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久住女中本舗

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2009年 01月 20日

なんてことない日々之雑記vol.167

道玄斎です、こんばんは。
今日は夕飯の後に少し眠ってしまって、先ほど起きたらゲームをする気力がなくてw
で、たまには頭を使うのも悪くあるまい、と今年度センター試験の古文の問題でも解いてみようかな、と。



■そんなわけで、21年度センター試験を解いてみた。

今、某予備校のサイトから問題を閲覧して、紙に書いて自分で採点してみました。
古文だけなら、まだまだ私も捨てたもんじゃないですねぇ。

んなわけで、つらつら解説モドキを。

先ず、出題は『一本菊』から。
多分、あまり聞いたことのない物語だと思います。今、私も自分の書庫をちらっと見てきたのですけれども、直ぐにはそいつが載った本を見つける事が出来ませんでした。
いや、名前自体は知っています。
……っと。こいつの名前が載っている本を見つけましたよ? 『散逸した物語世界と物語史』という本です。ああ、そうだ、『あだなみ』という今は無くなってしまって名前だけ伝わっている物語があって、その改作版がこの『一本菊』でした。

昔、読んだ気がしないでもないのですが、今回の問題を見てみた所、さっぱり記憶にありませんでしたw まぁ、兎も角継子譚的な物語みたいです。
ともあれ、室町時代の改作物語ですから、かなり読みやすいのではないかと思います。今回の問題も、物語の真ん中あたりをぶつっと切って持ってきたものではなくて、かなり最初の冒頭部でしょう。今、その『一本菊』の本文が載っているものが手元にないのでアレなんですけれども、まあ、恐らく、本当に物語の発端ってのは、ここに出てくる兵部卿宮の親父とかお袋さんとか、そういう人の話が出てきて、兵部卿宮の出自を明らかにするとか、兵部卿宮は当代随一のいい男だ、とかそういう説明的な文章になっているハズ。
試験の範囲は、その説明的な文章が終わって、いよいよ物語がスタートするって所だと思います。これは蛇足ですな。


■問1

さて、問1の、21~23ですが、単純に単語の知識があったり、それなりにちゃんと文章が追えていれば問題なく解けるハズです。

21で間違えた人はそんなにいないでせう。「あはれ」は「嗚呼……」です。で「~ばや」は「~したい」ですから、「ああ、逢いたいなぁ」で、3番が正解。

22も「なべてならぬ」が「並大抵でない」「並一通り」でない、という意味が分かっていれば、問題なく1番を選べます。

23は、問題文をちゃんと読めていれば分かります。兵部卿宮が手紙を送って、そいつを兄貴の兵衛佐が読んだわけですね。んで「この筆跡は兵部卿宮様じゃん!」とw でもって、「どうして妹の事を?」といぶかしがるわけです。というか、この「いかにして~」の文章って、んもう定番中の定番ですよね。王朝人を描くような物語作品には必ずといって良い程出てくる、「お決まりの文章」ってヤツです。
という事で、答えは4。



■問2

24ですが、敬語の問題です。
単純に敬語が分かるかどうか、それだけ。というわけで4番が正解。



■問3

25ですね。これは和歌でした。
これは難しいかも。どれもこれも尤もらしい事が書いてあって、中々答えが絞れない。
けれども、ちゃんと通読出来た人なら「これは確実に正しい」というものをいくつか選ぶ事は可能です。そうやって消去法で或る程度絞ってやれば正答率を上げる事が可能。

んで、3の文章の後半「序詞」になっている、という所が何だか怪しいですな。序詞って結構難しくて、上手く説明が出来ないのだけれども、「同音を重ねてある単語を導き出す」とか、「意味的に繋がる文章で、次の言葉を導き出す」とかそういうモノ。けれども、序詞自体には意味ってないんですわ。飽くまで大事なのは序詞によって導き出される言葉です。

