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2012年 02月 27日

なんてことない日々之雑記vol.363

道玄斎です、こんばんは。
最近、どうにも調子が出なくてねぇ……。



■体温が上がらない


今日は、何故か体温が全然上がりません。
簡単に云うと冷えてます。全身w

特に酷いのが足で、氷の様に冷たくなって、今となっては感覚すら覚束なくなってきていたりして。
風邪か? と思って体温計で熱を測ってみると、37.0度。微妙な値です。微熱と云えなくもない。

取り敢えず、風邪薬は呑んでおいたのですが、果たして効きますことやら。
あとは、頭頂部に妙な違和感がありますねぇ……。
何か、頭の中に芯が入っているような。そして鳴りやまない耳鳴り。

なんか、ブログでこういう事を書くと、大抵その後、本当にダウンしちゃうというジンクス(?)があるんですが、多分、今回は大丈夫、だよね?
少なくとも四日間眠れてないとか、そこまでじゃないし。

ともあれ、気をつけるに越したことはないので、少し養生しつつ様子を見る積もりです。
というわけで、今日はこの辺で。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2012-02-27 20:55 | 日々之雑記 | Comments(2)
2012年 02月 25日

フリーサウンドノベルレビュー 『キミはキメラR』

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今日の副題 「わたしも恋も規格外」

ジャンル:人外恋愛ノベルゲーム(?)
プレイ時間:2時間ほど。
その他:選択肢なし、一本道。15歳以上推奨。
システム:NScripter

制作年:2012/2/13(本レビューで扱うリメイク版)
容量(圧縮時):54.4 MB



道玄斎です、こんばんは。
今日は、少し変わり種のご紹介。ヒロインは人外、そして15歳以上推奨という作品です。
というわけで、今回は「StarGazer」さんの『キミはキメラR』です。
良かった点

・読みやすくテンポの良い文章と、ストーリーの流れ。

・一見イロモノだが、実は純愛路線。


気になった点

・ラストで、色んな問題が置き去りにされてしまっている。

ストーリーはサイトの方から引用しておきましょう。
学校の教師になる夢を諦めた塾講師アルバイト――秋山義文(あきやまよしふみ)。
ある日の帰り道、「家庭教師として引き抜きたい」と、不審な女から誘われる。
その給与は破格であり、奨学金返済に苦しんでいた秋山は、家庭教師の仕事を受けることにした。
教えられた住所を頼りに辿り着いた場所は、「生命科学総合研究センター」という怪しげな研究所。
一室に案内され、秋山は少女ハマルと出会う。
やがて秋山は、ハマルに関する衝撃的な事実を知り、決断を迫られる。

こんな感じです。



キメラという人工的に作られた人外の女の子と、彼女の家庭教師として雇われた主人公の純愛路線の作品です。「純愛」と言い切らないのは、15禁止の描写があるからですw
けれども、そこを抜かして考えれば、凄くピュアな恋愛が描かれていました。

キメラであるハマルとのぎこちないやり取り、そして少しづつ距離が縮まっていく様子がテンポ良く描写されていきます。恋愛作品は、この「距離感」をどう描写していくのか、が非常に重要だと私は思っています。
最初っから、主人公の事が好きで好きでたまらない……というよりは(幼なじみとかなら、それはアリだと思いますが)、最初は心理的な距離があり、各エピソードを通して二人の距離が少しづつ縮まって……というタイプですね。

時折、その距離感を描かずに、スコーンと「好きだ!」と、急に恋愛まっしぐらになってしまう作品があったりします。けれども、本当にちょっとしたエピソードでいいので、少し距離感の推移を描いて、「数ヶ月経った」とかしてやるだけでも、違和感がかなり軽減出来るはずです。

本作の場合、テンポを確保しながら、上手くハマルと主人公の距離が近づいていく様子が描かれており、好感が持てました。文章そのものもテンポが良く、ダレる事がありません。
ラストまで、一定以上のテンポ感を感じる事が出来て、良く作られているなと感心します。反面、15歳以上推奨シーンを除くと、インパクトのあるシーンは少なかったように思えます。


研究施設から逃げ出して、主人公義文のアパートで同棲が始まるわけですが、基本、この同棲生活が作品の背骨になっているという印象です。
人外の、それも女の子のハマルとどうやって生活していくのか、ハマルは生活の中でどんな変化を見せるのか、そういった部分が描かれていくことに。
ここで、一発目の15歳以上推奨描写が入るんですが、決定的なアレはないので、そこまでナーバスになる必要はないでしょうね。

そして、例によってハマルは義文の事を好きになっていくわけですが、女の子としてのハマルと、キメラとしてのハマルの姿があって、キメラという属性がこの作品のアクセントになっています。
これが逆にキメラでなければ、割とよく見る、「謎の少女を拾ってきた型」の作品になっちゃいそうですもんね。
先に、純愛路線と云いましたが、義文がお堅いタイプで、純愛らしさを演出してくれます。もともと、義文は教職に憧れていた、という設定があるからなのですが、それは後述しましょう。


そんな形で、よどみなくストーリーが進んでいくのですが、ラストまで見るとなんとなく腑に落ちない部分があります。
一つは、義文の「教師」「教職」に就きたいという夢がどこか置き去りにされてしまっている、という所。
もう一つは、結局、何かが解決するわけではない、という点です。

主人公義文とキメラのハマルが愛を育む。そこはラストとして問題ないと思います。
だけれども、そこにはキメラというアクセントがあったはずなんです。それに他のキメラの存在もいますし、キメラの王国を作りだそうとしているマッドサイエンティストもいるわけで……。キメラという存在そのものの問題がそこにはあるはずです。
ですが、そうした、要素をスパッと切って二人の恋愛に焦点を置いたラストになっており、少し消化不良を感じました。


