2009年 02月 08日
今日の副題 「こんな学校に通ってみたい!?」 ※吟醸 ジャンル:教員ドタバタアドベンチャー(?) プレイ時間:一回、3時間半くらい。 その他:選択肢アリ。バッドエンドはない? システム:Live Maker 制作年:2008/11/3 容量(圧縮時):148 MB 道玄斎です、こんばんは。 少し忙しくて、ここの所ゲームが出来ずにいたのですが、お休みという事で、ちょくちょくプレイしていたゲームをプレイ。 教員モノという、たまに目にするタイプの作品ではあるのですが、結構面白かったので、ご紹介。というわけで、今回は「Play&Pray」さんの『学園カリキュラム』です。 良かった点 大体、こんな所でしょうか? プレイ時間は結構長目の三時間半くらい掛かるのですが、一話一話のテンポも良く、割とサクサクとプレイしていく事が可能です。 さて、ストーリーは、サイトの紹介ページにリンクを張っておきましょう。こちらからどうぞ。 というわけで、久々に長目の作品のプレイ。 紹介文を見て頂ければ分かるように、所謂ニートがひょんな事から自由な事で有名な凌蘭学園にて、教鞭を執るようになります。 キャラ紹介のページも併せて見て貰うと良く分かるのですが、登場キャラは20名以上。 メインというか、ちょくちょく顔を出すキャラが20人で、プラスアルファで何人か出てくる、といった趣。 これだけキャラが多いと識別というか、どれが誰だか分からなくなってしまいそうですが、意外と大丈夫でしたよ。生徒の名前がややこしくて名前だけ見たら分からないかもしれませんが、ちゃんと立ち絵もあるので、視覚的に認識・識別が可能。 プレイのスタイルとしては、ひょんな事で歴史科の教員となった元ニートの青年の視点から物語を一話、二話と読み進めていくタイプ。ちゃんと一話毎に区切りがあり、且つ全部で15話くらいあったハズなので、かなりテンポ良く読み進めていけるハズです。 途中途中にある選択肢で、微妙にストーリーが分岐しますが、個別のルートに入るとか、ルート毎にエンドが異なるとか、そういうタイプではないみたい。 一応、恋愛的な要素があって、選択肢次第で、ヒロインとなる女性との絡みがちらっと出てきたりと、まぁ、味付け程度といった感じかも。 迎えたエンドにより、オマケ的な要素が開放されていきますが、ストーリーそのものとはあまり関係がない感じ。好きな選択肢を気軽に選んで楽しめばいい。そういう印象でした。 最初は、不条理っぽいギャグが連発されて、「うーん……」という感じだったのですが、不条理ギャグ型のドタバタ学園生活が描写されるその合間合間に、結構シリアスなストーリーが展開されており、そのバランス感覚が良かったですね。 単純なドタバタだけだと、こちらも疲れてしまうし、時としてストーリーの良さなんかも阻害してしまったりするわけですが、本当に良いタイミングでシリアスなストーリーが挟まれているので、こちらものめり込んでプレイ出来ました。 このシリアス展開に関連して、脇役キャラの活躍が良かったですね。 特に、フリーダム過ぎる校長先生の意外な過去や、いい加減な言動の裏に隠された苦労とか、彼の教育に対する信念や想い、そうしたものがシリアスストーリーにてお披露目されるので、キャラクターの厚みや、ストーリーそのものの厚みも増している印象。 単純なドタバタ劇よりも、随所随所に、こうしてバックグラウンドを提示してやると、普段のおちゃらけに対する明確な理由付けになりますし(舞台の自由すぎる学園の理由付けにもなっている)、作品自体に一本芯が通るというか、ね。 この校長が、本作に於ける名脇役の称号を受けるに相応しい男で、私はかなり気に入りましたよ? ちなみにスクリーンショットは、「職員室」で、写っている立ち絵は全て「教員」ですw 見て頂ければ分かるように、かなり強烈な個性を持つ教員達……。 