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2014年 09月 21日

フリーサウンドノベル関係の雑記 箸休めvol.67

道玄斎です、こんにちは。
今日は凄く天気がよくて、掃除機を掛けたり、部屋の整理をしたりと有意義な時間を過ごしているんだよ。普段は掃除の時間が取れないから、こういう時にやらないとね。

それはそれとして、ちょっと前に、ノベルゲームにまつわるヘンテコ話を書いたんだけど、ちょくちょく、「別のエピソードが知りたい」とか、そういうメールを貰うんだ。
取り敢えず、ファンタジーもので関係のありそうな話を書いたわけなんだけど、今日の話も、ファンタジー……っぽいって云えるかな?



■ネタがなければ借りてくる!

ゲームを作る時、一番大変なのは、とにかくシナリオ制作だよね。
大変ではあるけれども、やりがいはあるし、調子よく執筆出来ている時は、凄い気持ちのいいものなんだよ。

キャラクター作りは、以前書いた通りで、割と楽しんで出来ちゃう事が多いんだ。
舞台設定なんかも、キャラ作りの延長、みたいなケースも多いよね。

でも、どういう事件が起こって、どういう変化が生じて、そうしたエピソードの連続を通して、最終的にどういう結末を迎えるか? っていう、物語の芯の部分を作るのは結構大変なんだよ。

けど、これも慣れだったり、資質の問題だったりするのかな?
「書きたいことはいっぱいある!」って人にとっては、シナリオ作りは、なんだかんだ云って楽しい作業だろうね。

そうは云っても、「シナリオは思い浮かばないんだけど、ノベルゲームを作りたいんだ!」って人が一定以上居るのも、また事実なんだよ。
そういう人は、「二次創作」のノベルゲームを作ったりする事もあるね。「二次創作」による効果を当て込んでいる部分も当然あるだろうけど、既に誰かが作った「キャラクター」(や、その性格)、「舞台」などを、そのまま使えるから(本家のエピソードを踏襲したりも出来る)、シナリオ執筆のハードルを下げる事が可能になるんだ。

これは、シナリオを「借りてくる」一つのパターンだけど、この「借りる」という行為は、真面目に考えてみると、意外と複雑なんだよ。



■例によって相談だ

今を去ること数年前、私はやっぱり、とあるゲーム制作志願者からアドバイスを求められたんだ。

これも以前書いた事なんだけど、「こういうのを作ろうと思ってるんだけど、足りない部分とかはあるかい?」とか、「このオチだと弱すぎる? もっと設定を練り込んだ方がいい?」みたいな、具体的な指摘やアドバイスは、実は求められていない事がほとんどなんだよ。

大体が、「俺の考えた話、ちょっと聴いてくれよ!」という形だったり、「こういうの作ります!」という決意表明に近い形だったりするんだ。

真面目にアドバイスをする事だって、勿論皆無ではないよ。わざわざ私なんかに助言を求めてきてくれるんだもの。出来る限りの事はしてあげたいもんね。
けど、そういう人達は、やっぱり自分が思いついたアイデアに自信があるから、こちらが何を云っても聞かないことがほとんどだよ。

竜頭蛇尾って言葉があるけど、まさにそんな感じで、最初は勢いがいいんだ。だけど、段々、自慢のシナリオに矛盾点が出てきたりして収拾が付かなくなると、シナリオを投げてしまうんだ。
或いは、シナリオに行き詰まったら、外堀から埋める! と、イラストレーターを探してきたり、音屋を誘致してきたり、色々やるんだよ。
けど、人を集めるだけ集めても、結局シナリオがないと作業出来ないものね。そして企画は自然消滅……。

これはやっぱり、「今までにない全く新しいノベルゲームを作る!」なんて意気込んでる場合に起きやすいよね。「今までにない」ものを求めて、あれこれ試行錯誤してみたものの、旨味が無かったり、結局、その人が忌避したい「今までにあったもの」が、実は理に適っている事に気付いてしまったり……とかね。

で、その時、私にアドバイスを求めてきたのは、そういう「オリジナル志向」が強い人ではなかったんだ。
寧ろ、積極的にネタを「借りてこよう」と思ってる人だったってわけ。


「それで、一体どういう作品を作ろうとしてるの?」

「オリジナル作品はいづれ作ってみたいんですけど、まずはゲーム制作に慣れようと思ってます!」

「あっ、それは寧ろいいことなんじゃない? ゲーム制作に慣れていく中で、本当に描きたいものを熟成させる事だって出来るだろうし。まずは作りやすいもので、ゲーム制作を経験してみる、って大事だと思うな」

「そうですよね! なので、処女作はシンプルな作品にするつもりです」

「色んなやり方があろうだろし、向き/不向きもあるからねぇ。それにしても、結局やってみないと、向いてるかどうかすら分からないわけだから、シンプルな作品で全然いいと思うよ……って、君は俺に何を聞きたいんだっけ?」

「あっ、忘れてました。実は、その処女作なんですけど、ネタを借りてこようと思ってるんですよ。そういうのってアリなのかなーって」

「え? 二次創作?」

「違います! その……みんなが知ってる有名どころの……」

「ってーと、アレかい? 日本のどことも知れぬ高校に、内向性が強い自堕落な学生がいて、彼を取り巻く色とりどりのヒロインが、何故か無条件的にその学生に惚れていく中で事件が起きる、という……」

