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2011年 12月 31日

フリーサウンドノベルレビュー 『こいいろ』

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今日の副題 「どこにでもあって、どこにでもない恋」

※吟醸
ジャンル:恋愛ノベル
プレイ時間:40分程度
その他:選択肢なし、一本道
システム:吉里吉里/KAG

制作年:2008/09/05
容量(圧縮時):76.9MB




道玄斎です、こんばんは。
これが2011年最後のレビューになりますね。リリースされたのは少し前、なのですが、すっかり見逃していました。
というわけで、今回は「ProjectTNK」さんの『こいいろ』です。
良かった点

・何と云っても、構成が素晴らしい。こういうタイプ、かなり稀少なのでは?

・ライトな読み物とは一味違った、“読ませる”作品。

・(男性なら)誰しも経験している事を軸にしながら、誰もが経験していないドラマティックな恋愛を描いている。


気になった点

・場面場面で、誰が誰だか一瞬分からなくなる事がある。

・前半パートは若干駆け足気味だったか?

・もう少し、文章表示にこだわれば、もっと読みやすくなったはず。

ストーリーは、ベクターの紹介文から引用しておきましょう。
別れの先の新しい出会い......。
悲しさを抱いたまま見つける新しい道筋は、やがて一つの花を咲かせる。
優しいだけの世界じゃない。
不条理ややり場のない切なさに突き当たるんだ。
けれど、その先の幸せを目指してゆっくりと僕らは歩いていく。

Project TNKが贈る恋愛ショートノベル『こいいろ』

――ありふれた恋。
けれど、どこにもない恋。

体験してみませんか?

こんな感じ。



2011年を締めくくるに相応しい、かなりの良作に出会いました。
実は、本作は2008年にリリースされていたのですが、ずっと見逃していました。昨日、NaGISA netのNaGISAさんが「今年一番印象に残った短編作品」と仰っていたので、プレイしてみたら、なるほど、素晴らしい短編作品でした。

今年、私が印象に残った短編作品は、『君と再会した日』でしょうか。
これも選択肢なしの一本道。同窓会への出席を通して、思い出の女の子との再会を願う……という謂わば直球の作品でした。勿論、ただ直球なだけではなく、上手な伏線が張ってあり、かなり感動出来る良作でしたね。

一方、本作は変化球、です。
選択肢なしの一本道、というかなり大きな意味での枠組みは変わらないものの、内容の構成は『君と再会した日』と大きく異なっています。

というのも、短いストーリーが次々に提示されて、一本のストーリーを為しているからです。
この一つ一つの短いストーリーの中には、本筋のストーリーとは一見無関係のものも入っていたりします。それが、実は物語内物語、のように機能していたり、何気なく挿入されるショートストーリーが、「現在」から見て、「過去」の出来事であったりと、時間軸の移動も伴いながらストーリーが進んでいく事になります。

この構成の妙は、本当に凄いものがあります。
立ち絵、一枚絵は存在しませんが、そんなものが気にならないくらい鮮やかな構成になっていました。
そういえば、本作も亦、『君と再会した日』同様に、星や自然などの「大きなもの」を使い、感動を演出していましたね。

更に、本筋のストーリーが男性なら誰しも経験あるであろう、「ありふれた」恋愛を描いており、物凄いリアリティを見せてくれます。
どういう思考なのか私には全く理解出来ませんが、「嫌いになった訳じゃないけれども、お別れしましょう」みたいな台詞、一度くらい云われた事、ないですか? これは男性にとって永遠の謎ですよね。
そういう意味では、リアリティがあり、ありふれたストーリーなんです。が、合間に挟まれるストーリーが本筋のストーリーを補完しながら、ドラマティックな構成を取り、「ありふれていない」見事なラストに結びつく。これは、中々出来る事じゃないですね。

又、800×600の画面構成が、「読ませる文章」に貢献していた、という点も見逃せません。
一字は割と小さめですが、その画面の大きさを利用して、一画面に多くの文章を表示する事で、「小説」のような雰囲気が良く出ていました。
640×480だと、文字を小さくすれば読みにくいですし、大きなままだと一つの長目の文章が、一行毎に、ブツブツと分断されるような感触もありますから。


さて、一方で気になった点、ですが、本作は登場人物の名前を全く表記しません。
多くのノベルゲームは、割と奇を衒った……云ってしまえば若干読みにくい名前のキャラが多いような気がしています。
本作の場合、登場人物の名前が明記されない所が、又何とも云えない文学的な香りを感じさせてくれます。そして、名前がなくとも違和感が殆ど無い、というのも凄い所です。

ですが、違和感は殆ど無い、と書きましたが、短いストーリーが重層的に絡み合いながら一本のストーリーを作っているわけで、場面が変わった際に、「この“俺”というのは誰なんだ?」という疑問を感じさせる部分があります。

最初に提示されるストーリーを見たあと、次のストーリーを見ると、あたかもそれが連続しているかのように思えるのですが、実はさにあらず。
そういう部分で、若干戸惑う所もあります。とはいえ、プレイを進めていくと、何となく全体像も把握出来るんですけれどね。

次に、若干、前半(という分け方でいいのかな……?)は急ぎ足だった、ような気もします。
特に、最初に提示されるストーリーは、何となく性急な印象があり、次に示されるストーリーとの繋がりが悪かったような印象がありました。

これは蛇足なのかもしれませんが、折角の800×600の画面を使い、それが効果的に文章表示に繋がっている反面、もう少し、見やすさを考えても良かったのかもしれません。

具体的には、地の文と会話文が連続して表示されていたりするのです。
私の感覚だと、地の文と会話文はやはり一行、ブランク行を作り、明確に地の文との差別化を図ると見やすいかな? という気がします。


色々書きましたが、2011年を締めくくるに当たって、本当に良い作品に巡り会えたと思います。
吟醸……ではあるのですが、実は少し悩んでいて、もしかすると大吟醸にしちゃうかもしれません。
長さは凡そ40分。短編という事ですが、構成の妙が光る良い作品です、是非お正月にでもプレイしてみて下さい。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-12-31 18:56 | サウンドノベル
2011年 12月 30日

フリーサウンドノベルレビュー 『あの丘の上まで』

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今日の副題 「それは、たった一分の奇跡」

※吟醸
ジャンル:不治の病のシリアス系ノベルゲーム
プレイ時間:4時間半
その他:選択肢なし、一本道
システム:CatSystem2

制作年:2011/9/20
容量(圧縮時):154MB



道玄斎です、こんばんは。
もう年の瀬ですね。年内に、もう一本くらいは読み応えのあるノベルゲームをプレイしたい、と思っていたのですが、無事発見し、こうしてレビューする事が出来ました。
というわけで、今回は「優凪」さんの『あの丘の上まで』です。『あまやどり』の作者さんの新作ですね。
良かった点

・感動出来て、印象的なラストシーン。

・ただの不治の病モノ、ではなく、もう一つの方向性がある事で、ストーリーに幅が出ている。


気になった点

・中盤以降、テンポが悪くなりプレイしていて辛い部分もある。

・もう少し、描写が欲しい場面や人物がいる。

ストーリーは、少し長目ですが、ベクターの紹介文から引用しておきましょう。
人に絶望し人生を諦めていた――

幼い頃から両親の虐待を受け、学校では苛められ……
俺はいつしか人を信じる心さえも失っていた。

唯一の拠り所は、同じ心の傷を持つ妹の果夏(かな)
生活はけして楽じゃなかったが、それでも二人で慎ましく生きていた。

そんなある日……
果夏は体調を崩し入院する事になる。

初めての事に不安を覚えたが、
幸いなことに果夏の身体は少しずつ回復へと向かっていく。

そんな中、俺はある悩みを抱えていた――

退院し学校に復帰することになれば、
果夏はまた苛められるかもしれない……。

果夏の中学進学に合わせ、
なんとか辛い環境を変えてあげたい。

しかし俺自身、人に心を開くことが出来ない中、
どうすれば果夏を救うことが出来るのだろう。

そんな時、
俺たちの運命を変える出会いが訪れる。

「あの、進くん……だよね?」

俺と果夏、二人だけで寄り添って生きてきた閉ざされた世界。
そこに、一筋の光がさそうとしていた。

こんな感じです。
かなり長目の引用になってしまいましたね。



本作は所謂「不治の病モノ」です。
この不治の病を描いた作品は、枚挙に暇がありません。大凡『ナルキッソス』以降、急激に増えた感触を個人的には感じています。
しかも、本作では「不治の病」に冒されているのは、主人公の妹、果夏です。やはり「妹」がこうした病魔に蝕まれる、とういのも割と目にするような気がしますね。

