部の人たちには話題になっていた作品のようですが、実際プレイしてみると、そんなに百合っていう感じでもなくて。
何て言うか、ちょっとませた思春期の少女の心の揺らぎみたいな、そういうテイストの作品です。

ストーリーを軽く概観しておきましょう。


数学のちょっとした天才児、中学一年生の在原ゆう架はある日、三年の菊田春子に声を掛けられる。内容は、「ある人の、数学の勉強を見てやって欲しい」との事。
春子に案内された場所は、クラブハウスの中、どのクラブとも分からぬ一室だった……。



ちょっと隠微な感じがしますがw 別に過激な描写があるとかじゃないですし、意外と抵抗感無く読んでいく事が出来るのかな、と。
テキストは、基本的にゆう架の一人称。ちょっとませていて、内向的な文学少女の心の中、みたいな文章で好き嫌いが別れそうな所です。私は割と好きなんですよねぇ。
自分が中学生くらいの時って、こういう感じだったような気がします。良いか悪いかは別としてw

あまり使いたく無い言葉なんですが、起承転結、という面から見ると意外としっかりとした構成だと思いました。ただ、「結局どういう事なんだ?」とか「だからどうした?」的な感想を抱く人も多いのかな、と。

本作で、最も重要なのは、その作品の「雰囲気」です。
「雰囲気」そのものが「内容」みたいな。そういう手触りです。

背景画像なんかとっても凝っていて、私は好きですね。そうですね、大正時代のモダンな建物みたいな、そういう画像が沢山出てきます。
そうした背景に併せて、作品内容にマッチしたイラスト、そして貴族的な倦怠感を持つ音楽が流れてきて、この三つの要素が織りなす世界は魅力的なものです。

ただ、内容に関しては、別に百合っていう程でもないし、特に盛り上がりがあるわけでもないし、なんだか淡々としていて、ある種の物足りなさを覚えるかもしれません。
しかし、ゆう架という女の子を通して描かれる、思春期の女の子の内面。これは結構興味深いものがあります。
移ろい易く、変化する事に戸惑いと憧れを併せ持つ、そんな微妙な年頃の心境そのものがこの作品の「雰囲気」なのかもしれません
ちょっとぼんやりと霞みの掛かった世界。まさに「幻想世界」的な雰囲気を持った作品です。


百合だなんだって過度な期待はせずに、「雰囲気を楽しむか」くらいに、気軽にプレイした方が良いのではないかと思います。
休日の午後にでも、アンニュイな空気を楽しみたい方は是非プレイしてみて下さい。

ちなみに、作者さんは文章をお書きになっている方なのかな?
サイトの方に、本作の補完小説がありますので、興味を持った方はそちらも読んでみては如何でしょう?
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by s-kuzumi | 2007-08-26 21:26 | サウンドノベル | Comments(0)
2007年 08月 26日

フリーサウンドノベルレビュー 『ナルキッソス』

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今日の副題 「閉ざされた世界と開かれた世界」


※吟醸(2やエピローグを含めると大吟醸)
ジャンル:シリアス・病院・死(?)
プレイ時間:一時間半~
その他:選択肢なし、一本道。
システム:NScripter

製作年:
容量(圧縮時):



道玄斎です、こんばんは。
今更で、非常に恐縮なのですが今日は「ステージ☆なな」さんの『ナルキッソス』を取り上げようかと思います。そういえば、私のレビューの一本目が『ナルキッソス2』でしたね。
今回は、『ナルキッソス2』に収録されている『ナルキッソス』(分かりにくい……)をプレイした上でレビューを書こうと思います。

いつものように、良かった点・気になった点、或いはストーリーとかは、今回は載せなくてもいいかな?前回のレビューを参考にして頂ければ。

さて、『ナルキッソス2』のレビューでも書いたのですが、本作にはどうにも咀嚼しきれない部分というか消化不良的なモノというか、そういうものを感じていました。
本作が名作である、という点、私も異論はないのですが、敢えて誤解を恐れず言うと、「雰囲気やスタイルで創られた作品」、という見方も出来るのかもしれません。