何故かツナギを着ている外国語教諭、飛び級により生徒と同じくらいの年齢のくせに教員をやっている国語科教諭、くわえ煙草の美術家教諭など、ちょっとアレな面々が教鞭を執る怪しい学校ですw ただの変人ばっかり、ってわけでもなくて、萌え的な要素も確保されてますよ。幼なじみの化学科教諭とか、先にも話しましたが、飛び級の国語科教諭とかね。 個人的には、やっぱり飛び級の冴ちゃんが一番好き、かなぁ?? オーソドックスといえばオーソドックスだけれども、やっぱりこの手合いに私は弱いですなぁw 変な人で云えば、教科担当でない、養護教諭とかも相当キてますw 養護教諭なのに、「死恐怖症」で、吐血ばかりしている人とか、全身タイツの「峰不二代」なる用務員のおばちゃんとかw どうしようもなく怪しい感じで(ヴィジュアル的には最も怪しい、最怪です)、尚かつ結構物語の核心に近い所に位置していそうな、図書館司書のガローズとヴィシャスも私は結構好き。 まぁ、こんな面々が自由過ぎる学校で、やっぱり超個性的な生徒と一緒になって、ドタバタやっていくわけですね。 正直、楽しくて良い学校だと思います。実際、こんな学校があったら教育委員会から何か指導とか入りそうですけれどもw 教師モノは、別に本作や他のノベルゲームに限らず、テレビドラマとかでも人気ですよね。けれども、これって「実際には良い教師が少ない」という事情を逆説的に語っているような気が私にはしています。 どうでしょう? 皆さまは中学校、高校の頃に良い先生に巡り会えましたでしょうか? 今やったら大問題になりそうな、体罰も日常的に行われていましたし、理不尽な事を言い出したりする教師も大勢いましたよ。あっ、ちなみに私は中学は公立、高校は私立です。 特に、中学校の時が酷かったですねぇ。何故か音楽の教師とか、主要五教科以外の教師にロクなのが居なかった気がw 未だに忘れる事が出来ないエピソードがあるので、脱線しますが、披露しませう。 あれは、私が中学三年の時だったと思います。卒業式の予行練習とかやっていたから、きっと1月とか2月とか、そういう時期だったんでしょう。 全校生徒が集まって、卒業式の練習を本番さながらにやっていくわけですね。で、式の合間合間に「合唱」があったんです。『巣立ちの歌』って曲がありまして、それは我々三年生が歌う事になっていました。そりゃそうよね、まだ卒業しない一年生、二年生が『巣立ちの歌』を歌うのは変ですからね。 で、音楽教師のピアノの合わせて、みんな「めんどくせぇなぁ」なんて内心で思いながら歌っていたら、ある瞬間、ピタリとピアノの音が鳴りやみました。一応言っておきますが、曲が終わったとかじゃないですよ? で、ピアノが止まって、次に聞こえてきた音は「ダッダッダッ!」ってな謎の音。「何だ何だ?」と俄にざわざわする私たち。音の聞こえる方を見てみると、鬼のような形相で音楽教師がこっちにダッシュしてくるではありませんか。 そして、私が整列していた列の横の列。その後ろの方にいた生徒の前まで、音楽教師は走って行き、助走により十分に蓄えられたエネルギーをビンタ(もしかすっとパンチだったかも)という形で開放しました。 「ボキッ!」という音が静寂に包まれた体育館に響き渡ります。 吹っ飛ばされる生徒。 吹っ飛んだ時には、既に血を噴いてましたから、相当なパワーでぶん殴った事、想像に難くありません。 多分……時間にして5秒くらいでしょうか? 完全に体育館に沈黙が。その後弾かれたように駆け寄る他の教員達……。 後で分かった事ですが、ぶっ飛ばされた生徒は『巣立ちの歌』を『朝立ちの歌』と、ギャグで言い換えて、友達と笑っていたんだそうな。それにしても、壇上のピアノを弾きながら、どうやって小声で話しているのを聞きつけたのか(かなり近い位置に居た私も全く聞こえていませんでした)……。 いや、まぁ、ギャグのセンスとか、そういうのはさておき、ぶん殴って鼻血を出させる程の事じゃねぇよなぁ、と今でも思いますよ。 