ちなみに、今回は、ノーマル版とリメイク版(今回取り扱ったヴァージョン)の二つをやってみたのですが、リメイク版は流石のイラストがついていて、豪華で美麗なのですが、私はノーマルの絵柄も決して嫌いではないです。
手作り感、という事を考えるならば、寧ろノーマル版の方が温かみがあって良かったかもしれません。ただ、ここらへんは完全に好みの世界でしょうね。


最初は人外との恋愛との事で、ビクビクしながらプレイしていたのですが、意外にも普通に楽しめるラブストーリーになっていました。
タイトルで敬遠してしまう方もいるかもしれませんが、ご安心下さいw




それでは、また。
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by s-kuzumi | 2012-02-25 19:03 | サウンドノベル | Comments(0)
2012年 02月 20日

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『女教師・美喜 ~濡れて揺れる禁断の総集編~』

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道玄斎です、こんにちは。
今日は、例のサンダーボルト三部作と並んで人気の高い、女教師美喜シリーズのご紹介。
今回、レビューで使用したヴァージョンは、総集編という事で、全三話(だったかな?)の物語を一本に纏めたものです。内容的に変化はありませんから、これからプレイする、という方は、この総集編をダウンロードするといいですね。
というわけで、今回は「Project Lips」さんの『女教師・美喜 ~濡れて揺れる禁断の総集編~』です。



サンダーボルト三部作のレビューでも書きましたが、サンダーボルト三部作が世に出てから、多くのフォロワーが生まれました。つい最近まで「新作」として、その系譜を引き継ぐ作品がリリースされていたわけで(もしかしたら、今後また出てくるかも)、その影響力の強さを認めない訳にはいきません。

そうしたフォロワー的作品の中で、頭一つ飛び出ているのが、本作、女教師美喜シリーズです。
これも以前書きましたが、サンダーボルトとの合作も行われていたはずで、単なるフォローを超えている感触すらあります。

敢えていうのならば、女教師美喜シリーズは、サンダーボルト三部作の「オマージュ」、もしくは「インスパイア」された作品、と云う事が出来るでしょう。
最近、どこかで見たのですが、「パクリ」とは、「ばれちゃマズイ」もので、「オマージュ」は寧ろ、「元ネタが分かるとより一層楽しめる」というようなことが云われていました。
なるほど、むべなるかな、という感じですが、本作も亦、サンダーボルト三部作をプレイしていると、楽しさが倍加します。

教師という枠組み、シュールな動きを使ったギャグ、不条理なバッドエンド……。
こうした作品のフレームは、まさにサンダーボルトそのまま。挙げ句、音楽まで同じものを使用しているという徹底ぶりです。
そこまで、作品を重ねてしまうとどういう事が起こるのか、というと、「作中世界が重なり響きあい、重層的になる」んです。

本作の、例えばバトルシーンで流れる音楽。
あれはサンダーボルトそのままでしたよね。すると、プレイヤーは、女教師美喜をプレイしていながらも、サンダーボルトの場面や状況が脳裏をかすめます。
そうなると、一つの作品をプレイしているハズなのに、二つの作品が同時に頭の中で再生される、という特殊な現象が起こるわけです。

こういう状況を“引用”で片付ける事も可能なのですが、本作の場合、積極的にサンダーボルトを摂取していこう、という姿勢が見えます。
そうした時、それは“引用”を超えて“物語取り”と呼ばれるものになるのではないかと思います。
ある作品が、ある作品を積極的に摂取する事で、自身の作品世界を豊かなものにしている……そうした場合、単なるパクりや引用を超えて、それを“物語取り”と呼んだりするわけです。


さて、随分ご託が長くなってしまいましたが、サンダーボルトと本作の大きな違いは、意外にもちゃんとしたストーリーが付いている、という点です。
規則がやたらと厳しい吉槌学園に、新任教諭としてやってきた美樹。しかし、あまりにも(不条理で)厳しい教育のあり方に疑問を持ち、同士と共に戦っていく……。

と、書いてしまうと、凄くまともなストーリーに見えますが、基本はシュールギャグ路線です。更に云ってしまえば割と勢い重視型w
とはいえ、一応まがりなりにも、こうしたストーリーの流れがある事で、全体の統一感が適度に保たれている点、評価出来ると思います。

あとは、選択肢の出し方も、ちょっと変わっていますね。
サンダーボルトが、どっちを選んだらいいか分からない、私が云う所の「分からない選択肢」を採っていたのに対し、本作では「ストーリー的に正解」な選択肢がすぐに分かってしまいます(後半、一箇所悩む所はあるのですが)。
この選択肢の出し方は、プレイヤーを「誘っている」のか……。
個人的には、こうしたシュールな作品は「分からない選択肢」を採用した方が面白いのかな、という気はしますね。一見、まともに見える選択を選んだ結果、シュールなバッドエンドを迎える。その落差が面白さに一役買っている、という部分は絶対にあると思いますから。



大凡、こんなところでしょうか。
サンダーボルトとの比較論、みたいな感じになってしまいましたが、それも、サンダーボルトと併せてプレイする事で、本作がより面白くなると云いたいから、です。
影絵ノベルの二大巨頭の一つとも云える作品なので、是非プレイしてみて下さい。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2012-02-20 14:12 | サウンドノベル | Comments(0)
2012年 02月 19日

フリーサウンドノベルレビュー 『春』

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今日の副題 「私の人生ハッピーエンド?」

ジャンル:青春アドベンチャー(?)
プレイ時間:1時間ちょい。バッドエンドを全部見て2時間程度。
その他:選択肢アリ。結構多め。バッドエンド多数。
システム:吉里吉里/KAG