「そうじゃなくて……ええい、はっきり云いましょう! 『童話』を下敷きにするんです」


こんなブログを読んでいるくらいだから、知ってるだろうけど、童話を下敷きにした作品は、それなりにあるんだよね。そして、私は、童話とか説話とか、そういうのが好きだから、割とチェックしてるんだ。

そうそう、この場合、「童話」っていうのは、もう端的に『グリム童話』を指す、って云ってもいいんじゃないかな。例外はアンデルセンの「人魚姫」くらいかな。
とにかく、グリム童話も、アンデルセンの童話も、著作権的にも問題がない童話だし、誰もが聞いたことがある話も満載なんだ。


「なるほどね。まぁ、実際、既に『グリム童話』を下敷きにしたノベルゲームは結構出てるんだよ」

「ええ、知ってます。実はそれを見て触発されたというか……」

「まぁ、いづれにせよ、話の筋を使いながらオリジナリティを出す、って事なら、全然OKだと思うな。刊行されてる本の文章をパクったりしなければ、ね。」

「あぁ、良かった! そこが心配だったんですよね~」

「問題は、そのオリジナリティの部分だよ」

「……というと?」

「いや、だってさ、既にみんなが知ってる童話をベースにするわけでしょ? って事は、童話通りの話の流れで、童話通りの結末だったら、それは『翻案』なんじゃない?」

「そこなんですよ! あくまで童話を下敷きにしながら、自分の作品を作るのはどうしたらいいか、って事も聞きたいんです」

「パッと思いつくやり方としては、今云った『翻案」。そしてキャラクターなんかは童話のそれを使いながら、大胆に改編をして、全く別の話に作り替えちゃうようなやり方、もう一個は、元の童話との差異……というかズレを上手く見せるような、そういうやり方があるかなぁ」

「翻案はちょっと……。作り替えも、それをやるんだったら、童話を下敷きにする意味があんまりないですよね……。となると、差異とかズレを見せる方向がいいのかな」

「まぁ、そうだろうね」

「分かりました。ちょっと資料を集めて、ネタを練り込んでみます!」


こんな調子で、彼女は童話を調べたり、関連書籍を集め出したんだよ
云っておくけど、自分が書きたいと思ってるものに関係する書籍を集めたりするのは、いい事だと思うよ。調べた事は、必ず作品に反映されるし、そういうのがリアリティにも繋がってくる。

けど、作品作りに活かす調査、ならば全然いいんだけど、結構脱線しちゃう事も多いんだよね……。



■蛙の王様

「やぁ、久しぶり。調査の方は順調?」

「ええ、書きたいネタも固まってきましたよ!」

「それは良かった。 で、どういうネタにするの?」

「まず、元の作品が有名じゃないと、どこが原作との違いなのか分からないですよね?」

「うん、そりゃそうだよ。あまり知られてない作品だったら、どこを変えたのか全然伝わらないと思うし」

「ですよね。なので、『シンデレラ』と『いばら姫』を使うことにしました! これなら女性はみんな知ってますから!」

「メジャーなお話だね。ただ、『シンデレラ』と『いばら姫』はメジャーすぎて、逆に差異を出すのが難しいかもなぁ……。もう既に色んな人がやってる、なんて事がありそうだよ」

「けど、大丈夫なんです! 私が加える差異は思想なんですから!」

「え? 思想? なんだいそりゃ?」

「『シンデレラ』も『いばら姫』も、女性抑圧の象徴なんですよ。今なお残る、家父長制度、男に抑圧される女性……その象徴が、『シンデレラ』であり『いばら姫』なんです。童話は、正直ですよ~。男性中心社会から不都合だとして、切り捨てられた真実の歴史を残しているんです!」

「ま、まぁ、そういう面も確かにあるんだろうけど……」

「むしろ、童話にこそ真実が宿る! 原作を掘り下げて、そういうところで差異を出していこうかな、って」

「つまり、童話を使って、女性啓蒙キャンペーンみたいなことをしようと?」

「その観点でやっていくつもりですよ。これなら差異も出せるし、新しい試みだから、話題になるかも……!」

「うーん、何を作るのも自由なんだけどもね、俺はやめておいた方がいいと思うなぁ」

「なんでですか? あっ、道玄斎さんは男だから、男性による女性蔑視が明らかになると、いい気持ちがしないんでしょう!?」

「心情的に、そういう部分があるのは否定しないけどもね。けど、もっと実際的な理由だよ」

「実際的?」

「うん、俺の持っているグリム童話は、角川文庫のヤツなんだけどもね。第一巻の一番最初のお話に、『蛙の王さま』ってのがあるんだ」

「『蛙の王さま』ですか……聞いたことないですね……」

「かいつまんで説明するとね、蛙に姿を変えられた王子様がいて、困っているお姫様を助けてあげるんだ。その代わりに、蛙の王子様は条件を提示するんだよ。条件っていっても、『仲良しでいてね』って事なんだけどもね」

「ふむふむ……」

「なんだけど、助けてもらったお姫様は、自分の悩みが解消するやいなや、蛙の王子様が疎ましく思えてきたんだ。当然、約束を全く守らなかったんだよ」

「それは……」

「で、約束を守ってくれよ、と訴える蛙を壁に叩きつけて、殺害を試みるんだ。うるさいからね」

「……最後はどうなるんですか?」

「ん? 殺害された瞬間、蛙に掛かっていた呪いが解けて、蛙は元の見目麗しい王子様に戻るんだ。そしたら、何故か『姫の仲良し』になって、結婚したらしいよ。その後も、ちょろっと話は続くんだけど、大体こういう話だね」