そう私が多少なりとも感じてしまう理由が、やはり消化不良感であり、咀嚼しきれない部分に因るものなのです。これは本作が「明確なメッセージ」「明確な主張」が見えにくい、という事でもあります。
以前にも書きましたが、逆にそうした消化不良感が、本作の魅力の大きな要素となっている事は否定出来ません。だからこそ、批判覚悟で、誤解を恐れずに言うならば「雰囲気やスタイルで創られた作品」という見方も出来るのかな、と私は思います。

勿論、一個の作品としての完成度や纏まりは、素晴らしいものだと思いますし、私個人の本作への評価は高いのです。
明確な主張やメッセージが読み取りにくいけれども、最後までプレイした時に心に残る、あの何とも言い難い感情は「もののあはれ」的なものです。

とはいえ、実は私は『ナルキッソス2』の方が好みなんですよね。
分量が増え、姫子とセツミを軸にしながらも、脇役との絡みがあったりと、『ナルキッソス』にあった閉鎖的な世界ではなく、そこにはもう少しだけ廣い世界が見えているのです。


今回はエピローグまでプレイして色々と考えました。
ここまで書いておいてなんですが、『ナルキッソス』と『ナルキッソス2』を分けて考える事は実はナンセンスなのかな、と。それぞれリリースされていたわけですが、今配布されているパッケージではこの二つが纏まっていますし、両方を終わりまでプレイする事で始めて「エピローグ」まで読むことが出来るわけですから、もう一々分けないで「一個の作品」として考えた方がいいのかな、ということですね。

阿吽みたいに、二組で一つ、そして+αとしてエピローグ。
この形で、『ナルキッソス』という作品(作品総体とでも呼べばいいのかしら?)を捉えた方が、プレイする側もレビューを書く側も面白いですし、そうする事で、初めて本当に『ナルキッソス』なる作品を捉える事が出来る気がします。
もうちょっと付け加えると、個々の『ナルキッソス』(『ナルキッソス』『ナルキッソス2』)と、総体としての『ナルキッソス』。独立していながら分離しているみたいな。そういう捉え方かな。
いや、自分でも何を言っているのか分からなくなってきたぞ……w

エピローグに関しては、多分、蛇足であるとか、様々な意見があると思います。
そういう毀誉褒貶様々な意見を内包出来る捉え方が、「独立しつつも、総体として捉える」というものではないかなぁ、と。まぁ、つまり「八方美人」的な捉え方で、尚かつ「美味しいとこ取り」みたいな、そんな捉え方ですな。

もう少しだけ、考えてみましょう。
んー、例えばですよ?素人の私があれこれ言うのは筋違いも甚だしいのですが、『源氏物語』って作品がありますよね。全部で54帖あるわけですが、「雲隠六帖」なんて、本編の穴を埋めるような偽作も存在していますし、有名な所では「山路の露」なんて偽作もありますよね。
本編は勿論『源氏物語』。だけれども、雲隠六帖も「源氏物語の雲隠六帖」で、山路の露だって「源氏物語の山路の露」なわけです。
個々に『源氏物語』『雲隠六帖』『山路の露』と捉える事も出来ますし、逆に全部ひっくるめて『源氏物語』という総体として捉える事も可能だと思われます。

余計にややこしい事を書いてしまったのですが、『ナルキッソス』『ナルキッソス2』(+エピローグ)を併せてプレイした、今の私の素直な気持ちが、こういう捉え方をした方がいいのかも、という事ですね。
もっと言えば、そうした読み方を赦してくれるような、そんな懐の深い作品なのではないだろうか、というのが正直な気持ちです。


『ナルキッソス』だけをプレイした人、或いは『ナルキッソス2』だけをプレイした人。
そうした方達には、是非ともこの二つを併せて読んで欲しいと思います。そしてエピローグも。
その時にどういう評価がなされるのか、非常に興味深いです。

