<   2012年 07月 ( 2 )   > この月の画像一覧


2012年 07月 15日

フリーサウンドノベル関係の雑記 箸休めvol.53

道玄斎です、こんばんは。
また少し更新が空いてしまいましたね。皆様におかれましては、如何お過ごしでしょうか? ボチボチ夏休みも見えてきて、楽しい気分が全開な方もいらっしゃるかもしれません。
私は、と云えば、相も変わらずパッとしない日々を送っていますw どうも疲労が蓄積しているようで、頭痛と目の痛みにやられてたりして。



■そういえば五周年

というわけで、気がつけばこのブログも五周年ですよ。
早いものです。長く続けりゃいいってもんでもないでしょうけれども、何とか五年間もやってこれました。ひとへに、このブログを閲覧して下さり、またコメントを残していって下さる皆様のおかげです。
そして、何よりゲームを制作して下さっている作者さんあっての、このブログです。作者さんには特別な感謝を。

で、まぁ、五年もやってると色々な変遷があるものです。
当初は「量+スピード重視」だったのですが、最近は割と作品を吟味するようになりました。作品の好みなんかも、ちょっとづつ変わっていったような気もします。

勿論、変わったのは、私だけではなくて、この業界(?)も色んな変化があります。
七年前の作品がリメイクされていたり、ちょっとめぼしい新作が出てこなかったり……。なんとなーく、この業界に身を置いてると、業界そのものが縮小傾向にあるというか、衰退しているような……そんな、少し悲しい感触も感じたりします。

けれども、一方で、まだまだ勢いを保っているゲームがあって……。
という所で次の話題に移りましょう。



■女性向けゲームの深淵な世界

ノベルゲームには、色々なジャンルがありますよね。
恋愛、ホラー、ミステリー、伝奇……。
けれども、薄々、もう一個のジャンル分けがある、って気がついている人も多いのではないでしょうか?
それは、「女性向けゲーム」か否か、という二分法です。

私達(という括り方でいいですか?)が普段プレイするゲームの多くは、高校生くらいの男の子が主人公で、なんか一人暮らしをしていたりして、トラウマを抱え込んでいるものの、半ば無条件的に好意を寄せてくれる女の子の力によって、それを克服する……と書くとあまりに図式的過ぎる気がしますが、恋愛を主軸にした作品では、このパターンがまだまだハバを効かせています。

一方で、女性向けゲームは、基本的にはそれとは真逆の、女の子が主人公で男の子と恋愛をしていく、と、取り敢えず細部を無視すれば纏める事が出来そうです。
けれども、そこには、物凄く独特な世界……が存在しているのです。

先ず、「ジャンルに対する意識」みたいなものが、女性向けゲーム(や、女性向けゲーム制作者さん)には存在するようなんです。まぁ、私の聞き取り調査が基になっているので、ちょっと怪しいかもしれませんがw

で、ジャンルに対する意識ってなんじゃらほい、って云えば、「女性向け」「男性向け」「一般」とか、結構、区別を付けたがるような、そういう事ですね。
正直な話、そうしたジャンルコードは、個人的には割とどうでも良くて、「面白い作品であればいい」とは思うのですが。
兎も角、私の身の回りの女性は、結構そうしたジャンル分けに五月蠅くて、何かゲームの話題が出ると、先ず真っ先に「女性向けか男性向けか一般向けか」を聞いてきますw

けど、落ち着いて考えてみると、これって結構深い問題ですよ。
男性向けっていうのは、多分、男性主人公でヒロインと結ばれる事を目的としたゲームを指すんでしょうし、女性向けっていうのは、逆に女性主人公でヒーロー(?)と結ばれる事を一つの目的としているんでしょう。
じゃあ、「一般向け」って何なんでしょう? ね? 即答出来ないでしょ?

考えてみるに、ミステリーやホラー作品なんかは、プレイヤーの性別を問題としませんから一般向けになる、のかな。けど、プレイヤーの性別を無視して楽しめる作品って、中々無いような気がします。
他には何かあるかなぁ……『ナルキッソス』なんかも、性別関係なくプレイ出来る作品かな。あそこまでのダウンロード数を達成した背景には、やっぱり少なからぬ数の女性もプレイしていると考えた方が自然ですし。

兎に角、(少なくとも一部の)女性ゲーマー、や、女性ゲーム制作者さんの意識の中に、多少なりとも、こういうジャンル分けの意識がある、というのは、女性向けゲームの不思議な世界の一端を表しているような気がするのですが、如何でしょうか?