「……」

「つまり、男女の関係性を意識させるような物語っていうのも、グリム童話には多く入っていて、その中には、女性を抑圧していた名残、みたいのは確かにあるんだよ。けど、一方で、こういう女性の狡猾さが描かれるお話も結構あるのさ。あんまり、そういうのを気にしすぎるのもアレだけど、そういうとこで突っ込まれるかもしれないから、俺はお勧めしないのさ」

「童話も奥が深いですねえ……じゃあ、どうって差異を出したらいいんだろう……?」



■ネタの借用あれこれ

今となっては古典的、なのかもしれないけど、原作がぼんやりとしか記述していない部分を掘り下げてみる、っていうのは、有効な手かもしれないね。

つまり、何か超自然的な事象が起こって、一気に話が解決に向かう、って事が、童話や説話にはよくあるよね。特に文章中にはそれに関する説明はないんだけど、そういう所の理屈っていうか、説明を考えて、物語に深みを出す、って方法だよ。

或いは、さっき話した「蛙の王さま」では、お姫様と蛙の王子様が結婚した後、突如、ハインリッヒという家来が出てくるんだ。しかも忠臣である、なんて説明をひっさげてね。
そういう、唐突に登場する人物や、唐突に起こる事件の背景を考えたり、って事なんだけど、それなら、原作も活かせるし、自分の想像力で補完した、原作とはズレた世界も見せる事が出来るってわけだよ。


「うーん、そりゃ云うのは簡単ですよ。けど、それを実践するのが難しいから困ってるんじゃないですか!」

「まあね。けど、アドバイスなんて云っても、せいぜいこんなもんだよ」

「けど、なんかヒントくださいよ! 参考になるゲームとか」

「ま、ゲームじゃないんだけどもね、本でならあるよ」

「え? ほんとですか? なんてタイトルの本です?」

「『今昔物語』だよ」

「また、古文を持ち出して!」

「いやいや、誤解しないで欲しいんだけど、俺の云ってるのは、現代の文で書かれた『今昔物語』なんだよ」

「現代語訳ってことですか?」

「いや、単純な現代語訳とは違うんだな。福永武彦っていう作家が書いてる『今昔物語』なんだけどもね、まさに、原文では省かれている部分を上手く説明……というか捉え直しをして、元々の怪奇的ホラーから、人間的なホラーへの転換を図ったりもしているんだよ」

「へぇ~、それは参考になりそうですねぇ!」

「うん、すっごい文章が上手い人で、そういう部分でも参考になると思うな。池澤夏樹って作家のお父さんなんだけどもね」

「あっ、池澤夏樹なら知ってますよ! 教科書に載ってました」

「そうなんだ? 俺は、断然、父親の福永武彦の方が好きなんだけどもなぁ」

「それにしても、道玄斎さん、よくそんな作家のこと知ってますねぇ……。意外とやりますねぇ」

「いや、俺としては、逆に貴女が福永武彦を知らなかったことに驚いているんだけどもね」

「へ? なんでです?」

「うん……大きな声じゃ云えないんだけど、福永武彦の『草の花』って小説は、元祖ボーイズラブってことで、腐女子の間では有名なんだよ……」

「……!」



■顛末

というわけで、長くなっちゃったけど、今日のお話はこれでおしまいだよ。
ん? 結局、今日の話に出てきた彼女は、ゲームを作ったのか? って?

もちろん、完成品を作って、今ではシェアゲームをメインに活動しているんだよ。
ただし……BLゲーム制作サークルとして、だけどもね!



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2014-09-21 16:10 | サウンドノベル | Comments(2)
2014年 09月 17日

フリーサウンドノベルレビュー 『雨恋のキセツ』

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今日の副題 「雰囲気抜群、しっとりノベル」

ジャンル:雨の降り続く街を舞台にしたラブストーリー(?)
プレイ時間:コンプリートで、一時間ちょい。
その他:選択肢アリ、エンド分岐アリ。またオマケシナリオ(?)も。
システム:吉里吉里/KAG

制作年:2014/7/7(ふりーむ公開日)
容量(圧縮時):108MB




道玄斎です、こんばんは。
またしても、積んであった作品があったので、プレイしてみたら凡そ一時間という所。
しかも、後で載せるストーリーを見て貰えれば分かるように、なんか物凄くゆかしいものを持っている……こりゃ取り上げるしかなかろうってんで、取り上げる事に致しました。
というわけで、今回は「追及探偵事務所」さんの『雨恋のキセツ』です。ダウンロードはこちらからどうぞ。
良かった点

・舞台や、その設定に物凄くゆかしいものがある。

・イラストは美麗。ヒロイン二人はどちらもとても魅力的。


気になった点

・実は、メインシナリオでは、主人公の問題は解決せず、シナリオが恋愛に流れてしまったような部分が。

・エンドロールのムービーがあると思しいが、再生されない。

ストーリーは、ふりーむから引用しておきましょう。
神が宿る街。神宿。
神宿には雨にまつわる神がいる。所謂、土地神というものだ。
その神は、雨を降らすことも、止ませることも自由自在。
しかし、5月の半ばから降り出した雨は一か月もの間、止むことなく降り続け、もはや神は宿るこ とのない街と詠われた。
この街には、それでも人が大勢押し寄せ、いつものように仕事をし、
買い物をし、遊び、離れていく。 

