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2014年 01月 08日

フリーサウンドノベル関係の雑記 箸休めvol.62

道玄斎です、こんばんは。
今日は、久しぶりの箸休め。気楽に読み流してやって下さいまし。



■バトル描写を巡る問題

サウンドノベル/ノベルゲームに於いて、「戦闘シーン」が描かれる作品ってありますよね。
全部が全部とは云いませんけど、伝奇モノなんかに多いイメージ。セーラー服を着た黒髪のロングヘアーの女の子(可愛い系ではなく、綺麗系の女の子)が、日本刀を持ってチャンチャンバラバラやる、なんてのは、一本や二本、思い当たる作品があるんじゃないでしょうか? まぁ、サウンドノベル/ノベルゲームに限りませんけれどもね。漫画なんかだと、鬼咒嵐さんとか……。

そういう、刀とかを遣うバトルでなくても、肉体をぶつけ合う格闘、或いは、銃なんかを使用したバトル、色々なバトルが想定出来ます。こうしたバトルシーンを持った作品って、結構熱いものが多くって、私は結構好きだったりします。

でも、そうした「バトルシーン」を描写するのって意外と難しくないですか? 実体験を作品に活かす、というのが、説得力のある描写や作品の一つの要件だと思われるのですが、実際に刀で斬り合った人なんて、皆無ですし、それなりに普通に生きていれば、ケンカくらいはあるかもしれないけど、激しい戦闘に巻き込まれる事も無いと云って差し支えないと思います。

例外は、何か格闘技をやっている(やっていた)人の場合ですね。
日々の練習や試合で培った、経験を活かしてバトルシーンを書いていったりすると、やっぱり、そこには説得力が生じるのではないでしょうか。私も、色々サウンドノベル/ノベルゲームをプレイしている方ですけれども、バトルシーンを読んで、たまに、「あっ、これは、何かの経験者だな」と気付く事があります。それは、描写される「技」だったりが、実在していたり、「実際にその技を使った事のある人しか分からないであろう実感」、みたいなものも併せて書いてあったりする場合です。
まぁ、勿論、書籍なんかで知識を得て、それを巧みに使用した、という可能性も否定出来ませんけどもね。


前置きが長くなりましたが、「説得力のあるバトルシーンを描く」というのは、バトルを内包した作品に於いて、それなりの重要度があるんじゃないかと考えるわけです。

私の知り合いのゲーム作者さんも、バトルシーンを描くに当たって、結構悩んだようです。
で、私に、「バトルの描写をしたいんだけど、上手い方法ないかな?」と、聞いてきたわけです。私は、その時、割といい加減に、「んー、本屋さんで格闘技とか、お目当ての武術の本とかを探してみて、技とかを取り入れてみたら?」と、答えてしまったのです。

で、その後、色々考えてみたのですが、「バトルシーンの描き方」って云っても、大きく二つに大別されるんじゃないかな? と思い至ったのでした。
一つは、「技や技術の描写」です。つまり、どういう構え方があるのか、とか、或る技を使うと、どう体が動くか、とか、或る打撃を食らった際、人がどう倒れるか、とか、そういった部分の描写の仕方。
もう一つは、「それを、どのような文体で描写するか」という、「描写テクニック」とでも云うべき、描き方の問題です。

もしかしたら、私が聞かれたのは、後者の方だったのかもしれません。
私が、バトルシーンに定評のある作品を何作も作っているならともかく、そうでないわけですから、その可能性は低いんですが、もしかしたら、「今までプレイした作品の中で、ハッとするような描写があったら教えてくれ」という意味だったのかな、なんて考えると、ちょっと悪い事をしたなぁ、と思ったり。



■「意識の流れ」を取り入れてみる

で、もし、後者だった場合を考えて、「どういうアドバイスが出来るのか?」を考えてみた結果、行き着いたのが「意識の流れ」です。

これはジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』という作品で取り入れられた技法で、非常に有名なものなのですが、海外作品だけでなく、例えば、川端康成も取り入れた事のある技法です(『ユリシーズ』に影響されたんですね)。
川端康成には、例の『伊豆の踊子』だけではなく、『水晶幻想』なんて作品があるんですよね。で、その『水晶幻想』が、意識の流れを取り入れた作品となっています(川端の他の作品にも、意識の流れを取り入れたものがあるんですが、便宜上省略します)。

で、まぁ、意識の流れってのは、どんなもんじゃい、っていうと、一言で説明するのは難しいんですが、「登場人物の意識の流れを、連想ゲームのように叙述していく方法」って云えば、伝わるかな……。
試しに、ちょいと、『水晶幻想』を引用してみましょう。

廃墟。栄華と逸楽の町、ポンペイ。ポンペイの廃墟には、スペキュラムも埋もれていた。死の町。埋れた私の日々、埋れた日々の廃墟である私。この人と結婚してほんとうによかったと思ったことが、私に一日でもあったかしら。ほんとうに、私はこうしてお嬢さんと向い合って坐っていて、私は私の内に坐っている。二人いながらひとりぼっち。夫の腕のなかにいる、あの時の孤独。孤独なありさまの獣類の感情はどんなものかしら。乳児の孤独。子供の見るもんじゃありません。(川端康成、『水晶幻想|禽獣』、講談社文芸文庫、1992年から、114ページ目の一部を引用)


と、こんな感じ。
適切に分かりやすい所を引用出来てるかどうか、定かではないんだけど、何となくイメージは掴めるんじゃないかと。登場人物の頭の中、その時の思考を、思考の脱線をも含めて、進行していくような様子を書き留め、そのまま叙述する。厳密な定義はともあれ、大凡、こんな感じの文章です。

これが、どうして、バトルシーンに良さそうか、っていうと、上記の文章を見て貰えれば分かるように、「意識の流れ」を描こうとすると、一つ一つの文章が、短くなります。下手をすれば単語の連続になったりもするわけです。
バトルシーンの描写は、迫力とか、そういう部分も大事だと思うのですが、「スピード感」も重要要素です。手に汗握るはずのバトルを、だらりと描写されたら、きっと締まりがないものになってしまいます。
なので、戦いながら、主人公なりの「意識の流れ」を、上手く描写する事が出来れば、バトルのスピード感が出せるんじゃないかと思うのです。

ただ、「意識の流れ」をそのまま使ったんじゃ、余計なノイズも入り込むかもしれません。
私達も、普段、何気なく物を考えたりする時、ふと、何となくその思考のスキマに「かまぼこ」の事を考えたり、「数年前無くした小銭」の事を考えたりすると思いますw 

バトルの描写で、「かまぼこ」が入り込んじゃどうしようもないですよねw
なので、飽くまで「戦闘に関する意識の流れ」と、限定して使ってみるのが、基本になるのではないでしょうか。



■けど、たまに目にするよ?

……と、つらつら「意識の流れ」を、バトルシーンに使ってみる事について書いてみたんですが、もしかしたら、「似たようなの、見たことあるぜ?」という人もいるかもしれません。実際、私もサウンドノベル/ノベルゲームで見た事があります。

「斬られた!? 温かい。血。右足。濡れている。後ろ。後ろに下がらなきゃ。足、動かない。」

みたいなw
ちょっと、あんまりな文章ですけどもねw
これを、そのまま「意識の流れ」と云っていいのか、はともかくとして、ちょっとしたアイデアの一つにはなる、かも、しれません……。

あんまりこれをバシバシ使うと、それはそれで間延びしちゃいますし、だらけちゃいますから、「ここぞ」って時に、ちょこっと拝借してみる、みたいな感じで使ってみると面白いかもしれません。
私達にとって大事なのは、「意識の流れ」に対する理解ではなくて、その効果的だと思われる部分を、こそっと(いや、こそっとしなくてもいいんだけどさ)掠め取ってしまうという所なので、盲信せず、使えそうだと思ったら、お試し下さいませ。



という辺りで、今日はおしまいです。
たまには、こういう記事もね、あった方が、個人的に楽しいです。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2014-01-08 20:29 | サウンドノベル | Comments(0)
2013年 12月 15日

フリーサウンドノベルレビュー 『ヤサシイセカイ。-Rewrite The Scars-完全版』

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今日の副題 「優しい世界でありますように」

ジャンル:倒錯病的愛憎ビジュアルノベル
プレイ時間:4時間くらい。
その他:選択肢なし、一本道。15歳以上対象作品
システム:Live Maker

制作年:2013/10/27
容量(圧縮時):171MB



道玄斎です、こんばんは。
今日は、複数の方からお勧め頂いていた作品のご紹介。「好き/嫌いが分かれるかも……」と云われていたのですが、そんな「嫌い」になる要素は無かったような……。
というわけで、今回は「プラスマイナスゼロ」さんの『ヤサシイセカイ。-Rewrite The Scars-完全版』です。ダウンロードは、こちらからどうぞ。
良かった点

・賑やかで楽しい、“攻め型”ノベルゲーム

・主人公に妙に感情移入出来てしまう。

・綺麗に纏まるラスト。


気になった点

・後半、性急だった描写も。

・良く分からなかった部分が一箇所。

ストーリーは、ふりーむの方から引用しておきましょう。
【あらすじ】
世界はきっと優しくなんて無くて、等しく無慈悲で残酷で――。
それでも信じていたかった。この世界の、優しさを。

今なお急速な発展を遂げ続ける現代魔術科学社会。
世間はその過程で生まれた魔動人形の中の一体、「最高傑作」の誉れ高いメル=レーヴェレンツの話題に大いに沸いていた。
主人に謀反し殺人を犯した、前代未聞の事件に。

一方で家庭教師であるアルフォンスは、今日も教え子のリーゼロッテの放胆ぶりに手を焼いていた。
それでも献身的に彼女に尽くす様を、他人から「気持ちが悪い」と一蹴されながらも。

