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2009年 07月 08日

フリーサウンドノベルレビュー 『現代怪奇譚~学校七不思議~』

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今日の副題 「一足早い肝試し」

ジャンル:学校系ホラー作品(?)
プレイ時間:1時間程度
その他:選択肢なし、一本道。尚、心臓の弱い方はプレイの際はご注意を……。
システム:Comic Maker

制作年:2009/7/6
容量(圧縮時):21.1MB



道玄斎です、こんばんは。
今日は珍しく夜更かし。何しろ月がとても綺麗ですから、お酒を呑みつつゲームをして、時折月を見て、とやっていたらこんな時間になりました。
番外編ではなく、普通にレビューを書くのは随分久しぶりですね。このブログを始めてからもう丸々二年が経ってしまった訳ですけれども、ここまでのブランクは初めてです。
数時間前、何となく情報サイトを巡って新作情報をチェックしていたら、私の好みの単語が散りばめられた作品を発見しました。その単語とは「和風」そして「ホラー」。何だかんだで結構ホラー作品はプレイしていますし、私自身も結構好き。で、お酒を呑みつつプレイしていたらこんな時間になってしまいました。
というわけで、今回は「Ema's Box」さんの『『現代怪奇譚~学校七不思議~』です。
良かった点

・兎に角怖い。ホラー作品の中でも屈指の怖さ。心臓が止まりそうになりました……。

・七不思議そのものも、かなり怖くて、物語内物語も楽しめる。


気になった点

・コミックメーカーで作られているので、操作性が……。

・ラストが何だか、別の話のようになってしまった感触がある(後述)。

ストーリーは、サイトの方から引用しておきましょう。
肝試しに来た学校で起きる様々な怪奇現象。
学校の七不思議を題材にした和風ホラー伝奇ノベルです。

学校の七不思議、あなたはいくつ覚えていますか?

こんな感じのストーリーになっています。


久々に或る程度「尺」のある作品、プレイしました。
気持ち的に「リハビリ」という部分があったのですが、リハビリどころか、その怖さで相当ハードなプレイになってしまったというw

さて、若干ストーリーを補足しつつ、いつものようにやっていきましょう。
タイトルに顕著なように、「学校」という場所を舞台としたホラー作品です。主人公は友人の「彼女作り」のお手伝いとして、夜の学校に忍び込む事になります。
要するに、友人のお目当ての女の子である所の恵が、「怖いモノ好き」なんですな。それで、肝試しを口実にチャンスを作ろうとしていて、そのとばっちりを食らったのが主人公という訳です。しかし、主人公にも幼なじみの可奈という女の子がいて、彼女を含め、都合四人で肝試しをしていく、というのが大まかな流れ。

で、「学校七不思議」ですから、当然七つ、怖い話があるわけですよ。
その七不思議スポットを肝試しとして回っていく事に。主人公と可奈は、二人の雰囲気を盛り上げたり、怖い演出をしたりする為、こっそり後を付いて回っている、という。
そして、その怪談スポットにて、「どんないわれがあるのか?」という、言わば「怪談の本体」を確認していく、という感じで前半は進んでいきます。

そうしたシチュエーションはゲーム的にもたまーに見かけたりするような気がするのですが、本作の凄い所はその「七不思議」の一つ一つのクオリティの高さです。
兎に角、怖い。この一言に尽きるわけですけれども、今、私が例によって刀の鞘を払って抜き身のそれを傍らに置いている事からも、その怖さを察して下さい……w

ともあれ、七不思議としての定番の場所を、怪談の舞台としていながら、物語の中で語られる物語、その一つ一つの怖さは半端じゃありません。しかも徐々に怖さを増してくるので、物語の中にグイグイと引き込まれます。
体育倉庫の怪から始まり、人体模型、女子トイレ、13番目の階段、覗く女の怪異と、沢山の怪談が物語内物語として語られるのでした。当然、全部で七つ、なんですけれどもね。

個人的に怖かったのは、体育倉庫、人体模型、覗く女ですかねぇ。
敢えてベストを選べば覗く女になります。この手の「口裂け女」的な話、本当に私の「怖さのツボ」をガシガシと刺激してくれます。この辺りになると、一枚絵で怖いイラストが表示されるようになったりして(それまでは写真素材がメインです)、そのイラストとの相乗効果で、一瞬気絶しそうになりましたw 本当に心臓の弱い方は注意して下さいよ。
トータルで考えると1時間くらいのプレイ時間なのに、その密度っていうのかな? そういうものは凄く高かった気がします。やはり、ホラー作品として、肝心の怖さがしっかりしているから、そのように感じるのでしょう。