さて、冒頭部で、主人公の進と果夏の幼い頃の描写がなされます。
この兄妹は、不幸の連続に見舞われており、それ故、他人を、人間を信じられなくなってしまっています。
そうした中で、果夏のとあるアクションが、進の心を動かして「妹を守ろう」と決心するようになるのですが、この辺りで、『加奈~いもうと~』の匂いを少し感じてしまいました。妹の名前も「かな」で音通していますし、病に臥している辺りもかなり近いものを感じましたね。

更に読んでいくと、この兄妹は、親からの虐待や育児放棄などが原因で、或る意味でお互いに依存し合っており、そういう部分を見れば『Silence ~涙をふいて』に近い感触もチラリと感じてしまいました。

とはいえ、実際に読み進めていくと、上で挙げた作品とはやはり一味違います。
その理由の一つは、単なる「病院モノ」「不治の病モノ」ではなく、そこには「人間を信じる」という、もう一つの軸が存在しているから、です。

他人との付き合いを最小限にし、目立たない事を信条にしている進に、声を掛け、積極的に関わってくるクラスメイト、灯の存在が、進の、そして果夏の「他人と関わる事を恐れる」という状況を少しづつ壊していきます。
灯と関わっていく中で、進は比較的スムーズに他人と関わる事が出来るようになり、学校で「自称友人」まで出来てしまうのですが、ここは気になった点、でもあります。

それは、進が、かなり容易に「他人を信じられる」ようになってしまっている、という事と、「自称友人」の影があまりに薄すぎる、という事です。
進と灯は、二人で休日に街に出かける、というデートのような約束をするのですが、実はそのデート場面は描写されず、サラリと次の日に場面が移行してしまいます。
やはり、ここは、まだ他人とうち解けられない進と灯のデートの内容を描いて欲しかったですね。灯との関わりをキチンと描写すれば、進が他人を信じられるようになった、という結果に対して、説得力がグンと増すはずですから。

又、「自称友人」も、チラッと二、三回姿を現すのですが、ストーリーへの積極的な絡みは希薄です。
彼もまた、灯と同様に、主人公の心を開かせる、という意味において、もう少し出番があっても良かったかな、と思います。


けれども、他人を信じられなくなっている進、に対して個人的な感情移入度は高かったです。
そして、果夏の病気、だけではなく、この兄妹の抱えている精神的な問題、という軸が存在している為、ストーリーに厚みがあった事は事実でしょう。こうしたもう一つの軸が無く、単なる「病院モノ」であれば、本作は、相当味気ないものになってしまっていたはずです。

大体、灯のお陰で、進、そして果夏が少しづつ心を開き始める辺りまで、が序盤と考えると良いと思います。
先ほど、デートシーンの省略の問題について触れましたが、序盤のテンポは上々です。気持ちよくクリックして読んでいく事が出来ます。

一方、それ以降、つまり中盤からは、舞台が殆ど病院となってしまい、しかもテンポが悪くなってしまうので、若干読みにくさを感じました。もう少し、必要な部分に焦点を絞ってコンパクトに纏めても良かったかもしれません。そこがダラダラと長く続いてしまうと、「あの丘」という作品の重要なポイントの存在感も希薄になってしまうような印象はありました。
そうはいっても、ある種、その積み重ねがあってこそのラストなわけで、そこらへんのバランスは意外と難しい所だとは思いますね。


ここまで、かなり辛口なのですが、本作が最も光るのは、やはりラストのシーンです。
そこは掛け値無しに感動出来る場面でした。
「不治の病モノ」では、昨今のノベルゲームを見る限り、こういう云い方はアレですけれども「死の演出」に焦点の一つが置かれているように感じます。かと云って「奇跡の力で病が完治した!」というのも、何だか白けてしまいますよね。

その辺りのバランス感覚、そこが本作の優れたところでしょう。
ただ単に、「死にました」というのでもなく、又「完治しました!」というのでもない。
前後の文脈、ストーリーと合わせて凄く良い落としどころを見つけた、という感じです。又、このシーンはその後、最後の最後で示される果夏の願い事、とリンクしており、かなり感動的で、印象的なものとなっています。


何だか今日は辛口になってしまいましたが、ラストのバランスの取れた感動的なシーン、丁寧に作り込まれた演出面(立ち絵こそないものの、随所に出てくるメールの画面とか、かなり凝っています)、兄妹の精神的な成長など、評価すべき所も沢山あります。
「不治の病モノ」が多く作られている中で、やはり、他の作品とは一味違うインパクトを持っていた、という事で、今回は吟醸です。

プレイ時間は少し長目の4時間半。
だれてしまう部分もあるかもしれませんが、是非感動のラストを見てみて下さい。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-12-30 20:36 | サウンドノベル
2011年 12月 24日

フリーサウンドノベルレビュー 『君と再会した日』

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今日の副題 「大人が泣ける感動ノベル」

※大吟醸
ジャンル:同窓会系感動ノベルゲーム(?)
プレイ時間:30分程度
その他:選択肢なし、一本道。
システム:NScripter

制作年:2011/12/21
容量(圧縮時):7.10MB




道玄斎です、こんばんは。
ちょい間が空いてしまいましたが、ノベルゲームのレビューをお届け致します。何となく年末になると新作が出てくるような……そんな作者さんの最新作です。
というわけで、今回は「九州壇氏のノベル工房」さんの『君と再会した日』です。
良かった点

・30分の中に凝縮された物語。密度が濃いです。

・伏線の使い方が巧みで、ハイレベルな作り、構成になっていた。


気になった点

・若干、白々しい所がある。

・プレイヤーの年齢が高めの方が、楽しめるかもしれない。

ストーリーは、ふりーむの方から引用しておきましょう。
ひどく寒い冬の日。
僕は、生まれた街へ向かった。
彼女に会えることを願って。
  
社会人が主人公の同窓会系(?)ノベルです。
プレイ時間は30分ほどの予定です。

こんな感じ。



いつものように、少しストーリーを補足しながら、話を進めていきましょう。

主人公は、小学校の同窓会に出席する為、故郷に戻ります。
そして、自分に星座の事、星の神話の話をしてくれた宮田さんと会う事を期待しており……という流れで本作はスタートします。

九州壇氏さんの作品は何作もプレイしていますが、新作がリリースされる度に新しい切り口を見せてくれたり、内容的にも或いは文章の運び方もどんどんと巧みになっている印象がありますね。

本作はついに満を持しての大吟醸。
「地味だけど丁寧な作品」を目指して、との事でしたが、十分丁寧さが見て取れる、良い作品でした。地味というのは恐らく、「立ち絵、一枚絵が無い」くらいの意味でしょう。しかし、そうした意味の地味であっても、丁寧に作れば、それはプレイヤーに必ず伝わりますし、十分名作たり得るのです。

星という新しい世界を教えてくれた、自分と同じちょっと内気な少女、宮田さんと自分。いつのまにか自然消滅してしまった関係ですが、主人公はいつまでも彼女の事を覚えおり、心のどこかでいつも引っかかっていた事示されます。
こういう感情は、男性ならばピンと来ると思うのですが、女性には分かりにくいかもしれませんね。基本的に男性の方が、過去の記憶や思い出を大切にする傾向があるのに対し、女性はその瞬間瞬間を大切にするようです。

