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2011年 09月 29日

フリーサウンドノベル関係の雑記 箸休めvol.48.5

道玄斎です、こんばんは。

先日の「箸休め」で、色々とコメントを下さった方もいて、私自身もあれこれ試してみたり、協力して貰ったり、検証に付き合ってくれた人もいるので、続報という形で、記事にさせて頂きます。
Nスク使いさん(ゲーム制作者さんですよね?)へのレスも兼ねている、と考えて頂ければ幸いです。



■mp3 VS ogg

前回、「NScripterでmp3ファイルがループしない!」と結構切実な記事を書いたわけですが、Nスク使いさんがご指摘下さったように、問題はNScripterだけに留まらず、吉里吉里/KAGや他のエンジンにまで及びます。

よくよく考えてみれば、自分も過去に「もうoggが主流」とか書いてたんですよね……。
そもそも、私は「ノベルゲームogg推進委員会」の副会長だ!(会長はProject MuCのとくむさん)
勿論、この会は、別に具体的な活動実態があるわけでもなく、例によって例の如く私が思いつきで作った会ですw

さて、これもご指摘下さった事なのですが、mp3がノベルゲームなどで廃れてきた理由の一つにライセンスの問題があります。

一々個人制作のノベルゲームに対して、ライセンスの保持者が訴訟を吹っ掛ける、という事は先ず常識的に考えてあり得ない事ですが、「可能性」としては残っているんですよね。
ただ、そのツールを使って、大規模なゲームを作り販売し、それが大ヒット作になった……なんて事があれば、またちょっと状況が変わってくると思いませんか?
常に「訴訟」と隣り合わせにある形式を使いたくない……というのは、極々自然な流れですよね。ただ、mp3が現在に於いても音楽の圧縮という場で、圧倒的なシェア(という云い方でいいのかな?)を保っているのは事実なんです。

例えば、無圧縮の.wavファイルがあって、その容量が10MBだとすれば、mp3にエンコードした際、容量は約1/10になります。つまり1MBになるわけですね。実際の曲の長さで云えば、このくらいだと凡そ1分程度の曲になります。私の環境だと160kbpsで書き出した時が大体そんな感じ。
別に私の環境で、と但し書きを付けなくても、みんなそんなもんです。なので、曲の容量を見れば曲の尺も分かるわけです。

そこで考えて欲しいのですが、ファイルサイズが1/10になるって凄いと思いません? 
この辺りの凄さが、mp3を現在の地位まで押し上げたと考える事は出来そうです。
その一方で、ライセンス的な恐さ、があるのは前述の通り。そんな声に応えて、oggなる形式が生み出される事になりました。
これは、例のGNU GPLのライセンスの下で作られている規格で、ソースコードすら改変してもOK、というオープンな仕様です(但し、ソースコードへのアクセスが確保されている事、が条件だったかな?)。

実際に、或る曲をmp3とoggでエンコードしてみると、ちょっぴり容量的な意味ではoggの方が大きいんです。……と云っても20kbとかそのくらいの差ですけれどもね。
これは検証出来ないのですが、同じビットレートでエンコードした際、mp3よりもoggの方が音質が良い、という話もチラホラ聞きます。

となれば、oggを採らない選択肢は無い……ハズなんですが、音素材の作り手からすれば、結構重大な問題が潜んでいるのも又事実。

というのは、ネイティブでoggの書き出しに対応しているDAWってどうも少ないみたいなんですよ。
少なくとも確認している限り、DAWとして一大勢力を誇っているLogicはoggの書き出しが不可なようです(ユーザーのNaGISAさんに聞きました)。
先ほど、ちらりとお名前を出させて頂いたとくむさんも、別途にツールを使いoggに変更していたような気がします。

幸い、FL STUDIOではフツーにoggで書きだせるので、私としては手間が掛からないでoggのファイルを制作する事が可能ですが、DAWにoggへの書き出し機能が付いていない場合、


.wavファイルを書きだす
      ↓
それを他のツールを使い.oggにエンコードする


という手間が掛かるんですよね。
手順としては二つ、ですが、これがまた結構面倒なんだ。なので、「mp3でいいだろ……」とmp3だけで素材を上げる人も多いのではないかと。もしかすると、音楽の作り手にoggというフォーマットがまだ浸透していない、のかもしれませんね。

現状、oggの書き出しにDAWが対応していない場合は、wavファイルをfre:ac辺りを使ってエンコードしてやる、という事になります。
となると、先ほどの手間に「ツールをダウンロードして設定する」という、更に一手間掛かるわけで(一度っきりの手間だけどね!)、実にめんどくさいですよねぇ……。


だから、本音を云えば、私の環境だったら「もうoggオンリーでいいのかな?」という気がしないでも無いのですが、例えば、Novelers' Materialに於いて、同日に同じ曲のmp3版とogg版をアップロードしたとすると、明らかにmp3版の方がダウンロード数が多いんですよ。
ノベルゲームの制作現場に於いて、mp3は過去のモノになっている、との事でしたが、こうした事象を見てみると、まだmp3で! と考えている人がそれなりの数、いるんじゃないかと思われるのでした。

今、慌ててノベルゲームの音楽素材の二大巨頭、「煉獄庭園」さんと「TAM Music Factory」さんを見てきたのですが、TAMさんはogg素材も配布しているのですが、煉獄さんはmp3とmidiだけのような……。

mp3 VS oggの問題は、やっぱり「ゲーム制作者」だけじゃなくて、音素材の制作者も巻き込む重大な問題なのでした。
んー、難しいね。



■あれからちょっと検証したよ

まぁ、自分の環境でbgm命令でmp3が鳴らなかったもんですから、色々試してみました。


・BGMというディレクトリを作って、パスを通してみた


結果ダメでした。
bgmonce命令と同じ挙動しかしません。


・wavで書き出したものを別のDAWに読み込ませ、そのDAWのレンダリングエンジンでmp3にしてみた。


結果やっぱり、これもダメでした。
あいはらさんのコメントに触発されて、「もしかしたらイケるかな?」と淡い期待があっただけに実に残念……。


・別の人に当該ファイルを渡して、NScripterで鳴らして貰った。


結果は半々。何故か、普通にループしてくれる場合もあれば、「やっぱりこっちもループしない」という人もいて、正直何とも云えない状況ですね……。テストに付き合ってくれた方々には最大の感謝を。


結果を見てみると、「その人の環境に拠る!」という事になりそうです。
まぁ、oggなら問題なくループするんだから、oggを使おう! を合い言葉にして、草の根的にogg普及をするのが「ノベルゲームogg推進委員会」としての活動のあり方かなぁ……。
例えば、こんな記事でも、見てくれる人もいるかもしれないし!