制作年:2006/4/15
容量(圧縮時):87.3MB




道玄斎です、こんばんは。
めぼしい新作がない今日この頃、昔の、それも埋もれた作品を見つけるべく色々プレイしています。今日は、そうした中で発見してきた作品のご紹介。
というわけで、今回は「YAOYAプロジェクト」さんの『春』です。
良かった点

・何と云っても楽しいバッドエンド。選択肢選びが苦になりません。

・ラスト、意外にも熱い展開が。


気になった点

・いじめの問題を描く作品なので、全編に渉り暗い雰囲気は漂う。

・恋愛面と学校生活面のシナリオが分離していたような。

ストーリーは、ふりーむの紹介文から引用しておきましょう
「寒いのは平気だから」千夏は本心ではないことを、母に言う。

新しい学校、新しい家族。 今、千夏を包むものは
すべてが氷のように冷たかったけれど、我慢、出来るから。

…千夏は平気だから。
「逃げちゃ駄目だよ」その一言が千夏を変える。

「春になれば、一緒に出かけよう」
そう言ってくれるのは…

こんな感じです。



いじめを題材とする作品では、『そこに幸せがある限り』がありました。あれはイジメ撲滅ノベルと標榜されていたと思しいのですが、別にいじめを特別なテーマにしない作品でも、ヒロイン(や主人公の女の子)がいじめられてしまう、というのは割と良く目にします。最近では『電波電波カプリッチョ!』の萌ルートなんかも、そうした雰囲気がありましたよね。

本作も亦、「いじめ」が取り扱われる作品です。
主人公千夏は、母親の再婚により、一気にお嬢様になってしまいます。そして転校先の学校で、「お嬢様」故にいじめられる事に。
このいじめの問題はラストまで続く、この作品の一つの特徴であり、基本路線となっています。
ですので、全体的な雰囲気はかなり暗め。いかにも悪役然とした最強寺響子と、その取り巻きのビジュアルなんかは思わず笑ってしまうものがあるのですが、それでも、少し暗めのストーリー展開です。

もう少し、明るい場面なんかも盛り込みながら話が進めば良かったな、と思いましたね。ここは後述する気になった点と重なる部分でもあります。


本作を取り上げるポイントになったのは、何と云っても、「楽しいバッドエンド」です。
序盤から選択肢がかなり多く出てくるのですが、バッドエンドが楽しいんです。いじめられた末に、千夏がヤンキーになってしまったり、はたまた悪役、挙げ句の果てにはアイドルになってしまったりもするのです。
作品そのものがホラーになってしまったり、ね。

逆に云えば、この楽しいバッドエンドが、本編を貫く暗いイメージを払拭してくれるものになっているのは事実なのですが、本編は本編としてそこに明るさがもう少し提示されても良かったかな、と思います。


いじめられる千夏に対して、むつきというクラスメイトが声を掛け、友達になってくれるのですが、千夏と友達になった事でむつきにもいじめの手が及びます。
この辺りで、さりげなく生徒会の面々を出して、後半への布石としているのは、本作の隠れた良い点ですね。これがラストで効いてきます。


又、千夏は、公園で出会った康平というサラリーマンと仲良くしていき、彼に恋するようになるのですが、その恋愛というテーマと、学校でのいじめの問題というテーマの二つが、どうしても分離しているように思えました。
康平の出番をもう少し増やして、千夏との交流を描く。そしてそこでは、康平は千夏の良きアドバイザーであり、明るいトーンで二人の描写が行われる……とかすると、大分印象が変わるんじゃないかな、と思います。
もう少し、学校外の人間である康平と、学校内で行われるいじめの問題を上手く接合してやるポイントがあればなぁ、と云う感じです。
そこが、本作最大に気になった点ですね。


非常に良かったのは、後半の展開です。
いじめも陰湿さを増してとんでもない事になっていく中で、むつきが所属する生徒会の面々が、学校からいじめをなくすべくかなり熱い行動をおこします。
そして、彼らに後押しされて、千夏もいじめをなくすために一歩踏み出す。そこが本作で一番光る場所でした。最後はちゃんとハッピーエンドなのも嬉しいですよね。


千夏は、ちょいロリ入ってますが、可愛らしいですし、イベントCGも50枚以上。更に一回しか使われない立ち絵などもあり、かなり豪華な作りになっています。
いじめから脱却して、幸せな日々を取り戻す……という割と良くあるテーマではあるのですが、素直に読んでいける読みやすさもあます。
そして、前述の楽しいバッドエンドがてんこ盛りなので、プレイしていて飽きる、という事は多分ないはず。シナリオの細かな所で突っ込みどころはチラホラあるのですが、十分楽しめる作品になっていると思います。



是非、本作のバッドエンド、コンプリートしてみて下さい。
意表を突いた展開のオンパレードで思わず笑ってしまう事、請け合いです。ストーリー的にはハッピーエンドなのに、バッドエンドになってしまうもの、なんかもあるので結構笑えますw
コンプリート後のおまけシナリオもちょっといい雰囲気ですので、そちらの方も。

少し暗めの本編と、楽しいバッドエンドの折り重なるストーリー(?)を、是非楽しんでみて下さい。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2012-02-19 19:37 | サウンドノベル | Comments(0)
2012年 02月 16日

フリーサウンドノベルレビュー 『Polar night』

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今日の副題 「温かい雪国のストーリー」

ジャンル:微ファンタジック恋愛ノベルゲーム(?)
プレイ時間:1ルート凡そ1時間ほど。コンプリートで2時間程度。
その他:選択肢有り。3ルートに分岐。
システム:NScripter

制作年:2012/2/13
容量(圧縮時):71.5MB




道玄斎です、こんにちは。
今日は、こんな時間に更新を。東京は雪がちらほら降っていましたが、そんな今の季節にぴったりな作品のご紹介。
というわけで、今回は「Lunaria Project」さんの『Polar night』です。
良かった点