実際に、作中の同窓会で、変わってしまった彼女を見て、どうにもやるせなくなってしまう主人公が描かれますから。主人公だけが、彼女と確かに共有していた時間を後生大事に抱えており、相手の方はそんな事をすっかりと忘れた体でいる。
そこに、どうしても感じてしまう苛立ち。女性だったら「そんな昔の事を持ち出されても……」なんて思ってしまうんでしょうね。


さて、本作、実はクリティカルな部分は、冒頭5分くらいで分かっていました。
ついつい穿った見方をして、「これはきっと、○○になっているパターンだぞ」なんて考えてしまうんですよね。
けれども、本作の凄く巧みな点は、伏線の張り方でして、冒頭でちらりと示される新聞記事が後々シッカリ活きてきて、「あれ? このパターンじゃなかったのか?」とミスリーディングまでさせてしまう、という所です。

これは本当にやられましたね。
主人公も、そしてプレイヤーである私も少し落ち込んでしまうような場面。そこで、限りなく鮮やかに伏線が活きてきて、かなり吃驚しました。
けれども、そこは同時に、本来予想していた通りの結果が示されて、うなだれてしまう所、でもあります。

気になった点ですが、ラスト近くで、「何故そうなったのか?」「何でそういう噂が流れたのか?」という謎が出てくる所があります。
しかし、そこまでプレイすれば、プレイヤーはその「何故」が分かっているはずなんです。
にも関わらず、作中では、主人公、そして同級生の井上さんの会話が続き、謎を解いていく場面が描写され、少し白々しい感じがしましたね。焦れったいと云う方が適切かもしれません。
主人公はすぐにピンと来て欲しかった、という事の裏返しなのですが。

もう一つは、これを入れるのはどうかな、という気がしないでもないですが、多分、同窓会などを経験している少し年齢高めのノベルゲーマーの方が楽しめるのではないか、と思います。
同窓会に行くと、元気だったヤツが病気で死んだ、なんて話があったり、ワールドワイドで活躍しているヤツがいたり、悲喜交々の情報が入ってきます。
そういう雰囲気を体験していると、多分、より一層作品に親しみや、感情移入が出来ると思いますよ。

又、最後までプレイすれば、作品のタイトルもちょっと一ひねり加えてある事も気づくはずです。
なるほど、そういう事か、と思わせてくれるようなタイトルワークで、素直なタイトルに見せかけて実は奥が深いものになっていました。


これは蛇足かもしれませんが、感動を演出する、っていうのはノベルゲームに於いて大事なファクターで、それ故、色々な方法が試行錯誤されてきました。
最近まで良く目にした「ヒロイン殺し」なんていうのは、その最たるものです。感動を演出する為に「ヒロインの死」を利用する。
これも、原初的な段階では、「描きたいモノ」の延長線に、必然性をもった形で「死」が存在していたはずなのですが、次第にそうしたコンテクストが無視されて、短絡的に「感動→ヒロインの死」という図式が出来てしまったような感触があります。

又、これも以前書きましたが、感動を演出する為の方法として、「宇宙や自然などの“大きなモノ”」を使う、という方法があります。
本作も亦、「星」「星空」というやはり、大きなモノを利用しているのですが、そこには、「感動させる為に利用する」というあざとさがありません。
ストーリーの中の必然として、そして主人公とヒロインを繋ぐかすがいとして、「星」「星空」が存在しているわけで、そこにいやらしさを感じる事は多分無いでしょう。

こうした、ノベルゲームに於ける感動と、この作品、については、作者さんが後書きにて、お書きになっています。
それを読めば、最後に何で私が、感動の話を持ちだしたのか、が分かると思います。そして、同時に作者さんが如何に真摯に作品に向き合っているか、その中で必然としてこの物語が生まれてきた事、理解出来ると思いますよ。


確かに立ち絵はありませんし、尺も短めの「地味」な作品です。
しかし、その30分の中にあっと驚く仕掛けがあり、思わず悲しくなったりする場面や、ジワッと来てしまう場面、そして最後まで読み終えて得心がいくタイトルワーク、等の様々な要素がギッシリ詰まっています。

ちょっと、こうした地味だけれども、心に深く沈殿していくタイプの作品、最近ではお目にかかれなくなってきていますね。
なので、少し甘いかな? と思わないでもないのですが、今回は大吟醸で。
短い作品なので、是非、多くの方にプレイして頂きたいと思います。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-12-24 19:03 | サウンドノベル
2011年 12月 21日

なんてことない日々之雑記vol.359

道玄斎です、こんばんは。
結構間が空いてしまいましたね。今回は、その言い訳というか申し開きというか、そういう感じ。



■この時期特有のアレとクリアフォルダ

というわけで、風邪を引いていました。
んー、大体年末年始に掛けて、風邪を引くことが多いんですよ、私。

何年か前も、お正月に風邪を引きまして、休日診療(?)みたいな所に行ったり、肺炎であわや病室で年越しか? という事態もありましたし。

で、今回も風邪。
但し、熱はあまり出ず、ザ・風邪みたいな症状は非常に希薄です。
その代わり、喉が痛くなったり、咳が出たりと、そんな症状でした(というか、今もちょっと咳が……)。
咳って地味に辛くて、聞いた話だと、咳をしすぎて肋骨を折った、なんて事もあるらしいです。
幸い、肋骨が折れるような事もなく、こうして無事にブログを綴れるくらいになりました。


んで、具合が良くなったので、今日はお買い物をしてきました。
来年の手帳を買ったり、必要なものを揃えたりしたら結構な散財になって、10,000円ちょい欠けるくらい使ってしまいました。

その買い物の中で、クリアフォルダも買ったんですよ。
私は結構クリアフォルダを多用していて、一つの案件に関して一枚のクリアフォルダで、という原則を作って、その案件に関わる一切合財をそのフォルダで完結させてしまいます。最終的に、フォルダがパンパンになるのが常なんですけれどもね……。
ちなみに何かの案件、というより恒常的に持ち歩いたり必要になるものに関しては、封筒で管理しています。

「クリアフォルダの残り枚数が少なくなってきたので補充せねばなるまい……」とか呟いて、10枚セットのものを買ったんですね。お値段は、全然高くないのですが、それでも出費は出費です。

そして、買い物を終えて、最寄りの駅に到達した時、「どうぞ~!」なんて声を掛けながら何かを配っているお姉さんがいました。
「また、アイシティかよ!」とか思ったのですが、どうも違うらしい。少しづつそのお姉さんに近づいていくと、なんとクリアフォルダ(中にパンフが入ってる)を配ってるじゃありませんか!