ここは終着点ではなく、交差点みたいな街。

※雨が長く続く街を舞台にしたADVです。

こういうお話です。


さて、本作は所謂「VIP系」です。
オリジナルのBGM、美麗なイラストなど、VIP系が強い分野はしっかり抑えてあり、更に、魅力的な舞台設定があり、非常に興味をそそります。

雨が降り続ける街、しかも「交差点みたいな街」なんですよ。
これだけで、しっとりとした、何かドラマが生まれそうな……そんな気がしませんか?
明朗ハイスクールコメディにはない、深みがそこには感じられるはずです。


肝心の物語の方なんですが、主人公は記憶喪失です。
そして、なし崩し的に探偵事務所の居候(探偵助手の下っ端)となり、自身の記憶と、この街に降り続く雨の原因(=雨を降らす神様の動向)を探る、というのが、物語の端的な纏めになりましょうか。

主人公の回りには、探偵事務所の所長である真実(まみ。いい歳だけど、見た目ロリ)、雨降りの神様を祀っている神社の巫女さん亜紀、そして図書館で出会う少女れま、と、魅力的な女の子キャラクターが一杯です。

先にも書きましたが、女の子のビジュアルはとっても素敵。
雨ならではのシチュエーションもあったりしますw スクリーンショットはそこからとってきましたw

ところで、ストーリーの概略はプレイ前に目を通しているんですが、てっきり巫女服姿の亜紀が、「雨を降らす神様」だと思っていました。
ちょっと偏見かもしれませんが、こういう美少女系の神様って多くありません?w

ちょっと脱線しますけれども、大体、土地神、或いは地方の神様、みたいな存在は、「大地を司る神様」とか「戦争の神様」とかメジャーな神様と比較すると、かなりパワー自体は落ちるんですよ。
ある限定的な地域で、更に特殊分野に於いてのみ、力を振るえるっていう造型ですよね。けど、例えば、その出自が「元々、その土地で暮らしていた住民で、悲劇的な死を遂げた」なんてものだった場合、やっぱり、神様としての性質もローカルなものになるんです。

だからこそ、物語に登場させやすいんです。
それが、パワフルな神様だと、力が強力なものですから、大抵の無理は効いちゃうし、主人公、或いはヒロインがどうこう出来る余地が少なくなっちゃうんですよねぇ。
でも、ローカルな性質の神様だと、人間と同じように悩みを持っていたりして、その悩み事を主人公達が解決してやったり、或いは、主人公達の抱える問題と、神様の方の問題が重なってきたり……とかね、物語に無理なく、自然に超自然的なものを組み込む事が出来るんです。

だから、大抵の「神様」が出てくるような作品は、そうしたパワー抑えめの、ローカルな性質を持っているハズですよ。


さて、ド派手に脱線しましたけど、巫女さんの亜紀は、全然神様とは関係がなかったんですw
誤解を恐れず云うと、「ヒロインの一人」という位置づけですよね。まぁ、そういう意味では、れまもそうなんですが。

で、本作で一番気になった所が、まさにそこなんです。
舞台や設定はバッチリ、ヒロインも可愛い、しかし、そうした街や神様を巡る謎、そしてそれに密接に絡んでくるであろう主人公の失われた記憶……がスポッと抜けてしまって、各ヒロインとの恋愛に、いつの間にか焦点がシフトしちゃっていた、という点です。

折角、魅力的な舞台があるにも関わらず、主人公は、探偵事務所から神社に行くか図書館に行くか、くらいしか動かないわけで、もう少し、街の色んな場所に移動してみたり、そうした街や自身の謎を解く過程で、ヒロインとの恋愛も副次的に描かれる、みたいな感じの方が、個人的には納得度は高かったかな、と思います。


そうそう、亜紀とれま、それぞれのルートを見ると、タイトル画面から、第三のルートとも云うべきシナリオを読む事が出来ます。そこで、やっと、主人公や街を巡る謎が解ける、という仕組みです。
やっぱり、そのルートを、各ヒロインのルートに上手く接合させてやった方が良かったかなぁ、とw
けど、真実が好きな方にはたまらないルートにはなっているハズですw 個人的には、やっぱり、れまが一番好きですがw


今日はちょっと辛口なんですが、雰囲気はいい作品なんですよ。
だからこそ、自分の願望を押しつけたくなっちゃうのかもしれませんね。
作品の雰囲気を十全に味わう為に、是非雨の日を狙ってプレイしてみて下さい。



それでは、また。



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by s-kuzumi | 2014-09-17 21:04 | サウンドノベル | Comments(1)
2014年 09月 16日

なんてことない日々之雑記vol.387

道玄斎です、こんばんは。
以前、チラッとお話しましたが、私、アウトドア活動が隠れた趣味なんです。
で、今日は、そういう話を少しして、お茶を濁そうかなっと。



■こいつが相棒

というわけで、先ずは、これをご覧頂きましょう。

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アウトドアに携行するナイフです。
どっちも同じメーカーのものです。スウェーデンのMoraってメーカーなんですけどもね。

