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2014年 05月 24日

フリーサウンドノベルレビュー 『硝子の月-Retrouvailles-』

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今日の副題 「周回プレイの愉しみ」

ジャンル:学園ノベルゲーム(?)
プレイ時間:一周5時間くらい。
その他:選択肢なし、一本道。
システム:NScripter

制作年:2012/12/17
容量(圧縮時):86.5MB




道玄斎です、こんにちは。
今日は、珍しくも丸々一週間くらい掛けて読んでいた作品のご紹介。一応「学園ノベルゲーム」って事にしてありますけれども、実は結構奥が深い作品で、そこら辺を軸にしながら何かお話出来たらな、と。
というわけで、今回は「森野いづみ」さんの『硝子の月-Retrouvailles-』です。ダウンロードはこちらからどうぞ。
良かった点

・周回プレイで魅力が出てくる、不思議な作品。

・かなり緻密に組み上げられた物語世界。


気になった点

・見やすさ/分かりやすさを、もう少し追求しても良かった。

・色々考察が出来、懐が深い反面、分かりにくい部分も。

ストーリーは、ふりーむから引用しておきましょう。
「この世界は、僕達用には出来ていないんだよ」
 それは昔、彼の大切な友達の言葉。
 それから数年の月日が流れて、高校生になった少年は、どこか歪な、だけど変わらない日々を過ごしていた。

 彼の周りに集まるのは、世界から弾かれた少女達。

 一人は、花の様な容姿の転校生。
 一人は、規律正しい幼馴染の委員長。
 一人は――美しい白銀の髪を持つ、白い少女。

 そして――


 ――この世界に、君の生きる場所はあるかい?
   世界の終わりはまだ遠く――

こんな感じ。


さて、ノベルゲームのレビューと云っても、当然、「書きやすい」タイプの作品もあれば、「書きにくい」タイプの作品もあるんですよね。ストーリーが理解しやすいものは書きやすいですし、ストーリーそのものが難解だとやっぱり書きにくい。
そうした分かりやすさの問題とは別に、「これはネタバレせずに書くのは困難だなぁ」なんて思う場合も、やっぱりちょっと書きにくいですよね。

それは兎も角、今回取り上げる作品も、ちょっと書きにくいな、と思ったのは事実なんです。
一つは、一周しただけでストーリーを理解出来る人は多分いないでしょうし、同時に二周目以降のプレイで明らかになるネタをバラしちゃうのは、ちょっと忍びない。

と、いつもだったら泣く泣くスルーしてしまう所だったんですが……実は本作、私のノベルゲーム友達に猛プッシュされたんです。


友人「確か、同じ作者さんの『Good Days』はプレイしてたよな? 『硝子の月』はやったのかい?」

私「いやー、それがねぇ。何となく手を出せてないんだよねぇ」

友人「いや、これ、もう最高だから、絶対にやってくれよ!」

私「そこまで云うなら、ちょっとやってみるよ」


というやり取りがあったんですね。
しかも、その友人、ただのノベルゲームファンってわけでもなくて、某作品にスタッフとして参加していたり、かなりディープなノベルゲーマーなんだよ。自作の作品を作った経験こそないものの(作りかけて頓挫した経験アリ)、片足くらいは「制作者」の領域に突っ込んでいるような、そういうタイプ。

そんな友人が、ここまで猛プッシュするって事は、いい作品なんだろう、と思って、チマチマとプレイを開始したんだけど……。


友人「おい、やってるか?」

私「うん、今日から読み始めたよ」

友人「今、どの辺りだ?」

私「えっと、今、○○と○○がこういう話をしていて……」

友人「いいとこまできたな。ところで、その前のシーンのアレ、どう解釈した?」

私「え……あれはさ、○○が△△だって事でいいんじゃないの?」

友人「なるほどね。そういう解釈か。読了した暁には、お互いの解釈を語り合おうか」

私「お、おう……」


ってな、やり取りが連日ありましてw
で、今のやり取りで分かって貰えると思うんだけど、「尺は長目」そして、「解釈を求められるような難解さがある」って事なんです。

私も丸々一週間、この作品に付きっきりでした。
もう、本当に一周しただけじゃ分からないんですよ。取り敢えず、表面的に起こった事象を追いかけていく事は出来る。けど、その背後にあるコンテクストがどうにも理解出来ない。というか、もっと積極的にミスリーディングさせていくような、そういう手触り。

