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久住女中本舗

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2009年 04月 20日

フリーサウンドノベルレビュー 『天使仔猫譚 Aprilfool09』

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今日の副題 「上質の短編映画のような作品」

※吟醸
ジャンル:近未来ノスタルジックノベル(readme.txtより)
プレイ時間:20~30分くらい。
その他:選択肢なし、一本道。
システム:吉里吉里/KAG

制作年:2009/04/01
容量(圧縮時):28.5MB




道玄斎です、こんばんは。
ここ数日、色々と取り紛れていて、全然ゲームが出来なかったのですが(や、それでもノベルゲーム関連の事をやってましたよ?)、今日、思い切って気になった作品をプレイしてみました。例のエイプリルフールに企画として公開(そして再公開)された作品のようです。現在ダウンロードは出来なくなっているようです。
というわけで、今回は「シモメマイ」さんの『天使仔猫譚 Aprilfool09』です。
今まで無かった、雰囲気を持った作品で、且つ私の大好きな雰囲気がバリバリに出ていて、滅茶苦茶楽しめました。
良かった点

・独特の雰囲気がたまらない(舞台やキャラ、音楽など)

・上質の短編映画のような、美しく綺麗な構成。


気になった点

・微妙に消化不良な部分も。

ストーリーは作者様のページから引用……といきたいのですが、もう見ることが出来なかった為、検索を掛けて出てきたものを引用しましょう。「美香月'sフリーゲームレビュー」さんの所から持ってきました。こちらもフリーのゲームをレビューしているブログのようで、ちょいとうちのそれに似たような感じで、ゲームのレビューが書かれています。精力的に作品をプレイしていらっしゃるようですから、是非チェックしてみて下さい。
それでは、ストーリーの方を……。
――2098,April。
かつて、この地は一度滅びた。
疲弊した街の復興を担ったのは、浮船を住まいとし、
世界中に組織網を持つ<浮動(フードン)>と呼ばれる者たち。
彼らは、鳥籠を模した遊園地跡地に住みつき、
またたくまに一大異人街を築き上げた。
その街の名は<雲来籠子(ワンロイロンズ)>、――通称“籠の街”。
この街では、猫と、ヒトと、不思議たちが混在している――。

こんな感じのストーリーです。


大当たりでした。
とっても素敵な短編作品です。

設定も凝っていて良いですねぇ。舞台は2098年。現在から見て大体90年後くらいの設定で、近未来なのですが、作品の雰囲気自体は、どこか懐かしさを覚えるような、そんな手触り。
超ハイテクとかそういう未来の描き方ではなくて、舟で生活する人たち(浮動、フードンと呼びます)が根城にしている「雲来籠子」(海上遊園地の跡地を利用した街)に生きる猫の少女、螺児音(らじお)の一日を描く、というもの。

都市の名前などでお分かりのように、アジア的な近未来というか、ちょっと中華風というか、そういう感じなんですよね。各人が舟に乗って生活する、なんてのは、ボートピープルっていうのとはちょっと違うのですけれども、何だか「アジア的」な雰囲気が良く出ていると思います。ほんのちょっぴりCLAMPの『CLOVER』ってマンガに似たような手触りがあったと記憶しています。

猫の少女螺児音は、同居人のコトコと一緒に自らの舟で生活をし、雲来籠子でおみやげ物のお店を出しています(勿論、舟の上に商品を並べる)。どうもコトコっていうのは人間の女性のようで、螺児音は天使仔猫(てんしにゃんこ)と呼ばれる種族の猫(というかネコミミ?)らしい。
夜、コトコは何だか分からないけれども、何かの「商売」をして、朝になると螺児音の舟に戻って眠る。螺児音は夕方、雲来籠子に行き、コトコを送り出し、自らは商品を仕入れ、それを売る。

そんな、ちょっと猥雑なアジアの水上未来都市みたいな、そんな街が舞台です。
音楽も、良く合っており高品質のものだったと思いますし、優しい手触りのイラストも好印象。そういえば、文章の表示にもこだわりが見えましたね。ずらっと一文が表示されるのではなく「読点」で短いウエイトが掛かって、更に文章が表示されていきます。クリック待ちじゃないですよ? 私はこの「読点ウエイト」結構読みやすく感じましたが、プレイされた方は如何でしたでしょうか?

作品自体は短くて、劇的に何か事件がおきて解決、とかそういう流れじゃないんですよね。
飽くまで、ちょっとしたエピソードを挟みつつ、螺児音の一日を或る意味で淡々と見ていく、みたいな。そういう感じ。だけれども、その雰囲気が私好みで、且つラストも凄くいいんですよね。最初の方にしか出番の無いコトコの事を螺児音は大切に思っていて、彼女への想いをかなり詩的な言葉で表現する、みたいな。

他にも、可可茶(ココア)とか檸檬とか、螺児音が商品を仕入れる為のご用聞きの女の子なんかも可愛いですし、砂糖(しゅがあ)ちゃんというチャイナ風ゴスロリメイド(?)もかなり素敵。いや、ちょっと新たな趣味に目覚めそうね……。


さてさて、一方で気になった点ですが、やはり作品に「謎」を残している、という部分でしょう。
コトコって何をやってるの? とか、或いは「ヌシ様」って何者? とか、はたまた「猫」、或いは「天使仔猫」ってなんだろう? とかですね。
個人的な意見を言えば、「コトコ」について、そして「ヌシ様」なる謎の人物についての説明はもう少しあっても良かったかな、という気がしないでもない。かといって、あんまり語り過ぎちゃうと、作品の持つ雰囲気が壊れてしまうような、そんな感じもあって、これは結構難しい所ではないかと。
何と言いますか、ちょっとした謎をまだ作品は残していて、それでもその謎を内包したままで、作品が綺麗に纏まっている、という部分もあるわけです。
ある人物(本作では、螺児音ですが)の何気ない一日を切り取ったような、そんな上質の短編映画の手触りを感じる作品でしたから、そこは気にしない方が良いのかもしれませんねぇ。


とっても私の好みに合う、上質の作品だったと思いました。
何と言っても、雰囲気が今までにないタイプで、素敵の一言。
プレイ時間も短めですから、もしダウンロードしていて、まだプレイしていない、なんて方がいらしたら、是非お早めにどうぞw 惜しくもダウンロード出来なかったという方は、再公開を待ちましょう。


それでは、また。

by s-kuzumi | 2009-04-20 01:09 | サウンドノベル | Comments(0)
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