そう云えば、持っているNScripterと吉里吉里/KAGのマニュアル(分厚くて結構高い)も、五年前の、とかだったりしますから、折を見て最新版のマニュアル(あるのかな?)にアップデートしてもいいかな? なんて思いました。



というわけで、今日はこのへんで。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-09-29 19:48 | サウンドノベル | Comments(12)
2011年 09月 26日

フリーサウンドノベル関係の雑記 箸休めvol.48

道玄斎です、こんばんは。

今日は少し真面目な、ノベルゲーム関係の話題。最近、箸休め、少なかったですね。
一応、但し書きを付けておくと、私のどうでも良い日々之記録や、ノベルゲーム/サウンドノベルのレビューとは違って、ノベルゲーム絡みの、ちょっとした小ネタだったり、Ren'Pyの入門をやってみたり、そんな事を書いていきます。



■どうなってんだ? のNScripter

ノベルゲームのレビューをやる以上、或る程度は各種のツールについての知識が必要になります。
不測のエラーが出た時の対処法とか、或いは、自分で作った音源を実際にノベルゲームエンジンで再生させてみて、音量は適切か、或いはちゃんとループするか、をチェックしたりするわけです。

なので、私もノベルゲームエンジンの二大巨頭である所の、NScripterと吉里吉里/KAGの分厚い解説書は所有しています。

んで、最近、ちょっと困った事があるんですよね。
それは音楽のループの問題。通常、NScripterでBGMを流す際には、

bgm "hogehoge.mp3"

と記述します。
私の持っているマニュアルを引用すると、
bgmが命令本体です。ファイル名で再生するファイルを指定します。仮にmp3フォルダがあると仮定してmp3\を付けています。bgm命令は指定された音声をループ再生します。

とあるわけです。
重要なのは最後の一文。bgmという命令を使えば、音声はループ再生されるハズです。実際にノベルゲームのシーンでもBGMがループしない、という事は殆どありません。
更に云えば、一回だけBGMを再生させる為のコマンドも存在するようです。

bgmonce "hogehoge.mp3"

と書けばOK。
実にシンプルです。お好みのタイミングでこのスクリプトを記述すれば良い、という事になりますけれども、どうも現行の(?)NScripterでは、上記で説明され予期されている挙動が正常に動かないような気がしています。

というのも、私が自分で書いているサンプルシナリオ(これであれこれチェックしたりする)で、

bgm "hogehoge.mp3"

と書いても、音声がループしないのです!
一方で、

bgm "hogehoge.ogg"

と.oggファイルにしてやると無事にループしてくれます。


先日、作ったオルゴール曲(ループ仕様前提)で再生させてみると、ogg版だとちゃんとループするんですよねぇ。

うーん。
取り敢えず考えられるのは、私の使っているNScripterのヴァージョンと、私の持っている解説書のNScripterのヴァージョンの齟齬。

そりゃ、ヴァージョンは常に上がりつつけるわけで、途中途中で仕様が変更になったり、より時代に合わせたカスタマイズが為されるのが普通。

で、以前、どなたかが教えて下さったのですが、NScripterはmp3とは距離をとってoggの方に移行していく流れにある、との事。
もしかして、その辺りで、mp3ファイルがループ再生されないのかなぁ……。
多分……NScripterを扱う上での基本、は変わらないにしても、細かい部分での差異が随分あるんじゃないかな? なんて思います。
ま、私の持っている解説書、2008年のものですから、3年もすれば、色々改良されてるんでしょうね。


あっ、そういえば、NScripterについているマニュアルがありましたね……。
それを引用してみましょう。
nsogg2.dllを使ったOgg Vorbisファイル再生を推奨します。
今後の機能追加はOgg Vorbisファイルを中心に行う予定です。
無圧縮(PCM形式)のwavファイルにも対応します。圧縮(ADPCMなど)wavファイルには対応しません。

だそうです。
更に……
MP3ファイルは、BGM命令が対応していますが、あまりご利用はお勧めしません。ライセンス問題等ありますので。
CD音源は推奨できません。ドライブのアクセスでタイムラグが発生しますし、ドライブの駆動音がうるさいです。
MIDI音源は、容量が小さいのでネット配布上有利なのですが、再生環境が多岐に渡りすぎてサポートが難しいのが実情です。
その辺りは自己責任でお願いします、すみません。

なんて書いてあります。
やっぱり、ogg推奨なんですね。となれば、やっぱり現行のノベルゲームの状況を見ると、NScripter製の作品もまだまだ多いですから、BGMを作る際には、mp3とogg版の二種類を作らないといけない、という事になりますねぇ。

幸い、FL STUDIOはどっちもデフォルトで書きだせるので、今現在、NMに投稿する際には、どちらのファイル形式でも大丈夫なように、二種類アップしています。
そういえば、過去にアップしたものは、mp3だけだったような気がするのでogg版も近々レンダリングしてアップしておこうかなぁ……。


というわけで、今回はちょっぴり真面目なNScripterのスクリプトに関するお話でした。
少しでもお役に立てれば、それに優る喜びはありません。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-09-26 01:40 | サウンドノベル | Comments(4)
2011年 09月 24日

フリーサウンドノベルレビュー 『悲願花』

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今日の副題 「心地良い日常とシリアスの淡い」

※吟醸
ジャンル:病院モノ感動ノベルゲーム(?)
プレイ時間:1ルート一時間~一時間半ほど。コンプリートまで三時間くらい。
その他:選択肢アリ、咲良3ルート、美頼2ルート、バッドエンド1つ、計6エンド。尚、16歳以上推奨。
システム:NScripter

制作年:2006/09/06(ver.1.00)、本レビューは2006/9/7のver.1.01にてプレイ。
容量(圧縮時):13.8MB




道玄斎です、こんにちは。
今日は、数日前に思い出して思わず懐かしくなってプレイした作品のご紹介。当時結構話題になった作品なんじゃないかな? と過去を思い出しているわけですけれども、割と取り上げているレビューサイトが多いので、多分、私の推測は合っていると思われます。
というわけで、今回は「PABDAPENGUINS」さんの『悲願花』です。
良かった点