・雪国(アイスランドを模していると思われる国)なのに、どこか温かい手触りがある。

・背景も全てオリジナル。エンディングテーマも流れます。


気になった点

・主人公にまつわるエピソードが重たく、それが故に、逆に各ルートが薄味になってしまっている。

ストーリーは、サイトの方から引用しておきましょう。
ほぼ一年中雪に覆われる国、イースランド。
主人公・クライドは、その国の治安維持を担っている。
といっても、大きな事件などそう起きないこの国では、
税金の無駄遣いとまで言われるほど暇な職務だった。

そんな仕事を、少々厄介なパートナーのエステルとこなす日々。
家に帰れば家庭的な幼馴染み、セリアとの温かい時間がある。

しかし、一見平和以外の何物でもないその生活は、非常に不安定だ。
何がしかの問題を抱えた人々は、いつだって何かを恐れている。

寒さの中にある小さな温もりに、今日も縋り続けている――。

若干改行等、見やすく直してあります。



さて、本作の舞台は、架空の国イースランドです。
すぐに分かるかと思いますが、アイスランドを模していると思われます。作中の街レイヴィークも、アイスランドの首都レイキャヴィークから採っているのかな? という気がしますね。

それはさておき、本作、イントロは上々です。
主人公の職業(駐在さんみたいな感じ)や、部下のエステル。そして幼なじみのセリアと主人公に麻薬のようなクスリを売る少女アイリスの紹介がちょっとしたエピソードを通じて描かれます。
同時に、主人公が抱えているトラウマ……精神的な問題にも触れており、その後の物語への伏線となっていました。
事件が滅多におきない、のんびりとした駐在の仕事、という設定が、厳しい雪国であるにも関わらず、そこに暖かな雰囲気を与えていて、良い雰囲気が出ていましたね。

大体、途中で描かれる武術大会までが前半、それ以降を後半と考えると分かりやすいと思います。
プレイ時間も大体1ルート1時間程度なので、ダレる事はありません。
その武術大会での賞として、温泉地へのチケットを貰い、誰とそこにいくのか? 或いはチケットを売却しお金に換えてしまうのか、でルートが綺麗に3つに分かれていきますので、選択肢選びに迷う事もありません。


個人的に好きなヒロインはエステルですね。
所謂、ツンツンしているタイプの子なんですが、剣術に関しては天賦の才を持っている、ちょっと不器用な女の子。どうも、作者さんの後書きを読むと、メインヒロインがこのエステルと思しいのですが、気になった点にも関わるので、そこは後述しましょう。

又、正統派のヒロインとして、主人公の幼なじみのセリアもいます。
主人公の暗い過去を一緒に体験し、それを誰よりも分かっている子です。主人公クライドと同棲しているわけですが、クライドは割とクールで「幼なじみで、それ以上でもそれ以下でもない」と云っていたり。

この二人と比べると、小さな女の子というアイリスは少し、雰囲気が違うヒロイン像ですね。
人で賑わう通りで露天商をやっていて、尚かつ、主人公に違法なクスリを売る、という少しダーティーな部分ももっています。


各ヒロインとの関わりの中で、クライドは自分の過去と対面していく事になります。
彼の過去は結構重たく、又その悩みは単一のものではありません。色々な出来事、経験、そして現在の状況が複合的に主人公にのし掛かっています。

ただ、気になった点なのですが、各ヒロインのルートでは、クライドの抱える悩みが全て解消されるわけではありません。一応、ちょっと力業を使って解消させてしまうんですが、どうしても物足りなさを感じてしまいます。
例えば、エステルのルートでは、主人公が頼っている怪しいクスリとの決別が大きなテーマとなり、セリアのルートでは、脱出してきた祖国の問題に踏み込み、アイリスルートでは、死んでしまった妹の問題がメインとなっていきます。

全ルートをプレイして、全体、として見てみれば納得出来る部分があります。
が、それはパズルのように各ルートの内容を、クライドという一人の人物に当てはめていった時に納得出来るのであって、単一のルートでは、クライドが悩んでいる他の問題が、些か置き去りにされてしまっています。

寧ろ、この3ルートを一つのルートに纏めながら、ヒロイン毎に分岐が行われれば、納得感がより増したハズです。各エピソードをヒロイン固有のエピソードではなく、共通のエピソードとして取り扱って、その先にヒロイン個別のルート、若しくはエンドがある、というイメージですね。
そうした意味で、クライドの過去が重すぎるが故に、一つ一つのルートが却って薄味になってしまっている感触がありました。これは、ラストがどのルートでも結構性急になってしまっている辺りと不可分ではないですよね。


とはいえ、前半と後半を分ける武術大会での描写は冴えがあり、適度な緊張感が伝わってきていいですね。この大会にクライドのパートナーとして参加するキャラクターエステルが、やはり頭一つ、他のヒロインより抜き出ているかな、という印象です。

良かった点でも書きましたが、背景もオリジナルのもので、作品世界を綺麗に描いていて好印象でした。
フリーの素材だけで作品を作ろうと思うと、どうしても足りない素材、探しても見つからない素材が出てきて、別の素材を代替的に使ってしまうんですが、そこはオリジナルの凄い所で、世界観がちゃんと伝わってくる、良い背景、そしてイラストだったと思います。



何度も取り上げている作者さんですが、凄く執筆ペースが速いですよね。
NScripterの場合、nscripter.datを見ると、テキスト量が分かります。本作の場合凡そ200kbという所でしょう。これ、結構な量があるんですよ。400字詰めの原稿用紙にすれば、256枚ですから。

非常に多産な作者さんで、今度はどんな物語が出てくるのか、今から楽しみです。
ともあれ、まずは、本作の雪国だけれども温かい、そんな感触を味わって見て下さい。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2012-02-16 16:17 | サウンドノベル | Comments(0)
2012年 02月 12日