赤いハンドル(ウッド製)の方がクラシカルで温かみのあるデザインです。
カーボンスチールの刃で切れ味も抜群。ただねぇ……ちょっぴり鞘に不満があります。結構ゆるゆるで、何かの拍子にナイフが鞘から抜けそうな、そんな感じなんですよ。

一方、黒と緑のハンドルのナイフも、実は刃はカーボンスチール製。けど、赤いハンドルのものの方が、なんか切れ味が良いような……何か違いがあるのかな……?
けど、こっちの方が刃の厚みがあって(あっ、刃の厚みが切れ味の違いか? にしても、なんか違う気がするなぁ)、よりハードに使用出来ます。鞘にもガチッと収まるしね。

なので、私は、黒と緑のハンドルのナイフを携行する事が多いのです。
日本武尊に倣って、火打ち石っていうか、ファイアスターターも装着しちゃってますし。


まぁ、アウトドアに刃物なんていらねぇ、という向きがある事も重々承知しているんですが、敢えて気に入った刃物を持っていって使う、というのも、一つの楽しみだと思うのですよ。
勿論、自然破壊など、悪い事をする為じゃなくってね。ちょっと山道を歩く時に、枯れ枝を払ったり、邪魔なツタ(大体外来種の悪いヤツ)を切ったり……せいぜいそんなトコです。

火打ち石を付けてはいるのですが、実際使う事は殆どありませんよねぇ。
一応、山に登ったりもするので、「いざという時のお守り」みたいな感じかしら。そもそも最近は、地面に直で焚き火をする事も禁止されたりしている所も多いわけで……。

けど、実際に、アウトドアではナイフ、物凄く役立つんですよ。
ハサミの代わりにもなるし、薪を細かく割ったりするような事も出来る。食べ物を切り分ける事だって出来るし、山菜の採集とかにも使える。

ただ、その汎用性の高さ故に、「所持の明確な目的」を説明しづらい、というのは認めざるを得ない所……。
包丁だったら「料理をする為」って云えますけど、ナイフは、「色々便利だから」っていっても、納得してくれる人はあまりいなかったりしますw とはいへ、大体どのアウトドア関係の書籍とか読むと、ナイフっていうのは、備品リストに入ってるんですけどもね。

大体……スイスのお土産で有名なヴィクトリノックスのナイフとか、フランスの肥後守と呼ばれるオピネルとかが定番品です。最近、読んだコンビニ雑誌のアウトドア特集とかでも、オピネルが記載されてました。

ヴィクトリノックスのナイフも、オピネルのナイフも折りたたみナイフです。
ヴィクトリノックスの方は、ドライバーや、缶切り、ワインの栓抜きなど、色々なツールが詰まっているツールナイフと呼ばれるものです。

折りたたみナイフは、携帯に便利とか、ツールナイフだったらナイフだけじゃなく色んな機能が付いているとか、結構便利なんですよ。選ぶ時の注意点は、「多機能すぎるモデルを選ばない」という事。
個人的な体験や、多くの人の意見を総合すると、「ソルジャーCVAL」というモデルが妥当だと思われます。これは、トレードマークみたいな赤いハンドルじゃなくて、アルミ製のハンドルなんですけどもね。


折りたたみナイフは携帯性に優れ、ツールナイフならナイフ以上の事も出来る。折りたたみじゃないナイフは、基本的に折りたたみのそれより頑丈ですから、ラフに使える、というメリットがそれぞれあります。自分のスタイルに合わせて、ナイフも選択したいものです。


で……最近、和式の刃物に魅力を感じてまして、近い内に買っちゃおうかなぁ、なんて思ってます。
具体的に云うと鉈。あれがあれば、薪割りも出来ますし、っていうか、薪割りをするなら鉈とか斧とかがないと、ですし。

兎に角、和式の刃物はその切れ味の良さが魅力ですよねぇ。
その分、錆びやすいので手入れは大変ですが、それがまた意外と楽しいものです。手入れをすればその刃物に愛着だって湧いてくる。折角なので、鍛冶屋さんがちゃんと打って作ったものを手に入れようと思ってます。


……と、とりとめの無い話をしていたら、結構な行数書いてしまった気がします。
ま、今日はこの辺りでお開きです。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2014-09-16 22:35 | 日々之雑記 | Comments(5)
2014年 09月 15日

フリーサウンドノベルレビュー 『Unknown』

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今日の副題 「服を着たまま5キロ川で泳いでも、優しくしてくれる彼女が欲しい」

※吟醸
ジャンル:実は爽やか、ハイスクールグラフィティ。
プレイ時間:合計で3時間程度。
その他:二篇のストーリーを収録。選択肢なし、一本道。
システム:WOLF RPGエディター

制作年:2014/7/4
容量(圧縮時):22.9MB




道玄斎です、こんばんは。
三連休もお終いですね……。私は、最後の休日、という事で、気になっていた作品をプレイしてみました。タイトルが意味深で、かなり気になっていたんですよね。で、プレイしてみたら、かなり面白かったので、こうして取り上げる事に。
というわけで、今回は「今門 楽々」さんの『Unknown』です。ダウンロードはこちらからどうぞ。
良かった点