二周目以降の楽しみをツブしちゃうのはアレなので、ボカしながら書いていくと、本作の主人公(という云い方が一番いいか)は、離人の凄いヤツを患っているらしい。それが故に、所謂「生きづらさ」みたいなものを抱えて生きている、という設定です。

ところで、離人って分かりますか? 作品中では「俯瞰で物事を見てしまう」みたいな説明があったと思うんですが、もうちょい補足しておきましょう。
例えば、あなたがいつものように、ノベルゲームをプレイしていたとしますよね。右手をマウスに添えて、クリックしながら物語を読み進める。いつもの光景です。

それが、何かの拍子で、フッと画面から目を逸らして、マウスに添えた自分の手に一瞥くれたとしましょう。
普通の人なら、何も思わないんです。「おっと、いけねぇ。続き読まなきゃ」ってな具合に、またゲームに没入出来る。
一方、離人の場合は、何気なく見た自分の手が、「自分の手と即座に認識出来ない」んです。「あっ、マウスに手が置いてある!」みたいに、自分の手のハズなのに、その一体感が薄れてしまうんですよ。自分の身体が自分のものでない感覚。それが離人の第一歩。

それが、もっと酷い事になると、「自分が自分でない」みたいな感覚になっていくらしいですね。
本作の主人公が罹っているのは、そういう症状です。そうした悩みを抱えた主人公を軸に、物語が進んでいくんですが、第一章(Moon Dream)は分かりやすいんです。
勿論、謎もたっぷりあるし、凄い気を持たせるような、意味深の発言はてんこ盛りなんですが、何とか追っていける。


問題は、第二章(Sentimental syndrome)以降なんですよね。
多分、一周目では、何がなんだかサッパリ分からないんじゃないでしょうか? 私は最初、「実はSFだったのか!」と軽く衝撃を受けたんです。SFでお馴染みのアレじゃないかと思ったわけですね。で、確かに、そう解釈すれば、一本道にも関わらず、「ヒロイン級」の女の子が何人も出てくる説明はつくんです。

こっちではこの人だけど、あっちではあの人。
みたいに、多様な人間模様が描けるわけですから。それに作者さんはスティーブン・キングとか好きそうだしね。けど、作中でその説がバッサリ否定されて、謎を深めたまま、一周目が終わってしまいました。


で、一周すると作者さんの後書き(兼ネタばらし)が読めます。
そして、二周目にいくと、かなり気持ちよく今までの謎が解ける。更に「ネタバレモード」が選択出来たりするので、そういうのを利用すると、物語の謎の大部分が解けるようになります。

この、一周目は謎を大量に散りばめて、二周目でそれを回収させる、というのは、(プレイする方にも)手間暇が掛かる仕掛けですけど、意外と面白いものですね。一種の爽快感すらあるわけで、「こりゃ確かに中々凝った、面白い作品だぞ」と。
よーく、注意して見ていると、同じような台詞(って云ってもいいのかな)でも、それが平仮名なのか、カタカナなのか、で実は違いがあるとかね。

結果、私は三周したわけなんですけど(部分的にはもっと回ってるんですが)、繰り返し読めば読むだけ、理解が深まっていく、という構造は、ホント面白いと思いましたね。
取り敢えず一回プレイしちゃえば、全部分かってスッキリするよ、って作品がある一方で、こうした複数回プレイを求めてくるような作品ってのも、意外と味があっていいもんだなぁ、と。

ともあれ、かなり緻密に計算されて作ってある物語世界なんですよ。
この作者さんは、物語を作る力がありますよね。『Good Days』は、比較的シンプルな作品でしたけど、本作の複雑な構造は、中々作れるもんじゃないと思いますよ。


さて、一方で気になった点ですが、もう少し、見やすさや分かりやすさを考慮に入れても良かったかな、という所がまず挙げられます。

全画面表示タイプの作品(本作も基本それです)の場合、地の文と会話文の間に適度なブランク行があった方が見やすいんじゃないかな、なんて思ったりするんです。

私が好きなのは、さっきの私と友人との会話のように、地の文と会話文の間には「二行」ブランク行を設ける。会話文が連続する場合は「一行」ブランク行を空け、また地の文に戻る際に「二行」空ける。
そういうスタイルです。地の文と会話文を明確に分けてやって、読みやすさを確保する、って事なんですけど、意外とやってる人が少ないみたいですね。