フリーサウンドノベルレビュー 『正義のキヅナ』

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今日の副題 「肩肘張らずにミステリー」

ジャンル:ミステリー(?)
プレイ時間:コンプリートまで1時間ほど(但し、各人によって差はあると思われる)
その他:選択肢有り。バッドエンド多数。又、「挿話集」によってヒントが得られる。
システム:吉里吉里/KAG

制作年:2011/12/?(フリー公開)
容量(圧縮時):6.46MB



道玄斎です、こんばんは。
今日は、積んであった作品を消化すべく一本手を出してみたら、やめられない面白さがあって、一気にプレイしてしまいました。
というわけで、今回は「言ノ葉迷宮」さんの『正義のキヅナ』です。
良かった点

・何度でもチャレンジしたくなるような、絶妙な難しさのバランス。

・「挿話集」など、プレイヤーに配慮した作り込み。


気になった点

・ヒロイン(?)瀧世トキのバックグラウンドが、もう少し示されても良かった。

ストーリーは、作者さんのサイトから引用しておきましょう。
瀧世トキは、周囲に正義を行き渡せなければ気がすまない性格だった。
そのガスバーナーのように熱くきらめく正義に魅せられた俺は、彼女を追うが――。
正義という名のキヅナで結ばれた二人を描くアドベンチャーゲーム!

こんな感じです。



本作は、『わたしには聞こえる』と同タイプの、テキスト入力型ミステリーアドベンチャーです。
ただし、本作の方がノリはライトで、より親しみやすい設定、になっているように感じました。

一つは、大学生活の中で、「正義」を標榜する瀧世トキという女の子に出会い、その光に魅せられてしまった主人公根木清人が、大学のレポートとして、事件調査を行っていく、という枠組みがあったからでしょうね。
ガチガチにミステリー全開なものより、レポートとして、というような謂わばカジュアルな雰囲気を持っていたわけで、それが、上手く機能していた印象です。

ストーリーは、大学の助教(昔でいう助手)霧島にまつわる悪い噂を調査しようとするトキに、主人公が乗っかって、一緒に調査をし、それをレポートとしてまとめ上げていく……というもの。

霧島の悪い噂とは、子供の悪ふざけレベルで、名前に「霧」が入っているから「遠足に行くと霧が出るのは霧島のせいだ」とか「その霧島の呪いで死んだ子がいる」とか、そういう感じの噂です。
そして、その中でも、「霧島の呪いで死んだ子がいる」という所が、本作の焦点となります。

実際に、霧島の郷里を尋ねて行って、霧島の同級生などに聞き込みをする主人公達。
上手く文字を入力し、情報を収集していく事が必要になります。

この、選択肢、或いは文字入力の難易度が絶妙なんですよね。
『わたしには聞こえる』もそうでしたけれども、易しすぎず、難しすぎずの本当にギリギリのバランスで成り立っています。『わたしには~』と比較すると、本作の方が少し易しめかな、という気はします。
トリックというか、謎の部分は似ている所はありますけれどもね。

ある人物について調べたい時や、その人物名を入力したい時に役に立つのがメニューバーの「情報サポート」。それを見れば、現時点で分かっている人物やその背景が一覧で表示されます。
こういう、細かな心遣いがプレイヤーにとっての助けになります。
そして、ストーリーを進めていくと「挿話集」に「対話」が追加され、それを読むことが可能になります。何が何だか分からないような、そんな会話なのですが、これが後々に活きてきます。この部分は完全にしてやられましたね。
又、バッドエンドを見ると、やはり「挿話集」の中で「相談」が追加され、バッドエンド回避の為のヒントが示されます。

序盤、少し悩む所はあれど、中盤~後半まではさほど難しくありません。
肝心のトリックの部分も、重要なヒントが、ある人物の口から出てきますから、それもさほど難しくはないはずです。問題はその人物と接触出来るか否か、かもしれませんね。


しかし、実は霧島助教の事件を調査し、謎を明らかにする事。
それが、本作の主眼か、と云ったら実は違います。霧島助教にまつわる謎を調査していく中で、もっと大きな枠組みでの謎が存在し、それが、本当に最後に解くべき謎になっている、構成をとっています。
そこまでくると、選択肢の表示の仕方にも工夫が見られ、単なる推理ノベルとは一味違った世界が見えてきます。

ただ、本当に本当の最後の選択肢が難しかったです。
もしかして? という事であれこれ試行錯誤してみたのですが、全然ダメ。で、半ば投げやりになって入れた文字列がビンゴで……という。意外な結末で、面白かったです。


されはさておき、気になるのは、ヒロイン(?)トキのバックグラウンドです。
「正義」に異常なまでに固執する彼女には、何かバックグラウンドがありそうな事、仄めかされるのですが、それは最後まで明らかになりません。まぁ、「正義」っていうのは扱いにくい概念ですからね……。

又、トキは、所謂無愛想系キャラな為、主人公との絡みも淡泊です。
実質、謎を解いていくのは、主人公(=プレイヤー)なので、もう少し、推理面で彼女の意見や行動が見えても良かったのかな、と思います。
或いは、合間合間に、主人公との掛け合いが軽くでもいいから、入っていれば、又印象は違ったものになったのではないでしょうか。



大凡、こんなところでしょうか。
絶妙な難易度のミステリーです。肩肘張らずに楽しくプレイしてみて下さい。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2012-02-12 17:43 | サウンドノベル | Comments(0)
2012年 02月 10日