・少しづつ読みやすく、テンポ良くなっていく文章。

・等身大の高校生を活き活きと描いている(特に「超レ欲ス」)。

・各篇共に、冒頭部の伏線などがちゃんと回収される丁寧な作り。


気になった点

・「無意確認生命体」の方は、ラストがちょっと消化不良だったかも。

ストーリーは……うーん、ふりーむの方にも、サイトの方にも詳しい記述がないので、今回は変則的に、Youtubeの紹介動画を張っておきましょう。こちらからどうぞ。



久々に、少し長目の尺のものをプレイしました。
感動した! とか、泣ける! とかではないけれども、地味に良いお話が詰まった、とても素敵な作品だったと思います。

本作の体裁について、先に述べておくと、二本立てになっており、それぞれ「無意確認生命体」、「超レ欲ス」というタイトルが付いています。

これら二つのストーリーには、連続性があって、「無意確認生命体」での結末を承けて、「超レ欲ス」のストーリーが進展していきます。ですので、特に理由がなければ、「無意確認生命体」の方から読んでいった方がいいでしょうね。

どちらかと云えば、「無意確認~」の方が、少しシリアスな印象です。
ちょっと冷めた……というか、達観した16歳の女の子が主役の話なのですが、彼女には、どうも秘密があるらしい……。
そんな彼女が巻き込まれる事件と、その後の生活や、彼女の変化を丁寧に追っていくストーリー、と、ひとまず纏める事は出来そうです。

確かにショッキングな事件は起きたりするのですが、よくあるタイプの、「ラスト付近で物凄い事件が起こって、それをヒロイン、主人公の二人三脚で乗り越える」みたいな、感じとは違うんですよね。
事件そのものは、冒頭部で示されていますし、プレイしていても、比較的早くその事件に到達しちゃいます。

寧ろ、事件後の方に焦点があって、凄いバカだけど、何だか妙にホッとする志田君の登場により、主人公しぶき(雌舞希)が、少しづつ変化していく様子や、彼女の持つ秘密に焦点が移行していきます。


一方で、「超レ欲ス」の方は、主人公が男の子。
過去に、「無意確認~」の主人公しぶきを泣かした事があって……。けど、実は彼女に惚れている……という、複雑な立場の少年が主人公となりますw

こちらは、明るい、男子高校生の明朗ストーリーと云った感じで、「あー、このくらいの年頃の男って、こんな感じだよねぇ!」と、思わず、「うんうん」と頷いてしまうような、楽しい作風です。

結構、この男の子の心情っていうか、そういうのがリアルというか、活き活きと描けているというか、まぁ、兎に角、そこが凄く個人的にグッとくるポイントでした。

ド派手な事件が起こるわけじゃない。けど、本当に些細な事で悩んでしまったり、或いは個人的なレベルでは、それが「大事件」に思えてきたり……。皆さんも身に覚えの一つや二つ、あるんじゃないでしょうか? 特に、男性は、女の子絡みで、そういう気持ちになる事、多かったですよね?


と、まぁ、大凡、二つのストーリーはこんな感じなんですが、秀逸なのは「伏線」を綺麗に活かし、綺麗に回収してくれる、という所。

どのストーリーも、ちょっと意味深な感じの冒頭部を持っているんですけど、ストーリーが進むにつれ、文章もこなれてきて、ドンドンテンポが良くなっていきます。そして、最後には、その意味深な冒頭部の謎もスッキリ解ける、というわけです。

そして、「ああ、ここであれを持ってくるのか!」と云うような、テクニックも巧み。
読後感も爽やかですし、派手な事件やクライマックスが無い、という意味で、地味…な方に入るとは思うのですが(女の子のビジュアルは凄い可愛いです)、本当に素敵なお話になっていました。


気になった……という程でもないのですが、「無意確認~」のラストが、ちょっぴり消化不良っぽく感じたなぁ、というのはありました。
勿論、ああいう形で、物語を終える事で、読者(プレイヤー)へ想像の余地を残して、独特な余韻を漂わせる、みたいな手法であろう事、想像に難くないのですが、「え? 結局、これはどうなったの?」と、ちょっぴり困惑してしまったのも、又偽らざる所だったりしますw
その結末のあやふやさは、「超レ~」の方を読む事で、解消されましたけどもね。



本作も亦、WOLF RPGエディター製の作品です。
けど、必要な事は全て設定出来ますし、全く不自由さを感じさせません。しっかりと「ノベル向け」にカスタマイズされている印象でした。

地味かもしれないけども、何だか心に染みてくるような作品で、しかも読後感が凄く爽やかなものですから、今回は吟醸で。

私の録ったスクリーンショット、或いはふりーむ記載のスクリーンショットは少し暗めの内容を想像させてしまうのですが、全体を通して、本作の印象を云うなら、繰り返しになりますが「爽やか」です。
是非、プレイしてみて下さいね。



それでは、また。



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by s-kuzumi | 2014-09-15 19:07 | サウンドノベル | Comments(3)
2014年 09月 11日

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『夢の中』

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道玄斎です、こんばんは。
今日は、気になっていた作品をプレイ。プレイ時間は凡そ15分程度でしたので、番外編で。
というわけで、今回は「きじ」さんの『夢の中』です。ダウンロードはこちらからどうぞ。



最近、ふりーむなんかを覗いてみると、WOLF RPGエディター製のノベルゲームが結構多く出てますね。私も、ここで何度かそうした作品を取り上げたりもしましたよね。そして、本作も、亦、WOLF RPGエディターで作られた作品です。