単体の『ナルキッソス』での私の評価は四。
総体として『ナルキッソス』を見た場合の評価は五、という事です。
今回は、評価欄がややこしですし、なんだかレビューのスタイルも変則的で申し訳ない。
そもそも、今回はレビューですら無いようなただの落書きな気もする……。

やはり『ナルキッソス』は良くも悪くも、影響力の非常に強い作品であった事は確かです。
そうした作品に対して、兎に角正直に、真っ向からぶつかってレビューを書くのは、勇気の要る事ですが、私自身としてひとつのけじめみたいなものだと思い、今回の文章を書かせて頂きました。それに『ナルキッソス2』だけしかレビューを挙げていないっていうのも、気持ち悪いしね。


最後に。
柄にもなく古典文学なんてものを持ち出したのですが、お詳しい方から見れば、本当に素人の戯言みたいなもので今更ながら後悔したりしています……。
どうぞ、素人の戯言だと思って、スルーして下されば幸いです。
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by s-kuzumi | 2007-08-26 02:23 | サウンドノベル | Comments(0)
2007年 08月 25日

フリーサウンドノベルレビュー 『終わりに見えた白い明日』

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今日の副題 「ノベルゲームである、という事」

※吟醸
ジャンル:ボーイミーツガールノベル(らしい)
プレイ時間:三時間~四時間くらい



道玄斎です、おはようございます。
今日も今日とて良い作品を引き当てたな、という気がしています。
評価は四としたのですが、限りなく五に近い四だと思って下されば。かといって「~が足りないから四にした」っていう訳でもなくて、何となく自分の中の感覚です(五段階評価だとこういう時に不便)。
理詰めで「~があるから+1」とか「~があるから-1」とかで総合的な評価を決める、というのも一つの方法だとは思うのですが、それだと「評価ポイント」だけを確実に稼ぐ作品は、多くの場合、最高点になってしまう気がします。

ちょっと分かりにくいですかね。
例えば美術の授業とかで「イスを描きなさい」という課題が出たとしましょう。中には凄い頑張って、彫り物がしてあったり、形が凝ったイスを描く人がいると思います。けれども、そのイスは複雑な作りをしているので「完璧なイスの絵」にはならない可能性が高いです。一方でそれこそ学校のイスみたいな、簡素で描きやすいイスを描く人もいるでしょう。その場合、描く対象が簡素なものですから「完璧」でケチの付けようのない絵が描ける公算が高くなります。
最終的に、「どれだけ完璧にイスを描けたか」という基準で、この二つのイスの絵を評価するならば、後者の方が「完璧」になる公算がやはり高くなるでしょう。
まぁ、分かりにくいんだけども、そういう事ですね。

いや、決して今日扱う作品が「学校のイス」と言いたいわけではありません。
寧ろ、凝った細工のイスなんだろうなぁ、と。けれども、上記の理由から私は「自分の感覚」みたいなものを大事に評価点を(大変に烏滸がましい事ではありますが)付けようと思っていまして、一応、五段階評価という事で四にしたのです。気持ち的には4.8とか、そういうものだと思って下されば(と言いつつ、後でこっそり評価五に変えるかも……。実はまだ結構悩んでいるのです)。

さて、今日ご紹介するのは、「White Epilogue」で有名な「Reice -second-」さんの『終わりに見えた白い明日』です。

こういうレビューを書くようになってから、自分の基準で評価しつつ、作品を読む、という癖が付きました。なんだかんだで30本くらいレビューを書いていると、プレイ直後に「これは、このくらいかな?」と大体の目測を付けてしまうのですが、中には中盤・後半からもの凄い勢いで、引き込まれていく作品や、徐々にクオリティが上がっていくような作品があり、毎回驚かされると同時に、自分の浅はかさを思い知らされます。
本作も、そんな初見の目測を見事に裏切ってくれた、そんな優れた作品でした。