フリーサウンドノベルレビュー 『Sing Song』

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今日の副題 「初恋未満の恋の味」

ジャンル:正統派恋愛ノベル(?)
プレイ時間:3時間程度。
その他:選択肢なし、一本道。
システム:NScripter

制作年:2005/1/15
容量(圧縮時):109MB




道玄斎です、こんばんは。
今日は、めぼしい新作が少ない為、発掘してきた昔のゲームのご紹介。
というわけで、今回は「ぽてと」さんの『Sing Song』です。作者さんのサイトが分からない為、ベクターへのリンクを張っておきます。
良かった点

・正統派の恋愛青春ノベルの要素がギッシリ詰まっている。

・恋愛未満の、甘酸っぱい感触が楽しめる。


気になった点

・文章にやや難アリ。

・急降下してしまうラスト。

ストーリーは、ベクターの紹介文から引用しておきましょう。
優樹と瑞穂と浩一の幼なじみ3人。
いつまでもいっしょでいられると思っていたけれど、春を迎えてその微妙な関係が……
そんな3人組の1年間を見られるADVです。

さて、今回のスクリーンショットを見て、気づいた人はいますか?
そう、あの『私の黒猫』と同じ立ち絵素材を使用しているんですね。いずみ亭さんの所の素材です。
あざとくない可愛さがあって、私はこの立ち絵、結構好きだったりします。

それはさておき、本作は恋愛ノベルゲームの王道をいくような作品でした。
何しろ、主人公瑞穂は、朝にパンを咥えて登校する女の子だったのですw
主人公を女性にした辺りなどは、少しひねりを感じるのですが、中身は直球の恋愛青春ノベル、になっていたと思います。

瑞穂、優樹、浩一の三人の関係を軸にして、恋愛やこのトライアングルの微妙な変化を一年を通して語っていく、というのが、ひとまずの主題と云えそうです。
夏には海、そしてお祭り、花火といった定番のイベントもしっかり入っていて、ありふれてはいるのですが、却って今だからこそ、新鮮さを感じる、そんな素直なストーリーだったように思います。

本作で何が良いのか、と云われたら、私が真っ先に挙げたいのは、「恋愛未満の空気感」です。
本作、これが抜群に良かったんです。
私は恋愛モノの場合、「恋愛未満の甘酸っぱい空気感」が好物なんです。
最初っから主人公が誰かを好きで、そしてその誰かも半ば無条件的に主人公の事が好き。そんな作品が多いのですが、「好きになるきっかけ」みたいなものを、やっぱり描いて欲しいな、と思います。
現実の恋愛も、そこが一番甘酸っぱいでしょ?

胸に抱いたモヤモヤとした感情が、恋という名前で呼ばれるそれだと気づいた時の、あまやかなときめき。
そんな恋愛の醍醐味の一つを、省略する手はないですよね。まぁ、そこに作者さんの恋愛経験が如実に出てきてしまいそうな気はするのですがw

浩一に何気なく、頭をぽんと叩かれた時、瑞穂は正体不明の感情に戸惑うのですが、そこの描写が凄く良かったんです。
劇的なきっかけではなく、云ってしまえば地味な恋愛のきっかけです。が、その分リアリティがあるんですよね。
それが恋だと気づいてしまってから、浩一の前で、自然に振る舞えなくなっている自分に気がついたり、その自分の恋心が原因で、三人のトライアングルが壊れてしまわないかと心配してみたりと、王道の展開でありつつも、リアリティのある描写が光っていました。


気になった点は、先ず、文章に難があったという事。
それは修辞に凝りすぎてしまっている、という事です。私が良く使う言葉では「何かを説明する為に、何かを引き合いに出さずにはいられない」というアレです。
「~のように」「~みたいに」という、云ってしまえば文章の「装飾」がかなり多い気がしました。

いえ、勿論、そうした装飾を全部否定するつもりはありません。
だけれども、ここぞ! という時に凝った表現を持ってくるからこそ、それが活きるのであって、日常の何気ないシーンまで、そうした装飾に溢れてしまうと、良いシーンでの文章のインパクトが薄れてしまいます。

実際に、瑞穂の世界が恋愛によって大きく変わる、そんな読者を惹きつけるような場面では、その比喩や、凝った言い回しがガチッと噛み合わさり、良い雰囲気を出しているんです。
だからこそ、普段の何気ないシーンでは、少しあっさりとした文体の方が良かったんじゃないかな? と思うのです。
まぁ、修辞だらけの文章は読んでいて疲れますからね。ノベルゲームの場合は、やっぱり、そのメリハリをつけてやると、読みやすさが劇的に向上すると思います。

仮に、状況を余計な装飾抜きで、素直に表現した文章を、「地の文」ではなく「素の文」と定義しましょう。
日常シーンでのノベルゲームの描写は、その「素の文」が望ましいのではないか、と、私なんかは考えてしまうわけです。勿論、それを感じさせない程に巧みに修辞を操る作者さんもいるでしょうが、そういう人はきっと例外なので、除外します。
余計な修辞を抜いていくと、文章がタイトになります。結果、テンポが良くなります。そして読みやすくなります。その代わり、スッと流れていってしまうので、重要なシーン、魅せたいシーンをこの素の文にしてしまうと、シナリオが台無しになってしまいます。

ここで、注釈を入れておきたいのですが、素の文と、「そっけない文章」は別物です。
ただただ、淡々と書かれるのではなく、その時の内容や状況をちゃんと「描写」しながら、それでいて素直に書く。それが素の文です。
「丁寧な描写を素直に見せる」、これが、私の云う所の素の文で、恐らく、或る程度は同意を得られそうな気がしています。

話を戻すと、そうした部分で、難解な言い回しや比喩の類が常に表示されてしまっているわけで、気になる部分でした。
又、地の文では、主人公の一人称が「名前=瑞穂」だったので、私は最初「一人称と三人称が混在している?」と混乱しかけました。
「瑞穂は○○した」とか書かれたら、それは、三人称の文章という可能性が先ずあって、その後に、云われてみれば、のレベルで一人称の可能性に気づくのではないでしょうか?
なので、最初はちょっと混乱するかもしれませんね。