平静を装って、スィーっとそのお姉さんの横を通りながら、そのクリアフォルダを「どうぞ~!」と渡されるのを待っている私。けど、お姉さんは私をスルーします。
しょうがないので、「それ下さい」とついに自分から声を掛けてしまいました。
それが貰ったクリアフォルダがねぇ、また何て云うか結構お洒落な感じなんですよ。少なくとも、今日買ってきたそれより、一枚当たりの単価が高そうな感じ。

あまりに悔しくなったので、ちょっと買い物をした後、またそこを通ったら、別のお姉さんが同じクリアフォルダを配っていたので、それもゲットしました。合計2枚。値段0円。
「うーん……十回その道を通ってゲットしていたら、今日のクリアフォルダ代がただになったのになぁ……」なんて、ちょっと浅ましい事を考えたわけですが、流石にみっともないですからね。


まぁ、そんなこんなで私は元気です。
ノベルゲームも……最近ちょいとめぼしいものがないのですが、またボチボチプレイして、レビューを書けたら、と思っています。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-12-21 18:48 | 日々之雑記
2011年 12月 11日

フリーサウンドノベルレビュー 『忘れな二夜』

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今日の副題 「最後の夜は月を眺めて」

ジャンル:謎の少女と出会う型ノベルゲーム
プレイ時間:1ルート20分程度。
その他:選択肢アリ。4ルート。
システム:NScripter

制作年:2011/10/16
容量(圧縮時):18.1MB



道玄斎です、こんばんは。
今日は、20分くらいで終わる作品なので、本来ならば「番外編」に入れるべきなのですが、短いながらも多彩なエンドを持っていたり、或いはちょっと良い話が入っていたりするので、通常レビューで。
というわけで、今回は「サウンドノベルはまち」さんの『忘れな二夜』です。『晴れた日9月、恋天使』の作者さんの作品ですね。
良かった点

・意外なほど多彩なエンドを持った作品。

・各ルートが、他のルートを補完しており、巧みな作りに。


気になった点

・文章の繋ぎが悪く、不自然な箇所がある。

・エンド4は無くてもよかったかもw

ストーリーは、今回は私が纏めておきましょう。
祐二は、中学の頃からの付き合いのある、あかりと供に、教室に忘れたプリントを回収すべく、夜の学校に入り込んだ。目当てのプリントを回収して教室を出ようとした所、謎の少女と出会い……。

と、まぁ、大体この辺りでしょう。
20分の短編ですからね。


さて、本作「謎の少女と出会う型」です。
主人公が、ふとした拍子に、何か謎を秘めた、或る意味でワケアリの女の子と出会って、その内実を知っていく……というタイプでした。

こうした作りは、ドが付くほど定番の設定です。今挙げた作品以外にも、この手の作品は数多くプレイしています。クラスメイトがヒロイン、という場合ではその限りではないのですが、大体、主人公とヒロインの出会いでダントツに多いのが、このタイプです。

しかし、本作、エンドが分岐していまして、それが多彩で且つ、或るルートで分かる事実が、他のルートの謎を補完する、という凝った作りになっていました。
こうした短めの作品ですから、完全にルートが分岐する、というタイプよりも、各ルートが上手く結びつく、というタイプの方が合っていますね。

正直、最初の五分プレイした段階で「ちょっと読みにくいかも……」と感じてしまったのですが、謎の少女が出てきてから、ストーリーのテンポが良くなって、凄くプレイし易くなりました。
話が核心に近づいてくると、やっぱりプレイヤーとしても興味が出てきますし、自然と文章のテンポも良くなってくるような気がします。

又、短いながらも、謎の少女を含めて、3人の女の子が出てきて、立ち絵が表示されます。
選択肢によっては登場しない子もいるんですが、エンドの問題を含めて多彩な姿を見せてくれます。
とはいえ、一人、ちょっと可哀想……というか、「汚れ担当」になってしまっているあかりのルートはちょっとw
18禁っぽい要素もありますし、これは、他のルートと比較すると、ちょっと蛇足だったかもしれませんね。

エンドで云えば、エンド1が所謂トゥルーエンドなんですが、これがやはり、一番しっくりくるエンドでした。
当然、このルートではヒロインは謎の少女、です。
これが、中々いいエンドでして、ちょっと余韻無く終わってしまうものの、短編という作りを考えれば、十分納得のいくエンドになっていたのではないでしょうか?


さて、一方気になった点で、最大のものは、文章の繋ぎが悪い、という点です。
メリノという女の子と、夜の学校に来るルートがあるのですが、メリノの発話の後、結構唐突に謎の少女の「こんばんは」という発話、そして間髪入れず主人公の「こんばんは」という返事が表示されます。

ここは、プレイしていて、ちょっと置いて行かれる部分でした。
例えば、メリノの発話が終わった後、改ページをしてから「こんばんは」と、謎の少女の発話を持ってきたり、「その時、声が聞こえた」とか地の文で書いて示してやれば、こういう違和感は解消します。
「こんばんは」と云われるのはまだ良いのですが、それに対して主人公が驚きも何もなく、即座に「こんばんは」と返している事が問題なのかもしれません。

又、このルートでは、「楓の事を好きっていってくれて」みたいな、メリノの発言があるのですが、この「楓」がかなり唐突に出てきて、私は最初、人名か、植物かで結構悩みました。
実はこれ、メリノは新聞部に所属しており、中央公園に植わっている楓について記事を書いたことがあるんですよね。
なので、ここも「(わたしが書いた)楓の記事を好きっていってくれて」とかにすると、文意は若干変わりますが、違和感は無くなるかな、と思います。

この「楓」は他のルートでは、ちゃんと補完されているんですよね。
なので、エンドを見る順番にも拠るのかもしれません。とはいえ、やはり少しフォローが欲しい所ではありました。

短編なので、大体このくらい、かな。
短いながらも、選択肢によって結構多彩なエンドを見せてくれる作品でした。
気がきいているのが、或るルートが別のルートの謎を補完してくれる、という作りで、1もしかすると、ルート、1ルートと考えていくより、全てのルートを包含した一つの作品、として読むのがいいのかもしれませんね。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-12-11 17:35 | サウンドノベル
2011年 12月 08日

なんてことない日々之雑記vol.358

道玄斎です、こんばんは。
昨日に引き続き、今日も日々之雑記です。



■懐かしくなって

昨日、あれやこれや青春時代の事を書いていたからか、妙にセンチメンタルな気分になったのですが、その時、ふと思い出した音楽があります。



今見てみると、72年の曲なんですね。
これを知っていたらかなりの音楽マニアですよ、多分……。
歌ってる人はMAOという人。曲名は「僕を呼んでおくれ」。ソフトロックってジャンルに入るんだそうな。

この曲は、半ば伝説と化していて、音源を持っている人は殆どいなかったはずです(最近では、昔懐かしのコンピレーションに収録されてるみたいですけれどもね)。

でも、私は音源を持っていました。いや、多分持ってます。書庫の引き出しの中に入ってるハズ……。
というのも、このMAOの「僕を呼んでおくれ」という曲は、昨日さんざっぱら書いた早稲田大学の、軽音楽部系のサークルで音源が脈々と伝えられていたからです。伝説の名盤、としてね。

何度も何度もコピーされたので(昔はデジタルコピーとか無かったからね)、音質的にはかなり劣化しているんですよね。
それでも、つい数年前まで、検索を掛けても殆ど情報が出てこなかった人物と曲で、かなりレアだったんです。

んが、今となってはこうして簡単にYoutubeで見られてしまう。
便利になった! と喜ぶ反面、あまりにも簡単にモノが手に入るようになってしまって、一つ一つのものの価値が低下しているなぁ……なんて年寄りっぽい事も考えるのでした。

まぁ、ともあれお聞き下さいよ。
ちょっとノスタルジックで、かといって古びた感じもなく、寧ろ今聴くとその真価が分かる。そんな音になってると思いますよ。


いっつも、気味の悪い和風ホラーの話……じゃ、つまらないですからねw
ポピュラーミュージック(?)の話も時にはいいでしょう。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-12-08 00:55 | 日々之雑記
2011年 12月 07日

なんてことない日々之雑記vol.357

道玄斎です、こんばんは。

今日は、プレイする予定のゲームがないので、いつものように日々之雑記でお茶を濁します。
だけれども、ちょっと書きたい事もあるので、お暇な方はお付き合い下さいまし。



■そこは乙女の園――戸山女子大学――

先日、『機械仕掛けのアリス』という作品を取り上げ、レビューしてみました。
懐かしい光景が満載で、ちょっと心の琴線に触れた、というのは正直に告白するべきでしょうね。自分の所属していた団体なりが、舞台になっていたら、やっぱりそこにある種の愛情を持つものです(但し、よっぽど厭な思い出がない限り)。

で、私は書きました。「“戸山カフェテリア”なんて洒落た呼び名は使わず、“文カフェ”と呼ぶ」と。
でも、不安になったんです。「本当に今も文カフェって呼称が使われているのか……」と。

まぁ、一応、と思って検索を掛けてみたら、The 男爵ディーノなるサイトが出てきました。
もう、このサイトのネーミングセンスで、一発で早稲田大学出身者である事が分かりますw
大体、“男爵ディーノ”だの“久住女中本舗”だの、一般的なネーミングとはちょっと異なった、謎のベクトルを向いているものを付けたがるんですよ、私達はw

皆さんの身の回りで、奇行で有名な人とかいませんか? 何かアイデアを出し合ったりする時に、明らかにおかしい提案する人、いませんか? 10人中9人が右に行く、という時、敢えて一人で左に行く、という人、いませんか? 損得勘定よりも、妙に義理人情に篤かったり、自分の快不快に忠実な人いませんか? 女なのに、棒でぶったたかれても平然としている人、いませんか?