その教師は、兎に角「音楽」とか、「歌」とかそういうのが、少しでも笑いのネタにされると、異常なまでに怒るんですな。けれども、所謂クラシックの中にもギャグセンス溢れるものってのもありますよね。ベートーヴェンとか『無くした小銭への怒り』とかw モーツァルトだって下ネタ好きだしね。 っと、また大幅に本題からづれてしまいました。 兎も角、少なくとも私の実体験に照らしてみてみると、中学・高校の時ってロクな先生がいませんでした。だから、本作で描かれる、異常なまでにフリーダムで破天荒だけれども、良い先生が揃っているこの学校はとっても魅力的に映ります。 勿論、後半からは、主人公の過去や、「何故、教員免許を持っていたのか」といった主人公に焦点を当てたストーリーになっていくのですが、それまでに、そしてその中に「教師とは?」「良い学校とは?」といった教師モノならではの視点や見解を絡めたエピソードが描かれており、とっても良い感じです。 さて、一方で気になった点ですが、先ずシステム的な問題を挙げることが出来ます。 これは、作者様のサイトのBBSでも話題になっていたのですが、「どのルートをクリアしたのかが分からない」という問題、そして「エンドロールが二回目以降スキップ出来ない」という問題です。 作者様の回答を見ると、「全てのルートを制覇する」というやり込み指向、というよりは、好きな選択肢で楽しんでプレイする、というのが本作のスタイルであると思しいわけで、そんなに気にならないのですが、やっぱり「見たエンドによって、開放されるオマケ」があるわけで、エンディングリストがあるとベターかな、と。 で、まぁ、どのルートを進んでも作品の骨子は変わらないのですが、一応、私も四回か五回くらいは、あれこれ選択肢を試してプレイしてみました。それで、最後の最後、所謂エンドロールで、二回目以降エンドロールの部分をスキップ出来ないんですよね。それも結構な長さがあるから、ちょっとイライラ。 この辺りが、システム的な面で気になった点。 もう一点は、「整合性」の問題です。 これは、単純にバグの問題で、最新のヴァージョンでは解消されていたのですが、それでも気になった部分は、後半のシナリオで一端例の「峰不二代」が学校を去るわけですが、その後、何食わぬ顔をして、シナリオに出ていたりして、「ありゃりゃ?」と。 更にこの「峰不二代」絡みのシナリオは、何だかちょっと浮いているというか、結末部分が示されていないわけで、その辺りも気になる所。消化不良で言えば、ガローズとヴィシャスの怪しい二人組もねぇ、なんか謎だけ残して去るみたいな部分があったりしてw あー、そうそう。 本作、結構容量が大きいんですが、恐らく、この容量の大部分は「オマケ」の作者様達による「音声による座談会」のせいと思しいですw これは聞いても聞かなくても、といった感じでしょうか? 大体、こんな所かな? 途中でまたドハデに脱線してしまいましたが。。 ともあれ、ギャグとシリアスが丁度良い具合に折り混ざっていて、単純な楽しさに加え、一本筋の通ったストーリーになっていたんじゃないかな、と思います。 シリアスを演出してくれる脇役の存在感もありますし、枝葉末節を取っ払った部分での完成度は高いんじゃないかと。 きっと、実際にはこんな和気藹々として楽しい学校はないだろうし、教師同士がこんなに中がよい学校もないとは思うのですが(知り合いに教師が多いから、結構事情には詳しかったりします)、だからこそ、ノベルゲーム/サウンドノベルとしての楽しさや、面白さが演出出来ていた部分もあるように思えます。 学生生活に良い思い出が無い方も、充実した学生生活を送った方も、是非プレイしてみて下さい。 それでは、また。
by s-kuzumi
| 2009-02-08 19:45
| サウンドノベル
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