そんな彼をストーカーするのが趣味であるリーゼロッテを、今日も屋敷へ戻そうと帰路を引き返していたその時。

運命の悪戯か、それとも偶然のような必然なのか。彼と彼女は、邂逅を果たしてしまう。
そう。世間を大いに騒がせているメル=レーヴェレンツに――。

【ゲーム概要】
基本的に読み進めるだけの、選択肢のないビジュアルノベルゲームです。

本作は性的・暴力的表現を含む十五歳以上を対象とした作品です。
また、男性向け・女性向け要素が混在しております。ご注意ください。

こんな感じです。

本作、舞台は西洋ファンタジーのそれを踏襲するような、そうした雰囲気の世界観なのですが、魔法と科学が融合したような、独特な世界観を持っています。
西洋ファンタジー作品だと、地名・人名・用語名なんかが、あまり日本人に馴染みのないものが多いせいか(人名とか、長かったりしますしね)、どうにも、すぐに覚えられない、という事があって、本作もその例に漏れない……んですけれども、ちゃんと人物に略称が設定されていて、比較的スムーズに読んでいく事が出来ました。

登場人物のフルネームを述べよ! って云われたら、ちょっと詰まってしまうんですけれども、主人公はアル、ヒロインはリゼット、メイドさんはエル……と云った具合に、略称ではバッチリ覚えてます。

さて、プレイしてすぐに気付くのが、ギャグテイスト強めの、ノリの良い楽しい展開で引っ張っていくタイプの文章だという事。いきなりヒロインのパンチラからスタートする辺りに、そういった作品の一端を感じ取って貰えるのではないかと思いますw

これも、毎度述べていますけれども、私のスクリーンショットを撮る基準は、「基本的に、最初に出てきた一枚絵」です。けれども、最初の一枚絵が、作品内容を紹介するのにそぐわない場合、或いは、ギャグっぽいデフォルメキャラの一枚絵とかだったりした場合は、「二番目の一枚絵」を持ってきたり、はたまたタイトル画面をキャプチャーしちゃう事も。

で、今回の場合……最初の一枚絵がパンチラシーンで、作品内容を端的に表しているか、って云ったら、結構疑問なんですが、ヒロインは可愛いし、作品の前半~中盤くらいまでの、楽しい雰囲気を表しているような気がしたのでそのように。プレイしていけば、気合いの入ったOPムービーなんかも流れてきますし、作品の暗い所、シリアスな雰囲気は、そのムービーでちゃんと補完出来ますしね。


先ほどから述べているように、前半~中盤に掛けての楽しいやり取りが、本作の一つの魅力でしょう。
「病的なまでに誰に対しても優しい」(優しくあろうとする)アルと、そんなアルに真っ直ぐな好意を向けるリゼット、そして、そんなアルに気持ち悪さを覚える毒舌メイドさんとの掛け合いが、かなり楽しかったですね。
こうしたシーンを盛り上げるBGMなんかも凄い凝っていて、ターンテーブルのスクラッチ音が入ってたり、ちょっとラップ風のものが使われていたり、何というか、「攻め型」のチョイスだったと思います。

割と、ノベルゲームって、BGMは「激しく主張しない」ものが多くて、私自身も、そういう方向が主流って事でいいんだよな……と思っていたのですが、本作のように、クセのある音をガシガシ使っていく、っていうのも、結構面白いものですね。
勿論、テキストの楽しさや、攻める姿勢があってこそ、そのBGMのチョイスも活きてくるわけですが、そうした意味で、非常に楽しい作品になっていました。


もう一つ、特筆すべき点は、主人公アルの性質です。
かなり早い段階で、どうやら、「過去に」「何か」があって、「病的なまでに」「誰に対しても」(特にリゼットに対して、なんですが)「優しくあろうとする」人になってしまった、というのが明かされます。そして、アルの心中思惟の文章なんかを見ると、結構、そうした自分を性質を客観視しているわけで(本当に優しい人は、自分の優しさを客観視なんて出来ない)、決して本来的な意味で「優しい」わけじゃないんですよね。飽くまで「優しくあろう」「優しくしよう」としている、というか。

そうしたアルの葛藤を含んだ、心中の言葉や、彼の「優しさ」を揺さぶるような出来事が提示されていくのですが、何か、物凄いアルに対して親近感を覚えてしまうのですw
「女々しい男って、こういう時に、こういう事しちゃうよね!」とか、「こういう時は、こうするしかないよねぇ!」とか、妙な納得感があるというかw

本作を、うんと端的に、そして粗雑に纏めるならば、「心に傷を負ったアルが、ヒロインを通してその傷に向き合い、立ち直っていく」というような、非常に良くあるタイプの作品である事は確かなのですが、アルの内面に深く向き合っていく部分が、本作を大きな特徴であり、他の作品との差異でもあるのでしょう。
他の作品が、主人公の葛藤の内面に踏み込まない、というのではありません。その踏み込みの深さ、そしてその内的で、時にドロドロしている部分が作品のテーマに繋がっていくような作りが、やっぱりちょっと特殊だと思います。

今、「作品のテーマ」なんて云っちゃいましたけど、「ストーリー自体に、一貫した主張はない」と、後書きに書いてあるんですよね。『純白の街、灰雪の僕ら。』の時にも、似たような事を書きましたけれども、「作者」と「読者」の関係っていうのは、何か難しいものがあるなぁ、と。
お堅い、文学的な研究領域では、「作者の存在を考慮しない」(作者の、意図なんて考えない)っていうスタンスが普通なんですけれども、今回は、作者さんが、わざわざ後書きに「主張なんてないよ」って意図を暴露しているわけで、そこを考慮しないのも、何となく座りが悪いような、そんな気がする事もあるのです。

閑話休題。
ともあれ、私がプレイしてみて、(余計な事を考えずに)素直に感じたのは、「救いって何だろう?」っていうのが、作品のテーマの一つなのかもしれません。
それが偽善的なものであれ、アルの優しさに救われる人も確かにいる。それぞれの抱えた過去と、その救いを、それぞれがそれぞれのやり方で探していく……。そんな風にこの作品を纏める事も出来るかもしれませんね。

登場人物は、本当にそれぞれが好き勝手に動いている(ように見える)にも関わらず、ちゃんと話が一つの結末に収斂していく所なんかは、流石ですよね。
ラストも、期待を裏切らないものだったと思います。


一方、後半に掛けて、やや性急だったと思われる描写や、結末の付け方もありました。
一つは、この作品に於いて、物語を進行させていく役割を担っている、殺人魔動人形メルについてです。彼は、物語の核心とも云えるリゼット(やフォルカー)の過去について知っているらしい事、描写されるので、もっと中盤からグッと登場回数が増えたり、何か見せ場があるのかと思いきや、割と地味な形でフェードアウトしていってしまった、という印象が。

又、ラスト近くでの、フォルカーとメイドのエルとのエピソードも、やっぱり、ちょっと唐突かなぁ。「こうなって欲しい!」とは思ってたんですけれどもねw もしかしたら、私は、本作の中でエルが一番好きかも。なので、エルの結末そのものに関しては、手放しで祝福したいですw


アルとリゼットの物語に関しては、かなりストンと腑に落ちました。先にも触れましたが、アルの心中の描写はかなりリアルですよ。
「卑怯で臆病でずるい貴方が、好き」なんてグッとくるセリフがありましたが、要は、アルのそうした傾向は、リゼットによって見抜かれていて、それでもアルに好意を寄せてくれる。

過去に厭な経験(特に女性絡みで)をした男っていうのは、その辺りで臆病になっちゃうんですよw そこまで女の側から云ってくれていても、最後の最後で信じ切れないような部分があったりで、結果、いつもの曖昧な笑みと言葉で誤魔化して……。
そんなアルとリゼットの結末に関しては、語りません。是非プレイしてお確かめ下さいませ。


最後に、どうにも分からなかった箇所が一箇所あるので、そこに触れておきましょう。
アルの初恋の相手アリーシャについて、なんですが、或る疑惑がアルに掛けられていたんです。けれども、アルはそれを否定している。だとしたら、本当はアリーシャはどういう状態だったんだ? と。
ネタバレを回避しながら語ると、こんなもどかしい感じになってしましますw



今回は、「無印」にするか「吟醸」にするか、かなり悩みました。
時たま、「無印」を付けたけれども、個人的に凄く気に入ってしまった作品なんかがありますが、本作は正にそれですね。
女性がプレイしても勿論楽しめると思いますが、寧ろ、アルに共感出来ちゃうような男性にこそ、お勧めしたい作品です。楽しい前半分と、シリアスな後半部、是非お楽しみ下さい。



それでは、また。



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by s-kuzumi | 2013-12-15 18:42 | サウンドノベル | Comments(2)
2013年 12月 05日

フリーサウンドノベルレビュー 『箱庭のうた』

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今日の副題 「二人の歌は世界を越えて」

※大吟醸
ジャンル:青春SFノベル
プレイ時間:10~12時間(読むのが早い人だと8時間くらい?)
その他:選択肢アリ、されどストーリーには影響しない。
システム:Yu-ris

制作年:2013/11/28
容量(圧縮時):219MB




道玄斎です、こんばんは。
今日は、今年最大の期待作をプレイしたので、そのレビューを。いつもは、ちゃっちゃかちゃっちゃかプレイしちゃうんですが、今回はじっくりとプレイしていきました。
というわけで、今回は「タクティカルシンパシー」さんの『箱庭のうた』です。ダウンロードはこちらから。
良かった点

・商業作品と比較しても遜色ない仕上がり。

・ストーリー作り、話の組み立てが、非常に巧み。

・ラストの演出も巧みで、感動出来ます。


気になった点

・ちょっと消化不良だった人物、エピソードはある。

・主人公涼介の活躍の場が、もうちょいあっても良かったか。

ストーリーは、ふりーむの方から引用しておきましょう。
夜の学校に現れるという『おばけ』のうわさ…
逢坂涼介は、忘れ物を取りに行った帰り、一人の少女に出会う。

少女の名は『佐藤ことり』。

無口で無感情な、変わった女の子…。
ことりは一ヵ月前の事故によって、記憶を失っているらしかった。

そんなことりはどういうわけか、毎夜学校に忍び込んでは、何かをしている様子。

彼女と仲良くなっていく中で、涼介は誰も知らなかった『真実』を知ることになる。

久々にじっくりと読んだ大作でした。
本当に良い作品なので、レビューを読んでいる時間があったら、ダウンロードしてプレイしてみて下さい。


……と、それだけで終わらせてしまうのも、アレなので、例によって例の如く、あれこれ語っていくことに致しましょう。


どこから話しましょうかね。あっ、そうだ。作者さんの情報からいきましょう。
大抵の場合、フリーのノベルゲームは、個人や、小規模のサークルがリリースしています。しかし、本作、株式会社による制作です。恐らく、これから、会社としての活動が本格化してくる……という感じだと思うのですが、兎にも角にもフリーで作品をリリースして下さっています。