早稲田大学が世の中に輩出している人間が、そういう人達ですw
あのですね、勉強する気のないスポーツ選手とか、芸能人が良くこの早稲田大学なる組織に入るんですが、大抵中退しちゃいますね。というか、そういう人達を安直に大学に入学させちゃうから、学校の品位が下がる気がするのは私だけでしょうか……。まぁ、彼らはニセモノですから騙されないで下さい。

あー、けど、別に中退するのは悪い事じゃなくて、早稲田大学ってとこは、中退する人の方がビッグになるんです。『サザヱさん』のいささか先生も早稲田の文学部中退でしょ?
この学校、「学生一流、施設二流、教授三流」って云われておりまして、学生はとんでもない人物か、一歩間違えればキ○ガイで、施設はボロッボロで、教授はバカ。極めて端的に、この大学の本質を突いています。

で、学生が兎に角「お前は何がやりたいんだ!?」って事ばかりやるんですよ。私もやりましたw
学生がどんな事をするのか、と云えば、例えば……授業が終わって帰宅しようか、って時に雨が降ってきたとしましょう。


【慶應の学生】

サッとバーバリーの傘を取り出して、女の子と相合い傘をして帰る。


【早稲田の学生】

濡れるなら派手に濡れようとか云って、裸で帰る。


こんな感じです。
結構本質を突いてるたとえ話だと思いますが、どうでしょうか?
ちなみに私(達)のやったバカは、「ボクシングという体育科目の授業中に、履修者でもないのに乱入して勝手にボクシングをやり始める」とか……まだまだ一杯あるのですが、それは又の機会にw


っと、滅茶苦茶話がブレましたね……。
文カフェでした。
幸い、男爵ディーノは私より遥かに若い人物だという事、プロフィールにて確認してあるので、私の情報より新しい情報を持っているはずです。
で、彼はちゃんと「文カフェ」という語を使い、且つ、メニュー紹介までやっている! モツ煮は私の時にもあった定番メニューでしたが、他のメニューは全然知らないものばっかりですね。

まぁ、ちゃんと「文カフェ」って語が恐らく現在でも使用されている事、確認出来たのですが、男爵ディーノ氏は、別項にて「わせ弁」について言及しているではないか! ていうか、まだあったのかよ! って驚きの方が大きいです。


男爵ディーノが書いているように“そのモットーは「やすい、はやい、食えないことはない」”というとんでもない弁当屋。
位置的に、本部の法学部の所の出口から出て、小道に入ってまっすぐに行くと到着する、という説明しか出来ないのですが、少なくとも、本部、若しくはその周辺に位置する学部(理工・文学部)の人達じゃないと分からないのです。
昔はその辺りに、ふるーいサークル棟があったんだけれども、色んな事情で取り壊されちゃったんだよね。あのサークル棟の伝説とかも書きたいけど、それはまた今度にしましょう。

で、男爵ディーノは、「奇怪な噂」があるとは知っているようですが、その内実は知らないと見える。
俺たちの頃、良く云われていたのは、「わせ弁の唐揚げはカラスの肉で出来てる」という事でした。何故か? それは「安すぎる」からです。
わせ弁は、兎に角信じられない程の量がギュゥゥゥッット詰まってるにも関わらず、バカみたいに安い。スタバで何か注文するお金があったら、わせ弁は二食分買えちゃうくらい。おまけにわせ弁で二食分って事は、通常のご飯に直したら、四食分くらいはあるって事。

唐揚げに顕著なように、すごい油ぎっていて、超超スタミナ弁当、みたいな感じ。
で、無駄にメニューが豊富な上、裏メニューまである。男爵ディーノは裏メニュー「ギョーカラ」の存在を知っていたんだから大したもんだ。マイルストーン経由、だけどもね。

え? マイルストーンって何かって?
マイルストーンは……入学シーズンになると早稲田近隣の書店に置かれる(売られる)、早稲田大学の一サークルの発行物です。サークルで作った冊子、って事になるんだけど、電話帳みたいな厚さがあるんだw
何が書いてあるのかってーと、「楽勝授業一覧」「取っちゃいけない授業一覧」「絶対とるべき授業一覧」などなど。あとはサークル情報なんかもあるので、新入生はこれを持ってないと出遅れてしまいます。

これがあるのとないのとでは、卒業までの進路に大きな違いが出てきます。
このデータは、前年度、全早大生にアンケートを取って総合的に作られたもので、信頼性が非常に高い。
何も、「楽勝授業」だけを取る、ってんじゃないんだ。本当の狙いは「ハマリを避ける」所にあるのです。

「ハマリ」とは、誰がどう頑張っても、絶対に単位が貰えない授業、の事です。
酷い時は、四月、最初の授業で、教壇に立った先生が開口一番「今年は単位を出しません」と宣言する事すらあるのです。ね? 教授三流、でしょ?w
これ、本当に酷い話で、「単位を出さない」って云われたら、大抵の早大生は「じゃあ、いかねーよ!」って授業をボイコットするんですが(当たり前か?)、中には、真面目なヤツもいて、「それでも毎回ちゃんと出る」って云って、しっかりノートをとって、ちゃんとレポートまで書いて、ほぼマンツーの一年間が終わったのにも関わらず、やっぱり単位が貰えなかった、なんて伝説がありますからねぇ。
こういう、わけのわからなさ、みたいのが、この大学の魅力の一つではあるんですけれどもねw


まぁ、ザラザラっと、『機械仕掛けのアリス』そして、男爵ディーノからオイシイ所を抜き出しつつ、書いてみました。
一回、早稲田、のぞいてみたくなったでしょ?w
兎に角、『機械仕掛けのアリス』に話を少し戻すと、局所的過ぎてついて行けない恐れのあるネタ、が入っていました。それは「ワセ女」という単語などです。

「ワセ女」とは、先に出しました「棒でぶったたかれても平然としている女」の事です。
或いは、「棒でぶったたくと、蹴りをかましてくる女」でもいいですし、「酔って暴れて、店のふすまを破いた数、20枚」とか伝説を持つ人でも、「雨が降ってるなら濡れてやる、と女なのにおもむろに服を脱ぎ出す女」でもいいわけです。

簡単に云えば、早稲田くらいにしかいない独特な女、という事になりましょう。
独特過ぎるだろう! という外野の声が聞こえてきますが、本当にこの手の女、大量にいますw
『機械仕掛け~』のメイン舞台は、文学部でしたけれども、あそこは、女の園みたいな所で、自分が実際通ってるとマヒしちゃって分からなくなるんだけど、後で思い返すと「明らかにおかしい……」とw
まぁ、一応、乙女の園って事になっているわけで……それだから戸山女子大学という名称があるわけで……。けど、そこに居るのは、女というにはあまりにガサツであまりに頑丈であまりに無神経であまりに武勇伝がありすぎで……そんな女の子達です。


まぁ、こんな、わけわからん大学のわけわからん奴等のわけわからん日常が舞台なんだよ、って事が少しでも分かって貰えると……より一層『機械仕掛け~』を楽しめるかもね。って事で書いてみました。


それじゃ、おやすみなさい。
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by s-kuzumi | 2011-12-07 02:19 | 日々之雑記
2011年 12月 04日

フリーサウンドノベルレビュー 『機械仕掛けのアリス』

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今日の副題 「リアル大学生のSFノベル」

ジャンル:新感覚百合グルメアドベンチャー(全年齢対象)
プレイ時間:2時間ちょい。
その他:選択肢なし、一本道。但し、二周目がある。
システム:NScripter

制作年:?/?/?
容量(圧縮時):150MB




道玄斎です、こんばんは。
何か、最近連日ゲームをプレイしているわけですが、ここ三回ほど、昔懐かしの名作を持ってきました。けれども新作もプレイしたいですよね?
というわけで、今回は「MIS.W」さんの『機械仕掛けのアリス』です。『とのしい』のサークルさんですよね。
良かった点

・現実の地名、店名などを表記して、リアリティある学生生活を描いている。

・作中の授業内容が、シナリオの上でも重要な役割を果たしており、巧みな作り。

・殆ど全ての素材を自分たちで賄っている。凄い!


