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久住女中本舗

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2008年 12月 24日

フリーサウンドノベルレビュー 『今宵サンタは街角で。』

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今日の副題 「一人で過ごすクリスマスにも」

※吟醸
ジャンル:クリスマス短編ノベル集(?)
プレイ時間:一時間くらい
その他:選択肢なし、一本道。
システム:NScripter

制作年:2008/12/10
容量(圧縮時):28.9MB




道玄斎です、こんばんは。
今日はクリスマスイブ。これを今日読んで下さっている皆さんは、お一人で過ごされているのでしょうか? 私と一緒ですねw
さてさて、今日はとってもタイムリーな作品を。短編集なので取っつきやすいですし、お作りになっている方も定評のあるあのお方。
というわけで、今回は「Fly me to the sky!」さんの『今宵サンタは街角で。』です。
良かった点

・丁寧な描写。良い雰囲気がじっくりと味わえる。

・オムニバス的な要素もあって、凝っている。


気になった点

・私にも、こんなちょっと良いクリスマス、送れたらいいなぁ……w 羨ましいぜ……w

ストーリーはサイトの方を参照して見て下さい。こちらからどうぞ。


というわけで、クリスマス企画のノベルゲームです。
いや、また今年もこの日がやってきましたねぇ……。私ですか? 先にもいいましたけれども、普通に一人で過ごしていますよ? 先ほど日本酒を入手したので、今日はお酒を呑んでグデングデンになる予定。しかも、明日は歯医者に行ったりするわけで(その後、やけ酒呑みだ)、全く色気の無いクリスマスイブ、クリスマスを過ごす事になっています。

さて、そんなちょっと殺伐とした気分だったのですが、本作をプレイしてみると、殺伐さが抑えられ何だかほんわかするような、そんな優しい魅力に満ちた作品でした。
ちなみにイラストは付いていません。背景・テキスト・音楽のみの或る意味でとってもシンプルな作品。だけれども、テキストライティングは流石の一言です。

所謂ギャルゲ的な文章とは違って、もっと一言一言がじんわりと染み渡っていくような、とても巧みな文章ですね。どちらかというと小説に近い感じでしょうか?
しかも描写が丁寧なんですよ。これはやっぱりノベルゲームが「ノベル」である以上、テキストというのは最重要要素なわけで、そこの根幹がしっかりしているからこそ、本作も素敵な作品になっていたのではないかと思います。

先日「絵が見える音」とか、まぁ、そんな話をしましたけれども、本作はイラストが無くても「絵が見えるテキスト」になっているように感じました。
丁寧でリアリティのある描写によって、頭の中にイメージが鮮明に描ける感じ。特に第二話目の女の子がマフラーを巻いて塾から出てくる所なんて、絵を幻視してしまうというか、凄くいい感じです。こういう作品だと却って絵がついていない方が、自由に「自分の理想」を描けるので向いているような気も……。


さて、最初に少し話しましたが、オムニバスっぽい要素もあります。
第一話にちらっと登場してくる人物が第二話の主人公に、そして第二話でのちょい役(本当にちょい役w)が第三話の主人公に、という形で、全四話が微妙に繋がり合っていました。
勿論、第四話が第一話と繋がってくるので、一つの円(縁?)を描いているような、そういう構造。

以下、軽く、各お話について例によってコメントを入れていきましょう。

先ずは第一話。40絡みのオッサンが主役。
オッサンと娘のなんてことないクリスマスイブを描いた作品です。けれども、娘が「サンタクロースってほんとうにいるの?」と、無邪気にして深淵な問題を父親に問い掛けるという。
敢えて結論部分は伏せますけれども、とっても良い雰囲気で、恋愛とかではないけれども、じんわりとくるような優しいストーリーが魅力。ちなみにクリア語の後書きで、この「サンタクロースは実在するのか?」という問題を、アメリカの八歳の女の子が新聞に投書して記者が答える、というお話を知りました。
wikipediaで見ることが出来るのですけれども、アメリカってのはこういう所が凄いですよねぇ。新聞記者がこういう問い掛けに対して、凄くマジメに、そして真摯に解答しています。しかも上司が指示してちゃんと返事を書かせたっていうんだから、大したもんです。
こういうのって中々日本じゃ、お目にかかれませんからねぇ……。


