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2015年 03月 06日

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『昼の国、夜の国』

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道玄斎です、こんばんは。
今日はリハビリがてらに、気になっていた作品をプレイしてみました。
尺こそ15分程度ですが、15分という尺の中に考える材料というか、言い換えるならば、テーマがギュッとつまっていた、そんな印象があります。
というわけで、今回は「晴れ時々グラタン」さんの『昼の国、夜の国』です。ダウンロードはこちらからどうぞ。


一言で云ってしまえば「荘子的」というか、或いはSFに詳しい方なら『高い城の男』的な世界です。
それ故、舞台は西洋なのですが、どこか微かに東洋的なミステリアスさのある作品になっていたんじゃないかと思います。

冒頭部で語られる主人公の状況は、「妻の忘れ形見の娘が死んでしまった」、というもの。
主人公はこれから一人で生きていかなければいけないわけです。

更に、主人公を気遣ってくれる友人とのやり取りを通して、主人公が「不思議な夢を見ている」という事が明かされます。

タイトルに顕著なように、ここに「二つの世界」が現出する事になるわけです。
つまり、「娘が死んでしまった世界」、そして「娘が生きている世界」です。それをそれぞれ「昼の国」「夜の国」としている、という構造です。


この作品の面白さの一つは、その「昼の世界」「夜の世界」に主従関係が見られないところにあるんじゃないかな? と思いました。
普通、こうした云ってしまえば「パラレルワールド」があるような作品って、割とそれと分かるような感じで「基本の世界」というか、「主」の世界があって、それとは別の「もう一つの世界」(=従の世界)がある、という語られ方をするモノが多いのですが、本作の場合、読み進めていく内に、どっちがどっちなのか、分からなくなってしまうようなところがあるのです。

勿論、冒頭で示された、娘が死んでしまって呆然としている、という状況あってこその物語の展開ですから、その意味で、「昼の世界」が「主」の世界なんだ、と云う事も出来るわけです。
しかし、読み進める内に、そうした最初の状況設定そのものも、何だかあやふやで捉え所がないように思えてくるから不思議です。


また、ラストが他のパラレルワールドモノ(と云ってもいいのかどうか、少し躊躇いはありますが……)とは、一味違っていたという点も大事でしょう。
それぞれの世界の不確かさというか不安定さを以て、「どっちが本当の世界なんだろうね?」と、問い掛けを残しつつ、その余韻を楽しませる、という作品が多いような気がしているのですが、本作はそのタイプではありません。

また、「従の世界」だと思っていた世界こそが実は「主の世界」だったのだ! みたいな『マトリックス』タイプとも違います。

もしかしたら、この物語には或る種の寓意があって、「選択する」ことの意味のようなものに焦点があるのかもしれませんね。流石にちょっと深読みかもですがw


というわけで、小粒ながらもちょっと考えさせられる良い作品でした。
余談ながら、私はこの作者さんの描く「女性キャラのクールな目元」が大好きですw 冷めた目をしつつも、そこに何かしらの情念のようなものが見え隠れするというか、そういう魅力がありますよね。

荘子やらパラレルワールドやらを知っていれば、より一層楽しめる、というか考える事が出来そうな作品です。尺は小粒ですから、気になった方は是非プレイしてみて下さい。



それでは、また。



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by s-kuzumi | 2015-03-06 19:31 | 日々之雑記 | Comments(0)