気になった点

・内輪しか分からないようなネタがある。

・凝った表記が多すぎて、却って読みづらくなっている。

・百合風味はやや乏しく、又、ラストが性急で少し分かりにくい。

今日は、珍しく、良かった点、気になった点、三つづつ挙げてみました。たまには、こういうのもいいかな。ちなみに、製作年は全て「?」にしてますが、最近の作品である事は間違いないと思います。

さて、ストーリーですが、ベクターを見てみると「恋とグルメのどきどきあどべんちゃ~」なんてやる気があるのか無いのか分からない説明だったので、私が纏めておきましょうw
坪内遥香は早稲田大学文学部の学生。幼なじみの村井早苗も文学部東洋哲学科に所属し、一緒にキャンパスライフを楽しんでいる。
彼女達の後輩、草原智佳や、天才少女にして客員准教授の有栖川鏡を巻き込みながら、青春を謳歌していたハズが、ちょっとした誤解が元で早苗が姿を消してしまう。早苗はどこに行ってしまったのか? 遥香が見る夢とは? 様々な謎を残しながら展開する、SFチック百合アドベンチャー。

と、何かいつにも増して、紹介文にも気合いが入っている気がするんですが、気のせいかな。
ま、大体大凡のストーリーは、こんな感じです。余談ですが、主人公、坪内遥香の名前は、恐らく、坪内逍遙から採っているんでしょうね。早苗は……高田早苗から、かなぁ……?


作品の出だしが「戸山カフェテリア」云々だったので、のけぞりました。
そう、何を隠そう、私の青春真っ盛りだった場所が、本作の舞台だったのです。ちなみに「戸山カフェテリア」なんてカッコつけた呼び方をする人は皆無で、実際には、文学部にあるカフェなので「文カフェ」と呼び習わしているハズです。

大学名もモロに出てますし、駅名、お店の名前などは、全て実名表記です。
それが、リアリティのあるキャンパスライフを演出していて中々いいな、と思いましたね。
プレイヤーには分からないかもしれない。けれども、「そういう場所がある」「そういうお店がある」という、画面越しでの世界にリアリティが確保されている点、評価すべきでしょう。

ただ、これは気になった点と表裏一体です。
これをプレイする人の中で一体何人が、文学部の横にある「メーヤウ」のカレーの辛さを知っているというのか?w その下にあるうどん屋の忍者うどんだってそう。

これは、作者さん(達)に向けて書きますけれども(見てくれるかな?)、「メーヤウ」のカレーは☆でランク付けされてますよね? 常人なら☆三つでも耐え難いハズです。食べてる時はまだいいんです。ラッシーなんかと一緒に食べれば少しは辛さも薄れるしね。けど、食べ終わった後、に本当の地獄が始まります。いつまでも舌を焼き続けるあの辛さ……。
けれども、☆五つでも耐える裏技があるんですよ。それは「ホールズ」。あのスーッとするキャンディーです。あれの一番強力なのを食後に舐める! そうすると、「メーヤウ」のカレーに耐えきる事が出来ます。是非おためしあれ。
これは、何を隠そう私が発明し、当時、文学部に於いて絶大な支持を得た「メーヤウ攻略法」ですw

……と、私もかなり内輪向けの話をしてしまいましたが……確かに実在の地名や店名を出す事で、良い具合にリアリティが出てきます。が、それがどんどん局所的なネタになってくると、事情を知らないプレイヤーは置いてけぼりを食らってしまいます。
ここら辺のバランスは難しい所ではあるのですが、もうちょい、一般プレイヤーが分かりやすく、サラリと流せるレベルでのネタの方がベターでしょうね。


実は、本作ループ物でした。
一周目プレイした時は何がなんだか良く分かりません。早苗はどこに行ってしまったのか? 智佳が伝えようとしていたメッセージは何だったのか? といったクリティカルな部分は伏せられています。
そして、二周目以降、謎が解き明かされていくわけですが、これは、ループ物としてはオーソドックスな作りでしょう。

でも、作品がその謎だけに焦点化される事なく、遥香の日常の授業風景や、レポート提出といった「大学生らしさ」も併せて描写されます。
謎と日常が、上手に共存していきながらも、ストーリーは謎の解明に向かっていく。細かい所かもしれませんが、ここも中々良い所ですよね。
ともすれば、急ぎ足で謎だけにスポットが当たってしまい、その作品を支えるべき日常がおざなりになってしまう事がありますから。


又、二周目以降、謎の核心に迫る所で、遥香が受講している准教授有栖川の授業内容や、雑談が活きてくる、というのも巧みでした。
量子の話や、並行世界、つまりパラレルワールドにまつわる話、或いは黄泉戸喫(よもつへぐい。アッチの世界のものを食べたら、コッチの世界に戻れない、ってヤツです)に関する講義ですね。一周目は何だか難解な話になったなぁ……と思うのですが、後々ちゃんとストーリーに上手に関わってくるのでご安心を。

こうした並行世界を描いた作品で、古典的なものを挙げれば、ディックの『高い城の男』でしょうかね。
これは、第二次世界大戦で、ドイツと日本が勝利した世界が舞台。ですが、一方で夢の世界のようなものがあり、そこでは、連合国が勝利する世界という、もう一つの世界のあり方がチラチラ提示されていきます。
本作も亦、遥香の夢によって、もう一つの並行世界をうっすら知覚する、というわけで、ちょっと近い部分があるかな? と思いました。

ちなみに、先ほどから名前を出している有栖川は、18歳で客員准教授、という地位にあるわけで、仲間内では「アリス」と呼ばれています。タイトルと併せて考えてみれば、かなり重要なポジションに居る事は分かるのですが、最後まで見てみると、何となく薄味だったのかな……。

そこはラストがやや分かりにくい、という所とも関係していそうです。
二周目、大凡ストーリー上の謎は解けるのですが、釈然としない部分も残っています。何故、早苗はソッチの世界に行く事が出来たのか? 又、何故、その後、遥香のみがソッチの世界に行く事が可能で、有栖川には不可能だったのか? 或いは何故、智佳はその謎を解き、解決方法まで提示することが出来たのか? と云った部分です。そこは、やっぱり気になりましたね。

もう一点、挙げるのならば、凝った文章故、漢字表記が多い為、読みづらい部分、又誤字が多々ある、という事。
「しかし」という言葉も「然し」になってしまいますし、「しかも」は「而も」に、「いたずらに」は「徒に」と、表記されます。が、やっぱりこういう所は、漢字を開いた方がいいですよね(まぁ、私もこのブログで変な字使うんですけれどもね……)。



大体……こんな所かな。
今日はちょっと辛口になってしまいましたが、イラストは綺麗なものですし(可愛いのもある)、殆ど全ての素材を自前で調達している点、やっぱり凄いと思います(BGMも自作だ)。
並行世界、というSF的な要素も入っていますし、『とのしい』シリーズに近い手触りをやっぱり感じます。
『とのしい』を楽しめた方なら十分楽しめる力作だと思いますよ。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-12-04 19:51 | サウンドノベル
2011年 12月 03日