でも。
よくよくシナリオやグラフィック、音楽を担当している方を見てみると、『私とあなたといた世界』『彼女の嘘の止まった世界』の作者さんではありませんか。
恐らく、ここを見て下さっているような方ならば、その二作をプレイしている……か、或いは名前くらいは見た事があるハズです。
そうした、作品制作の中で培ってきた技術を元に、会社を作ったと思しいのですが、嘘でも会社ですから、今後は、商業ブランドになったり、そっちの方で活躍していく方なのかなぁ、という気がします。となると、「もう、フリーのものはリリースしてくれないのかな?」と、ちょっぴり寂しい気も。


ともあれ、『私とあなたといた世界』、そして『彼女の嘘の止まった世界』の名前を出しましたが、どちらもSF的な色合いが強い作品で、そうした傾向は、本作『箱庭のうた』にも踏襲されています。

ストーリーは先ほど引用した通りなのですが、謎の転校生ことりと、主人公涼介の関わりだけが焦点化されていくのではなく、涼介とその仲間達との、何気ない時間だったり、ことりが、少しづつ皆と仲良くなり、いつしか、ことり自身も「仲間」となっていく。その過程が丁寧に描かれており、好印象です。

ノベルゲームに於いて、作品の「ウリ」みたいな部分とはならなくても、「ここがシッカリしていると、クオリティが格段にアップする」というようなポイントは存在していて、その一つが、脇役の描き方、描かれ方です。
脇役が、終始賑やかに、主人公やヒロインの周りを盛り立てる。それ自体は悪い事ではないのですが、結局、その脇役達は「賑やかし要員」の域を出なかった、という事になれば、それはちょっと問題かもしれません。

脇役にも脇役の人生(?)があり、それぞれ日々生活しているわけです。
当然、生きている以上、悩んだり、苦しんだり、或いは、喜んだりする時があるはずです。そんな彼らの「人間としての姿」を、シナリオに盛り込めたら、グッと作品に奥行きが出てきます。そして、作品が単なる「お話」ではなく、もっと活き活きとした「物語」に変わるのです。

単純に、主人公とバカをやって、掛け合いをするだけの悪友、なんてのがノベルゲームに良く出てきます。フリーのゲームだけではなく、商業のものですら(今年はちょっと商業のものも、例年より多くプレイしました)、そうした「賑やかしの為だけの要員」がいたりするのが現実です。
けれども、やはり、業界を牽引するようなメーカーの作品や、定評のあるシナリオライターの作る作品には、脇役が活きるエピソードが、本筋のストーリーを補強するように、上手く配置されています。そうした、脇役が輝くエピソードがあるからこそ、普段のバカも活きてくるのです。


話を、本作に戻しましょう。
本作の場合、涼介の友人として、伊月、歩、夏之、こなみが最初から、仲の良いグループである事が示されています。それぞれ個性的なキャラクターで、変にごっちゃごちゃする事もありません。まぁ、夏之の性別が分からなくて、最初「???」となりましたがw

彼らは、作品の前半からラストに至るまで、涼介、そして、ことりと行動を共にします。
前半部は、夏之のギャグで押していくような所はあるんですが、それが結構笑えるんですよねw 

個人的に、本作で一番好きなキャラだったのは、こなみですね。夏之の妹で中学一年生。「じゃよ」とか、そういうヘンテコな言葉を使う子ですが、大人びた一面も持ちつつ、年相応の顔を見せる時もある……。そんなみんなの妹分で、ほんっと可愛いです。ちょっと崩れた顔の差分があるんですが、それもギャグシーンとマッチしていてグーでした。

で、本作で特筆すべきは、「メインのストーリー」と、仲間の物語が、上手く溶け合って存在している、という点でしょう。
云うまでもなく、メインのストーリーとは、ことりの謎に関するものです。そのメインのストーリーを展開する一方で、例えば、こなみであったり、或いは、歩や伊月に関する物語が、本当に巧みに織り込まれ、それが又、メインのストーリーに還元されていきます。そして、物語全体が、ことりを含めた「仲間の物語」として成長していくような、そんな作りになっています。

脇役のエピソードを織り込む、というだけではなくて、それを通して、物語そのものが、一つの方向性を持って成長する。本当に脱帽致しました。
脇役、と云えば、ことりと対立関係にある組織の構成員も途中から出てきます。
日寄子や、クリスといったキャラですけれども、彼らも亦、その「仲間の物語」に於いて、重要な役割を果たします。なので、どのキャラクターや、どのエピソードも、「何となく浮いている」という事がないんですよね。シッカリと物語に組み込まれている。これは本当に凄いことです。

この辺りで、ことりの事情についても、少し触れておきましょう。
ことりは、記憶を無くしています。そして、「ことりは、或る組織に属していて、ことりだけが倒す事が出来る『敵』を狩っている」という設定が明らかになっていきます。
スクリーンショットは、そのことりと、彼女が使う武器……みたいなものです。

そして、対立する組織がある事も判明して、ストーリーも緊張感を孕んだものになるのですが、意外や意外、伝奇モノにあるような、チャンチャンバラバラ、みたいな事は殆ど起きません。寧ろ、日寄子なんかは、涼介達と仲良くなってしまいます。

単純な善と悪の対立ではなく、それぞれ信ずる所が違うだけ、という状態ですから、そんなに険悪な雰囲気にもならないんですよね。で、日寄子も、やっぱり「仲間」になっていく。
そして、彼らの本拠地で、心地良い日常、心地良い時間が流れていきます。涼介の「こんな日が、ずっと続いたらいいのに…」という呟きは、実はプレイヤーの気持ちでもあります。

或る程度の尺を持った作品で、私が評価するポイントの一つがまさに、この涼介の呟きと重なるんです。
「いつまでも、この心地よさを感じていたい」と思わせるような、そんな魅力のある日常シーンがあると、本当に読了してしまうのが、ちょっと怖くなるような、そんな気持ちになったりします。


プレイしていくと、途中途中で、全く別のストーリーが挿入されていきます。
中盤くらいまでは、「何だか良く分からない……」という感じですけれども、徐々に、そのストーリーがなんであるか、が分かってきます。
SF好きならお馴染みの、「並行世界」(パラレルワールド)というヤツなんですけれども、後半まで読み進めた時、その並行世界の物語が、本作のメインの世界の物語と鏡像関係にある、まさにパラレルの関係にあるという事を読み取らないといけません。

並行世界では、人々は「リセットシステム」の制御に失敗し、眠り病とでも云うべき状態に罹っています。
そして、並行世界での主人公、テトラの周辺事情が、断片的にメインの物語に挿入されていくわけですが、テトラは何人かの仲間達と暮らしていて、その仲間も一人、また一人と眠っていきます。
その仲間の描写で、或る人物は「○○は、△△の妹だった」とか表現されたり、或いは、「料理を作るのが好きな子」が居たり、「テトラの為に絵を描いてくれる子」がいたり、「最後の最後までテトラを支え続けてくれた子」がいたり……。

並行世界の物語は、並行世界の物語、と別個に捉えるのではなく、メインの世界の物語とのパラレルな関係を読み取る事で、作品の持つ、厚みに気付く事が出来ます。
並行世界を描いた作品は、結構ありますけれども、ここまで、厚みを持った構造になっている作品は実は珍しいのでは?

メインの世界はメインの世界で、奥行きのあるストーリーになっている事、前述の通りです。
それに加えて、並行世界と、メインの世界が重なる事で生まれる厚みもそこに加わる事で、物凄く重層的世界が構築されています。この懐の深さも本作の大きな魅力の一つでしょう。


さて、気になった点ですが、実は、主人公である所の涼介は、そこまで主体的に何かをする、って感じではないんですよね。
確かに、ことりの一番身近な存在として、彼女を支える重要なポジションに居るのですが、彼が主体的に行動を起こしたり、主人公らしいガッツを見せたり、という事はあまりありません。
やっぱり、物語の後半くらいでは、主人公は主人公らしい、がむしゃらな勢いだったり、ガッツだったりを見せてくれると、熱くなれますよね。その点、ちょっと涼介は淡泊だったかな、と。

もう一点は、途中、涼介の護衛に付く大野というキャラがいるのですが(こいつも、夏之と同じくウザキャラw)、この大野に関しては、何となく、モヤモヤが残ったままなんですよね。
ことりの属する組織と、対立する組織があって、大野はその二つの組織の間を行ったり来たり出来るような立ち位置にいて、しかも、結構な権力を持っているらしい事が示されるのですが、その二つの組織の上位組織の存在だったり、大野の立ち位置だったりの部分では、何となく消化不良感がありました。


最後に、本作のラストについても少しだけ触れておきましょう。

ラストはちょっと、『あの花』っぽい感じのラストで、エンドロールに入っていきます。エンドロールの入り方も巧みでした。
で、勿論、エンドロールが終わったら、そこで物語が終了、ではなく、エピローグが入って本当のエンド、です。

本作は、割と分かりやすい伏線を張って、それを素直に回収していくタイプの作品、ではあるのですが(エンドロールの入りなんかは、まさにです)、最後の最後で、「こうきたか!」というような、絶妙な終わり方をしました。

この一連のラストの演出は、本当に素晴らしいですね。
長い時間を掛けてプレイしていたのが報われるというか、「プレイして良かった!」と思わせてくれる、そんな素敵なラストです。


さて、いつにも増して余計な事を書きまくってしまった感はありますが、超お勧めの作品です。
文句なしの、そして久々の大吟醸!
長時間プレイする価値は絶対にありますよ!