これも、私の身の回りの調査と、プレイヤーとしての私の感触になってしまうのですが、普通の(っていう云い方を便宜上させて下さい)ノベルゲームって、まぁ、ふりーむとベクターに登録しておけばいいかな? って感じですよね?
女性向けゲームの場合は、勿論上記サイトも使用するのですが、もう一つ、「サーチエンジン登録」という、重大な儀式が、ゲーム公開に際して行われる事が多いようです。何て云うのかな、広く世界に向けて作品を発信していく、というよりは、同好の士と作品をシェアしていく……みたいな所に力点が置かれているような、そんなイメージですね。

恐らく一番メジャーだと思われるのが「自作乙女ゲーSearch」というサイトでしょう。
隠語で「幸」とか略されたりするわけですが、隠語が存在する事自体が、その利用率や知名度を如実に表している気がします。

で、この「自作乙女ゲーSearch」、見てみると、物凄く面白いんですよ。
作品を、所謂タグのようなもので検索出来るわけですが、その区分けが非常に興味深い。
先ず、ゲームエンジンの問題ですが、圧倒的に多いのは吉里吉里/KAG、ですが、二番手はLive Makerなんです。確かに……私が過去にプレイした作品を考えても、「女性が作ってるなー」って思えるような作品は、Live Maker製が多かったと思います。

も一つ、これは正直かなり吃驚したのですが、主人公の属性に「個性なし」って項目があるんですよね。
最初に挙げた、トラウマを抱えた高校生が女の子の力で……というタイプの作品も、或る意味個性が無い主人公なんでしょうけれども、そのトラウマに工夫を持たせたり、何とか、個性……オリジナリティを持たせようとする、そんな動きを感じるわけです。
けど、端から「個性なし」っていう、属性があるっていうのは、やっぱり私からすれば、ちょっと驚きますねぇ。「兄有り」「義弟有り」などの属性は、いかにも女性向けらしいなぁ……って感じですね。

攻略対象の属性も面白いですよ。
少なくともサーチエンジンのデータを見る限り、ダントツトップは「人外」です。そして「幼なじみ」「同級生」と続くわけですが、その次に「ツンデレ」という属性が。「眼鏡」とか「ショタ」とかも人気ですw


こういう、自分好みの作品を探し出せる仕組みがあり、尚かつ、自分も登録出来る、というサーチエンジンの存在は、女性向けのゲームでは無視出来ないですよねぇ……。
けれども、やっぱり、そういうのを見るにつけても、大々的に自作品を広めていく、というのではなく、仲間内で作品をシェアしていく……というような、ちょっと閉鎖的な作品のあり方も感じさせますね。
もしかしたら、こういう記事を書くことすら、怒られてしまうのかもしれませんが、そこはちょっと大目に見て下さると嬉しいですw


勿論、女性向けゲームの全てが閉鎖的だとは云いませんけれども、割とそれに近い傾向があるのではないか、という事なんですが、それによる一番の問題は「男でも楽しめる名作」が浮上してこない、という所にあるのではないかと。
私なんか、少女漫画(や、女性向け漫画)が好きですから、主人公が女性、というのは全然抵抗がないんですよね。そこに素敵な恋愛なりストーリーなりが紡ぎ出されていれば、云う事無しです。
なので、実は、名作の見分け方とか、ぶっちゃけた話、人気ランキングみたいのはないのかなぁ、なんて思ったりしてw

ベクターの人気順の表示がデフォルトになった時に、「なんて改悪をするんだ!」と思ったりしたのですが、女性向けの世界は、奥が深くて、何か道しるべがないと迷子になってしまいそうです。
なので、「この作品がいいよ」とか「ここを見ると、名作が分かるよ」なんて情報があれば……こっそり教えて下されば嬉しいです。
あっ、ちなみに、サーチエンジンのリンクには、素材サイトもあるのですが、私達が運営しているNovelers' Materialもどうぞご利用下さいませw


という辺りで、今回の箸休めはお終い。
もしかしたら、次のレビューでは、面白い女性向けのゲームを取り上げるかもしれませんね。



それでは、また。
[PR]

by s-kuzumi | 2012-07-15 22:06 | サウンドノベル | Comments(4)
2012年 07月 01日

フリーサウンドノベルレビュー 『You'my Sweet』

b0110969_1836255.jpg

今日の副題 「それは“手軽さ”の代償」

ジャンル:脱出系アドベンチャー
プレイ時間:コンプリートまで1時間程度。
その他:選択肢アリ、グッドエンド2、バッドエンド11
システム:NScripter

制作年:2011/5/7(Ver.1公開)
容量(圧縮時):28.8MB




道玄斎です、こんばんは。
今日は、少し懐かしい手触りと、今風の要素が盛り込まれた、所謂“脱出系”のアドベンチャーゲームの紹介です。
というわけで、今回は「ペリさん」さんの『You'my Sweet』です。
良かった点