・明るいシーンとシリアスシーンのメリハリが効いている。

・美しい一枚絵。


気になった点

・後味の悪いエンドが……。

・結構難しい選択肢。

ストーリーは、100%ふりげストアから引用しておきましょう(珍しい……)。
煌々と照りつける夏の陽射し。
透き通るような青空と、真っ白な入道雲。
あの緑の稜線の向こうにある療養所で、
俺は彼女達に出会った。

そして忘れられない夏が、始まる。

シンプルですが、こんな感じになっています。


さて、先ず、最重要事項から説明しないといけません。
2011年9月現在、本作はダウンロードが出来ません! 作者さんのサイトこそ存続してはいるのですが、ダウンロードページに行き、ダウンロードボタンをクリックしても404になるだけ……。
私の場合、幸い……ゲームファイルそのものを持っていたのでプレイが出来たのですが、これからプレイしよう、と思う方にとっては「公式サイトからダウンロード出来ない」というのは、物凄い障壁になります。

が、昨日教えて頂いたのですが、ウェブアーカイブを利用する事でダウンロードが可能なそうな。
そこで落とせるゲームは、最新版ではないのですが、多分、そこまで問題なくプレイ出来ると思いますよ。そのダウンロードが出来る場所は、ここからどうぞ。


前置きが済んだ所で、作品の中身に入っていきましょう。
本作は、所謂病院モノです。病院モノっていうのも実は割と大きな括り方で、不治の病モノに隣接していたり、下手をすれば自殺モノに接近していくようなものもあったりします。

夏休み、総太は祖父が院長をやっている、山奥の精神系の病院を訪れ、2週間の中で宿題をやったり、女の子と出会ったり……とそんな夏の日を描いた作品、と、ひとまず纏める事は出来そうです。
出会う女の子=ヒロインは二人。実年齢は22歳(但し表記のブレがあり23歳となっている箇所もある)、見た目は高校生というロリっ娘の咲良、そしてちょっと儚げで奥手そうな記憶喪失少女美頼。

高校生はロリじゃないよなぁ……と思いながら、やっぱり私は美頼の方が好きなのでしたw
基本、お目当ての女の子に接触していくような選択肢を選べば、その子のルートのなにがしかに到達出来るハズ、なんですが、コンプリートしようとすると凄く大変。
「選択肢までスキップ」は付いているのですが「既読スキップ」は何故か実装されていないというのも、難しさに拍車を掛けている、かな。

咲良のルートだったら、AとCのエンドは見やすいと思いますが、Bが檄ムズです。
美頼のルートなら、Aが見やすくてBが見にくい、かなぁ。
あと、共通のバッドエンドは、どちらの女の子とも仲良くしない事で見られますから、比較的容易です。

まぁ、エンドが見られないでカリカリするよりは、さっくり攻略サイトでも探してプレイしちゃう方が精神衛生上いいですよw


本作の良い点、ですが、やはり割と明るく穏やかなやり取りが、日常を彩る所、にあるのではないかと。
そして、それが後半部からのシリアスな場面と良いバランスで両立していたな、と。
日常シーンが五月蠅すぎても何だかアレですし、かと云って日常シーンに手を抜くと、作品全体のクオリティは一気に下がってしまいます。

五月蠅すぎず、薄すぎずの絶妙なバランスで、なんてことない日常シーンが活き活きと描かれると、やっぱり作品がワンランク上がる気がしますね。
本作もその例に漏れず、明るく穏やかな一幕が描かれていくことに。何となくの感触ですけれども、割と咲良ルートの方が早くシリアスモードに入るのに対して、美頼ルートはちょっと甘酸っぱい展開もあってより日常感、が長く味わえるかな? と思います。

更に、シリアスと明るい日常があまりにもカッチリ分けられていても違和感があるわけですから、そこらへんのストーリーの流れも上々だったのではないかと。

ちなみに結構、咲良のルートは重たいんですよw
まぁ、その……内容的でも、エンド的な意味でもw 特にエンドBは半分トラウマになるかもしれないw
あっ、ただ、救いはあって、咲良のルートでもAとBだと微妙に境遇が異なっていたり、或いは美頼ルートに入ると、咲良は咲良ルートで見せていた、暗い過去……は綺麗サッパリ無くなってしまっていたりするんです。

この辺り、結構凝ってますよね。入るルート毎に病名が異なっていたり、微妙に境遇が違っていたり。
ただ、まぁ、咲良のルートだったら、Cの延長線上にAがある、って感じかもなぁ。先ほどもチラリと書きましたが、Bは後味悪いですw


美頼ルートは、咲良ルートほど重くないのがいい感じかな?
だけれども、公式の方でグッドエンドと云われているものが、果たしてグッドエンドなのか……。そこらへんはプレイヤーの感覚に一任されているような気がします。
私は、寧ろエンドBの方がグッドエンドだと思いましたもん。


そうそう、本作を語る上で外せないのが、一枚絵の美麗さです。
普通に立ち絵も付いているのですが、立ち絵とはまたタッチの違う、何とも美しい一枚絵で、思わず見入ってしまう事請け合いです。


大体、こんな所、かな。
今から凡そ5年ほど前の作品ですが、随所にクオリティの高さを感じさせる部分があって、今でも十分に遊べる作品になっています。
選択肢の難しさ……は、おまけページや、攻略サイトなどで上手く補完してみて下さい。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-09-24 16:19 | サウンドノベル | Comments(0)
2011年 09月 22日

フリーサウンドノベルレビュー 『ジサツ志願者同盟』

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今日の副題 「自殺っていけない事?」

ジャンル:ビジュアルノベル(ボーイズラブ)
プレイ時間:凡そ1時間程度。
その他:良識のある12歳以上推奨、少々インモラルな表現・死ネタ含む
システム:NScripter

制作年:2011/9/7
容量(圧縮時):33.1MB




道玄斎です、こんばんは。
今日は、ちょっと重ためのテーマを持った作品を選んできました。こうしたテーマを持った作品は、ちらほら散見されるのですが、着地点が他の作品と一味違っていたかな? という印象。
というわけで、今回は「mint wings」さんの『ジサツ志願者同盟』です。
良かった点

・各章が短めで、テンポ良く読んでいける。

・この手の作品にしては珍しい着地点。


気になった点

・ラストがやや性急だったか?