よく解説書の類を見ると、一回的に使われる枕詞のようなもの、とか書いてあります。
枕詞ってのも、その言葉それ自体には意味がないですよね。けれども、枕詞は「ぬばたまの」ときたら「黒」とか「夜」とか、「たらちねの」ときたら「母」とか、導き出される単語が常に一定のものです。
一方、序詞は、その和歌を詠む人間が、一回的に都度、ある言葉を導きだす為に「枕詞的」にフレーズを作り出す、というわけです。だから、「たらちねの」=「母」とか、そういう定型的なものではないのですな。

そんなわけで、問題に戻ると、3は、前半部の「逢坂」を越えるが「逢う」の比喩になっている、というのは正しい気がしますが、後半部の「逢うの序詞になっている」というのは何だかオカシイ気がします。和歌を軽く訳してみると「貴女に逢う方法は分からないけれども、今はなんとしても逢いたいと思っています」くらいになるハズです。
とすると、ちゃんと「逢坂の関」以前の文章には意味が存在していますし、逢坂の関を導く言葉、というのでも無い。とすると、これが「序詞」であるのは誤り、という事になり正解は3番。

これで3番以外は「正しい説明」である事が分かったわけで、1、2、4、5番の説明は文章読解に利用出来ますね。

余談ですが、序詞って高校生の時にやりましたっけ??
かるーく説明があったように思いますけれども、結局、私が何となく「序詞ってこういうもんかぁ」と分かったのは大学入って『○○和歌集』みたいのを解説と一緒にあれこれ読んでからです。
ちなみに、某大学の博士課程の人間の中には「序詞」は愚か「掛詞」や「枕詞」も良く分かっていない人がいたりしましたw 私もあんまり人の事言えませんけれどもw
ただ、現代語訳がなければ、全く読めない、なんて人もおりまして、流石にそれはマズイだろう? と思った記憶が。



■問4

次の26ですが、これは文章読解の問題。
ちゃんと内容を追えていれば問題なく正解出来ます。というわけで正解は2番。
ちなみに3番にしちゃうと、微妙にBLっぽい香りが漂ってきますよw

この手の問題も、「こんな事は書いてねぇよ」というものを探し出して消去していくやり方が有効です。とはいへ、紛らわしい選択肢があるわけでもないので、わりとすんなりいけるのではないかと。



■問5

27ですが、これもちゃんと問題文の全体が掴めたかどうか、それだけです。
で、1番目の文章を読んだら「あれ? これで合ってねぇ?」と思ったのでさっくり1でw

一応、他の選択肢についても検討しておきましょう。
2ですが、「遊び心で逢おう」としているなんてどこにも書いてませんからバツ。3は兵衛佐は一度も兵部卿宮に「妹に逢ってくれ」と頼んでいないので、これもバツ。4は垣間見した場面なんて出てきてませんから(寧ろ、この後覗きにいこうぜ、って話ですね)これもバツ。5は「同情して援助してやろう」なんて兵部卿宮は思ってませんし、いじわるな返事も何も、出した手紙の返事一度も貰えていません。よってバツ。



■問6

さて、ラストの28です。
これも文章全体が掴めたかどうか。
ただ、どれもこれもそうですけれども、文章全体が「完璧に読めた」かどうかではないんですよね。何となくでもちゃんと全体像を把握出来ていれば解けてしまいます。一文一文をしっかり100%理解している必要はないわけです。

で、それなりに文章が掴めていれば、2~4は間違いだとすぐに分かるはずです。
問題は1と5番。これは微妙に内容的にも重なっています。
ただ、文章を読んでいくと、兵衛佐は「親父やお袋がいたならば、今までこんな生活はしていないはず」と言っています。で、他にも「(妹が兵部卿宮から好意を持たれている事が)理想的で良い事だ」、「おめぇら(女房達)、(妹に)返事を書かせるように勧めとけよ」と言ってるんですね。

なんだけれども、「今は、女御、后の位~」という文章がありまして、そこが1と5の選択肢を紛らわしくしています。一番単純に考えるならば、「今は」という言葉があるわけで、1の文章を読むと「元々女御になるハズだったが」というような事が書いてあります。
「今は、女御」云々言っているのに、「元々女御になるハズだった」とはオカシイですね。それに「入内が決定していた」なんてどこにも書いてません。