良かった点

・「ノベルである事」を利用して、読者の予想を見事に裏切ってくれる。

・緊張とその緩和。このバランスが素晴らしい。

・丁寧に描かれており、読後の消化不良感が無い。脇役に至るまで丁寧にフォローが行われている。


気になった点

・最初のテキストが、やたらウケ狙いっぽく、或る意味で「くどい」文章な為、作品の真価を気付かず、プレイを中断してしまう人がいるのではないかと、心配になる。

・最後に追加されるシナリオは、独立させなくても、本編内に収めれば良かったのではないかと。



こんな所ですね。
微妙に「気になった点」で「良かった点」を挙げてしまっているような気がしないでもないですが。

ストーリーもさわりの部分だけ、記しておきます。なるべくネタバレを回避しつつ……。


ある日、妙にハイテンションな主人公は、路地裏で不良に絡まれている少女を見つける。
主人公は助けに入るものの、実は少女はとてつもなく強く、あっという間に不良をのしてしまう。これが、主人公と須藤紅との出会いだった……。



このくらいに止めておきましょう。
少しだけフォローしておくと、本作は、こういうベタベタな設定を逆手に取るのが上手い作品だという事です。

さて、ずっとつらつら書いてきましたように、本作はかなりの傑作なのではないかと思っています。「White Epilogue」は大体のストーリーは覚えているのですが、あまり印象に残らなかった為か、本作を侮っていました。readme.txtを見ると、

「White Epilogue(評価版)」のおまけとして付属されていたノベルゲームです。

なんて事が書いてあるわけですが、おまけだなんてとんでもない。
個人的には、本作の方が一個の作品として、優れているのではないかと思います。
サイトの方には、ジャンルとして「ボーイミーツガールノベル」と書いてあるのですが、これを鵜呑みにしてはいけませんw


良かった点で挙げましたように、本作は、読者の予想を(勿論、良い意味で)裏切る優れた作品だと感じました。
最初は、ジャンルなんて見もしないでプレイしたのですが、開始五分で「ああ、伝奇なのか」と思ってしましました。その後プレイしていく中で他にも当初の予想を覆されましてw 
けれども、本当に感心してしまうような裏切り方をするんですよね。変な「ギミック」ではなくて、「仕掛け」として機能する。そんな印象です。

又、「仕掛け」に関わる部分でもあるのですが、緊張の緩和を演出していたのは良かったですね。『ガラスの仮面』で月影先生が「緊張と緩和。それを生み出す役者は注目を集める」とか言っていたのですが、こうした形式のゲームでは、ストーリーの起伏の有無が大きく作品の印象を左右する事があります。
全体的に見ると面白い。だけれども何だかのっぺりしてたな、とか感じる事が私は良くあります。ストーリーラインもキャラクターも音楽も背景も良いのに、何故かあまり印象に残らない。そういう時には、大抵「盛り上がり」に欠けていたり、つまり起伏に乏しい作品である事が殆どです。

私が今指している「緊張と緩和」とは、テキストです。
テキストって言ってしまうと誤解があるかな。会話文であり地の文、と言った方がより正確でしょう。すっごい軽いノリの良いんだか悪いんだか、それすらも分からない日常の描写や会話の間に、とてもシリアスでストーリーが絡んできます。
当然シリアスモードの際には登場人物は一切おちゃらけませんし、それを描写する文章も洗練されていて見事に「落差」を演出してくれます。そしてその「落差」自体が物語の中で大きな意味を持っているという。
おちゃらけモードは結構くどいし、読んでいて辛い所もあるのですがw それを抜かせば本当に圧巻です。ありそうで無かった「仕掛け」でした。

今つらつらと述べてきた事と密接に関係するのですが、後半に明かになる「ノベル」ゲームである事を活かした仕掛けも非常に良かったと思います。是非、プレイして「仕掛け」が何なのか確かめて欲しいと思います。