それでは、また。



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by s-kuzumi | 2013-12-05 21:05 | サウンドノベル | Comments(2)
2013年 11月 27日

フリーサウンドノベルレビュー 『純白の街、灰雪の僕ら。』

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今日の副題 「創作といふものは、斯くもむつかしひものなのです」

ジャンル:頽廃電波倒錯ビジュアルノベル
プレイ時間:~2時間程度
その他:選択肢なし、一本道。対象は15歳以上
システム:Yu-ris

制作年:2013/8/24
容量(圧縮時):216MB



道玄斎です、こんばんは。
最近、めっきり寒くなりましたね。今年は、秋の時期が無く、いきなり冬がやってきたような、そんな気がします。まぁ、この時期になりますと、あまり外でアクティブに遊んだりは出来ないので、自然とノベルゲームで遊ぶ率が高くなるのでした。
というわけで、今回は、「プラスマイナスゼロ」さんの『純白の街、灰雪の僕ら。』です。ダウンロードは、こちらからどうぞ。
良かった点

・ノスタルジックな雰囲気と、SF色が混ざり合う、独特な世界観。

・創作とは何か? みたいな事を考えてしまう、懐の深さも。


気になった点

・ラストは綺麗に決まりつつも、どこか閉塞感を感じてしまう(後述)

ストーリーは、少し長目ですが、ふりーむから引用しておきましょう。
【あらすじ】
白が降る。雪が降る。だから、死体も降り注ぐ。
徹底的に漂白されていながら、死んでいるような街。
ここは、そういうところだった。

音のない白い箱に入りたかった。
人間がみんな、自分を糞袋だと認めていればどんなに良いだろうと夢想していた。

そして、今この白い街で、ひとびとは己の弱さや愚かさを素直に受け止め死んでいく。
僕の望んだ世界が、ここには在った。

この街の名前はさまざまだ。監獄都市。白ノ匣。凍花街。
そして、もっとふさわしい呼び名は――「ひと捨て場」。

そこに降ってきた少女は、奇しくも死体ではなかった。
真白の絨毯に広がる鮮紅色の長い髪はひどく美しく、そして鮮烈で――。

だから「僕」は、「彼女」を拾った。

【ゲーム概要】
基本的に読み進めるだけの、選択肢のないビジュアルノベルゲームです。
本作は性的・暴力的表現を含む十五歳以上を対象とした作品です。ご注意ください。

『Imperfect Blue』の作者さんの新作です。
『Imperfect Blue』は、比較的ストレートで、楽しい作品であったわけですが(重い部分も勿論あるんですけども)、本作は、舞台からしてちょっとヒネリが効かせてあります。

正直、あらすじを読んだ時の印象は、「『朝焼けの謳』みたいな、殺伐としたスラム的な舞台なのかな」と思っていたのですが、意外や意外、そうした雰囲気とはちょっと違いましたね。

SFっぽい作品なんだな、と分かってはいたのですが、主人公(?)テオの住居は、廃校舎である事が示され、近所には、あぜ道がある事、よろづ屋的なお店がある事が判明して、「あれ? あんまりSFっぽくないぞ……」とw
例えば、テオの服装なんかも、彼が小説家であるという事実があるにせよ、書生さんとか文士さんとか、そういうイメージで、SFに直結しないような雰囲気があります。

本作は、登場人物の語りによって進行する物語なのですが、彼らの語りも、どこか古めかしい……もっと云ってしまえば、文語的……或いは昭和初期の文学をイメージさせるような、そういう文章なんですよね。途中途中で出てくるアイキャッチにも、何か「文学っぽい」文言が書かれてますしね。
ストーリーが進むにつれ、テオ、そして、ヒロインたるコハルの事情とかも明らかになってくるんですが、そこで語られる彼らの過去も、そうした、大正の終わり~昭和初期に掛けての雰囲気を持ったもので、何とも云えないノスタルジックな気持ちにさせられます。

でも、その一方で、SF的な枠組みも当然あって、テオはロボットに食事を作らせたりしていますし、舞台となっている凍花街の市街地なんかは、現代的なんですよね。
これは、良い/悪いという問題を越えて、何だか不思議な気持ちになるような舞台設定で、この作品の大きな特徴の一つでしょう。


ストーリーの方は、飄々としてつかみ所の無い男、テオが、行き倒れ状態のコハルを拾った所から始まります。コハルは、元々テオを尋ねてきたので、正確には行き倒れではないのですが、「女の子を拾う系」のノベルゲームの系譜に入れてしまっても差し支えないでしょう。

そして、「女の子を拾う系」の常として、当然、二人は同居する事に。
基本的に、この二人の同居エピソードを通して、それぞれの抱えている問題を少しづつ意識させ、後半でそれを明らかにして……という、流れそれ自体は、オーソドックスなものです。

割と、一エピソードが短めなので、読みやすいと思います。細かい部分なのかもしれませんが、こういう部分、やっぱりゲームを作り慣れている感じがしますねぇ。これは、個人的な感触なんですが、作者が男性の場合、一つのエピソードは割と長目、作者が女性の場合、一つのエピソードは短め、という気がします。勿論、作品に合った形であれば、どちらでも困らないんですがw

普通に読んでいくと、「あれ? そういう設定だっけ?」と、思う箇所がぽつりぽつりと出てきます。
或いは、「これ、何かあるっぽいけど、サラッと流れちゃったぞ……」みたいな箇所も。
こうした、伏線は、ちゃんと後半~ラストにて、回収されていきます。ちょっとした違和感、謎なんかを散りばめている作品は、後半でいかに鮮やかにそれを回収するか、が一つのポイントだと思うのですが、本作は、ストーリーの加速に合わせて、そうした違和感や謎の回収をしてくれるので、中々気持ちよかったです。

エピソードの連続で物語を綴っていくわけですが、コハルがテオを好きだと気付く為の描写は、もう一押しあっても良かったかな、と。
現実の恋愛がそうであるように、何か劇的な事件があって、「ああ、この人が好きなんだ!」って気付くケースは稀なのです。何気ない日々の積み重ねの中で、或る相手が、少しづつ特別なものになっていく……そういうケースの方が多いとは思うのですが、それをノベルゲームで描写するのは、中々難しい。その微妙な淡いを描く事が出来たら、とても素晴らしい事だとは思うのですが、現実的に考えると、何か特別なエピソードで以て、分かりやすい形にしてあげる。そちらの方がお手軽ですし、プレイしていても納得感はあったりするんですよね。ここら辺は、本当に創作というものの難しさを感じます。。


そういえば、本編の直接的な内容ではないのですが、意外と、考えさせられるような、エピソードが出てくるんですよね。
その一つが、「創作ってなんだ?」とでも云うべき問題です。テオは小説家として身を立てているわけですが、別に小説を書く事に情熱を捧げている訳ではないんです。しかも、書くジャンルはてんでバラバラ。それでも、テオの小説は評価され、世の中に流通している。

前述の通り、作品そのものが文学的なテイストを漂わせているから、なのかもしれませんが、何か私には、そうしたテオの生業である小説を巡る一連の描写が、物凄く気になってしまったのです。
良くできたノベルゲームがあるとして、別に作者はそれを創り上げるのに心血注いでいたわけでもなく、「出せるから出した」とか、「何となく作ってみた」とかであった場合、何かモヤモヤしたものを感じませんか?

或いは、作者が、ブログやTwitterでは、「全力で書いてます!」とか、書きつつ、心の中では「ほんとは、テキトーに書いているだけだもんねー!」と思ってたりする場合、ともすれば評価の一つに組み込まれてしまう「作者の情熱」とか「努力の姿勢」とかってのは、全くアテにならない、って事になりますよねぇ。
結局、私達は、或る作品の由来が何であれ、作品それ自体でしか、作品を評価し得ないって事なのかなぁ。

んー、何かガラにも無く難しい世界に足を踏み入れてしまったみたいですw
こういうのは、時々考えてみると面白いんですが、私は頭が悪いので、いつも適当なトコで切り上げますw 頭痛がしてきちゃうからねw
けど、何か、そういう事を考えさせるような、深さを、この作品が持っているのは事実だと思います。何度も云いますが、作品自体に文学的な香りがしますし、それを狙っている部分も当然あるのでしょう(『ドグラ・マグラ』の引用なんか好きな人にはたまらないでしょう?)。

こういう深みにはまれる一方で、物語そのものは、スムーズに流れていく、というバランスもいいですよね。時に、そういう観念的な世界というか、そっちの方に行ったまま戻ってこない作品とかもありますしw 


……と、色々書いてきてアレなんですが、ラストまで読んで、私は、何となく閉塞感を感じてしまったんです。いや、文学が、とかそういう話じゃなくて。

後半~ラストの流れは、本作のSF的な部分が強く出ているんですが、そのSF的な枠組みに関しては、ラストまで読んでも、全くスッキリしないんです。
確かに、表面上のストーリーは収束されて、エンドロールの後の一枚絵+短い台詞で〆る、という綺麗な終わり方をするのにも関わらず、実はあまり問題は本質的に解決していないんじゃ、と思ってしまうような感じなんですよね。

ネタバレですから、詳しくは語りませんけど、そのSF設定そのものに閉塞感があるんですよね。
そして、期待するのは、その閉塞状況をブチ破るようなラストだったりしたわけで。ハッピーエンドを手放しで喜べない、みたいな感じになってしまいました。



という事で、今日はなんか余計な事を随分書いてしまった気がします。
けど、時には、あっけらかんとしたボーイミーツガール的な物語じゃなくて、もっと深く抉っていけるような、そういう物語も読みたいですし、そういう物語だったからこそ、色々余計な事を書いてしまったわけですw

2時間あれば、十分読了可能だと思います。
そこまで長くないけれども、何だか色々考えるきっかけになり得るような、そんな作品でした。後書きにもありましたが、『Imperfect Blue』と読み比べてみても面白いかもしれませんね。気になった方は、是非、プレイしてみて下さい。