至ってシンプルなノベルゲームです。
セーブ/ロードの機能は無し。右クリックでバックログの閲覧は可能。但し、BGMや効果音無しの「文字と背景だけ」。云ってみればかなり地味な作品です。

確かに、BGMがないと物足りなさを感じます。
そもそも、こうしたゲームは、「サウンドノベル」という云い方もあるわけで、ただの文章に加えて、そこにサウンドを載せる事で、表現の幅を広げているわけですからね。


けど、本作、なんか妙に惹かれるものがあるのも、事実なんです。
本作は、SFと呼ばれるジャンル……に近いと思います。アンドロイドは出てくるし、人間とアンドロイドの区別をどう付けるのか? みたいな、フィリップ・K・ディック的な世界……とも云えるのですが、多分、本作の焦点はそこじゃないんですよね。

寧ろ、ラストのちょい物憂い感じだったり、少し暗めの世界観だったり……そういうところが、個人的には「お!」と思えましたね。比較的短文で歯切れの良い文体も、作品の雰囲気にあっていたと思います。ちょっと翻訳SFの趣を感じる、みたいなね。


ディック的な世界……みたいな事を書きましたけど、別に、本作には違法アンドロイドを狩る、なんて描写が出てくるわけじゃありません。
そうではなくて、アンドロイドという存在が極々自然に、人間の生活に入り込んでいて、そのアンドロイドを含めた家族……というかコミュニティというか、そういうもののあり方だったり、アンドロイドが発達した世界での人間の心のゆらぎ、みたいなものを描く作品です。

なので、実はエンタメ系のノベルゲームというよりは、ちょっと小説……文学寄りなテイストですよね。
それが、BGMこそ無いものの、モノトーンの背景と妙にマッチしていて、独特の雰囲気を出していました。


作品に合った渋めのBGMがついていれば、きっと、もっと作品全体の纏まりや、訴求力がアップするんじゃないかと、愚案致します。
少し変わったSF、ちょっと物憂いラスト、是非楽しんでみて下さい。



それでは、また。


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by s-kuzumi | 2014-09-11 20:04 | サウンドノベル | Comments(0)
2014年 09月 04日

フリーサウンドノベルレビュー 『処女失格 ~初めては貴方に捧げたかった~』

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今日の副題 「型と面白さ」

ジャンル:乙女処女失格ノベル(readmeより)
プレイ時間:2時間程度
その他:選択肢なし、一本道。18禁。本レビューは「ネット公開版」にて。事前にパッチを当てておくこと。
システム:NScripter

制作年:2014/6/15
容量(圧縮時):196MB




道玄斎です、おはようございます。
早いもので、もう九月です。気が付けば、照りつけるような暑さはなりを潜め、少し涼しい秋風が吹くようになりましたね。
私は、と云えば、少し忙しさが増しつつあるのですが、何とかまた最近、ノベルゲームをプレイする時間を取ることが出来るようになりました。
というわけで、今回は「agony/禁飼育」さんの『処女失格 ~初めては貴方に捧げたかった~』です。ダウンロードはこちらからどうぞ。
良かった点

・独特の作風は今以て健在! しかも、マンネリ感がない。

・ちょっとほろ苦さを残すラスト。


気になった点

・誤字修正パッチを当てても、誤字が多め。

・陵辱的な要素アリ。苦手な人は要注意。

ストーリーは、今回は私が簡単にまとめておきましょう。
ぬいぐるみ少女(?)「ちぎみ」と、同居人である「ごかく」さんは、ちょっぴりメルヘンでラブラブな日々を過ごしていた。
そんなある日、ごかくさんは、会社で必要な資料を家に忘れたまま出勤してしまう。ごかくさんの役に立つべく、ちぎみは、ぬいぐるみの体というハンデを乗り越え、彼に忘れ物を届けようとするのだが……。

と、このくらいにしておきましょう。


いきなり脱線しますけれども、気が付けば、私、サウンドノベル/ノベルゲーム用のBGMを制作するのが、趣味の一つになっています。「音楽作ってます!」って大上段に構えて云える程ではないのですけど、まぁ、チマチマとね。

たまに、ゲームをプレイしていて、自分の作った曲を発見すると、凄いテンションが上がったりしますw テンションが上がったあとで、妙に気恥ずかしくなって、その曲が流れている所は、凄い速度で読み飛ばしちゃったりするわけですが……w

で、本作『処女失格』の作者さんがリリースしている、所謂シェアゲーム(『淫靡で残酷な豚』)にも、私の作ったBGMを使って頂いているみたいで、感謝感謝です。


さてさて、タイトル、そしてスクリーンショットをご覧頂けば、本作が、『さくっとパンダ』、『キナナキノ森』など、話題になった作品の作者さんだという事、すぐに分かるかと思います。

吸血鬼を思わせる、野性的な容貌の中年男。
変わった名前を持つ、肉感的なヒロイン。
そしてヒロインを待ち受ける過酷な運命……。

この作者さんの作品は、大体このパターンというか、この型で出来ています。
本作も亦、この変奏でした。けど、それでもやっぱり、本作は(というか、この作者さんの作品は)面白いのです。


本作は、大きく、前半と後半に分ける事が出来ます。
前半は、ストーリー部分で書いた通り、少しギャグっぽいテイストが入り込んだ穏やかな日常パート。
後半は、その日常の裏にある、「真相」を探っていくパート、と位置づける事が出来ましょうか。