気になった点は、おちゃらけモード(のくどさ)以外ではラストシナリオですね。

そこで語られる内容は、実は物語それ自体とやはり密接に絡み合うもので、独立させずとも、本編の中でうまく消化した方が良かったのかな、と思いました。
ラストシナリオは、脇役の透と鏡子の本編で語られなかった部分の描写なのですが、そこで物語が幕を下ろしてしまうのは、ちょっとアレかな、と。
脇役キャラから見た、本編ラストの捉え直し、というのであれば十分許容出来るのですが、最後の最後で脇役メインのシナリオになってしまったので、そこが物語のラストなだけに残念でした。


まぁ、何て言うか傑作でしたよ。
ここまで、面白い「仕掛け」が沢山仕込まれているゲームはあまりお目に掛かった事がありません。
そうそう、言い忘れていましたが、本作も舞台は「終末」系ですね。人口減少に喘ぐ時代。それが本作の舞台です。

随分、今日はいつにも増して、長々と書いた感はあるのですが、敢えて触れなかった部分もあります。そこは物語の中でもかなり重要な部分ですので、是非プレイして確かめてみて下さい。

初心者の方から、古参ゲーマーまで幅広い層にお勧め出来る秀作です。
前半部のテキストでウインドウを閉じずに、ちょっと頑張ってみて下さい。きっと物語に張り巡らされた「仕掛け」に驚くこと請け合いです。


/* 久々に徹夜プレイをしましたな……。これから眠ります……。いい加減、煙草を止めるか本数を徐々に減らしていくかをしなければならない、と思う今日この頃 */
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by s-kuzumi | 2007-08-25 07:36 | サウンドノベル | Comments(12)
2007年 08月 24日

フリーサウンドノベルレビュー 『僕の愛したショコラ』

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今日の副題 「お菓子の国のお姫様」


ジャンル:宇宙人の女の子に料理を教えたり(?)
プレイ時間:三十分~四十分程度(一周)
その他:選択肢あり、多数のエンドが。
システム:吉里吉里/KAG

製作年:?/?/?
容量(圧縮時):110MB




道玄斎です、こんばんは。
昨日は、更新頻度が落ちるかも、とかいいつつ今日も今日とてレビューをぶちあげます。
今日は「LEVEL-ZERO」さんの『僕の愛したショコラ』です。



良かった点

・キャラクターはフルボイス。キャラと声が合っており好印象。

・オープニングやエンディングで数多くのヴォーカル付きテーマ曲が流れる。

・美麗なイラスト。立ち絵も一枚絵もかなりの水準だと思われる。


気になった点

・少し短すぎるかも。その為か料理を習いに来た、というアイの前提があまり活かされずに終わってしまったのは残念。

・エピソードの達成率は分かるのだが、どのルートが「トゥルールート」だか分かりづらい。

・音声処理に多少難が。声が必要以上に大きくなったり、音割れが生じていたり。




美麗なイラストと、ヴォーカル曲をふんだんに使ったオープニングに先ず驚かされますし、フルボイスなのもこだわりを感じます。

ただ、何となく全体的にあっさりし過ぎているというか、ストーリーの起伏に乏しい為、妙に希薄な印象になってしまっていたのは残念です。
ねらい所は良いとは思うのですが、やっぱり「惜しい」印象です。

ストーリーをサイトの方から引用しておきましょう。


ある日の朝、直樹と真琴が学校への道を歩いていると突然、真琴に落雷が。
しばらくして、真琴は何事もなかったかのように目を覚ますが、何か様子がおかしい。
問い詰めてみると、真琴の体を宇宙人が乗っ取ってしまったという信じられないような話。
宇宙人は3ヵ月後に母国で行われる料理コンテストにどうしても優勝しなければならず、
そのために料理のレベルの高い地球へやってきたらしい。
いやおう無しに直樹は3ヶ月協力することになる。
3ヶ月間の甘くて少し塩味の効いたチョコのような物語。