さて、第二話。
これは中学生の淡い恋愛を描いた、ちょっといい雰囲気の作品。
クリスマス企画のノベル、と聞いてまっさきにイメージするような感じでしょうか? けれども、お互いがお互いの気持ちを確かめ合って、恋人になる、というようなものでもなく、恋人への階梯を一歩踏み出したというくらいの、淡くそして甘酸っぱい作品。何しろ、まだ携帯電話の番号すら交換していない二人なのですから!!

主人公の男の子のちょっとヘタレた所とかもリアリティがありますし、これも先ほど述べましたけれども、女の子のさりげない仕草がとっても素敵。


第三話は、ちょっと共感指数が高い感じですね。
彼女が居ない大学生のお話。私同様にやけ酒を飲んで、くだを巻いている所に同じゼミの女の子がやってきて……。
って書くと、この二人の恋愛譚が進行しそうですけれども、そうじゃないんですよねぇ。そこが本作の良い所。少しだけ角度を変えて見てみると、クリスマスって中々いいじゃない? って思えるようなそんな作品でしょうかね。

第四話はラストをシメるのに相応しい作品でした。
私は嫉妬しまくってしまって、読んでいて「痛い! 痛い!」と叫びながらプレイしましたw
大人の恋愛を描いた作品です。勿論、主人公は彼女持ち。で、その彼女がとっても素敵なんですよねぇ……。風邪を引いた主人公の為にご飯を作りにきてくれたり、少し地味で眼鏡を掛けてるなんて病者で語られる彼女は当然、私の直球の好みだったりするわけですが。。


短編ですから、あんまりネタバレをせずに、是非是非ご自身でプレイしてその結末を確かめてみて下さい。
全体を総括すると、クリスマスイブ/クリスマスという日に焦点を当てているのですけれども、その日だけ奇跡が起きるとか、そういう刹那的な感じではなくて、クリスマスを一つのきっかけにしながら、その先が微かに見えるようなストーリーの展開で、素敵な作品集になっていたのではないかと思います。

クリスマスイブ/クリスマスを誰かと過ごす人も、一人で過ごす人も是非プレイしてみて下さい。優しい気持ちになれる事請け合いです。

で、明日暇な人が居たら、新宿南口に午後七時に集合w
やけ酒呑もうぜ!! 詳しくはkazenitsurenaki あっとまーく gmail.com まで。

by s-kuzumi | 2008-12-24 17:37 | サウンドノベル | Comments(2)
Commented by Low at 2013-12-04 13:03 x
「そうか オムニバスというのか。」

こんにちは くずみさん。

あのような 構成を なんと呼ぶのか 忘れてました。

「このような構成好きです。なんと言いましたっけ?」というような こと あいはらさんのとこに書いたような記憶が・・・



ああ やはり 思うこと 感じることは 同じですね~ 。レビュー読みながら ’うんうん’ と 頷いてました。



三歩歩いて忘れる鳥なので 内容けっこう忘れてます。
また 新鮮な気持ちで イブに読み直ししようかな~・・・・・・(イブに予定なんかないもん!!      しくしく



ところで 呼びやすいので(書きやすいか) くずみさんと お呼びしてますが ・・・・ 道玄斎さんのほうがいいのでしょうか。    イメージが沸かないなあ・・・・・ ^^;
Commented by s-kuzumi at 2013-12-05 21:11
>>Lowさん

こんばんは。
私も良く、言葉が出てこない事ありますよw 今日は「プロローグ」と「エピローグ」が出てきませんでしたw

そして、私もプレイした作品、結構内容忘れてしまいます。何度かプレイし直したりする作品もあったりしますが、そういう作品は、ちょっと自分にとって特別な作品ですねー。

あっ、呼び名はお好きにだうぞ。
道玄斎、っていうのが、一番しっくりはきますけどもねw
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