そうそう、例の音楽室のピアノの怪異なんかもありました。
BGMはベートーヴェンの『月光』だったりするわけですがw

ここいらで、いつものように脱線しましょう。
音楽が怪異と結びつけられる、というのは、凄く感覚的に、なんですが私には分かるような気がします。
やっぱり良い音楽は心というか精神的な面で惹きつけられますし、ある種の怖さみたいなものを感じる事もあります。
昔、アーサー・C・クラークの短編で、確か『Ultimate Melody』というタイトルの小説がありました。
これも音楽の「怖さ」の側面にスポットを当てたSF小説でしたね。

どういう話かってのをかいつまんで話すと、ヒット曲には、何か人を惹きつける要素、人の脳みそに作用するようなそういうものがあるのではないか、と考えた科学者が、様々な音のパターンを自動で生成する機械を発明します。
その機械は、何と「学習」する機械でして、究極のヒット曲とも云うべき、人間を完全に虜にするメロディを紡ごうと日々駆動するわけです。
で、ある日、その科学者の元に誰かが尋ねてみると、その科学者は植物人間になっていた、とそういう話。
つまり、機械は「究極のメロディ」を発見して、それを聞いた科学者は、脳みそがそのメロディに支配されて、植物人間になってしまった、という事です。その科学者の脳死(?)の第一発見者は、すっげぇ音痴だったから「究極のメロディ」もなににかはせむ、という感じで被害を受けなかったというオチも付いています。
名作『白鹿亭奇譚』に入っていた短編でした。

まぁ、そんな風に優れた音楽っていうのは、美しさとか心地よさとかと同時に怖さみたいなものも感じさせるのではないか、と思ったりしているのですよ。素晴らしい曲を聴いて鳥肌が立つとか、そういう経験、きっと一度や二度誰しもあるんじゃないでしょうか? で、その音の凄さにちょっとだけ怖くなったりとか。

久々のレビューで、しかもアルコールが入ってますから(今日は『白笹つづみ』というお酒です。モーツァルトを聴かせて作っている日本酒。少しだけ話がリンクしましたねw)、いつもより饒舌になってますが、話を戻しましょう。

兎にも角にも、そんな具合で、学校の七不思議という事で、様々な怖い話が語られていき、最終的には、「実際に」怪異が起きてしまいます。妖怪? 或いは幽霊? 的なものに襲われる主人公達。
で、「それをどう切り抜けるのか?」が後半のパートかと思いきや、ラストの辺りで、何だかテイストが一気に伝奇っぽくなってしまいました。そこらへんの事情は本編プレイ後に読める後書きに書かれていたりするのですが、私はちょっと違和感を感じてしまいましたね……。

何て云うか、前半までの珠玉の怖さをもった七不思議と、ラストがあまりリンクしないと云いましょうか、ラストだけ別のテイストの作品になってしまっているというか。
正直、少しだけ「ありゃりゃ?」となってしまったのは事実です。折角の超絶な怖さが、云ってしまえば割とありがちな伝奇っぽい所に落ちてしまったので、肩透かしが多少……ね。
先に引用した本作のストーリーを見ても、「七不思議」という所が、作品のキモなんですが、そっちの方向で上手く纏められたら個人的には一番良かったのかな、と。
そこがやはり一番気になった点でした。他にはコミックメーカー製なので、少しバックログが見られないとか、セーブ/ロードがスムーズでないとか、そういう部分もあるのですが、まぁ、それは一本道且つ1時間くらいの作品ですから。
ラストがもう少し前半部の怖さと直接的にリンクするようなものだったら、きっと、吟醸(或いは大吟醸)を付けていたんじゃないかなぁ? プレイしながら「これは怖さの究極だぜ……怖いものフリークには超お勧め!」と思っていたので。。
とはいへ、ちゃんと作品の八割くらいはホラーとしてかなりの水準に達している、超怖い話が展開されるので、全体で見るとかなり満足出来るものになっているのではないかと思います。音楽なんかは定番のものが多く使われているのに、これだけの怖さが演出出来るというのは、凄いですよね。


色々と書きましたが、ラスト部分はともかく、ホラー作品がお好きな方には是非プレイして頂きたい作品だと思います。夜中にプレイすれば怖さ倍増です……。
これから暑い日が続きますが、一足先に、ノベルゲームで肝試し、というのもオツなものですよ。

それでは、また。


/*  そういえば、最近、少し私自身怒ったり、落ち込んだりとしていたのですが、久々に本作でノベルゲームの面白さ、楽しさに触れて、気分が晴れました。結構、私にとってサウンドノベル/ノベルゲームってのは精神安定剤みたいになってるんだなぁ、と改めて思いましたよ。 */
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by s-kuzumi | 2009-07-08 02:23 | サウンドノベル | Comments(2)