フリーサウンドノベルレビュー 『茜街奇譚』

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今日の副題 「文章随一伝奇ノベル」

※吟醸
ジャンル:不思議な街を舞台とする伝奇ノベル(?)
プレイ時間:2時間程度。
その他:選択肢アリ。選択肢によってエンドが分岐し、短編が見られるように。
システム:吉里吉里/KAG

制作年:2004/?/?(本レビューはVer.1.03
容量(圧縮時):30.6MB




道玄斎です、こんばんは。
最近、昔にプレイしてはいたものの、まだレビューしていなかった作品を読み直していく、という行為が気に入っています。温故知新と申しますが、この界隈で「古典」となっているような作品からは、まだまだ多くの事が学べるのではないかと思います。
というわけで、今回は「詩的廃屋」さんの『茜街奇譚』です。
良かった点

・界隈随一の文章力。

・その文章力故に、凡百の伝奇作品とは一線を画す。


気になった点

・選択肢により、ストーリーが分岐するが、一本道でも良かったような……。

・後半、展開が急で少し置いてけぼりにされる所も。

ストーリーは、サイトの方から引用しましょう。
それは、人と鬼とが棲む街の物語。
東京の「茜街」という、架空の街を舞台にした現代御伽噺(おとぎばなし)。

と、これだけじゃ、少し物足りませんので、若干私が補足しておきましょう。

加倉井元子と加倉井智子の姉妹は、茜街のマンションで暮らす、仲の良い姉妹だった。その頃茜街では連続殺人事件が起こり、人々は不安を抱えながら過ごしていた。そんなある日、智子が行方不明になってしまい……。

と、大体こんな所でしょうか。
歴戦のノベルゲーマー達がこぞって賞讃する作品、それが本作『茜街奇譚』です。
何と云っても、本職の物書きであった作者さんによって紡ぎ出される文章は、流石の一言。ノベルゲームの価値基準として、あまり話題にならない「文章の巧さ」なんですが、本作について言及がある場合、必ずと云っていい程、「高い文章力」という枕詞がついて回ります。
丁度、『クロスフェードに墜ちた夢』に「B級ハリウッド」という枕詞がつくが如し。

今更、その文章力についてあれこれ述べるのも無粋ではあるのですが、個人的に思う所を。
よくよく考えてみると、現行のノベルゲーム作品の多くが、「かなり読みやすい文章」で書かれている事、恐らく多くの人に賛同して貰えるのではないかと思っています。
「読みやすい」とは、「ライトノベル的」と言い換えてもいいかな……。文章そのもの、よりも個々の場面や、軽快なやり取り、ヒロインとの交情……その辺りに主眼が置かれています。勿論、それは悪い事ではなく、テンポ良く軽快に読んでいける、というのはノベルゲームの大きな利点ですし、テンポの良さ、は私も重視しているポイントの一つです。

ですが、そうした作品とは対照的に、「読ませる」文章を持った作品がごく稀に出てきたりします。
そうですね……パッと思いつくものだと『踏切』の中に収められている「羨望」という作品とか、『はるけきかなた』なんかもその中に入るかな。
こうした「読ませる」タイプの作品の筆頭に来るのが本作ですね。サラッと読み流す、というより、じっくりと文章を味わいながら読みたい……そんな作品になっています。


さて、中身に入っていきましょう。
大凡のストーリーの流れは、先に示した通りです。
が、それだけでは、ミステリーであって伝奇ではないですよね? そう、加倉井姉妹と関わっていく人物が、二人登場します。藤原姫乃と望月公信です。

ここで、もう一度、茜街について整理しておきましょう。
先ほどからサラリと「茜街」という言葉を使っていますが、云うまでもなくこれは架空の街です。どこにでもありそうな東京の外れの街。但し、この街には鬼が住んでいます。いや、この街に限らず作中世界では、あらゆる場所に鬼が存在している事が仄めかされています。
茜街に於いては、鬼と人の間に不可侵条約のようなものが取り決められ、鬼が人間を目に見える形で襲う、という事はありません。
その鬼と人との架け橋役となっているのが、望月公信です。

彼は、京都の陰陽師の総本山のような場所で修行した経験があるものの、落ちこぼれでまともに霊能力(?)を発揮する事が出来ません。何しろ破門されていますから。
が、彼にしか出来ない事があります。それは「鬼と意思疎通が出来る」という能力です。知能の高い、人間型の鬼ならば、言語で意思疎通は出来ますが、もっと原始的な鬼が相手だと意思疎通は不可能です。しかし、それが出来るのが望月であり、鬼達の「相談屋」として茜街の裏社会ではちょっとした顔となっています。

そして、その望月と共に行動する藤原姫乃は、かつて望月が修行していた総本山の跡取り娘。
生まれ持って、非常に強い破魔の力を持っており、望月と共に鬼が絡んでいる事件の解決を生業としているようです。

何だか、ストーリーの説明の延長のような形になってしまいましたね。
ともあれ、茜街で起こっている連続殺人事件を追う中で、加倉井智子の失踪事件にも関わっていく事となります。超自然的な力を持った人物が事件に介入する事で、一気にストーリーが伝奇らしさを帯びてきます。

又、作品全体を覆う、茜街の持つ雰囲気がいい感じですね。
裏には鬼が住んでいる、という少し暗い部分を持っている。だけれども、元子の元同級生が働いている居酒屋があったり、明るい部分も併せ持っています。どこか優しくて不思議な手触りを持つ世界で、世界観が非常に魅力的です。


特筆すべきなのは、その高い文章力故に、それが単なる伝奇とはちょっと違う趣を持っている、という点でしょう。通常、私達が「伝奇」と云った場合、思い起こすのは、超自然的なバトルが繰り広げられ、その中で友情や或いは恋愛感情が芽生えていく……と云った所ではないでしょうか? 少し図式的に過ぎますけれどもね。

確かに本作でも、そうしたバトルシーンがあります。
しかし、それは本当に後半の一場面であって、全体に渉って出てくるものではありません。又、チャンチャンバラバラ、といった感じでもなく、云ってしまえば割と地味。
寧ろ、このバトルシーンよりも、それ以前に積み上げられているストーリー。そこに重点があるのではないかと思うのです。
それは、元子にとっての智子の存在であったり、智子にとっての元子の存在であったりの姉妹の描写や、その裏側……。そこでは、「情」のようなものが描かれ、単なる伝奇より一歩踏み込んだ世界を見せてくれます。
又、上手い文章によって、「コテコテの伝奇」らしさが回避されているのも好印象ですね。コテコテのものもたまには良いのですが、毎回それだと食傷気味になってしまいますから。


さて、一方で気になった点に入っていきましょう。
本作の構成は、メインストーリーとなる「眠り姫と夢喰い。――そして桜の季節」と、三本の短編で成り立っています。メインストーリーにはいくつかの選択肢があり、ストーリーが若干分岐します。このメインストーリーで到達したエンドに応じて、短編が追加される、という仕組みです。
ですので、短編を全て見る為には、メインストーリーの選択肢で少し、試行錯誤が必要となります。

ただ……全4種類のエンドがあるわけですが、実質的には2種類なのかな、という気がします。
どのエンドを見てもバッドエンドっぽさはないのですが、それならば、いっそ2種類のエンドにする、とか或いは作者さんが「これがベスト」と思えるエンド一本に絞る、というのも手だったかな、と思いますね。
確かに、短編がメインストーリーのエンドに応じて追加される、という要素はあるのですが、一個読めば一個追加される、という形式もありかな。

