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久住女中本舗

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2009年 03月 24日

フリーサウンドノベルレビュー 『1980円の君~I am a software.~』

フリーサウンドノベルレビュー 『1980円の君~I am a software.~』_b0110969_23453039.jpg

今日の副題 「実は純愛ストーリー」

ジャンル:ウィルス対策ソフト擬人化サウンドノベル(サイトより)
プレイ時間:1時間ちょい。
その他:選択肢なし、一本道。本レビューはNon-Voice版にてプレイ。
システム:Live Maker

制作年:2009/?/?
容量(圧縮時):42.5MB


道玄斎です、こんばんは。
今日はちょっとアルコールが入っています。長野県のお酒「翠露」というヤツです。
やっぱり、私は長野の酒が好きみたいですねぇ……。そっちのDNAが確かに存在している事がそんな所からも分かります。
さて、今回はウイルス対策ソフト擬人化サウンドノベルのご紹介。「擬人化」なんて言葉が付くと、ついつい萌え系か? と構えてしまうのですが、実際プレイしてみるとかなりの純愛路線で大いに楽しませて貰いました。こういう穏やかだけれども、強い愛情、みたいなものを描く作品は、実は貴重。他にもちょっと懐かしのウイルスの名前とか、パーソナルコンピュータの歴史、或いはプログラミングのお話とかね。
というわけで、今回は「Physics/Games」さんの『1980円の君』です。
良かった点

・穏やかで、力強い純愛ストーリー。最近、この手のものが少なくなってきているように思える。

・ちょっとした、パソコンの歴史や、プログラミングなんかも学べる。


気になった点

・もう少し、恵菜に対して恋愛感情を持つようになったきっかけなどの描写が欲しい。

ストーリーですが、サイトの方へリンクを張っておきましょう。
こちらからどうぞ。



というわけで、ウイルス対策ソフトの擬人化作品でした。
最初に書きました通り、擬人化って云っても、萌え路線の擬人化ではなくて、純愛路線の擬人化だったのが、本作の最大の特徴かもしれません。擬人化って云ってますが、実はAIなので、擬人化というとちょっと違うかもな、なんて。
敢えて、似たような雰囲気のものを挙げるとすれば『ちょびっツ』が近いかも。って、ちぃ程、本作のヒロインはぽやぽやしているわけじゃなくて、ナチュラルな感じです。

で、1980円で買ったウイルス対策ソフトを立ち上げたら、女の子が出てきて……という或る意味王道的な展開をするわけですが、どうやら、現実世界を生きる主人公が寝ている時のみ、電脳世界とリンク出来、ウイルス対策ソフトこと、恵菜に会える模様。ただし、恵菜の方は「こちら」に実はいつでもアクセスが出来るという。

最初は、ウイルス対策ソフト擬人化サウンドノベルなんて書いてあったから、美少女が悪いウイルスと戦っていくような、そういうちょっとアクションっぽい感触のものかと思っていたら、全然違いました。
本当に大まかに本作を二つのフェーズで分けてみると、「パソコンやプログラミングに関する豆知識」的な部分と何度も述べている「純愛」的な部分で構成されています。

で、前者の方も結構楽しいんですよ。
懐かしいウイルス名がゾロゾロとw 花火を打ち上げるだけのHappy99とか、hybrisとか。名前は忘れましたけれども、デスクトップを左右反転させるようなウイルスもありましたよね。実際、コンピュータウイルスって定義があって、自己複製をするとか、何項目かあったような気がします。

OSに関しても色々出てきて、懐かしのOS/2とか、伝説のLisaとか(Macintoshの前身ですな)が出てきます。Lisaはなんと画像付き。Macintoshファンは必見でしょう。私は昔、その手の本でちらっと見たっきりだったので、カラーの写真で見るのは初めてでした。
そういえば、音楽はNaGISA netさんのものも使われているようです(Macintoshで思い出しました)。ただ、MIDIで公開なさっている曲の中でどれが使われてたのか、分かりませんでした。もしかするとMIDIに音色を当てていて、それ故に分かりにくくなっていたのかも。