ストーリーはサイトの方から引用しておきましょう。
集団自殺しませんか――。
ネット上に書き込まれた、その言葉が彼らの出会いのきっかけだった。

周りにいじめられていた登校拒否児 "麻生 奈央"
いつも問題を起こしていた不良少年 "二階堂 颯太"
余命わずかで病院を抜け出してきた "遠乃 瑞希"

彼らは出会い、そして揃って自殺をしようと図る。
――短いひと夏の旅の始まりだった。


「――僕らは、一生忘れないだろう。 あの夏を、あの3人で過ごした短い日々を……」

こんな感じ。


凡そ、自殺・不治の病の類の作品を作るのは、現在に於いて結構困難です。
個人的な感触だと『ナルキッソス』以降、急速にそうした作品が増えて、一つの潮流というか、ブームを作ってしまったように感じています。

無情にも死んでしまう主人公乃至ヒロイン。
死しか選択し得ない状況。
そして、そこに底流する「感動」。
正直に云うと、そこで感動出来た時期も確かにあったんです。だけれども、何故か死ぬ事ばかりがフィーチャーされてしまって、本来ならば「死」と対になっているハズの「生」がお座なりになってしまう作品が多かったような……。

この辺りの事情は、『自殺請負人』のレビューでも書きましたね。
生があってこその死ですし、逆も又然り。
こうした状況の中で、どれだけ説得力のあるストーリーが紡げるか、がこうした自殺モノ・不治の病モノの課題になっているように思っています。

ただ、本作のレビューは結構難しいんですよね。
というのも、自殺(ジサツ)とタイトルに付いているわけで、自殺についての言及無しにレビューを書くことが出来ないから、です。
それは、つまり、レビューを書く私の―大袈裟に云えば―、死生観だったり自殺に対する思想、みたいなものを出さざるを得ないんです。
なので、この作品を取り上げるかどうか、ちょっぴり悩みました。

実際、プレイすると分かるんですが、颯太なり奈央なりの自殺の理由は、いい歳した私から見れば「そんなことで?」とちょっと思ってしまったんです。
瑞希に対しては、「さもありなん……」という感じだったんですけれどもね。

でも、自殺したい、と思う程苦しい状況って、他者が理解出来る程簡単なものじゃないですよね。
他の人には、或いは世間一般の人には何てこと無い状況なのかもしれない。けれども、本人はそれによって生きられなくなってきている、って事ですから。
そう考え直した時に、やっと作品の中身が浸透してきたような、そんな感触はありました。

「自殺、良くない!」って云うのは簡単です。
けど、実際公表されているだけで3万人以上の自殺者が居る国で、そんな言葉がどれだけ役に立つのか、と。だからこそ、自殺をテーマにした作品が存在して、一定以上の人気を誇っている、と思うのです。
人間生きていれば、死にたくなる事の一つや二つ、あったりしますけれども(私も十回くらい死にたい!)、中には、本当に「やっちゃう」人もいるんです。

お為ごかしで「自殺良くない」って云ったり、或いは「死ぬ死ぬ云うヤツは、生きたいと思っているけど死んでしまう人に失礼」とか、云うのは私は個人的にピンときません。
死を前にして生きたいと願っている人と、生きていけないと思う程に疲弊した人を比較した時に、敢えて変な尺度を使いますけれども、どちらが可哀想か、って決めにくいと思うのです。

何で、変な尺度、ってわざわざ云ったのか、っていうと、先ほどの「死んでしまう人に失礼」に対して、予防線を張っただけです。失礼って云い方が既に「憐憫」を示してるようで、私は、先の言葉は何だか綺麗な言葉に巧妙に隠された意図が見えてくるような……って穿った見方ですか?w


さて、大幅に脱線しましたが、大体、私の自殺観ってこんな感じです。
やっちゃう人には、どんな言葉も無意味だよね……、と。けど、やっちゃう前なら……自殺のサインを出している時なら……少しでも手助け出来るんじゃないか、と。
肯定派か否定派か、で聞かれたら、肯定派、なんですけれどもね……。それが最後の砦、って人も絶対にいるハズですから……。


で、作中の人物も、私達からしたらちっぽけに見えるかもしれない、悩みを抱えて集団自殺を決行しようとします。
ただ、暗いトーンに為らなかったのは、颯太の「死ぬ前にやりたい事リスト」の存在が大きいですね。集団自殺の人間が落ち合って自殺してお終い、じゃストーリーになりませんしw
死ぬ前に、やりたい事を思いっきりやっておく、その背後には死という暗い影がありながらも、明るい一面もあり、テンポも上々でした。

テンポ、という事で云えば、大体1時間くらいの作品ですが、全部で13章に区切られており、それが不思議と五月蠅くなく、プレイし易いものになっていた、というのは大いに評価すべき点でしょう。
サラリと通り過ぎる章もあれば、驚きの事実(?)が明らかになる章があり、ちょっとじっくり読ませる章があり、とメリハリも効いていたと思います。


あとは、やっぱり、結末……というか後半ですね。
死んでお終い。或いは死ななくてお終い。じゃない、今まであまり目にしたことが無いエンドを創り上げていた所が、本作の最大の特徴かもしれません。
ややネタバレになっちゃいますが、死ぬ人がいて、死なない人がいる。まぁ、そういう事です。
それに、ちょっとしたトリックが効いていて、そこがラストを盛り上げてくれましたね。これ以上は流石にネタバレ出来ませんw


気になった点としては、その死ぬ人が出てから後、が割とストンと落ちていっちゃったかな、と。
死の恐さ、みたいなものも描写されるのですが、割とあっさり風味なんですよね。やっぱり、死と生は対になってますから、もう少し死の恐さを描いた上でのあのエンドでもアリかな? っと個人的に思いました。

あとは、舞台設定が夏、との事ですけれども、あまり季節感が無かったような……。
もうちょっと夏ならではの、要素が入っていたら、もっともっと重層的な作品になった……かもしれません。


今日は私の駄弁が多くなりましたが、作品の紹介としてはこんな所、かな。
後半でちょいBLっぽい要素は入りますけれども、死について、生について或いは自殺について考えさせられるノベルゲームである事は間違いないので、そういうのを考える材料として読んでみるのも一興ですよ。


それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-09-22 20:34 | サウンドノベル | Comments(0)
2011年 09月 19日