こうした見やすさに関連して話すと、かなーり誤字が多いので、そういうトコが少し勿体ないかもです。
「僥倖」が「行幸」になってたりして、それじゃ、帝のお出かけだよ! って所があったりw 
こだわりや、作りたいモノの方向性との兼ね合いだと思いますけど、「出来れば易しい言葉を使う」「無理に漢字にしない」なんてのは、ちょっと意識すると、大分読みやすくなるんじゃないかな。

何しろ、ストーリーそのものに掴みにくい所があるわけですから、体裁的な部分でも読みにくくなっちゃうと、ちょっとプレイヤーの負担が増えちゃうんですよね。


もう一点は、「それでも分からない問題がある」って所。
昨晩も、友人と語り合ったんですよw お互いの疑問を持ち寄ってね。

ここで初めてキャラクターの名前を出しますけど、本作の裏の主人公っていうのかな、そういうのは多分、アイリスって事でいいんじゃないかしら? 銀髪の美しい少女です。
私の読解だと、主人公と鏡像関係にあるような、そういうキャラだと思うんです。ネタバレモードで、二周目を見れば、多分、そういう感想は出てくると思いますが。

よって、アイリスっていうのは、本作において物凄いキーパーソンなんですよね。
クールビューティーと称される丙さん、聖女と呼ばれる敷野さんよりも、物語の核心にグッと食い込んでいるっていうか。

で、本作は、そのアイリスの発話によって幕を下ろします。
その時のアイリスの発言、それがまた意味深長で、且つ、理解しづらいんです。作品の〆としてはバシッと決まった感はあるんですが、真面目に考えると、良く分からなくなっちゃうんですよ。

一応、私が考えたのは……「二周目以降をプレイする事によって、プレイヤーは二つに分かれていた(と思われた)世界を一つのものとして統合出来る。けど、最後の最後で、二つの世界の境界線上にいるようなアイリスの発話を以て、その統合の認識が本当に正しいのかどうか、プレイヤーに揺さぶりを掛ける」みたいな、感じなのかな、と。
だから、実質的な意味はあまりないんじゃないかとw 昨晩もこの問題は決着が付きませんでしたw

たまにSFで、そういうのありますよね。
或る認識と、別の認識の二つがあって、結局は一方が正しい、って事になるんですけど、最後の最後で、やっぱりもう一方の認識の存在感が増してきて、世界や、認識そのもののあやふやさを感じさせる、みたいなね。
それと同種の表現方法、なのかなぁ、という感じ。

アイリスに関しては、本当に分からない事が多いんですよ。
そもそも、中学編で、アイリスが主人公と出会った時、本来ならばアイリスには二つの認識の選択肢があったと思うんです。けど、アイリスは疑いなく、その内の片方を選択してしまい、それが、物語の始発部に繋がっていく……みたいな。


そういう語られないというか、明らかにならない部分は、気になる所でもあり、且つプレイヤーに思考で遊ばせてくれるというか、そういうプラスの面もあるんですよね。


そういえば、本作の一応のヒロインは、学校の先生、みのぎちゃんです(裏ヒロインはやっぱりアイリスでしょう!)。今回のスクリーンショットの人ですね。最初は、「物語に於ける役割が希薄なので、この人がヒロインなのは何だか納得がいかん!」と思ったんです。勿論、キャラそのものは物凄く好みだったんですがw

けど、逆に、物語による負の束縛みたいのが無いからこそ、彼女はヒロインになり得るのかも……と、複数回プレイしていく内に考えが変わりましたw ホント、今回一番云いたいのは、「複数回プレイすると作品の見方が変わるよな」ってトコなんですw
当たり前っちゃ当たり前なんだけど、最低二周しないと、物語が掴めないような、そういう作品だったわけで、改めて「複数回プレイの良さ」みたいのを教わった気がします。


時には、一周ではスッキリしない作品に、腰を据えて取り組んでみるのもいいんじゃないでしょうか?
今回は、迷った末の無印ですが、私の友人のように、「吟醸」や「大吟醸」だと感じる人も絶対にいるはずです。好みが別れそうなところではありますが、気になったら、是非プレイしてみて下さい。



それでは、また。



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by s-kuzumi | 2014-05-24 16:35 | サウンドノベル | Comments(17)
2014年 05月 18日

フリーサウンドノベル関係の雑記 箸休めvol.63

道玄斎です、こんにちは。
今日は、以前軽く予告しておいたお話をしようかな、なんて思っています。
本当は、猛プッシュされている作品があるので、それをプレイするのがいいのかも、なのですが、ちょっと長そうだから、こうやっていつものようにワンクッション入れるのでした……。



■悪友達に愛の手を!