それでは、また。

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by s-kuzumi | 2013-11-27 20:54 | サウンドノベル | Comments(0)
2013年 11月 23日

フリーサウンドノベルレビュー 『Good days』

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今日の副題 「俺と彼女とオルガンと」

※吟醸
ジャンル:ハートウォーミングラブストーリー(?)+短編集
プレイ時間:合計で2時間半程度。
その他:選択肢なし。途中でエクストラが開放されていくが、本編と直接的に関係がない。
システム:NScripter

制作年:2013/3/29
容量(圧縮時):32.1MB



道玄斎です、こんばんは。
今日は、お勧めされた作品をプレイしたので、そのレビューを。結構お馴染みな設定だったのにも関わらず、不思議と引き込まれてしまいました。というわけで、今回は「夢見る少女と水の空」さんの『Good days』です。
今回から、ダウンロードサイトのURLも張っていこうと思います。ダウンロードはこちらから。
良かった点

・お馴染みの設定にも関わらず、何故か引き込まれる不思議な魅力。

・優しい雰囲気と、読みやすい章立て。

・充実のエクストラ。


気になった点

・文章にくどさを感じる部分も。

・誤字や表記が不審な点、意味が通りにくい文章が散見される。

・ラストにもう一押し欲しかった。

ストーリーは、ふりーむから引用しておきましょう。
梅雨の近づく六月初め。
 時代に取り残されたような廃教会で、少女は一人オルガンを弾く。
 凛として儚く、何処か歪な少女との邂逅。

--------------------------------------------------------

本編『Good days』他、短編四編収録したオムニバス形式の短編ノベルゲームです。

ちょっとあっさりですが、こんな感じです。



久々に、尺が十分にある作品をプレイしました。
と、云っても、本作はちょっと変わった作りで、「本編」を読み進める事で、エクストラの「短編」が読めるようになります。しかし、その短編は、本編と関わりのあるものではなく、独立した短編なのです。

ですので、実は本編だけの尺で云えば、一時間ちょいと云ったところ。
短編の方は全部で四本。長いのも短いのもありますが、これも、全部読んで一時間ちょいでしょうかね。合計すると、大体2時間半くらいです。勿論、短編を飛ばして本編だけ読んでしまう、というのも可能ですし、本編・短編・本編・短編……と交互に読んでいってもいい。ちなみに私は後者の読み方をしました。


さてさて、肝心の中身に入っていこうと思うのですが、本作(本編の方ね)、結構良く目にする設定と、ストーリーの流れを持っているんです。

主人公は、何の気無しに足を踏み入れた廃教会で、一人静かにオルガンを弾く、謎の少女と出会う。そして、その少女は、妙にぶっきらぼうというか、心を閉ざしているような感じがする……。勿論、少女はとても美しい。

こうしたイントロを持つ作品って、ノベルゲームに限らず、結構良く目にします。
ラノベなんかにも多いですよね。作品によっては、主人公が出会うヒロインが、人間じゃなかったりするわけですが、基本的に、ミステリアスな存在だったり、物悲しさを感じさせるような造型になっていたりするわけです。

ですから、「あ、このパターンね」と、作品の型としてはすぐに分かってしまう部分は持っています。
それは、取りも直さず、こうした作品の型が好まれてきたという事でもあります。
同時に、ハシカみたいな、「こういう設定が凄く響く年頃」みたいのも、あると思うんですよ。だから、私はプレイしていて、「いやぁ、もう、この手の設定は卒業したからねぇ」と、ちょっと冷めた目で見ていました。

けど、ジンワリと入ってくる物語は、それが予定調和的であっても、厭味がなく、心地良いものだったんです。「もう卒業した」と云いつつ、実は全然卒業出来てなかったというねw
それにしても、お馴染みの設定、お馴染みのストーリーの流れを持った作品でも、「うーん……」と、思ってしまう作品がある一方で、こうして、「やっぱりいいもんだなぁ」と思える作品がある。この差ってなんでしょうね……。

その謎はすぐに解けるハズはないのですが、一つ、本作を、読んでいてピンときたのは、「起承転結」の流れが非常に綺麗だという事。それぞれの尺の配分も良かったと思います。特に承の終わりから転にかけて、そして結への繋ぎ方がスムーズで、次を期待させる作りは、基本を押さえたものですが、それだけに安心感を持ってプレイ出来ます。


そして、一章をプレイする度に開放されていくエクストラの短編集が、全部合わせれば本編と同じくらいのボリュームで、お腹いっぱいになりました。

特に、一個目の短編、『stand by me』が凄く良かったですね。
これも、実は本編と同じく、かなりベタな設定ですw 妙に観念的な話を持ち出す、美人で孤高のオーラを持つ文芸部の先輩とか、本当に良く目にする造型ですよね。

で、そんな彼女に憧れて、文芸部に入部した主人公との関わりを描く、そんなお話なのですが、最初は結構とっつきにくい文章とか話の中身で、アレだったのですが、段々とその先輩が物凄く可愛く思えてきちゃうんですよねぇ。
そして、そんな彼女に憧れる主人公を応援したくもなり、いつの間にか、自分を主人公に重ねて、プレイしてしまう……というわけですw ともあれ、ラストも綺麗に決まってますし、これは凄く素敵な短編作品でした。


さて、一方で気になった点は、文章がややくどい、という点でしょうか。
本編や、今書きました『stand by me』なんかも、前半部は「すらっと読める」という感じではなく、どちらかと云えば小説とか、或いはもっといってしまえば、凝ったラノベのそれに近いような、手触りがあります。

そういう文章の傾向は、漢字変換にも現れていて、「まだ」を「未だ」、「せい」を「所為」と表記していたりします。その一方で、「確率」とありたい所が「確立」になっていたりと、誤字が割と多め。
凝った文章にしたせいで、「ん?」となってしまうような表現も散見されます。

例えば、「きっと運命なんて一つもない、本当に偶然の邂逅」という文があるのですが、その偶然の邂逅こそが運命と云うものなんじゃ? という気が私にはするのですw


あと、本編で気になった点と云えば、ラストがもう一押し欲しかったな、と。
最後、主人公夏希と、ヒロイン望が幸せに向かって、やっと一歩踏み出そうとする、まさにその時に、物語が終わってしまいます。
そこに、「敢えて最後まで書かない美学」や「余韻の効果」を感じ取る事は容易なのですが、やっぱり、もうちょい続きを書いて欲しかったなぁ、と思いました。

或いは、例えば、これも良くある演出かもしれませんが、適当な所で、物語自体を切り上げてしまう。
そして、エンドロールが流れている最中に、「その後」を描く一枚絵を、何枚かゆったりと表示させていく。そして最後の一枚で、二人の繋いだ手がクローズアップされたイラストを持ってくるとか、そういう演出の方向性もアリかな、と。
何にせよ、折角積み上げてきた物語なわけですから、最後でもう一押ししてやると、良かったのではないか、という事ですね。ラスト辺りでは、主人公夏希も、ちょっとだけ焦れったいトコありますしね。うんと、アレな云い方だと小学生に「愛してる!」とか云ってもいいじゃん! とw


もっと前に話をすべきでしたが、本編のヒロイン望は、凄い可愛いですw
大学生と小学生の、年の差恋愛(?)を描くわけですが、望は大人びたタイプですし(勿論、その中に脆さみたいなものもあるわけですが)、丁寧に物語を積み上げていっているので、そこに違和感を感じる事はありません。

ちなみに、本編は、背景がみなモノクロで、一見すると「暗い」イメージがあるのですが、それが、上手く「優しさ」に結びついていたような気がします。そうした優しい雰囲気も、本作の魅力の一つですね。


最後に、エクストラで語られる短編に話を戻して、今日はお終いにしましょう。
本当に、本編とは、全く違う舞台で、全く違う登場人物達の織り成す物語で、一瞬、面食らってしまうのですが、『stand by me』や、『夏と風鈴と彼女』(これもコテコテ設定w)なんかを読んでいくと、どこか、本編との繋がりを、私は感じるのです。

孤高で、孤独な女の子と、それに向き合おうとする不器用な男の子の物語、と云うと、綺麗にまとめすぎた感はありますが、「全く無縁の短編が入ってる」のではなく、か細い糸ではあるものの、本編との連続性を有した作品が、本作に於ける短編集なのではないか、と思うのです。


というわけで、今日は悩んだ末に、久々の吟醸です!
みんな何だかんだいって、好きなタイプの作品、ではあると思うので、是非、プレイしてみて下さい。
短編と本編の読み方ですが、私は、やっぱり、本編を読んで、短編を読んで……ってやっていく読み方をお勧め致します。



それでは、また。


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by s-kuzumi | 2013-11-23 21:23 | サウンドノベル | Comments(0)
2013年 11月 04日

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『ニートと呼ばないで』

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道玄斎です、こんにちは。
今日は、久々のノベルゲームレビュー……の番外編です。昔から好まれてきた話の型を持った作品、って事になりましょうか。
というわけで、今回は「Y-F」さんの『ニートと呼ばないで』です。『津軽雪月花』の作者さんの新作ですね。



周辺的な情報を予め述べておくと、本作は、前作と同じくwolfRPGエディター製の作品です。これも『津軽雪月花』の時にも書きましたが、操作に全く不満はありません。
尺は私がプレイして20分といった所。じっくりじっくり読んでいっても30分掛かるか掛からないか、という、非常にプレイしやすい尺になっています。

さて、作品の中身に入っていきますが、物語冒頭で、主人公鈴木優の家族紹介、みたいなものが行われます。主人公宅にやってきた動物(ペット)のヒメを紹介するパートですね。ペットも亦、家族ですからね。このヒメというメスの動物(何の動物か、最後の最後まで分からなかったのですが、多分、猫かな)と、主人公が兄妹のように育っていった、なんて事が記されるわけです。