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『晴れた日9月、恋天使』

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道玄斎です、こんにちは。
ちょっとタイトルで気になる作品があったのでプレイしてみたら、サラリと20分で終わるものでした。
とはいえ、中々他の作品では見られないような面白い特徴を持った作品だったので、取り上げる事に。
というわけで、今回は「サウンドノベルはまち」さんの『晴れた日9月、恋天使』です。



大体、恋愛モノって、主人公たる「自分」と誰かが、恋仲に落ちる……というものが99%くらいですが、本作は、主人公は「恋のキューピッド」を買って出る、言わば、黒子役なんですよね。

バイト先の喫茶店で、意味ありげな男女を見つけて、勝手に「この二人をくっつける!」と意気込む主人公ゆい。
恋のキューピッド宣言には、やや、唐突な感じがしないでもないですけれども、一行「恋のキューピッド業が大好き」とか書いておけば、事足りるわけで、さほど気になった点という訳ではないのですが、一応。

そして、意味ありげな男女の内の女――加奈さん――が、ゆいと同じ店にバイトに来る事になって、本格的にキューピッド業を始めるゆいだったが……。
という感じです。

いやぁ、何か良く分かるんですよ、女性の言動のもどかしさっていうか、男には絶対に理解出来ない類の独特な思考回路が存在している、という事。
最初にゆいが目撃した時は、加奈は男、修二をそれとなく袖にしていながら、かといって何となーく煮え切らない感じ。
その、何とも云えない煮え切れ無さ、に凄いリアリティを感じますw 完全に拒絶されている、という訳でもないけれども、肝心な所ではぐらかされたり、かと思えば妙に優しかったり思わせぶりな態度を取ったり……。

女の人のこういう謎行動って、既に中学生くらいから発動しますよねw そのくらいの時期から、女の子は「女」になっている、って感じなのかもしれません。

選択肢は、少なめ。
総当たりでやっても、さほど苦労しないでコンプリートが可能なんじゃないかと思います。エンド数は三つ、かな。グッドエンド一つに、バッドエンド二つ。
ワンルート10分くらいで、スキップを使えば、コンプリートまで20分程度。

主人公の恋愛に焦点が当たらない、という、結構新しいタイプの作品で、寧ろ加奈と修二の二人の関係を選択肢を使い明らかにする、というどちらかと云えば、ちょっと探偵的な所がある、っていうと近いかな?

一つ改善点があるとすれば、クリック待ちカーソルが付いていた方がプレイし易かったかも、という辺りでしょうか。さして内容には関わらない部分ですけれども、プレイしていて、ちょっぴり気になりました。


ちょっとそそられるタイトルと、今まであまりお目に掛からなかったタイプの作品で、尺こそ短いものの、結構楽しめると思いますよ。
是非、気軽にプレイしてみて下さい。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-09-19 16:25 | サウンドノベル | Comments(2)
2011年 09月 17日

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『緋―aka―』

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道玄斎です、こんにちは。
今日は今までため込んでいた、未プレイフォルダの中を漁っています。結構溜まっちゃってて、プレイ時間がどの程度なのか分からないまま取り敢えず気になったタイトルをプレイしてみたら、凡そ20分程度でしたので、ご紹介。
というわけで、今回は「GLYCO.」さんの『緋―aka―』です。



本作、プレイし始めるとすぐにサンドウィッチ型だという事に気がつきます。
いきなりラストシーンと思しき所から始まり、「何故、そうなったのか?」を回想していく形で見ていく事になります。かなり殺伐とした冒頭部に比して、回想シーンは甘酸っぱさ全開でサイトに書いてある「殺伐系乙女向恋愛ノベルゲーム」に相応しい感じになっていましたね。

確かに殺伐(?)としているし、乙女っぽい要素もガシガシ入り込んでます。
一応、注意としては結構グロな描写が出てくるって辺りかなぁ。そりゃぁもう、日本刀でガシガシと……。
いや、タイトル画面からして日本刀ですからw 鍔が小さめで、ハバキの呑み込みが深めの日本刀が表示されており、「どんな話だ……」と気にならずにはいられません。

ところで、ジャンルとして「伝奇」ってありますよね?
あれって割と曖昧なジャンル分けな気がしないでもないですよね。超自然的な要素や、因習が入り込んだバトルを内包する作品、っていえば、恐らくそこまで異論はないような気がしますが、超自然が入らない日本刀バトルものって、どう考えたらいいんでしょうかね?
何となく……日本刀とか出てくると伝奇、って気がしないでもないですよねぇ……。

そう考えると、本作も若干……伝奇っぽい印象はありますね。
全校生徒の憧れの生徒会長に告白されて、付き合う事になったありす。だけれども、ある日、生徒会の指示により、「訪問者」にされてしまう。

ここで云う「訪問者」とは文字通りの意味ではなく、その学校の忌むべき因習というか……そういうもので、早い話がその「訪問者」に選定された人物は、殺される定めにあって、全校生徒から命を狙われる事になってしまうのでした。

最初はモップの柄で……そしてその後は日本刀で、追っ手を殺していくありす。
自分に愛の言葉をくれた生徒会長は一体何を考えているのか? ただ騙されただけなのか? 憎しみを募らせ、そして……。

というのがストーリーの流れでしょうか。
結末は選択肢によって、三つに分岐します。バッドエンド、ハッピーエンド、そしてトゥルーエンドですが、私は個人的にハッピーエンドの方が好き、かな? ここらへんは好みが分かれそうなところですよね。


ちょっと残酷でグロい描写が多いのですが、殺伐系が好きで尚かつ乙女向って言葉に反応しちゃう貴女はプレイしてみては如何でしょうか?