宇宙人であるアイが、幼なじみの真琴の体を借りて結婚から逃れる為に、料理修行にやってきた、という設定は面白いですし、SF好き(アーサー・C・クラークの短編オンリー)な私は面白いと感じました。ちょっとライトなSFみたいでこういうノリは結構好きです。

ですので、この作品の前提というか、キモは本当なら「料理修行」にあるんですよね。
それが、いつの間にかラブストーリーというか、青春物語の中に溶け込んでしまっていて、本来の目的が希薄になってしまっていた点、残念に思いました。

もう少し、本作が長めの作品であるならば、料理修行もきっちりと描きつつ、尚かつ普通の生活で、直樹やクラスメイト達のとのやりとりを通じての交流、みたいなものも描けたのになぁ、と感じました。

しかし、選択肢の多さと相俟って、エピソードは多彩で、所謂「お嬢様系」のキャラとの交流があったり、悩む友人を助けたり、告白されたりと盛りだくさんの内容となっています。学園ラブコメ的な要素はたっぷりと詰め込まれているので、そういうのが好きな方にはお勧め出来ますね。

一応、大部分のエピソードは見たのですが、どうしても埋まらないエピソードがあるんですよねぇ。逆に言えば、あのくらいの規模の作品に対して90を越えるエピソードが詰まっているわけで、満足感と同時に、やはりちょっと「プレイしづらいな」と感じる部分もありました。
ちゃんとしたスタッフロールやエンディングテーマの流れてくるエンドは確認しているので、恐らくそれが、「トゥルーエンド」なのでしょう。

他のエンドも、沢山あるのですが、ちょっとその中には尻切れトンボになってしまっている、エンドも存在していました。こういう所もやっぱり「惜しい」ですね。

作品の前提である、料理修行をしっかりと踏まえた上での、アイと他のキャラとの交流。そこをもう少し丁寧に描いて欲しかったです。ちょっと厳しい言い方をすれば、作品の向かうべき方向がブレてしまった、という感じです。

そうですね、例えば学園青春モノになってしまうのであれば、「料理大会の優勝者と強制的に結婚させられるから、修行に来た」という重い前提を取っ払ってしまっても良かったのかもしれません。単純に「何としても料理大会で優勝したから、留学(?)しました」みたいな、そのくらいのレベルに止めておいた方が、しっくりきたのではないでしょうか。


ちょっと厳しい事を書きすぎた感はあるのですが、美麗なイラストとふんだんなエピソード、そして全キャラフルボイスの作りは、本作の大きな魅力です。又、ヴォーカル付きのテーマ曲もかなりの力作だと思います。

ちょっとライトなSFが好きな方、或いは学園モノをとことんやりこみたい方には、プレイしてもらいたい作品です。
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by s-kuzumi | 2007-08-24 00:54 | サウンドノベル | Comments(0)
2007年 08月 22日

フリーサウンドノベルレビュー 『Gun Sad』

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今日の副題 「エフェクトで魅せる伝奇モノ」


お勧め指数(五段階評価):三
ジャンル:アクション(?)
プレイ時間:一時間半~二時間程度




道玄斎です、こんばんは。
今日も今日とてレビューを書きます。というのは、少し私生活の方でゴタゴタしていまして、しばらくは今のようなペースで(約一日一レビュー)記事が書けそうにないので、ちょっと頑張って書き貯めしておこうかな、と。
そんな事を言いつつも、やっぱり更新ペースが落ちないかもしれませんが、予防線を張らせておいて下さい。多分、私がレビューを書かない間は、久住が例の「岩波文庫青シリーズ」の読書感想文でもアップしてくれるでしょう。

という事で、今回は「Magicair/Air」さんの『Gun Sad』です。
超能力アクションみたいな感じかな。ちょっと『ジョジョの奇妙な冒険』的な要素もあったりなかったり。



良かった点

・エフェクトが凄い。炎の舞い散る様子や、銃が乱反射する様子などかなり力の入ったエフェクト。

・ありきたりと言ってはありきたりだが、特殊能力を駆使する戦闘シーンは引き込まれる。

・全体的に良く纏まったストーリー。


気になった点

・アクションシーンがメインパートのような感じなので、割と疲れる。

・割と簡単にオチが読めてしまう。




ストーリーを軽く概観しておきましょう。


世界中の企業を牛耳る軌条グループが主催する、裏の格闘大会「サクリファイス」。
異能者が多く集うこの大会の、「決勝戦」まで勝ち進んだ悠七郎とリリ。そして、他三名。
参加者達は何を求め、この大会に参加しているのか、又この大会の本当の意味とは……?