前回、『メモリア-day of memory-』という作品をプレイした時に、お馴染みの悪友ポジションの竜司というキャラが気になってしまいました。
正確に云うならば、その竜司を起点として、「悪友とはなんぞや?」という、大きな問題が気になり始めたというか。

『メモリア-day of memory-』の時に書いたように、「悪友にもちゃんと見せ場があるといいよね」という結論自体は変わらないのですが、同じ事を繰り返して書くのも気が引けるので、ちょっとだけ角度を変えて考えてみましょう。

昨晩、いつものように眠れない夜。
「悪友って何だろう?」と考えていたわけですが、「悪友→ノベルゲームではお馴染みのキャラ→ノベルゲームでの定番の存在?→ノベルゲームって何?→そもそも物語とは?」みたいに、思考が及んできました。



■物語と欠損

私にしては珍しく、深入りしているというかw
で、まぁ、色々グダグダ考えたんですが、ここは一つ、思い切って大上段に振りかぶって云ってしまいましょう。「物語とは“欠損”を埋める創作物」だと。

所謂、「無気力高校生、聖母のようなヒロインと出会う」型の作品なんかでも、主人公は「やる気」だったり、「生活のハリ」だったりが欠損しているわけですよね。
或いは、「謎めいた女生徒が転校してくる」型でも、その女生徒は、何か秘密を抱えていて、それが為に苦悩する。そこに欠損がありますし、下手をすれば、それが主人公の失われた記憶(これも記憶の欠損だ)とリンクしていたりして。

もっと分かりやすい例だと、主人公は既にして、肉体的な欠損があり、それを乗り越えて、何とかやっていく道を探す、みたいなタイプの作品がありますよね。有名な所だと『Brass Restoration』とか。

欠損っていうと、ちょっと大袈裟な気もしますけど、「腕を切断しちゃった」なんて分かりやすいものから、「そのキャラクターが内側に秘めているコンプレックス」みたいに、分かりにくく、且つ、そのキャラの「認知」の問題で起こる欠損なんかもあるから、実は、かなり幅広い概念で、何だかんだで、色んな作品に当てはまっちゃうんですよねw


■キャラクターの魅力

で、ノベルゲームなんかをプレイしていて、「お、何かこのシーン、いいじゃねぇか……」と思う時って、告白成功後のラブラブシーンなんかはさておいて、「キャラクターが非常に人間らしい悩みで葛藤する」所だったり、或いは「そうした葛藤を乗り越えていく、キャラクターが成長していく様」だったりしません?

私は個人的に、どうも超人的な主人公には、あまり感情移入出来ないんですよ。
人間らしい弱さもちゃんと持っていて、それに真正面から向き合って、折り合いを付けていく、みたいな、定番ではありますが、そういう魅力があると、プレイヤーも感情移入しやすくなるんじゃないかしら。
あとは、普段はちゃらんぽらんだけど、ここぞ、という時には熱い行動力を発揮したり、とかもね。



■そして悪友に戻る

主人公やヒロインっていうのは、さっきの説に従えば、欠損を軸にしながら、それを乗り越えて成長していくものです。だからこそ、そこにドラマが生まれるわけです。

一方、悪友っていうのは、主人公やヒロインの周りをうろちょろして、イジられたりイジメられたり、と、あまりドラマがないんですよね。所謂賑やかしだったり、ギャグ要員としての「面白さ」はあるものの、「ドラマのある面白さ」を感じさせない、というか。

もっと云うと、主人公と悪友の間には、優位/劣位の関係があって、飽くまで主人公の方が上、みたいなのを感じさせる作品も多いですよねぇ。
中には、本当に悪友が可哀想になっちゃうような、そういう作品もあったりしますからw

けど、もし、そうした主人公と悪友の間に優劣をあまり感じさせず、悪友は悪友としての人間的なドラマがあったなら……その悪友はもはや単なる悪友ではあり得ず、立派な助演者としての地位を確立出来るんじゃないかな、というのが、私の主張です。