・一気に読了出来る、良い意味での軽さがある。

・クリアマップシステムが斬新。単なるエンドリストに+αが加わっている。


気になった点

・もう少し、現代的なネタを作中に盛り込んで欲しかった。

・もうちょっと、怖いシーンがあっても良かったかも。

ストーリーは、サイトのURLを張っておきましょう。こちらからどうぞ。



というわけで、夏が近づいてきたので、少し怖い要素のある作品を、と思って本作をプレイしてみました。
ストーリーを簡単に纏めると、ニコ生のオフ会で知り合った面々が、そのオフ会の流れで廃墟探検を行います。行きはよいよい帰りは怖い、で、自分たち以外の人間も廃墟にいるようで、入り口が封鎖されてしまい……というタイプ。

こうした脱出ものは、昔から人気がありますね。私の大好きな『柵の淵』なんかも、その系譜に入りますし、『Bisque Doll』とか、不朽の名作『1999ChristmasEve』なんかが、フリーのノベルゲーム(アドベンチャー?)では有名ですよね。

本作も、そうした脱出モノの流れの中で生み出された作品と思しいのですが、何とニコニコ生放送発のノベルゲーム、だそうです。作中の設定も、そうした部分が活きていますね。
ニコ生と思しき生放送コンテンツで出会った面々がオフ会を開く。そして、全員HNで呼び合うとか、それっぽい雰囲気を醸し出しています。
そういえば、オフ会を一つのテーマとして、且つホラーやサスペンスの要素を持っている作品、と云えば『アクマオフに行ってきた訳だが』という作品もありました。

それはさておき、本作の良かった点は、「良い意味での軽さ」を持っている、という所でしょう。
五人の登場人物が、全員ハンドルネームで呼び合うのですが、キャラクターがごちゃつく事もなく、比較的読みやすい文章だと思いました。ライトなノリで読んでいく事が出来ますし、結構頻繁にチャプターが分けられているので、サクサク感があります。
なので、グッドエンドまで到達しやすいのです(裏を返せば、少し物足りない、という事でもあるのですが)。大体、グッドエンドを見るのに掛かった時間は40分くらい。このくらいなら、一気に読める尺ですよね。

どのくらいの尺を短編、中編、長編と呼ぶかは、個々人の判断に拠るんでしょうけれども、私としては1時間半~2時間くらいが「標準」=中編、という感触です。一気に気持ちよくプレイ出来るかどうか、私はプレイする作品を選ぶ時、ちょっぴり気にします。


作品としては、先にも述べました様に、かなりオーソドックスなタイプの脱出ものなんですよね。
ただ、伝統的な脱出ものに+して、非常に現代的な要素が含まれており、そこが作品の一つのキモになっているんでしょうね。
その現代的な要素とは、ツイッター(作中ではボカして別の名前のサービスになっていましたが)。ゆるく他人と繋がる事が出来て、140文字でつぶやきを投稿出来る、という例のアレです。

このツイッターが事件の真相にたどり着く為の手掛かりとなっており、他の作品と一味違ったアクセントになっていました。
が、反面、もう少しこのツイッターを活かす事が出来たような気もします。中盤になって急にツイッターがフィーチャーされてくるのですが、前半からチラホラ、このツイッターを使ったネタとかがあると、もっと奥行きが出るかもしれません。

お察しの通り、本作のホラー要素は、「お手軽に顔も知らない他人とコミュニケーション出来るが故の悲劇」のようなものなのですが、その点、押しが足りなかったかな、と。
もう少し、ちらっと言及されるブログとか、或いは、ニコ生自体ももっとネタとして、作品に活かしていけたのかもしれない、という感じがします。そうする事で「現代の恐怖」みたいな、恐さも補強出来たんじゃないかな、と。


攻略とも関わるのですが、本作、クリアマップシステムというのが斬新で面白かったです。
チャプターチャプターをクリアマップとして切り取っていく。そしてそこで、どう分岐が発生したのか、が一目で分かるようになっています。単なるエンディングリストより、視覚的に見やすくて面白い試みだったと思います。

さて、攻略なのですが、「フラグによる分岐」と「選択肢による分岐」の二種類がある、と考えると分かりやすいのではないでしょうか。
選択肢によってドンドンフラグが追加されて、というのとは、また一味違う感じですね。
ですので、クリアマップから「フラグアイテム」をセットしたうえで、或るチャプターから読み直す、なんて事も出来るわけです。これはプレイヤーには嬉しい機能ですね。



大体こんな所でしょうか。
もう一押し、ニコ生発ならではの要素、或いは世の中に氾濫するブログやツイッターを作中に絡める事が出来れば、奥行きが出たかもしれませんが、お手軽に繋がる事の出来る現代、の負の面を描いた作品として、面白い作品でした。

ツイッターをガシガシ使っている人は、ちょっとヒヤッと出来るかもしれませんw



それでは、また。
[PR]

by s-kuzumi | 2012-07-01 18:37 | サウンドノベル | Comments(0)