更に我らがFirefoxの日本版公式キャラのフォクすけも登場するというw
この名前、どうにかならなかったのか? とか色々考えるんですけれども、実はこのフォクすけは、名前を公募しておりまして、最終的に選ばれたのがフォクすけだった、というわけです。二年くらい前の話ですかね。かく言う私も公募で名前を送ったりしていたのですが、私のものは箸にも棒にもかからなかったようですw

こんな感じで、ウイルスの名前やコンピュータの簡単な歴史、或いはコンピュータの説明や蘊蓄なんかが詰まっていて、私にはとても楽しめました。作品の後半からはプログラミングが随分出てくるように。
Javaなんですが、人工知能をJAVAで書くって、一般的な事なんでしょうか……? 私は詳しくないので分からないのですが、普通人工知能って云ったらLispじゃないかしら? なーんて考えてみていたら、Javaの汎用性に注目して、の事だったみたいです。Javaで書けばWindowsだろうがMacだろうが、UNIXだろうが(今やMacもBSDの派生ですけれども)動くプログラムが出来上がるわけですな。

初心者がいきなりJavaを学ぶというのは、難しい気もしますが。。
昔、数学の時間にBasicなるものをやらされた記憶があるのですが、んもう、全然ダメダメでした。敢えて云ってしまうとやっぱりプログラミングってある種センスの有無が上達を分ける気がしないでもない。
私は全然出来ません。せいぜいCで書かれたソースをコンパイルしてインストールくらいしか、プログラミング的なものとは関わりを持っていないのです。とかいいつつ、最近はLinuxでも強力なパッケージ管理システムがあるから、もう手動でインストールする機会も殆どなくなりました。ああ、脱線ですね……。


大体、こういうコンピュータに関わる知識的な側面が土台にあって、後半からはプログラムである恵菜と主人公の純愛が描かれる事になります。
恵菜はJavaで書かれており、恵菜それ自体は実はウイルス対策ソフトでもなんでもなく、ただのAIです(ただのAIってのも何か変だなw)。ここらへんは作品のネタバレになってしまうので、ぼかして書きますけれども、そういう事情があって、主人公はJava修得の為に色々勉強して、恵菜を救おうとするんですよね。

この恋愛描写は、静かでありながらも、雰囲気があってかなり好みでした。
きゃぴきゃぴしているわけじゃなく、穏やかで或る意味で力強い愛を感じさせてくれるものとなっています。
最近の恋愛モノは、こういう「穏やかな愛情」があまり描かれない気がしますね。やっぱりちょっと派手な感じのものの方がウケるんでしょうか。
だからこそ、余計に本作の恋愛描写が美しく見えてしまうのかも。
あっ、そういえば、本作のイラスト『オムライスにケチャップを』でお目に掛かったイラストと同じものですね。イラスト担当の方が一緒なのかな? 作品の雰囲気に合った絵柄だったと思います。


さて、一方で気になった点ですが、折角上質の恋愛ストーリーが中盤から展開されるのに、その恋愛の発端部分が実はイマイチ不明瞭だった気がします。プログラムである所の恵菜がマスターたる主人公に愛情を持つというのは自然なものとして受け止められるんですけれども、主人公が恵菜を愛するようになった理由付け、そこが少し弱かったかな、と。
折角、ウイルス対策ソフト、という美味しい設定があるわけですから、そこらへんをもう少し活かしても良かったかもしれません。
例えば、私なら、ですよ? ウイルスで「Love Letter」、俗にラブレターウイルスって呼ばれるものがあります。で、ウイルスとしての「ラブレター」を見て恵菜からのものと勘違いして、どっきり。そんでもって微妙に彼女の事を意識するようになるとか、そこで一騒動あって、恵菜との仲が深まっていくとか、そういう感じにしても良いかも、なんて。今日は妄想爆発ですな。
私の妄想は兎も角、もうちょい、恋愛の「必然性」というか「理由付け」が欲しかったです。そうする事で、それ以降の純愛描写もより響いて来るんじゃないかしら、と愚案する次第。


プレイ時間は大体一時間くらい。
昔からコンピュータに親しんでいる人、穏やかで雰囲気のある恋愛モノを読みたい人は是非プレイしてみて下さい。

それでは、また。

by s-kuzumi | 2009-03-24 23:45 | サウンドノベル | Comments(0)
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