私が今まで取り上げてきた作品で云えば、『電波電波カプリッチョ!』の明夫なんかは、悪友というか、もはや「舎弟」なんですけど、そういう典型的な「イジられキャラ」のイメージを強く見せつけておきながら、或るルートでは、主人公に対し反旗を翻すような所があったりして、ドラマが生まれています。
しかも、典型的な悪友的キャラとの落差、という部分でインパクトを残しますし、かなり面白い、独自性のある設定だったと思いますよ。

他には、割と最近プレイした『箱庭のうた』なんかは、更に一歩進んでいた印象があります。
プレイしてみると分かるんですが、色々キャラは出てくるんですが、飽くまで「主人公の友人」であって、「悪友」みたいな感じのキャラがいないんですよ。それに近いキャラとして、夏之ってのがいますけど、彼も亦、ただのウザキャラやバカキャラじゃなくて、妹の為に一肌脱ぐみたいな所で、一般的な「悪友」と違う事が示されます。

『箱庭のうた』は、主人公とヒロインを軸とする物語と平行して、「仲間の物語」が描かれており、それぞれのキャラクターはその「仲間」の一員である、という描かれ方なんですよね。
となると、もはや、そこには「悪友」的ポジションのキャラは存在せず、それぞれのキャラクターが、物語内でそれぞれの人生を歩んでいる、という感じで、物語そのものに深みや厚みを感じる事が出来ます。

『電波電波カプリッチョ!』の様に、悪友(舎弟?)のテンプレを使いながらも、それを裏切る、みたいな変化球も面白いですし、『箱庭のうた』のように、「(それぞれにちゃんとキャラが立っている為)もはや悪友と呼べるようなキャラがいない」みたいな設定にしても、魅力的。

「ま、学園恋愛ものだし、悪友出しとくか……」みたいな、惰性での悪友の登用ではなく、何か、目的意識を持った悪友の起用だったり、悪友を魅力ある一人の人間として描けるのならば、その時、悪友は単なる悪友を越えて、物語の名脇役になれるのではないでしょうか。



■色々あるんだけどもね、実際

と、まぁ、主張は同じなんだけど、ちょっと回り道をしながら、色々話してみました。
例によってちょっととっ散らかった感じはありますけど、「悪友達に愛の手を!」というのが、今回のお話のテーマです。

あまりに不遇な悪友達を、もっと積極的に活かしてやってもいいじゃないか、という事ですね。
何も、強烈な存在感を放たなくても、「その世界に確かに生きている」感触が伝わってくるだけでも、随分違うんじゃないかな、なんて思いますよ。

ちょっと恥ずかしながら、大鉈を振るって、「物語とは」みたいな話もしましたけど、当然、例外はありますよね。「○○という作品では、欠損なんてどこにも出てこねーよ!」みたいな反応は当然あると思いますw
一々例外を挙げて、「○○という作品ではその限りではないが」みたいな文章を入れる、ってのも一つの案ですけど、それはめんどくさいし、そこらへんは読解力っつーか、そういうので察して下さいw

けど、「欠損」っていうキーワードで、解釈出来ちゃうものも結構多い、というのも、亦事実なんじゃないかな、と思いますよ。
少し広く解釈していけば、ミステリー作品なんかでも、「事件の真相」という欠損が、読者を惹きつけていくわけですし、その真相を突き止め、還元すれば、その欠損を埋めた所で物語は幕を下ろします。


まぁ、鵜呑みにしないで、話半分で聞いて下さいなw
私のどうしようもない思索が、誰かの考えの種の一つにでもなれば幸いです。


というわけで、今日はこのへんで。

これから、お勧めされた作品プレイしてきます。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2014-05-18 17:12 | サウンドノベル | Comments(0)
2014年 05月 08日

フリーサウンドノベルレビュー 『メモリア-day of memory-』

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今日の副題 「超王道に癒されろ!」

ジャンル:学園恋愛ノベル
プレイ時間:5時間程度。
その他:選択肢アリ。されど、メインのストーリーには変化無し。15禁。
システム:NScripter

制作年:2014/3/3(ふりーむ公開時)
容量(圧縮時):250MB




道玄斎です、こんばんは。
今日は、連休中にちまちまプレイしていた作品のご紹介。非常に王道的な作品ではあるものの、しっかりと作られた作品でしたよ。
というわけで、今回は「エロゲ道は一日にして成らず」さんの『メモリア-day of memory-』です。ダウンロードはこちらからどうぞ。
良かった点