そして、時は流れて、主人公は23歳に。
四年制の大学を卒業したものの、就職出来ず、職安に通う毎日……。タイトルである所の「ニート」が活きてきます。
いや、そのニート描写っていうか、それは結構シリアスで、ずしりと重みがあるものでした。求人票だけは出ているけれども、実際に「本当に求人している会社」は少ない、とかね。バイトをしながら資格を取ったりしても、就職できず、職安に通う日々とか、ちょっと読んでいて、悲しくなってきます。

が、そんな主人公の前に、一人の謎の女の子が現れて、彼を励ましてくれる……というのが、うんと粗雑なストーリーの流れですけど、その女の子(ヒイロ)の正体は何なんだ? って事で、悩む人……いないと思うんですよw 云うまでもなく、その女の子は、ペットのヒメが人間に姿を変えたものです。

こうした、動物が飼い主とか、面倒をみてくれた人なんかに対して、恩を返していく話のパターンを、そのまま「動物報恩譚」って呼びます。「鶴の恩返し」とかが、一番分かりやすいですね。
本作も、この「動物報恩譚」という、話のパターンが基調となって展開されていく、というか、ほぼそのままの形ですね。

けど、やっぱり、「動物報恩譚」なんて言葉がある以上、この手の物語は大量に存在していて、昔から今に至るまで、様々な所で見る事が出来ます(フリーのノベルゲームでもありますよね)。つまり、非常に、好まれているパターンなんですよね。
本当に、少し読み進めれば、「あっ、これね」って、話の構造は分かっちゃうにも関わらず、最後まで読んでしまうし、本作の場合、私はやっぱり感動してしまうんです。

それって、こうした話のパターンが持っている力、みたいなものもあると思うんですよ。
前述の通り、本作も、動物報恩譚の典型的なパターンですけれども、読んだ時に、「本作に於ける動物報恩」だけで感動している、っていうよりも、長年熟成されてきた「動物報恩譚のイメージ」みたいなものが、プレイヤーの心の中に底流していて、それを触発させてくれる、というか、そんな印象があるのですが如何でしょうか?


さて、話は戻りまして、途中で厭なヤツ(所謂、勝ち組ってヤツかねぇ……)が出てきたりするんですが、一発キャラみたいな感じで、ストーリーとしては、かなり駆け足気味にラストまで到達してしまいます。
そこが、ちょっと、勿体なかった部分かな、と思いました。

これも先に述べましたが、就職を巡って、かなりシビアな状況に主人公は置かれているんですよね。で、人一倍苦しんでいるし、それがコンプレックスにもなってしまっている。
しかし、ヒイロの叱咤激励によって、就職するに当たっての自分の求める条件を緩和させて……みたいな。

そこに、ちょっと、私は違和感っていうか、何となく落ち着きの悪さみたいなものを感じてしまったのは事実です。そもそも本作、「ニートと呼ばないで」というタイトルで、タイトルの雰囲気だけで云えば、「シリアス寄り」というよりは、「明るさ」とか「軽さ」を感じさせるものだと思うんですよね。
で、「ニート」という問題が一つの焦点である事、疑いの余地はないのですが、そのニート問題、みたいな部分がかなりあっさりとクリア出来ちゃう所に物足りなさ、を覚えてしまったというか。

例えば、ヒイロが人間でいられる期間を一日ではなく、もう少し長目にして、時にコミカルに、時にシリアスにニートの問題を掘り下げていったり、更に、主人公とヒイロ、そして主人公とヒメの関係を、そうした問題に直面させていく中で深めていったり、という事があれば、満足感がもっとあったかな。
換言すれば、もっとふくらみのある物語に十分出来たのになー、という感じでしょうか。

いや、けど、ヒイロがずっと人間だとしたら、その間のヒメの不在はどうするんだ? とか、そういう問題はありますねぇ(一応、タテマエとして主人公はヒイロの存在がヒメと同一である事に気付いていないわけですから)。うーん、そうですねぇ、ヒイロは、昼間、どこからとも無く現れて、主人公に合流する。そして主人公が帰宅する間際になると、どこへともなく消えていく、そして主人公が帰宅すると、何食わぬ顔で、家にヒメがいる、とか? 


いや、まぁ妄想に入ってしまいましたね……。
ともあれ、もっと尺の長いバージョンでこの話を読みたかったなぁ、というのが素直な感想なんです。前作も、全体としての尺はそれなりにありましたが、テンポは良すぎるくらいだったので、一つ一つのエピソードっていうのかな、そういうのを、もう少しじっくり楽しみたいな、なんて思ったり。


ちょっと、辛口気味になってしまいましたが、優しく、プレイする人を選ばない作風は、この作者さんの大きな魅力だと思います。本作は分かりやすさ、みたいなものもプラスに働いていたと思いますしね。


というわけで、今日はこの辺りで。
それでは、また。

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by s-kuzumi | 2013-11-04 15:30 | サウンドノベル | Comments(2)
2013年 08月 24日

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『学校七不思議~小学校の花子さん2』

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道玄斎です、こんばんは。
やっと……「ホラー」と云っても良い作品を見つけました。って云っても、毎度お馴染みの私が好きなシリーズ(?)の新作。
というわけで、今回は、「銀の盾」さんの『学校七不思議~小学校の花子さん2』です。

『学校七不思議』シリーズ、そしてその外伝の『小学校の花子さん』シリーズは、私が何故か妙に好きで、恐らくリリースされている全ての作品を、このブログで取り上げているハズです。
で、『学校七不思議』シリーズは四作、『小学校の花子さん』シリーズは、今回を入れると二作取り上げる事になるわけですから、良かった点・気になった点なんかは、省略しちゃっていいかな? と思い、今回は番外編です。

まぁ、同じ作者さんが作っているものですから、やっぱり、似た雰囲気というか、そういうのはありますし、「学校七不思議」シリーズ、という枠内の作品である事も確かなので、良かった点・気になった点も、共通している、という事で。

番外編とは云え、かなり変則的ですから、少しデータを補っておくと、私がプレイしてエンディング(トゥルー)に到達するのに掛かった時間は50分でした。途中で選択肢があり、エンドは八つに分岐しますが、歴戦のノベルゲーマーなら、バッドエンドを回避するのは難しい事ではないでしょう。私も珍しく、一発でトゥルーエンドにたどり着けていますしねw


話は脱線しますが、ここ数年のノベルゲームの業界で特筆すべき点は、ニコニコ生放送での「生放送プレイ」が増えている、という点が一つ挙げられるんじゃないかと思います。
実際、ゲーム制作者さんのサイトに行ってみると、「実況は大歓迎です」とか、逆に「実況はやめて下さい」とか書いてあるのを目にします。

で、一応、ノベルゲームって、「読む」事にかなりの力点が置かれているゲームである事に間違いは無いと思うのですが、それを、画面越しに誰かと同時に共有する、って本来凄く難しい事のような気がするんです。
特に、それがシリアスな作品であればあるほど、一般的な意味で「ウケ」ないんじゃないかなぁ……。

更に、一枠30分のニコ生ですから、20枠とか消費するような作品だと、ちと具合が悪いんでしょうね。
そんな事情があるのかないのか、短編の作品の実況を良く見る気がします。
もっと云うならば、「比較的短めで、且つホラー作品」というのが、ニコ生で好まれているような……。そりゃ、ホラーですから、バッドエンドに行くと、即死とかがあるわけですよね。そういうのがあれば、視聴者と同時に作品を楽しむ事は確かに出来るなぁ、と。実況放送主が驚くと同時に、それを視聴しているリスナーも驚く。んで、それをコメントに反映させる、ってわけで、まぁ、それはそれで成り立ってる分野なのでしょう。

けど、ホラーでない短編作品を取り上げる、っていう事も、やっぱり起こるんですよね。
そりゃ、世の中に出回っているホラーノベルゲームは有限ですからねぇ……。新たに発掘してくるなり、誰かが新作を作らない限り、ネタ切れを起こしちゃうわけです。放送主がね。
そういう時にゃぁ、放送しない期間ってのを設ければいいんですが、どうも、ニコ生でゲーム実況をやっている人を見ていると(勿論、全員が全員だとは思いませんが)、何かに追い立てられるかのように、ゲームを探して、切れ間無くゲームを実況をやっているように見えるんです。

で、ホラーのネタがないから、ちょっと目先を変えて、「ホラーでない短編」を持ってきて、実況したりするんですが、その作品がシリアスなものだったりすると、実況者としては、突っ込めないんですよね。
大体、嘘でも生放送ですから、無言ってのはマズイくて、何かしら喋らないといけない。で、ホラーだったら「うわっ!」とか、「こえー!」とか、喋ってれば、何とかなるw ミステリー色が強い作品だったら、「こいつ怪しいぜ……」とかねw
けど、そういう技が効かない作品だと、それはもう、「作品そのものに突っ込みを入れていく」という方向性になっちゃう事が多いんですよ。

誤字脱字の指摘から始まって、立ち絵へのダメ出し、或いは、「立ち絵がない事へのダメ出し」だったり、「お約束」で成り立っている設定への言及だったり、まぁ、そういう方向に行きがちです。
酷いのになると、「クソ作品だから、このままの勢いで、評価サイトに書き込みに行こうぜ!」ってな具合に、実況主と、リスナーが謎の一体感を出して、登録サイト(大体、フリーゲーム夢現ですが)に、☆1つの投稿をする、とw

落ち着いて考えてみると、☆の数で作品の評価を記入出来るサイトがあって、尚かつそこに、ゲームを登録しているのならば、そりゃ、どんな意見を書き込もうが自由ですし、そういうリスクを承知で登録してるんでしょ? って事になりますよねぇ……。
なんか、その辺りは考えてみると、難しいですね……。
まぁ、纏めると(全然纏まってないけどw)、私は、全体で見れば、ノベルゲーム/サウンドノベルなんてのは、実況と相性のあまり良くないゲームジャンルなんだろう、って思ってますw 勿論、前述の通り、ホラーなんてのは、わりかし相性がいいんですけどもね。


で、やっと、本題に軌道修正しますけど、本作、割と実況向きですよw
トゥルーエンドまで50分ですから、2枠で終わっちゃいますし、バッドエンドの数も、尺から見れば大目ですしね。

正直、恐さの方は……と問われると、「そこまで怖くない」って事になっちゃうんですが、それも後書きに書いてありますし、この『学校七不思議』シリーズの良さって、「怖い」って所ではなくて、寧ろ、作品を包み込む「優しさ」みたいな、そういう所にあると個人的には思っています。

正編である所の『学校七不思議』では、絵梨と美加という、中心的な存在(幽霊だけど)が居て、作品に厚みを増していますし、彼女たちの過去が、作品を時に切なく、時に優しく包み込んでくれている印象があります。
『小学校の花子さん』シリーズでも、花子さんが、尊大な幼女風(この手の造型、好きな人は好きなんだ……)で、けど、決して悪い存在じゃない、優しさを内に秘めたキャラクターとしての造型なので、「怖い」というよりは、「優しさ」を感じてしまうんですよ。たとえ、バッドエンドで怖い演出があったとしても。

ストーリーは、今回は変則的ですが、ここにふりーむから引用しておきましょう。
休みの学校でこっそり、、「花子さん」を呼び出そうとしたんだ。
「この日にだけ起こる怖いこと」を確かめたいって言う女子に付き合ってさ。
くだらないって思ってたのに
なのに
まさか、本当に『花子さん』に襲われるなんて――!