そうした文章の問題はともかく、内容的な部分で気になったのは、やはりラストです。
素直にストーリーが流れ、三人の関係が壊れそうになったり……という事件を挟みながらも、物語はラストに向けて流れていく……のですが、ラストで急降下というか、「え? これで終わり?」と一瞬吃驚してしまいました。それまでは、ストーリー的には王道でありながらも、丹念に物語が紡がれていただけに余計に、吃驚してしまったわけです。

本作は、一年間を描く作品です。
ですので、春夏秋冬という四つの季節が描かれるのですが、イベントがどっさりある夏……が一番分量的に多かったです。
春は、起承転結で云えば、起ですから、そこまで長くなくさっくり終わって、そこは良かったと思います。
だけれども、秋~冬にかけてがかなり急な展開をする上、何だか未消化な部分を残しての終わり方だったので、そこが気になりました。

起承転結、という事で云えば、実は本作は理に適った構成をとっているんですよね。
つまり、起承転結をそのまま春夏秋冬に当てはめればいいわけです。
春は、登場人物や状況の説明パートで、そこまで長くなくサックリと。夏では時間を掛けて、三人の仲の良さを読者に印象づけたり、イベントを用意する事で、キャラクター同士の関係がフィーチャーされたり。この承のパートはダレてしまう事が多いのですが、本作はイベントを上手く配置する事で、それを感じさせませんでした。この作品の隠れた好ポイントです。

ですが、いよいよ秋に来て、転となりうる事件が起こります。
三人のトライアングルが崩れそうになってしまうのですが、いつも眠そうにしている浩一が熱い所を見せてくれたり、瑞穂も少し勇気を出してそれに立ち向かっていったり、と転として相応しい内容を持っているんです。
けれども……。冬、つまり結が圧倒的に足りなかったんです。

瑞穂と優樹との関係、瑞穂と浩一との関係……そこらへんの問題がスパンと省略されて、エンディングとなってしまうので、物足りない感じが。
転で生じた問題が、まだどこか置き去りにされたままになっている、といった方が正確でしょうか。
飽くまで本作は、瑞穂と優樹と浩一という三人の関係が主軸となっていたわけですから、その関係をキチンと描いた上でエンディングを迎えて欲しかったですね。



今日は、文章の話で久々に脱線してしまいましたね。
少し、辛口かな? と思わないでもないのですが、本当に結の部分が素直に流れていてくれれば、もしかしたら吟醸にしたかもしれない、そんな素直で素敵なストーリーなのです。狙っていたのか分かりませんが、私にしてみれば、やられた、という感じのミスリーディングもありましたしね。

ともあれ、少し辛口になりましたが、決して悪い作品ではありません。
ラストでちょっと違和感を残すものの、素直なストーリー展開と、甘酸っぱい恋愛未満の雰囲気が楽しめる作品です。
最近めぼしい恋愛モノがない、という方は、七年前の作品ですがプレイしてみる価値があると思いますよ。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2012-02-10 02:19 | サウンドノベル | Comments(0)
2012年 02月 04日

なんてことない日々之雑記vol.362

道玄斎です、こんばんは。
最近、めぼしい新作ノベルゲームがないので、過去の作品をあれこれ探しています。
まだプレイした事のないものもチラホラあって、そういうのを発掘していければ、と。



■失われた時を求めて

私は大抵の小説だったら最後まで読み通せる自信があるのですが、過去に全く刃が立たず挫折した経験もあります。それがプルーストの『失われた時を求めて』です。

そう、思い返せば子供の頃。その素敵な表題に魅せられて、書店にて一冊購入しました。
けれども、当然子供に読めるものではなく、本棚の肥やしとなったのでした。

でも。
いつも、この『失われた時をもとめて』が頭の片隅にあったんですよね。
思えば、大学の第二外国語でフランス語を履修したのも、この小説のせいなのかもしれませんね。
何しろ、大学の時にも読破すべくチャレンジをしたものの、毎度60ページ目あたりで挫折してしまいます。訳が悪かったのか、私の頭が悪かったのか(いや、今でも悪いと思うけど……)、原因は定かではありませんが、兎に角挫折しまくってきたわけです。

先ほど述べたように、いつも頭の片隅に『失われた時をもとめて』があるわけで、ついに先日、「今度こそ読破する!」という情熱がヒシヒシと蘇ってきました。
本を買う時は、本屋さんに行くのが、まぁ、常識的な選択です。最近の本屋さんは雑誌とマンガばっかりなんですけれどもね。

そんなわけで、本屋さんに行ったんです。
岩波文庫のコーナーを見てみたら、確かに『失われた時を求めて』が置いてありました。
が、三冊しか出てません。挙げ句、( )で(全14冊)とか書いてありました。どれだけ手強いんだ……。岩波文庫のそれでは、一冊一冊がそれなりの厚みを持った本だったわけで。それが14冊あるわけで。。。

と、段々思考が暗くなっていってしまうのですが、ちくま文庫を見てみると、全10冊だそうです。岩波文庫に比べて4冊少ないんです。
いや、勿論、内容が同じ以上、何冊あるのか、はあまり重要なファクターではない事、重々承知しています。
けれども、心理的な抵抗感が10冊と14冊だと明らかに違いますよね。

そこまで調べている辺り、今回の私の本気度が分かって貰えるんじゃないかと思うのですが、最低でも「花咲く乙女たちのかげに」までは読みたいですね。
そして、今日、アマゾンにてちくま文庫の『失われた時を求めて』が2冊送られてきました。2冊目は「花咲く乙女たちのかげにⅠ」です。
そこまで読むことが出来たら、もしかしたら、残り8冊、いけるかもしれません。