・こっちが恥ずかしくなってしまうような甘酸っぱいシーンが大目。

・テンポの良さはかなりのもの。五時間のプレイが比較的楽。

・愛らしいヒロインに癒される。


気になった点

・ヒロインである所の愛が、喋られない、という設定に、もう一工夫欲しかった。

・悪友竜司の扱いがひどいw

ストーリーは、ふりーむの方から引用しておきましょう。
―日常系恋愛アドベンチャーゲーム―
桜が咲き乱れる四月。亀岡高校二年生になった赤坂天馬はバカな悪友、戸塚竜司。天敵の華山明日香。そしてしゃべれない友人、神山愛と同じクラスになる。
そんなある日、天馬はひょんなことから愛と一緒に学級代表をやることになる。 スケッチブックでしか会話できない愛と悪戦苦闘しながらなんとかクラスをまとめる毎日。 そんな矢先、学級代表としての一番初めの大きな仕事、春の文化祭が迫って来ていた。
問題ばかりの日常。動き出す青春。はたして天馬たちは文化祭を成功させることが出来るのか。
――思い出に残る日常が今、始まる。

こんな感じです。


いきなり脱線しますけど、一昔前は、ノベルゲームのコンテストっていうと、ふりーむのゲームコンテストか、或いはVectorのレビュー(厳密にはコンテストではないけど)で取り上げられる、くらいしかありませんでした。
中には、主催者がいて、レギュレーション有りの小規模なコンテストが行われる、なんて事もありましたけどもね。

でも、私もちょこちょこ言及していますけど、最近、「ゲームの実況」というあり方が一般的になってきてまして、そうした状況もあって、ニコニコ動画の方でゲームのコンテストが行われているようです。「ニコニコ自作ゲームフェス」ってヤツですけども、ご存じの方も多いのでは?
私も、今、ちょっとその規約なんかを見てみたんですが、かなりユルいです。紹介動画を作るスキルさえあれば(まぁ、他の人に頼んでもいいわけですが)、結構気軽に応募出来るみたいです。

一方、昔からある、ふりーむのゲームコンテストは、「ふりーむ以外の場所にゲームを置く事」が禁じられてしまいました。自分のサイトであってもダメ、という結構厳しい条件です。。
しかし……「ニコニコ自作ゲームフェス」の協力企業に、ふりーむが入っているという謎……w

と、のっけから大幅脱線しましたが、本作『メモリア-day of memory-』もニコニコ自作ゲームフェスに登録されている作品です。

ストーリーは、先ほど引用した通り。
更に「学園恋愛モノ」「文化祭を一つのテーマとする」「悪友がいる」「暴力癖がある女の子アリ」なんて、特徴を挙げていけば、自ずと「ああ、このタイプね」と分かってしまうような、超王道作品だとひとまず云えましょう。

一応、選択肢があり、選択肢直後の文章は多少変化するのですが、実はヒロイン固定の一本道です。
ヒロインは、喋る事が出来ない大人しめの少女、愛です。スケッチブックに素早く文字を書き込む事で、他の人との会話を成り立たせているという設定ですw

本作の魅力を支えているのは、この愛のキャラクターなのかもしれません。
大人しめだけれども、実は芯にシッカリしたものを持っている。何と云っても可愛い。そして主人公に無限の愛情を注いでくれます。大人しめ、或いは無口系ヒロインの系譜を引いているわけですが、非常に魅力的で、安心感を持ってプレイ出来ます。やっぱり、ゲームの中でくらい、思いっきり愛されたいもんね……。

で、お馴染みの悪友ポジションの竜司、そして愛の親友で暴力癖のある女の子明日香が、主人公天馬、そして愛を取り巻く主要人物です。

ちょっとこの悪友については、考えたい事もあるので、また日を改めて何か書きましょう。。
本作と関係のある所で、少しだけ言及するとすれば、「ちょっと、この手のキャラは不遇すぎるんじゃないかなぁ?」という、素朴な疑問があったりするのですw