舞台は前作と同じ小学校。
どうしてその日だけ、通い慣れてる筈の学校が狂うのか。
学校に七つあると言われてる怪談話まで加わって、主人公は大ピンチ。
生きて、この小学校から出られるかは、花子さん次第…

こんな感じになってます。
これだけ見ると、ちょっと普通のホラーな気がするんですが、是非是非、トゥルーエンドを見て下さい。本作がただのホラーではない事が分かるかと思います。私がこのシリーズを好きな理由も分かって貰えるんじゃないかなぁ、と。

本作の中で、凄く良い設定があって、それは「花子さんの存在を信じる人達と、それに応えてくれる花子さん」との約束事、の様な形で、「花子さんの怪談」が成り立っている、というものです。
相互依存じゃないですけれども、そういう関係って、なんかいいですよね。人間同士は云うに及ばず、人対人外であっても、そういうのが成り立つのって、何か素敵ですよね。
私、ここ数ヶ月、寝しなに怪談というか、そういうものを結構良く見てるんですが、たまにね、そういう人と人外(妖怪? とか神様とか)の交流を語る体験談のようなものがあると、なんか、ほっこりしますねぇ。


ま、ストーリーの流れとしては、敵と思しき妖怪(と、それによって手下にされた同級生)から逃れ、花子さんと一緒に怪異を解決して、無事、元の世界に戻る、という、非常にオーソドックスなスタイルです。
とはいへ、主人公が巻き込まれる怪異、襲ってくる妖怪に関しても、単なる怪異・悪役ではなく、ちゃんとバックグラウンドが存在するので、そういう所でストーリーに厚みがあって、良いと思います。


大体、こんな所でしょうか?
本作をプレイして、気に入ったならば、是非、『学校七不思議』シリーズや、前作の『小学校の花子さん』をプレイする事をお勧めします。
ちなみに、本作は一応、「2」って事になってますが、勿論、単独でも楽しめます。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2013-08-24 22:24 | サウンドノベル | Comments(0)
2013年 08月 07日

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『ドラゴンの宝物』

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道玄斎です、こんばんは。
前回、宣言したように、ホラー作品を探してみたものの、中々「これは!」という作品がありません。
そのリサーチの中で見つけた作品を今日はご紹介。
というわけで、今回は「あほちゃん」さんの『ドラゴンの宝物』です。私がプレイして、大体30分くらいだったので、通常レビューと番外編の丁度境界線の尺なのですが、今回は番外編で。



先にもチラッと書きましたが、中々良いホラーものが見つかりません。
とは云うものの、全く収穫がない、と云ったらそれはまた違います。例えば、人から紹介してもらった作品で『フェノメノ 美鶴木夜石は怖がらない』という作品があるのですが、これは特殊な画面サイズの作品です(今、スクリーンショットを撮って、画像編集ソフトに読み込んでみたら、1030×601というサイズでした)。

過去に、「箸休め」で、ワイド画面の是非というと大袈裟かもしれませんが、「現在、ワイド画面に意味のない作品が多く、“何となく見栄えがするから”という理由で、安易にワイド画面を選択するのはお勧め出来ない」というような事を書いたのですが、私が予想していたよりも遙かに多くの方から、様々なご意見を頂戴致しました。
「何でもやってみよう! と試行錯誤する中で、良いものが生まれる可能性がある」というようなご指摘もあったかと思います。それに関しては、「うーん、確かにそれも一理あるなぁ……」とw

そうしたご意見はそれはそれとして、それでもやっぱり、「特に拘りや、それに見合った演出がないのならば、ワイドにしなくてもいいのでは?」というのが、私の考えだったりします。
そんなわけで、ワイド画面については、ちょっと頭の片隅に残っていたテーマだったんですよね。
で、『フェノメノ 美鶴木夜石は怖がらない』をプレイしてみたら、前述の通り変則的な画面のサイズで、通常の画面サイズからすれば、やっぱり「ワイド」だったんです。

けど、プレイしてみれば分かる通り、全然違和感がないんですよね。
文章も読みやすいですし、演出とも上手く調和してる。これは、一般的なワイド画面、というのとは、またちょっとサイズが違うのですが、ワイド画面を考える上で、一つ参考になりそうな作品だなぁ、と思ったわけです。
まぁ、気になった方は、是非プレイしてみて下さい。


……と、久々に物凄く脱線してしまいました。
まぁ、何もしていないように見えても、こっそりゲームをプレイしていたり、足りない頭で色々考えてるんだなぁ、というのが伝われば幸いですw

で、ここらで軌道修正して、『ドラゴンの宝物』の話に入っていこうと思います。
ドラゴンっていうと、皆さんはどういうイメージを持たれますか? 
私の場合、ドラゴンは、所謂ファンタジーRPGの一つのシンボル、みたいな、そういう印象がありますね。それも「最も強力なモンスター」として、とんでもない存在感を持っている存在、だと思うわけです。

ほら、『ドラゴンクエスト』だって、タイトルに「ドラゴン」が入ってるじゃないですか。
そもそも『ドラクエ』の第一作目は、その名もズバリ「竜王」なる悪漢(?)がラスボスですからね。2013年現在のRPGでは、そんな事もないんでしょうけど、昔は、ファンタジーRPGと云えばドラゴン、という図式が成立していたような感触すらあります。

ちょっと資料を繙いてみたりしたのですが、ドラゴンの原型が登場する古代説話みたいのは数多くあるらしいですね。中でもアイスランドの『ヴォルスンガ・サガ』なんかが重要みたい。
この『ヴォルスンガ・サガ』には、ちゃんとドラゴン(の原型)と彼が守る宝、についての言及があるそうなんです。

本作のタイトルも亦、『ドラゴンの宝物』というわけで、ドラゴンと宝、というのも切っても切り離せない関係にあるわけです。うんと単純な形で示すと、

「主人公→→旅に出る→→ドラゴンを討伐する→→ドラゴンの守っていた宝を入手してウハウハ」

というのが、古式ゆかしいファンタジーRPGに於けるドラゴン観という事になりましょうか。
なんか、こういうの調べていくと面白いんですよね。ノベルゲームや、本作の作品内容には直接関わらないけれども、その周辺事情を見ていくのは、それ自体が楽しいですし、稀に他の場面で役に立つ事もありますし……。

ともあれ、本作も亦、かなり古式ゆかしいファンタジー色がある作品、と端的に纏める事も可能でしょう。
ストーリーの流れは単純です。
主人公ジギィは一攫千金を夢見る冒険者。ある日、ひょんな事からワイバーン(ドラゴンの亜種。ドラゴンよりワンランク落ちる)を従えた女の子ルーシーと出会い、一緒に、ドラゴンの巣穴に行き、ドラゴンがため込んだ財宝を掻っ攫う事になったのだが……。
という感じ。

意外といいな、と思った所は、「ドラゴンとチャンチャンバラバラやらかさない」という所ですw
最初の方に書きましたが、ドラゴンは最強のモンスターなんです。なので、ドラゴンとやり合う、っていうのは、ちょっと辛い。周到に準備を重ね、腕っこきを何人も連れてきてっていうなら、まだ話は分かるんですが、それだと、ファンタジックバトルノベルになっちゃいますもんね。
なので、コソコソっとドラゴンの留守を突いて、宝物だけ取ってくる、というのは、ファンタジーRPG的な意味でもリアリティがあるのです!w


勿論、気になった点もあります。
一番気になったのは、「ストーリーの展開が殆どない」という所でしょう。
物語のかなり早い段階で、主人公はルーシーと行動を共にし、ドラゴンの巣穴まで行く、という行動の指針が示される事自体には、問題がありません。
けれども、「ルーシーとの出会い」→「ドラゴンの巣穴へ」という流れの中に、何か他の展開が無いと物足りなさを感じてしまうのです。

例えば、前作『温かく、暖かい冬、なのか』では、主人公ルディとウルフが出会ってから、二人で違法アンドロイドを狩りに行ったり、ルディの秘密を巡っての騒動が起きたり、と様々な展開を見せます。そして、その流れがラストへ繋がっていく、という作りだったわけです。
本作の場合、もう少しドラゴンの巣穴までの距離があって、ルーシーとの旅路でのエピソード(展開)を通じて、二人の距離が縮まるような、そういうストーリーの構成の方が、物語としては良いのかな、という気がしました。


けど、『温かく、暖かい冬、なのか』も、本作『ドラゴンの宝物』にせよ、なんか凄く古式ゆかしいSFなりファンタジーなりを見せてくれて、私なんかは凄い嬉しいんですよね。
全部が全部とは云いませんけど、今のノベルゲームって、割とジャンルをクロスオーバーさせて、ディープな所ディープな所に入っていくような感触があるんですが(特に同人系)、或るジャンルのクラシカルな所まで立ち返るような、そういう作品は、今だからこそ貴重で、却って面白さを感じられる部分があるんじゃないかな、と思います。