心の栄養、って事を考えたら、ノベルゲームばかりプレイしているのも考え物。
時に、名作の呼び名の高い文学作品に触れてやらないとね。特に自分でノベルゲームを作ったりする人は、やっぱり名作(国内外のものを問わず)に触れた方がいいんじゃないかと思います。

ともあれ、『失われた時を求めて』、今回ばかりは本気でチャレンジしていきたいと思います。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2012-02-04 20:10 | 日々之雑記 | Comments(0)
2012年 02月 01日

フリーサウンドノベルレビュー 『君の瞳はサンダーボルト殺人事件 ~太陽はまぶしい星~』

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今日の副題 「これぞ、元祖バカゲー!」

ジャンル:シュールなギャグノベル
プレイ時間:三部作全部プレイしても30分未満。
その他:選択肢有り。即バッドエンドにいくものも。尚、本レビューでは三作を纏めて取り扱う。
システム:吉里吉里/KAG

制作年:2002/11/01~2003/07/23
容量(圧縮時):2.26MB、3.58MB、5.45MB



道玄斎です、こんばんは。
たまに、「○○というゲームを是非レビューして下さい」的なメールを貰うことがあるんですけれども、その中で、ダントツの人気なのが、今回取り上げる、所謂「サンダーボルト三部作」。懐かしの(良い意味での)バカゲーですよね。
というわけで、今回は「MN2」さんの『君の瞳はサンダーボルト殺人事件 ~太陽はまぶしい星~』、『バナナの皮 ~the rind of banana~』、『君のハートにファイアーボール伝説 ~不運児段田の絶望~』を、「サンダーボルト三部作」として一気にレビューしちゃいます。
良かった点

・その後、フォロワーが多数出た、影絵シュールギャグノベルの嚆矢。

・不覚にも笑えてしまうところがあるw


気になった点

・勢い先行型。深い内容を期待すると肩透かしを食らう。

・合う/合わないが顕著に別れるタイプ

ストーリーは、今回は私が纏めておきましょう。
ある朝、落雷高校で教鞭を執っている三田の元に電話が掛かってきた。
学校の用務員の吉里さんからの電話なのだが、プールで生徒の死体が見つかったという。
その報告を受け、三田は学校に向かうのだが……。

ってな感じです。
うーん、意外とシリアスなストーリーみたいですけど、のっけから選択肢があって、一発で「あっ、ギャグだ!」と分かるはず。

半ば伝説と化しているシリーズですね。
私も、或る意味捉え所のない作品ですから、取り上げるのを躊躇していたんですよね。けど、取り上げて欲しい、という声が大きくなったので、改めてプレイしてみました。

ご存じの通り、この作品、次々とフォロワーを生み出した作品でもあります。
『女教師美喜』シリーズとか、パッと思いつくものだと『ハイレベル通学路』とか。
何となくの感覚ですが、このサンダーボルト三部作と『女教師美喜』シリーズは、この影絵シュールノベルの双璧、みたいな印象があります。確か、合作とかもしてましたよね?

ともあれ、2002年当時、この作品がプレイヤーに与えた衝撃は、結構凄いものがありました。
無駄に凝った演出、無駄なカッコ良さ、そして、影絵に動きまでつけてしまう手腕。
特に、その動きのある絵、が作品の面白さに一役買っている、という感じですね。
細かい作品の内容を覚えていなくとも、「キッ○カットブレイカー」とか、覚えている人も多いんじゃないでしょうか?w

なので、ストーリーを丹念に積み上げ、ラストへ繋げていく……という正統派のノベルゲームとは違って、場面場面の勢いやギャグ、で興味を惹きつけていく、というタイプの作品になっています。
『君の瞳は~』は内容もバッチリ覚えていたのですが、『バナナの皮~』は結構忘れている所がありました。

個人的に一番笑えたのが、キッ○カットブレイカーもそうですけれども、『バナナの皮~』に出てくる、テロ計画を三田が推理するところです。
ネタバレになっちゃうんですが、某国大統領が来日するのに合わせて、バナナの皮で足を滑らせる、そして倒れるであろう位置に漬け物石を置いておく、という超下らないアイデアを、「大胆な仮説」と言い切ってしまう三田の心中の言葉です。

勿論、動きを使ったギャグも面白いんだけど、何か私の笑いのツボって、内容と、それを表す言葉が妙にズレていたりする、シュールノベルならではの、文章にあるのかもしれませんね。


ともあれ、終始シュールさ全開でストーリーが進んでいくので、そこに明確な物語の流れ……方向性、みたいなものを感じ取る事は困難ですw
起承転結で云ったら、起転転結、みたいな、そんな印象だったりしてw

又、これはやっぱり、人を選ぶ作品でしょうね。
シュールなギャグが大好きな人なら、問題なく楽しめると思うのですが、「だからどうした?」と、ちゃんとしたオチや結論を求める人には向いていない気がします。
多くの人が楽しめる、というものではなく、「そういうのが好きな人は激しく楽しめる」というプレイヤーを限定してしまうような部分、感じました。


取り敢えず、三田先生の身の回りに起こる事件(国家的規模をも含む)を、不思議なシュールさで切り抜けていくノベルゲーム……って言い方は出来る……かな?w
一本一本の尺は長くないので、是非、トゥルールートだけでなく、バッドエンドの方も見てみて下さい。寧ろ、バッドエンドの方が笑える、かもしれませんw


大体こんな所でしょうか?
もし、まだプレイしていない、という方がいらしたら、是非プレイしてみて下さい。
ノベルゲームのある種の古典、となっている作品です。今から十年前のノベルゲーム、まだまだ笑える事が出来ますよ。



それでは、また、
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by s-kuzumi | 2012-02-01 17:42 | サウンドノベル | Comments(0)