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-09-17 12:19 | サウンドノベル | Comments(0)
2011年 09月 17日

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『不条理な話』

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道玄斎です、おはようございます。
何だか短くて、ホラーテイストの作品を探していたらドンピシャなものを見つけたので早速プレイしてみました。
というわけで、今回は「みかん箱。」さんの『不条理な話』です。尺が12~13分程度なので、今回は番外編で。



恐い……というよりは、まさに「不条理」な話、というか、妙に後味の悪い話が詰め合わせられた短編集、という感じでしょうか? 注意点としては、一話プレイする毎にタイトル画面に戻りますが、エンドロールが出てくるまで「ゲームを始める」をクリックし続ければ、新しい話を読む事が出来ます。

更に、本編を読了すれば、「おまけ」シナリオも読む事が出来ますが、こっちもやっぱり後味が悪いw
そもそも、タイトル画面から「花いちもんめ」が女の子の声で、かなーり恐い感じで流れてきていて、雰囲気はバッチリです。

五話+一話という構成ですが、単純に後味が悪い……だけじゃなくて、ちょっぴりシュールな話も入っていて、ヴァラエティに富んでいたかもしれませんね。
敢えて似たテイストを探すとすれば、ホラーというより『世にも奇妙な物語』タイプというか、そういう不思議で、且つ、後味の悪さを持った作品群で、そういうのが好きな人にはお勧め出来る、かな? 必ずしも霊的な恐さ、じゃなくて人間的な恐さだったりがフィーチャーされたりするので。

個人的に凄い好きなのは、「人間仮面」と「片われ」ですかね。あっ、あとオマケの一本も好き。
あのオマケのヤツは結構共感しちゃいますねぇ……。
適切に愛された事が無いと、適切に愛することが出来ないってわけで、なんとなーく共感度が高いような……。けど、けどあそこまで愛してくれるんだったら、男としても本望なんじゃないかなぁ……なんて思わなくもないんですよねぇ……。
女のとった行動はちょっとアレだけど、それだって決して分からないわけじゃないし……。って、私も歪んでるのかしら……。


そういえば、とある所を押すと強制終了しますが、それは仕様としての強制終了なんだそうな。
カーソルを合わせると、謎の女の薄気味悪い笑い声がするので……多分……すぐに分かるんじゃないかな?

そういう所の作り込みもしっかりしていて、存分に薄気味悪い……後味の悪い話を楽しめるようになっています。大体、10分そこそこで読了可能なので、お気軽にプレイしてみて下さい。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-09-17 08:55 | サウンドノベル | Comments(0)
2011年 09月 14日

フリーサウンドノベルレビュー 『ヒツゼンセイ』

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今日の副題 「考える選択肢」

ジャンル:無力感系恋愛アドベンチャー(?)
プレイ時間:コンプリートまで2時間程度。
その他:選択肢アリ。三個にエンド分岐。
システム:吉里吉里/KAG

制作年:2011/04/29(ver. 1.01)
容量(圧縮時):21.4MB




道玄斎です、こんばんは。
今日も1作品プレイ致しました。私が責任者になっているNovelers' Materialの素材を多く使って下さった作品でした。
というわけで、今回は「SULPTENON」さんの『ヒツゼンセイ』です。
良かった点

・高校生の空気感が良く出ている。

・考えさせられる選択肢がちょっと新しい。


気になった点

・絡み合うはずのシナリオが個別に存在しているような感触が。

・ハッピーエンドは、ラストに色々詰め込まれすぎか?

ストーリーは、作者さんのサイトから引用しておきましょう。
「ハッピーエンドは俺も好きだ。そしてそれは、物語の中だけに留まらない」

寂れた部活、問題を抱えた後輩、笑わない恋人、遥か高みにいる悪友。
悩めば解決するわけじゃない、苦しめば改善するわけじゃない。
それでも榎本諒太郎は奔走します。ハッピーエンドを掴み取るために。

こんな感じ。

大抵の恋愛系の作品は、「如何にお目当ての娘を彼女にするか」が最終目標な事が殆どです。
二人は結ばれてメデタシメデタシ……。なんですが、本作の場合、プレイ開始直後に、主人公とヒロインはカップルになってしまうんですよ。主人公の告白に、表情一つ変えずに「はい」と答えるヒロイン。

現実の恋愛がそうであるように、本作の主眼の一つは「付き合ってからどうするのか?」みたいな、所にあるわけです。
今回はのっけから脱線しますけれども、無表情系文系少女みたいなヒロインが出てきた瞬間に、「これは地雷かもしれん……」と思いましたw
勿論、作品の善し悪し、についてではありません。私の個人的な体験に接触してしまうのではないか? という懸念ですw

結論から云ってしまうと、結構近い所ありましたね……。
端から見ると、無表情系の女の子に結構尽くす私が居て(そう、尽くすタイプなんです!)、けど、向こうのリアクションは意外と薄くて、何だか自分だけが空回りしているような、空虚感。
ただ、慌てて付け加えておきますが、私の場合、向こうが「デレ」てくれる瞬間があって(半年に一度くらい)、そういう意味では、本作の主人公と私は異なりますw


さて、どうでもいい脱線はこのくらいにして、中身に入っていきましょう。
作品を読み進めていく中で、「中々いいぞ」と思った点は、結構リアルな高校生活を描いている、という点です。
例えば、恋愛モノの作品が一本あったとして、作品の焦点は先にお話したように、「恋愛」、もっと云ってしまえば「如何にその娘と付き合うか」に絞り込まれていきます。
合間合間に、試験の描写が入ったりもしますが、飽くまでそれはスパイス程度のものですよね。
ところが、本作の場合、文芸部部長としての主人公の生活と、ヒロイン百合花の彼氏としての主人公の生活が並行して語られているんです。

本物の高校生は、きっと六時間や場合によっては七時間の授業(私は七時間授業でした)に耐えながら、部活をやり、バイトをしたり、さらに恋愛をしたり……と多面的な生活を送っているハズです。
それが、恋愛に焦点が絞られてしまうと、恋愛以外の要素はスパイスとして機能する事はあっても、「欠くべからざる生活の一部」としての他の要素がするりと抜けてしまうんですよ。

ですので、文芸部部長の顔と、百合花の彼氏としての顔が、並行して語られている点、多面的な凄くリアルな高校生を感じさせるものになっていました。
一方で、気になった点もここに関わるのですが、あまりにも文芸部ルートと恋愛ルートばブツッと分断され過ぎている……と感じたのも亦事実。

本来ならば、その両者の面を描きながらも螺旋を描くように、その二つのルートは絡み合い、最終的なテーマに向かっていく……というのが理想的なあり方だったかな? とちょっと感じましたね。
あまりにも、ブツッとこの二つが分けられすぎていたかな? という事ですね。二つのルートが交互に描写されている、みたいな。