主人公と一緒になってバカをやる。これも悪友の典型的なパターンですけど、もう一つの軸があって、それは「とにかく、主人公(やヒロイン達)からイジられる」という、そういう役目です。
イジりと、イジメの境界線って凄い難しいと思うのですけど、「これは、もうイジメの域に入ってるよなぁ」なんて感じる事も屡々です。本作をプレイしていても、ちょっと思いましたw
脇役が単なるバカキャラ、そしてイジられキャラを越えた存在感を発揮する時……その作品は、一味違うものになるのではないか、と思うのです。


ま、それはさておき、ストーリーは非常にスムーズに進んでいきます。
冒頭部で示される、愛と天馬が、学級代表になって、クラスをまとめていく、みたいな下りは、物語の始発部としていい感じです。
天馬は、所謂「女心に鈍感」なタイプなのですが、主人公らしい熱さを持ったヤツで、グイグイと愛、そして物語を引っ張っていきます。

愛と天馬は、学級代表になり、文化祭を成功させるべく動く中で、例によって例の如く、恋仲になっていくわけですが、その、意識し合う二人のやり取りが、きゅんきゅんしちゃうんですよねw 甘酸っぱさ全開で、読んでいるこっちが恥ずかしいというw 何て言うか、少女漫画を読んでいて、一人で「うわー!」とか叫んじゃう感覚に似ていますw

オーソドックスだけれども、こういう時代が変わっても楽しめるポイント、っていうのは多分存在していて、そういうのが、王道の持つ力の一端なのかもしれませんね。

ちなみに、このきゅんきゅん具合は、天馬と愛のやり取りだけではありません。
本作に於ける名脇役、明日香の立ち位置や言動が、またきゅんきゅんしちゃうんですよ。私は、どっちかっていうと、愛よりも、明日香の方が好きだったなぁ……。詳しくは是非、プレイして確かめてみて下さい。


さて、気になった点の最大のものは、愛の「喋る事が出来ない」という設定です。
その設定が、実はキャラの味付け以上の意味があまり無い、という所なのです。別に愛を、「非常に無口な女の子」にしても、実はストーリー的な破綻は起きないんですよね。
確かに、スケッチブックを介してのやり取り、みたいなものが、後半の見せ場になっている部分はあります。が、これもちょっと他の小道具を使うなり、工夫してやれば破綻は起こらない。

愛が喋られない、という一つの大きな特徴が、グッと活きてきて、この物語独自の良さや面白さをもっと見せてくれたら、と思うわけです。


そういえば、本作は15禁でした。
イラスト的なアレでしたら、せいぜい下着姿くらい。描写的なアレでしたら、せいぜいディープキスくらいなので、実はそこまでエロくありません。ちょっと際どい単語が出てきたりはしますけどもねw


非常に良く目にするタイプの、王道学園恋愛ノベルです。
15禁になっていたり、ヒロインが喋られない、なんて特徴はありますが、奇を衒ったものではなく、王道を昇華させていったような、そういう作風だったと思います。
凝った物語が作れる、というのが同人ゲームの一つの面白さではあると思うのですが、一方で、安心感のある作品もやっぱり、みんなが好むものの一つの方向性なのでした。

ちょっぴり尺は長目ですが、テンポは良いので、意外とサクサク読めると思います。
ストレートできゅんきゅんしちゃう恋愛物語に是非、癒されて下さい。



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by s-kuzumi | 2014-05-08 20:31 | サウンドノベル | Comments(2)
2014年 05月 03日

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『明日へ踏み出す、僕の物語』

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道玄斎です、こんにちは。
今日は、ちょっと気になっていた短編作品をプレイしました。プレイ時間が凡そ20分程度でしたので、いつものように番外編で。
というわけで、今回は「Project TKM」さんの『明日へ踏み出す、僕の物語』です。ダウンロードはこちらのページから指示に従って下さい。

過去に、このサークルさんの『forever more ~俺と彼女の、奇跡の5日間~』を取り上げた事もありました。また、レビューこそしていないものの、『夏色流星群』という作品もプレイしています。
このサークルさんの特徴は、「新王道宣言」なるものがなされている事からも分かる通り、王道の良さや面白さを追求していく、そういう作風のようです。

が、本作『明日へ踏み出す、僕の物語』は、実験的な要素もあるようで、王道とは違う、暗めのストーリーとなっています。いや、もっと云ってしまえば、「ストーリー」というよりは、その一部のような手触りです。