というわけで5が正解。



■雑感

というわけで、やってみました。
結構面白かったです。個人的にこのくらいの時期の作品は読みやすくて好みですね。
どうも、予備校のデータを見てみると昨年度よりも難しくなっているようです。気になったので昨年のものを見てみると、江戸時代でしょ、アレ……。寧ろ凄い難しいよ。

大体、今年の問題のような物語って、パターンがあって、そのパターンを知っていれば自ずと文章の内容を把握する事が可能だったりします。『一本菊』は継子譚だって事で、もう内容が推測出来るというw

今、敢えて解説書とか読まずに予想してみますけれども、恐らく、この文章の続きにて、兵部卿宮は姫君の寝所に押し入って、強引に契りを結ぶハズです。んでもって、情を交わしたという事で、姫君の態度も軟化して、結構いい雰囲気になる。
けれども、妊娠が発覚するとか、一悶着があって兵部卿宮が知らない間に、どこかに姫君は姿を隠す事を余儀なくされる。兵部卿宮号泣。
だけれども、神様の導きとかがあって、二人は再開し、今度は幸せに暮らす。んでもって継母(こいつは大抵意地悪だって相場が決まっている。勿論、姫君も大なり小なり虐められているw)にそれなりに復讐して、大団円。

とか、まぁそんな感じですよ。きっと。細部は違うだろうけれども。
ただ、姫君には父母が既にしていないので、継母ってのは存在しないわけですよねぇ。
となると、兵部卿宮の母親が、彼女を虐めるのかな? もしかしたら一度、ちゃんと兵部卿宮が姫君を引き取ろうとしたものの、自身の母親が妨害したり、とかかなぁ?

確か、数年前に、『兵部卿物語』ってのがセンター試験で出題されて、高校の先生をやってる知り合いが「解いてみなよ」って持ってきてくれたのを思い出しました。
大体、『兵部卿物語』とかも、今言った「パターン」で分かってしまうタイプの物語。もしかすると、鎌倉・室町あたりの王朝風の物語を何本か読んでおくと(一本一本は短いものが多いのです)、王朝風の出題が今後なされた時に役に立つのかも。

こういうパターンってさ、例えば、毎日遅刻ギリギリの高校生の男の子が居て、そいつがいつものように遅刻ギリギリでダッシュしていると、曲がり角で女の子にぶつかって、倒れて、ついでにその女の子のパンツか何かみちゃって、殴られたりして、「なんだよ、朝からついてないぜ」とかボヤキながら教室に行くと、情報通の悪友が「おい、転校生が来るんだってよ」とか何とか言って、更にその転校生ってヤツがまさに朝ぶつかったヤツで……みたいなもんですw
だから、パターンを覚えておくって結構役に立つでしょ? っていう(立つのか?w)。

作品自体も面白いし、中々の問題だったのでは?
って、自分が受験するわけじゃないから、テキトーな事を言ってますがw

そうそう、この出題範囲、ちょっとアレだよねぇ?
だって、最後の辺りで常磐なる随身みたいなヤツが「もうこうなったら、こっそり家の中に入っちまいましょうよ」とか言ってるわけでw 最初は適当な隠れ場所からこっそりお目当ての女の子を覗くハズだけれども、我慢しきれずに襲ってしまう、というのがパターンなので、ちょっと教育上どうよ? という気がしないでもないw


ともかく、今受験まっさかりの方が、こんな所を覗いているとは思えないけれども、もし、いらしたら、ホント頑張って下さい。大切なのは最後まで諦めない事。


というわけで、久々に頭を使ったので眠くなりました。
時間も結構経ってますねぇ。
というわけで、今日はこのへんで。

それでは、また。


※追記

今、ちょっと自分の解答というか解説が心配になって、ちょいと調べてみたら、問3の和歌の問題であれを序詞と解説している、どっかの塾だかのブログがありました。
正解の番号は書いてなかったのですが、私、合ってる……よ……ねぇ……?w あれは序詞じゃない、よ、ねぇ……?

by s-kuzumi | 2009-01-20 02:25 | 日々之雑記 | Comments(0)
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