主人公と百合花の間には、生徒会という一つの接点があって、そこらへんの設定を上手く活かしながら、両者の描写がもっと絡み合って存在していても良かったような。


あと、これは特筆すべき点だと思うのですが、選択肢、が兎に角珍しいタイプです。
大体、選択肢って私は大まかに、ですけれども、二つに分けられると思っています。
それは「選択すべきポイントが分かる型」と「分からない型」です。例えば、恋愛作品ですと(今日はステレオタイプな恋愛作品の出番が多いなぁ……)、基本、お目当ての女の子になるべく接触していくようにすれば、恐らくかなりの高確率で、その娘のルートに入っていく事が可能です。
これは、「分かりやすい選択肢」ですよね。

一方、ホラー作品なんかにありがちなのは、深夜の一時過ぎ……静まりかえった校舎の二階。何か人為らざるものに追いかけられる主人公。そこで選択肢が登場して「3Fに移動する」「1Fに移動する」なんて選択肢が出てきたら、どっちが正解なのか、は即答出来ません。どちらかを選び、結果としてバッドエンドになってしまったら、他のルートを試す……という「分からない選択肢」です。

本作、選択肢の数は割と多め……ではあるのですが、この両者にも当てはまらないような、ちょっと特殊な選択肢が用意されていて、そこは素直に唸らされました。
つまり、「ノベルゲーム的に正しい選択肢」が分からないんです。「この選択肢を選べば問題ないだろう」とか、総当たりでやっていくしかない、とか、そういうタイプではなくて、寧ろプレイヤーが我が身に擬えて、「お前だったらどっちを選ぶ?」と、或る意味読者、プレイヤーに対して問い掛けてくるようなものであって、私なんかは結構悩みながら選択肢を選んでいきました。

何か、男としての度量(?)を試されるような選択肢すらあって、五分くらい考え込んでしまいましたからねぇ……。ある選択肢を採る事は非常に易しい。けれども、もう一方で提示される選択肢も、自分としてはアリだと思う。
そういう時に、どの選択肢を採ればいいのか……凄く悩みます。
こういう選択肢の出し方、何だか物凄く新鮮で、本作の一つの特徴……と云ってもいいかもしれませんね。この「プレイヤーに考えさせる」選択肢のシステムは新しい選択肢のあり方、を示してくれる、というような意味で、私的には面白いな、と思いましたね。


そういえば、多分、初見でハッピーエンドを見る事は恐らく非常に困難です。
多分、一度、バッドエンド風味のエンドを見る事になります。そして、既読スキップなどを使いながら、真逆の選択肢を採っていけば、又別のバッドエンド風味のエンドに到達出来ます。

そうすると、タイトル画面の「オプション」から、必須選択肢、回避すべき選択肢の表示/非表示が選べるようになるので、勿論。「表示」にしてやって、必須選択肢のみを選んでいけば、問題なくハッピーエンドのルートに入れるハズ。
ちょっと、どのルートでも主人公に絡んでくるカズの存在が、何か厭な立ち位置だったりするわけですが、ハッピーエンドのルートに入ってから、畳み掛けるように、物語がジクジクと内包していたものが一気に放出されます。ただ、このラストパートに、色々詰め込みすぎかな……? という気もします。

主にヒロインの謎について、なんですが、物語前半ではそれを示唆する描写が少し出てきていたのですが、中盤になると、一気にそうした描写は激減します。
でも、ハッピーエンドのルートに入った途端に、主人公は覚醒して凄い熱血野郎になってしまうのでしたw
正直、結構ありがちなパターンになっちゃったかな? と感じる部分もあったりして、もう少し中盤くらいからも、ヒロインにまつわる謎、について少しづつ開示していっても良かったかな? とは思いましたね。
そして積み上げた伏線をラストで爆発させる。
やはり、この辺りがノベルゲームの王道とも云える状態でしょう。

ちょっとラストに詰め込みすぎたかな? という所です。


だけれども、或る意味ありきたりなエンドは、やはりそれはそれ、評価すべきでしょう。
中々素敵なエンドで、分かっちゃいるけど、やっぱり感動出来ます。
そういうある種、押しつけがましい感動、に過敏に反応しちゃう人も中にはいるでしょうが、基本のものを基本通りに終わらせる、というのは、ノベルゲームでは避けて通れない道ですから!

あとは、敢えて述べるとすれば、開始直後は人員の紹介が多くて、誰が誰か分からない、という状態もややありました。読み進めていくと、又、ちゃんと印象は変わるんですけれどもね。
傲慢な云い方かもしれませんが、やっぱり作品が進むにつれ、どんどん文章のテンポも良くなっている感じがします。



大体、こんな所でしょうか?
割とありがち……なラストではあるのですが、考えさせられる選択肢、是非楽しんでみて下さい。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-09-14 19:08 | サウンドノベル | Comments(0)
2011年 09月 13日

なんてことない日々之雑記vol.347

道玄斎です、こんばんは。
日々之雑記……は随分久しぶりな気がしますね。ゲームレビュー10本書いて、その間に一本挟む……のだから許容範囲かな? という気はしますけれども。



■焦る

今、恐らく人生最大で焦ってます。
良く、生放送なんかを聞いて下さっている方にはお馴染みの「Tさん」(ウソツキで有名)が、なんと結婚するそうです。ただ、式とかは挙げずに、婚姻届を出すって事らしいのですが……。

凄い置いて行かれた感があって、過去最大に焦ってます……w
いや、今さ、ステディに(この云い方も古いなぁ……)お付き合いしている人がいる、っていうのならば、話は別です。けれども、もう丸々4年くらい彼女を作らず(あまり興味の無い人から明らかに言い寄られてるっぽいのは、何度かあった)過ごしてきて、なんかそれは凄い失敗だったのではないか、と自問自答しているわけです。

いつも云ってるんですが、やっぱり外見よりも、フィーリングっていうかそういう所が大事ですよね。中身重視というか。
そもそも私の女性の趣味は割と変わっているらしくて、一般的にはあまり可愛いとか綺麗とか云われないタイプ……が好みみたい。けど、上手く云えないけれども、自分の中で選定基準はあって、抽象的ですけれども、優しさ、みたいな所が一番のポイントかなぁ……って気がしています。

で、後輩とかさツテを探して、「良い人が居たら紹介して欲しい!」と云ってはいるんですが、なんかそのままフェードアウトされそうな気がしないでもないw
誰か……我こそは! って方はいらっしゃいませんかね?w 取り敢えず、大体……午後九時くらいから生放送をやっているので、そちらの方に来て頂いて、色々お話しましょうw
先ずはお友達から、ってのはダメですか?w

マジでかなーり切実なので、是非是非、女性の方がこれを見て下さっていたら、ご一報下さいましw
あの見づらいですけれども、このブログの右端にメールアドレスも記載しているので、そちらに送って下さってもOKですが、やはり、生放送で肉声を聞いて頂く……というのが一番分かりやすいかな? という気はしています。

いや、ホント、超超大募集しているので、是非是非、何か一声掛けてやって下さいまし!