主人公は所謂引き籠もり。
大学三年時に、或る事件があって以来、人間不信に陥り、部屋から出る事が出来なくなってしまいます。そんな彼が、何とか引き籠もりからの脱出するきっかけを見つけた……という所で、物語は終了です。
もう少し長い物語でしたら、本作の内容は「序章」や「第一章」に相当するような、そういう感じでしょうね。

何とか引き籠もり脱出のきっかけを見つけた主人公が、これから奮闘して、少しづつ大袈裟な云い方で云えば、社会復帰を目指していく。ただ、その道は順風満帆ではなく、色々な困難を伴ったものである……。
みたいな、全体のストーリーがひとまず想定されるのですが、本作はそうした大きな物語の一部、という印象があります。

故に、この作品が、何か未完成のダメな作品か、って云ったら、それも違うなぁ、と思うのです。
確かに実験的だと思いますし、起承転結(や、序破急)みたいなストーリーの流れも薄め。
けど、主人公が悩む事となる、過去の出来事に関する描写が限りなくリアル。「こ、これはもしや実体験なのでは……」と思わず考え込んでしまうような説得力が存在しています。

主人公の身に降りかかった出来事とは、ご多分に漏れず「女性絡み」の問題です。
この主人公の過去の回想が兎に角リアルで、「いや、こういう事ってマジで良くあるよな……」とw
そして、男の方は、女性から手ひどく袖にされると、結構傷つくものなんです。半年とか一年くらい、それを引きずるなんて当たり前。数年引きずってしまう、なんて事だって良くあるんです。

大体……女性の方から別れを切り出される時って、女性の方には次の相手が既にしているんですよねw だから安心感を持って、今付き合っている相手を捨てる事が出来る。一方、男の方は、別れ話が青天の霹靂なわけで、取り乱して、醜態をさらす事に。男ってバカな生き物です……。

でも……。そんなに何年も引きずってしまうくらい相手の事が好きだった。その気持ちくらいは自分で褒めてやってもいいんじゃないでしょうか? 世の中には女と男がいるわけで、そういう手ひどい振られ方、なんてのも実は割とありふれたものです。

女性みたいに直ぐに気持ちが切り替えられる、っていうのは、ちょっと羨ましい気はしますけれども、そう出来ない以上は、何とかそれでやっていくしかないわけで。
そこまで相手の事を好きでいられた自分、を肯定してやる、っていうのは意外と大事なのかもしれませんよ。勿論、ストーカーとかになっちゃダメですけどw

こういう問題って、女性の側にも当然問題があって、既に新しい相手がいて、早く目の前にいる男と縁を切りたいのは分かるんだけど、なんつーのかな、とりつく島がなさ過ぎるというか。
新しい相手を作る前に、ちゃんと別れるというプロセスを経て、それから次に別のヤツと付き合えばいいじゃないか、と。そして、或る程度納得感というか、「別れる」という合意を形成して欲しいですねぇ。

本作のように、別れ際になって、今までの不満をぶちまけられたり、こちらの話を100%聞いて貰えない、なんて状況になったら、本当に男は多大なダメージを負ってしまうのです!
そういう時に、方便というか、「優しい嘘」というのも大事なんだと思いますよ。何も今までの恨み辛みを云わなくたって、円満に別れる方向っていうのも残ってると思うのです。優しい嘘が、男女を救うのではないかと、私は思ってますw


と、まぁ、ど派手に脱線しましたけれども、主人公の過去の重さ、そしてそのリアリティが、プレイヤーに何かを突きつけてくるような、そういう激しい何かを感じさせてくれる、という点で本作を取り上げる事にしました。
「こんな酷い体験した事ねーよ!」って人もいるでしょうし、「俺は別に女に袖にされたからって引きずらん!」って人もいるでしょう。

けど、ある種の人には、物凄く響く作品だったのも、亦確かな事だと思うのです。たまには、一般的な意味での「面白い作品」ではなく、こういう、人を選ぶかもしれない作品も紹介したいですよね(ちょくちょくやってるつもりなんですけどもね)。

こうした実験的な作品を経て、次にリリースされる作品がどんな「王道」になっているか、今から楽しみにしています。女性……にはあまり響かないと思うのですが、恋愛で苦い経験のある男性は、ちょっと痛いかもしれませんが、プレイしてみると面白いと思いますよ。



それでは、また。



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by s-kuzumi | 2014-05-03 17:49 | サウンドノベル | Comments(0)