この作者さんの作品を、何作品も読んでますから、前半を読んだ時に、「絶対、このまま微ファンタジックなほのぼの路線で終わるハズがない!」と、斜に構えて読んでいましたw
或る意味で、「絶対凄いのが来るぞ……」という、信頼感がそこには存在している、と云ってもいいのかもしれません。


そこで私は、はたと考え込んでしまったのです。
前述の通り、ある種のパターンによって物語が作られている。勿論、細部は作品によって違いますが、同じ型を使っている、と、言い切って良いような気がします。

毎回同じような話で飽きてしまう作者さんがいる一方で、本作の作者さんのように、同じ型を使い続けていても、魅力を放つ作品があるのか、どうしてなのか、と。
真面目に考えていけば、本当に色々な要素があるのでしょうけど、パッと思いついたものは、「型の部分での個性がずば抜けている」という事。

本作も、比較的女性向け……だとは思うのですが、そもそも「中年男」がヒロインの相手役になる、っていう設定が、物凄く個性的ですよね。しかも、その中年男もただカッコいいだけじゃなく、その内側に、ドロドロとした悪意を秘めている、という。

素直な女性向けゲームでは、或る程度、攻略対象の男性キャラのパターンが決まっていて、そういう安心感みたいのはあるんですが(勿論、素直な作品も私は好きです)、間違っても極悪中年男と結ばれるパターンはないんですよねw

ヒロインの造型にしてもそうです。素直なそれだと、あまり個性が無く、「可愛くない」とか称されつつも、普通に立ち絵、一枚絵を見ると美少女だったりして……。で、色んな男性キャラから、色んなやり方で愛されていく……みたいなね。所謂一つの「愛されガール」というか。
本作のヒロイン(?)ちぎみも、確かに可愛いんだけど、実は口は悪いし、変顔多いし、食い意地は張ってるしと、やはり、広く流布しているヒロイン像とは違いますよね。

この主人公(ヒロイン)と相手役の型は変わらないけれども、その型そのものに既にして個性が宿っている、という訳です。


今一つの要素は、「そこに、ちゃんとしたストーリーがある」という事。
パターンや型に或る程度沿っているとはいえ、ちゃんとストーリーが流れていきますし、結末というか〆のパートがちゃんとあるんですよね。ストーリーの緩急も凄いシッカリしてますし。

そうしたオチみたいな部分はなくて、何となく雰囲気で流れちゃう作品っていうのも、世の中にあって。
その雰囲気が、心地良いものだったら、全然それも作品としていいと思いますし、そうした作品の中に、私も好きな作品が結構あります。

ただ、大凡の傾向として、その雰囲気系の作品を作る人は、延々と同じような雰囲気系を作り続けるみたいな部分はありますよね。ちょっと言葉は悪いけど、同じようなネタで同じような雰囲気がウリの作品を量産されちゃうと、最初の数本は楽しめるけど、段々、新鮮さや面白さを感じなくなっていく事があって……。


というわけで、型の部分で物凄い個性を持っているという事。そして、緩急の効いたストーリーをちゃんと持っているという事。
この二つが、本作を「いつもの作品」ではなく、ちゃんと「新作」として成り立たせているんじゃないかなぁ、なんて愚案致します。

寧ろ、この要件があるからこそ、「個性」が際だつような、そういう部分もあるんですよね。前述の通り、「この人の作品なら、絶対このままじゃ終わらない!」というような、信頼感があったりね。
あっ、そうそう。作品の〆についても、少し話しておきましょう。

本作は、例によって悲惨なパートを挟んで、それにどう向き合っていくのか、というのが最終的な着地点になるわけです。そこが、ちょっとほろ苦くて、凄く良かったですよ。
この作者さんの持ち味の一つとして、「人間の心理描写」が上手い、というのが挙げられるんじゃないかな。

悪意のような、ドロドロとした心理を描くのもお手の物だし、後悔や諦念……そうした部分の心理描写も凄くいいです。少し暗めの人間の心理、心情という事になるかな。幸せな感情よりも、そういう負の感情の方が、プレイヤーとしてグッときたりする事が多いんですよねぇ。
もっと云えば、負の感情をしっかり描けるから、その後の正の感情にも入り込める。そういう部分って絶対ありますよね。


気になった点は、やはり、誤字修正のパッチを当てても、それなりに誤字が多い、という所でしょうか。
「なんにせよ」とありたい所が「なんによせ」になっていたり……そういう部分がチラホラと。

あと、一応注意書きの延長みたいなものですが、結構キツい陵辱シーンもあります。
18歳未満はプレイをしない。そうしたシーンが苦手な人も、プレイを控える、というのが吉。


結局、今回は、作品の中身について、全然触れませんでしたねw
敢えて云いますが、「いつものパターン」です。けど、やっぱり読み応えがありますし、面白いのです。
個人的に好きだったシーンは、「バスの中」のシーンと、ラストのほろ苦く、少し切ない部分ですね。

人を選ぶ部分は勿論ありますが、agony/禁飼育さんのファンなら、是非プレイしてみて下さい。期待を裏切らない作品になっていると思いますよ。



それでは、また。


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by s-kuzumi | 2014-09-04 11:37 | サウンドノベル | Comments(3)