どうやら、もう次の作品の構想もあるみたいで、又、そんなに期間を経ずに、次回作がプレイ出来そうで、今から楽しみにしています。
というわけで、今回は脱線大目ですが、ご容赦下さい。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2013-08-07 21:06 | サウンドノベル | Comments(0)
2013年 07月 29日

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『がっこうの七不思議』

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道玄斎です、こんばんは。
結局、風邪はいまだ治らず、何だか調子が悪いです。けれども、調子が悪い調子が悪いと、云っていても、別にそれで調子が良くなる事はないので、のんびりいつものペースで生活していきたい所。

で、今日は、また少し間が空いてしまいましたが、ノベルゲームのレビューの更新です。
尺が短いので番外編なのですが、私が結構好きなタイプ。
というわけで、今回は「カンナ」さんの『がっこうの七不思議』です。



どうやら、作者さんは、現役のマンガ家さんとして活躍している方みたいですね。
立ち絵や一枚絵と云ったイラストは、マンガ家さんだけあって、なかなか綺麗です。
本作は、作者さんも参加している『本当にヤバイホラーストーリー 放課後地獄』 (講談社コミックスなかよし)に収録されている『放課後の七不思議』という作品を原作としているようです。

勿論、本作はゲームですから、漫画だけでは中々表現出来ない「選択肢による分岐」があったりするので、多分、漫画版とは、また一味違ったものになっているはずです。

ストーリーは、クラスに馴染めない転校生の七海が、ひょんな事から、トイレに棲息している花子さんなる幽霊と友達になって……という、「学校の怪談系」のホラーでは定番のストーリーです。

一応、選択肢があって、エンドは三つに分かれます。
文句なしのグッドエンドが一つ、考えようによっては、これもグッドかなぁ? というようなものが一つ。バッドエンドが一つ、という布陣。
全部のエンドを見ても、20分くらいかな。
短めのストーリーですが、グッドエンドは、ちょっと良い雰囲気で幕を下ろします。

何で、本作を取り上げようかと思ったかというと、私、結構、「学校の怪談系」の作品って好きなんですよw
それも、ただ単に怖い、っていうのではなく、霊(お化け?)には霊の理由というか、事情があって、そこに留まっていて、ちょっぴりもの悲しさみたいなものを感じさせるような、そんな作品が好きなんですよね。
『学校七不思議』シリーズなんかは、1~4までレビューを書いていますしね。

正直な事を云えば、『学校七不思議』シリーズの方が、美加や絵梨という中心となるキャラクターがいるので、ストーリー的な深みがあるんですが(それにシリーズになってますしね)、本作のように、短いストーリーではあるものの、「学校の怪談系」のツボは押さえられている作品は、やっぱりちょっと取り上げないとね、という気になるのでした。

ちなみに、選択肢は別に難しくありません。
ストーリー自体短めですし、スキップを使って、総当たりをやってもそこまで面倒ではありません。
が、普通にプレイしていても、歴戦のノベルゲームプレイヤーであれば、すぐにグッドエンドの選択肢が分かるハズ。


本作は短いものでしたが、どうやら第二弾作品の制作も進んでいるようです。
作者さんのサイト(ブログ)を拝見しただけなのですが、イラストも更に磨きが掛かっているような……。そちらの方も楽しみですね。

先に述べたように、本作を取り上げたのは、好きな「学校の怪談系」だから、というのも勿論あるのですが、本格的な夏に向けて、ホラー作品をプレイしていきたい、そして、また少し調子を上げてゲームプレイをしていきたい、という私の宣言だったりもします。

夏休み、良い作品を見つけて、またご紹介出来ること、楽しみにしています。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2013-07-29 19:55 | サウンドノベル
2013年 06月 23日

フリーサウンドノベルレビュー 『津軽雪月花』

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今日の副題 「ツボを押さえたご当地系ノベルゲーム」

ジャンル:感動系ノベルゲーム
プレイ時間:1時間半ほど。
その他:選択肢は一箇所有り。
システム:WOLF RPGエディター

制作年:2013/6/17
容量(圧縮時):114MB




道玄斎です、こんばんは。
今日は、RPG用のシステムで作られた作品のご紹介。RPG用のシステムとは云え、使用感はノベルゲーム用のエンジンのそれと殆ど変わりません。右クリックでセーブ/ロードが出来ない、くらいですかね。けど、ちゃんと「セーブ/ロード」と云った基本システムは画面中にちゃんと表示されていますから、クリックしてやるだけです。あと、マウスホイールでのバックログ閲覧も勿論可能。
……と、いうわけで、前書きが随分長くなってしまいましたが、今回は「Y-F's Office」さんの『津軽雪月花』です。
良かった点

・サクサクとテンポ良く進むシナリオ。

・感動モノのツボを押さえた作品。


気になった点

・舞台が津軽である必然性は、実は乏しい。

・故に、強烈なオリジナリティのようなものは感じづらい。

ストーリーは、作者さんのサイトから引用しておきましょう。
*** 概要 ***
『ストーリー』をテーマに作成したものです。
文章を読みながら進めていく形になります。

~ ストーリー ~
主人公:天津 絆(あまつ はん)は、 父の転勤による都合で、母の実家がある青森県弘前市へと引っ越しを余儀なくされる。
家族は父、母、そして妹である雪菜の4人。

彼は慣れない土地での生活を強いられ、不安な日々を過ごしていた。
そんなある日、彼は運命的な出会いを果たすことになる。

津軽で過ごす普通な男の子による、甘くて切ない青春物語。
************

こんな感じ。



タイトルが妙に、演歌調ではあるものの、内容は至って普通の、ノベルゲームですw
そして、そのタイトルが如実に示している通り、本作品は、所謂「ご当地系」のノベルゲームの一種と云う事が出来ましょう。

ご当地系のノベルゲーム、っていうのも、たまに存在していて、『ハーバーランドでつかまえて』とか、或いは、もっとそれらしいのになると、『ほたこい』とか、或る地域がフィーチャーされ、作品に於いて大きな役割を果たす……そんな作品の事です。勿論、正式な名称ではなく、便宜的に勝手に呼んでいるだけです。

本作の場合、津軽、つまり青森県西部を舞台としています。
こうしたご当地系では、その地方ならではの観光スポットや、珍しい食べ物、行事、或いは方言なんかが、作中に盛り込まれていきます。本作も亦、その例に漏れず、花見のスポットや、ねぷた祭り(ねぶたとの違い、初めて知りました)、方言が作品に盛り込まれていきます。


さて、ストーリーの方ですが、主人公は埼玉で育った、という設定で、物語冒頭で、弘前市に引っ越してくる事になります。やはり、この手のゲームの定番としては、慣れない環境への適応に苦労したり、或いは、方言の存在によって、意思疎通が上手くいかなかったり、という事が屡々起こるわけですが(同時に、それを支えてくれるような友人、或いはヒロインの存在も出てくるわけですが)、本作に関しては、そうした部分は、殆ど描かれません。

かなり、テンポ良く、月単位で時間が経過していきます。
このテンポの良さは、プレイしていて気持ちが良いです。大体全体で一時間半のストーリーですが、ダレる事はありません。ただ、そのテンポの良さと引き替えにして、若干描写が薄く感じる、という部分でもあります。特に後半で、明らかになる(ちゃんと伏線は張ってあります)事態に対して、或る程度、描写の積み重ねがあった方が、より感情移入出来たのかな、と考える次第です。


さて、本作最大の気になった点は、ずばり、「舞台が津軽である必然性が乏しい」という点です。
最後まで読めば分かるのですが、別に、この作品は舞台が津軽(青森県弘前市)でなくとも、主人公一家が元々住んでいた埼玉県であっても、全然成立してしまうのです。
それが故に、タイトルワークにも使われている「津軽」によるオリジナリティ、みたいなものも、同時に乏しくなっています。

ただ、それを抜かして考えても、テンポ良く進むストーリーは、プレイを前のめりにさせてくれますし、感動モノのツボがキッチリと押さえられている点も、評価したいところです。
ストーリーが、中盤くらいまで、どういう方向に進むのか分かりづらいという事はあるのですが、それもテンポの良さがフォローしてくれています。テンポが悪くて、且つストーリーの進むべき方向性が見えてこないと、何かプレイしていて、凄くイライラしてしまったり、って事はありますよね。そういう事は一切ないので、ご安心召されよ。

大体、30分づつのブロックに区切って、最初の30分を前半、次の30分を中盤、最後の30分を後半という感じの分け方で考えていますが、ストーリー的に大幅な進展があるのは、最後の30分、という感じでしょうか。
ここで、やや唐突感を感じる人も恐らくいると思います。確かに、起こっている事態の原因に関しては、私もプレイしていて「え?」となりましたw

ただ、まぁ、そこは、作品のキモの部分というか、唯一のファンタジックな部分ですし、「そういうもの」と受け止めるのが一番ですかね。そこを否定しちゃったら、身も蓋もないですからねw


最後に、もう一点。
メインで登場するキャラクターの数は少なめですが、妹の雪奈のキャラがとっても可愛くて良かったです。プレイしていて、「この妹いいなぁ……」とずっと思っていましたw
で、彼女は、兄貴である主人公に、悪戯っぽい言動を繰り返すんですが、その時に「ニシシ」って笑うんですよ。それが、また何か凄く可愛らしくってね。この雪奈の可愛さやキャラクターも亦、作品を支えている重要な要素です。なので、彼女の「ニシシ」に是非、注目しながらプレイしてみて下さい。



久々のご当地系ノベルゲームでした。
そのご当地感は、ストーリーの中ではあまり活きてこない、という部分も抱えていますが、純粋にストーリーだけを見ると、感動系作品のツボを押さえた作りで、ジワッと良い読後感も味わえたりします。
ちなみにエンディングは二種類。一箇所分岐点があります。どちらのエンドも素敵で良いですよ。是非、二種類見てみて下さいね。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2013-06-23 22:32 | サウンドノベル | Comments(4)