もう一点は、後半が慌ただしく、読んでいて置いてけぼりにされてしまう部分があった、という点です。
これも先のも書きましたが、バトルシーン以前の場面、そこに多くの筆が割かれ、間違いなくそこに一つの主眼があるわけですが、後半になると、ガラッと伝奇テイストになってしまう。
勿論、伝奇的な作品であり、尚かつ伝奇以外の部分がシッカリと存在しているが故に、他の伝奇作品より一歩抜きんでている事、間違いありません。

とはいえ、それまで姿こそチラチラ出ていた姫乃が、急に表舞台に立つようになったり、或いは、望月の持つ鬼との意思疎通が出来る、という、所謂異能がフィーチャーされて、それまでの姉妹を巡る物語から、ちょっと離れたストーリーになってしまっている、という印象があります。それ以前のストーリーとの折り合いから、読んでいて「あれ? どうなってるんだっけ?」と思ってしまう部分もありました。
姉妹のストーリー、そして異能を持つ姫乃、望月のストーリーが相互に絡み合いながらストーリーが展開していくわけですが、そこに、ちょっと分かりにくさを持っている点、又、後半の慌ただしさ、置いてけぼり感があるという点、そこが最大の気になった箇所ですね。


他の短編ストーリーは、本編の補足、のような形で、大体どれも10分程度で読了可能なもの。
ストーリーを別の枠組みから捉え直したり、本編のその後を描いたり。選択肢云々いいましたが、是非全部読んでみて下さい。

今回は作品に触発されてか、結構真面目に……というかちょっとカタめに書いてしまいました。
何はともあれ、フリーのノベルゲームの中で、文章随一の呼び名も高い作品です。プレイして損はありませんよ。



それでは、また。



※追記

二周目をプレイすると、少しシーンが増えています。
それを見ると、大分ストーリーが分かりやすくなりますね。一周目で少し混乱した方は、是非二周目に挑戦してみて下さい。
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by s-kuzumi | 2011-12-03 18:08 | サウンドノベル
2011年 12月 01日

フリーサウンドノベルレビュー 『8月7日の雨宿り』

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今日の副題 「雨の日・バス停・傘一本」

ジャンル:一本の傘を巡るノベルゲーム(?)
プレイ時間:1ルート短ければ5分ほど。コンプリートするには1時間くらい。
その他:選択肢アリ。短いエンドも長目のエンドも。
システム:吉里吉里/KAG(ヴァージョン3.0)

制作年:2000/8/15
容量(圧縮時):9.76MB




道玄斎です、こんばんは。
今日は凄く冷え込みましたね。オマケに昨晩からぽつぽつと雨が降ってきて。
で、最近少し懐古趣味というか、一昔前の作品をプレイし直す、という楽しみが蘇ってきたので、懐かしの作品をチョイスしてきました。
というわけで、今回は「Gara Land」さんの『8月7日の雨宿り』です。
良かった点

・一本の傘、というアイテムから多彩なストーリーが紡ぎ出されている。

・柔らかく優しいイラストが全編を彩る。


気になった点

・どのエンドでも、そこまで派手な盛り上がりは無い。

・エンドリストが完備されていれば良かった。

ストーリーは、サイトの方から引用しておきましょう。
面識のない三人が雨宿りをしています。
そこには誰かが忘れた傘が一本、置いてあります。
…雨はとうぶん止みそうもありません。
さて、どうしよう?
一本きりの傘を誰が使うのか、はたまた誰も使わないのか、
赤の他人同士でぎこちない話し合いを始めます。

こんな感じです。



まだ、この作品をレビューしていなかった事に、私自身が吃驚しています。
凄く懐かしく、また話題となった作品で、ご存じの方も多いと思います。本作も亦、ノベルゲームの揺籃期に於いて名作の一つとして数えられる作品でしょう。

さて、本作、まず変わっているのが、雨降りの日、田舎の、ちょっとした小屋になっているバス停で、見知らぬ三人が一本の傘を巡ってやりとりをする、という舞台・場面設定です。

要は誰が、一本しかない傘を使うのか? という問題を取り上げていく……というちょっと異色の作品なんですよね。
登場人物は、主人公(?)のはる、家出娘のみね美、そして高校生の涼子の三人だけ。それぞれ事情があってそのバス停から移動しなければならない。だけれども傘は一本しかない。そんな状況です。

ただでさえ、何人か人が居て、何か一つのものだけがポツンと取り残されている時、妙な空気感になることってありますよね。
そう……例えば、居酒屋に行って、取り敢えず鶏の唐揚げか何かを頼んで、他の食べ物、飲み物を飲んで、話も一段落した時。唐揚げが盛られていた皿に何故か残った最後の一個。
(これ、どうすんだよ……)とか(誰が食べるんだよ……)とか、心の声が聞こえてきそうな独特の雰囲気です。

見知らぬ者同士の三人が一本の傘を巡って、そんな雰囲気となり、選択肢で誰が傘を使うかを決めていく。地味ながら面白いテーマを持った作品で、場面が終始バス停から動かないのですが、全然楽しく遊べてしまいます。

選択肢はかなり多い、と云ってもいいんじゃないでしょうか。
傘のゆずりあいを巡って、何度も選択肢が出てきます。
勿論、選択肢の選び方によっては、ヒロイン(?)の個々の事情や境遇に深く踏み込んでいくようなシナリオを見せてくれる事も。そこで「何故、傘を固辞するのか?」の理由が分かったりします。

こうした女の子達の抱える事情を見た上で、他のエンドを見ると、さりげなく「ここはあの境遇を受けての発言や行動なんだな……」と分かる部分もあって、良く練られたシナリオである事、分かると思います。

又、イラストの雰囲気がいいですね。
所謂立ち絵、はないのですが、場面場面で一枚絵が出てくる、という或る意味非常に豪華なスタイル。全編に渉って、雨降りという暗い雰囲気ではあるものの、優しい手触りのイラストがそこに入り込む事で、ジメジメっとした雰囲気が薄れています。
このイラストが無かったら、ちょっとプレイする気力が途中で萎えちゃったかもな、と思わせてくれるような、そんなイラストのあり方でした。


さて、一方、気になった点ですが、先ず、どのエンドを見たとしてもそこまで盛り上がらない、というのが挙げられます。各ヒロインの正規の(?)エンドを見ると、作品のロゴが出てくるんですが、そのエンドでも、何か強烈に盛り上がったり……という事はありません。
雨の中で、傘を巡る見知らぬもの同士のやり取りの末に、傘を獲得したという事実と、その過程であるやりとり、が重視されていて、どうしても各エンドは地味な印象に。
又、バッドエンドと思しきエンドに到達すると、ちょっと後味が悪かったりもしますw

もう一点は、やはりエンドリストがあると良かった、という所ですね。
全部で……16+1個のエンドがあるわけで、結構多めですよね? 自分が見たエンドはどれなのか? が分かれば、他のエンドも見てみよう、という気力も強くなります。当然、選択肢的に試行錯誤しやすくなるんですよね。
特に、本作は、傘を誰にゆずるか、で何度も選択肢が出てきますから、もう少し、そこらへんが親切設計でも良かったかな、と。

あとは、発話と心中の言葉の区別が付きにくい、っていうのがあるんですが、これは私だけが気になった所かもしれませんね。
通常、ノベルゲームの場合、誰かの発話は「 」で括られて、地の文や心中の言葉と明確に区別されます。が、本作の場合、発話も、そして心中の言葉も「 」無しで表記されて、一瞬戸惑う事がありました。が、あまり作品全体に関わる問題ではないですよね。



少し、選択肢が多い作品ですが、遊びでがあると思いますよ。
田舎のバス停、というちょっとノスタルジックな舞台と優しいイラスト、そして地味ながらも多彩に分岐するストーリーが魅力の一本。

有名な作品なので、プレイした人もかなり多いとは思うのですが、もう一度プレイしてみる、というのもいいかもしれませんね。
そして、まだプレイした事ない! って方は、この機会に一度プレイしては如何でしょうか?



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-12-01 18:32 | サウンドノベル