それでは、おやすみなさい!
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by s-kuzumi | 2011-09-13 02:19 | 日々之雑記 | Comments(0)
2011年 09月 08日

フリーサウンドノベルレビュー 『ランプ lamp/rumble』

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今日の副題 「シンプルだけど、そこがいい」

※吟醸
ジャンル:ランプの精と同居ストーリー(?)
プレイ時間:本編1時間半程度。おまけまで入れて1時間40分程度。
その他:選択肢アリ。バッドエンド3つ、グッドエンド1つ。
システム:NScripter

制作年:2005/5/?
容量(圧縮時):3.41MB




道玄斎です、こんばんは。
時々、このブログは思い出したかのように、昔の作品を取り上げる事があるのですが、今日もその一環で六年前の作品を持ってきました。容量をご覧下さい。なんと驚きの3.41MB! 今じゃ、OPムービーや主題歌やらどんどん豪奢になっていくフリーのノベルゲームの世界では、数百MB、下手をすれば1GBを超えてしまう事もあるわけですが、容量の大きさと作品の良さは飽くまで別個、という事を改めて感じさせてくれた、そんな作品です。
というわけで、今回は「Magicair/Air」さんの『ランプ lamp/rumble』です。
良かった点

・ヒロイン、ラシフィルのキャラクターが非常に好感が持てる。

・ご都合主義……と云えばその通りだが、暖かみのあるラストでじんわり出来る。


気になった点

・オチは割とあっさり読める。

ストーリーは作者さんのページから引用しておきましょう。
君塚啓吾、十六歳。特に特徴もない(と自分で思っている)、平凡な高校生。
ある日彼は、骨董品屋をやっている祖父から、ランプをもらう。それに啓吾は最初は嫌がりつつも、段々と気に入っていく。
そうして、その日はいつも通り眠りについた。
――――翌日。
「おはようございます、マスター」
一人の蒼い髪の少女が、枕元に座っていた。
そこから、物語は始まっていく。

こんな感じ。


大凡、男性主人公が女性と同居する「同居モノ」は、同居する(居座る?)相手は女性で、尚かつ人外だったりします。何となく幽霊が多い気がしますねw
まぁ、男性主人公の家に男性が同居したらBLになっちゃうので性別について、特に考える必要はないでしょうw

さて、本作の目新しい点と云えば、同居する女性が、幽霊ではなく、ランプの精だという点でしょう。
当然、主人公に対して「願い事を一個」叶えてくれる、というオプション(それがメイン?)付きです。その願いを決める為の期間として七日というリミットがひとまず設定してある点、評価すべきでしょうね。

毎度書いている気がしますが、兎にも角にも、ストーリーの終着点が示されていると、何か安心出来ませんか? サラリとプレイしてみたら実は一年間を描く作品だった、とかだと厳しくないですか?w 
それよりも、ひとまず、枠組みとして七日なら七日、と物語のリミットが示されていると脳内で、「まだ一日目だから、そこまで深い話にならないな……」とか「そろそろ三日目だから、何か重要なパーツが示されるぞ……」とか心構えが出来る、というか。

本作の良い点は、なんといってもランプの精こと、ラシフィルのキャラクターが厭味が無くて良かった、という点ではないかと思います。
過剰に萌えを狙ったものでもなく、天真爛漫さや優しさ、そして時折見せる真面目な姿。それらがバラバラに提示されるのではなく、ちゃんとラシフィルという一人のキャラクターのものとして統合されている、という事です。

主人公とラシフィルの掛け合いも上々で、思わずこちらもその作中の「楽しい空気」に感染してしまいます。七日というリミットの中で、二人の距離感の推移を描くのがとっても上手いです。
所々に文章にウエイトが掛かるのですが、これは演出としてのウエイトですよね。
あんまり頻繁にウエイトしてしまうと、うざったく感じてしまうのですが、本作くらいのウエイトなら飽くまで「見せるべきテキストを見せる」為に機能しているので、そこまでプレイのしにくさを感じる事はないのではないかと。

ちなみに一応バッドエンドはありますが、常識的な選択肢を採っていけば、問題なくグッドエンドにたどり着けると思います。


この作者さんの作品は何度かプレイしていますが、割とファンタジー色の強い作品がやっぱり多いですね。
本作は、その嚆矢というか、多分処女作だったハズで、割と薄め……のファンタジーですね。
日常があって、そこに非日常(ランプの精)が入り込んでくる、みたいな。他の作品は、非日常が日常として受け入れられてる世界が多いですね。

ファンタジーはファンタジーで凄い好物なんですけれども、この日常の中に入り込む不思議、というヤツも乙ですよね。
何しろ製作年が少し古めですから、凝った演出とかは少なめ。だけれども、ヒロインと主人公の暖かなやり取りで十分楽しめるものになっています。
よって、今回は少し甘めですけれども吟醸、です。


気になった点としては、やっぱりオチが簡単に読めてしまう……という所でしょうか?
ちょっとヒネリは加えてあるのですが、大凡最初に抱くであろう予想通りに落ちてきた、という感じです。それが必ずしも悪いわけじゃないのですが、もうちょいプラスアルファがあっても良かったかな? という気は少しします。

けど、慌てて付言しておきますが、セオリーがあってセオリー通りにストーリーがキチンと纏まる、とは実は凄い事です。
何事にも型っていうのがあって、型を知らずして、何か人と違った事は出来ないんですよね。型をキチンと修めて、そこから型を出て、自分の形を作っていくわけで。そして型通りに作ったものでも……丁寧に作られていればちゃんと楽しめるのです。だからこその吟醸なのでした。



という辺りで、今回はこんな所でしょうか?
もし、ランプの精が出てきて一つだけ願い事を叶えてくれるとしたら……あなたは何を願いますか?



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-09-08 22:19 | サウンドノベル | Comments(0)