こんな感じです。

物語は、「決勝戦」から始まります。
アクションを重視した作品という事で、戦闘シーンの比重が非常に高いです。

まず、驚いたのがエフェクトです。炎が揺らめき舞い散る様子や、銃の軌跡が効果的なエフェクトで表現されていて目を奪われます。
又、特殊能力を駆使した闘いとなりますので、能力の使い方・組み合わせ方などはかなり面白いと思います。

ただ、難を言えばちょっとありきたりな感じもするのですよね。
例えば、「H×H」とか、「ジョジョ」みたいなそういう戦い方になってます。

とはいえ、重要視点人物の悠七郎の能力は攻撃に全く向いていない、防御一辺倒の能力という点は良いアイデアだったと思います。悠七郎までバリバリの戦闘野郎だったら、本当にただのアクションになっちゃうんじゃないかと……。
寧ろ、他の能力と組み合わせていく事で真価を発揮する悠七郎の能力に、比重が(特に後半)置かれているので、ちゃんとオリジナリティや面白さを確保している印象です。

悠七郎とリリが、メインの登場人物という事になるのでしょうが、他の登場人物も脇役としてしまうのが惜しいくらいに、存在感やちゃんとしたバックグラウンドがあり良いと思いました。そこも評価すべきポイントだと思います。
私のお気に入りは「トウ」さんです。結構、物語の中で重要なテーマを担っている印象です。

ちなみにサイトの方で、トウさんのイラストを見ることが出来ますが(残念な事に、イラストとして出てくるのは悠七郎とリリ、そして軌条聖紅だけなのです)、あの刀の持ち方ってどうなのかな?あれは、太刀になっちゃうよねぇ?
一応、解説しておくと太刀は「刃が下になるように」佩く、刀は「刃が上になるように」差すのです。手に持つとは言え、普通は刀は「刃を上」にするんじゃないかなぁ。ま、細かい事を言ってもつまらないですな。

全体的な内容は良く纏まっていたと思います。
しかし、何て言うのかな、戦闘と「本当の主題」みたいなものが、やや分離していた印象があります。上手く纏まっているとは思うのですが、何となく違和感を感じてしまいました。
いや、本当に何となくのレベルなんですが。

そういう意味でも、実はかなり美味しい部分を担っているのは「トウ」さんなんじゃないかな、という気がします。
強さを求める事と、本当に求めないといけないもの。
その二つの折り合いが、エピソードを通じて語られていくのですが、一番すんなりと違和感無く折り合いがついているな、と感じたのがトウさんのエピソードでした。


たまには、こういうアクションもいいですよね。
戦闘シーンは、ちゃんと楽しめますし、最後の最後で妙に説教がましい事を言われたりする事もなくて。

一応、戦闘が多い「アクション」なのですが、本当のテーマは寧ろ「戦う」というより、「守る」という感じです。そう考えると悠七郎の能力は、そのテーマと密接にリンクしてるのかな、とか考えたりしました。

アクション作品が好きな方なら迷わずプレイすべき作品でしょう。
ちなみに、かなり沢山の銃が登場します。ハンドガンからサブマシンガンまで。
FN社のP90なんかも出てますね。銃マニアの方なら思わずニヤリとしてしまうかもしれません。そういうのが好きな方にもお勧めの作品です。
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by s-kuzumi | 2007-08-22 22:03 | サウンドノベル | Comments(0)