2009年 05月 23日
今日の副題 「女の子同士の友情、こういうのも良いよね」 ジャンル:少女達の逃亡友情ノベル プレイ時間:1時間程度 その他:選択肢アリ。バッドエンド多数。ノーマルエンドとトゥルーエンドを実装。 システム:NScripter 制作年:2009/4/?/ 容量(圧縮時):36.2 MB 道玄斎です、こんばんは。 最近、あまりゲームをプレイ出来ていなかったのは、中々ピンと来る作品が無かった、と云う事、そしてめぼしい新作があまりリリースされていなかったという事情に拠ります。 とはいへ、数日に一回は、情報サイトを回って新作をチェックしているわけで、そんな中、ゆかしいタイトルを持った作品を発見したので、早速プレイしてみた、という訳です。 というわけで、今回は「Lucentact」さんの『コデマリの丘から』です。 良かった点 ストーリーは、サイトの方から引用しておきましょう。 鈴木理緒は、私立東桜学園高等部の1年生。 こんなストーリーとなっております。 さて、久々にそれなりにボリュームのある作品をプレイしたわけですが、素直な作りで危なげなくプレイする事が出来ました。ストーリーを見て頂ければ分かるように、恋愛モノではないし、かといって百合的な感じでもなく、事件を通じて、女の子同士の友情を描く、そんなテイストの作品です。 どうやら、作者様の処女作と思しいわけですが、イラストも綺麗ですし、要所要所にキャラクターボイスも入り(フルボイスではありません)、取っつきやすいと思います。文章に関しては、地書きが、三人称的に書かれており、この点、少し珍しいかもしれません。 先に、良かった点として「テンポの良さ」を挙げたのですが、これは、「二日間やよいを匿う」という目的が明確だという事、そして、ちゃんとその期限が示されているという事に起因するものでしょう。 終端部分を意識させてくれると、やはり、プレイのし易さを感じますね。当て処もなく、どこに向かうか分からないまま、ずぅっとストーリーが続いていくと最近、少し疲れてしまって。 ちなみに、恒例の脱線に入ろうと思うのですが、本作では主人公の名前は変更可能。デフォルトでは「鈴木理緒」なのですが、自由に変更出来ます。 一方で、ヒロイン(?)のやよいの名前は固定されています。 で、最近、日本語学的な本を読んでいるのですが、日本人の名前って、ある種の法則があるようです。 これは、文部省(文科省じゃないですよ?)が発行していた『文字と名前』という本には、そうした法則が載っており、女性の名前は二系統に別れるそうな。 「やよい」というのは「源氏名系統」の名前だそうです。理緒は……ちょっと分かりませんねぇ……。尤も、最近ニュースなどで、「変わった名前」が取り上げられていたりして、こうした法則も徐々に当てはまらなくなってきているのですが、自分的にタイムリーな名前だったので脱線してみました。 話を戻しますと、やよいの逃亡を助けつつ、友情を育む、というような、今まであまり見た事のないストーリーの運びで(しかも女の子同士だ)、こうした設定が一つのオリジナリティになっている印象。 ですので、男性向け、或いは女性向けに特化している、というよりも性別関係なく、遊ぶ事が出来る、そんな作品ではないかと。 一枚絵も、9つあり、このくらいの尺の作品としては多めなのではないでしょうか? それにどれも水準以上のものになっていますしね。 気になった点とも関わる問題が、「選択肢」の多さです。 全部で10エンドがあり、エンドリストが付いているのは大変有り難かったです。エンドリストが無くて、5個以上のエンドのある作品をプレイするのは、妙に気疲れしてしまいますからね。 しかし、ちょっと、エンドが多すぎる気もしますねぇ。 ただ、フォローしておくと、バッドエンドを避けるのは実はそんなに難しい訳ではありません。きっと歴戦のノベルゲーマーの方でしたら、少々拍子抜けするくらい、甘めの選択肢だと思われます。後半になると、何個かかなり迷う場面も出てくるのですが……。 で、こういうエンドリストまで付いていると、ついつい「コンプリート」を目指したくなってしまいませんか? 神経質な私なんかは、コンプリートが出来ないとイライラしてしまうタチなので、結構ね、コンプリート出来なかった為にレビュー(或いはプレイ)を諦めた作品があったりします……(それ故にニガテ意識があったりして)。 でも、本作の場合、バッドエンドを含めたエンドリストの回収は、実はそこまで手間ではありません。というのも、殆どの場合二者択一型で、片方を選べばすぐにバッドエンドに到達する仕組みだからです。所謂「バッドエンドのルート」みたいなものは存在しない、と考えて良いでしょう。 私達がゲームをプレイする際、選択肢が出てくれば、取り敢えずそこでセーブをするハズです。そのままストーリーが進めば、また選択肢でセーブして……と繰り返すわけですが、エンドを回収する際には、選択肢の場面からロードして「選ばなかった選択肢」を選んでいけばOKなわけです。その意味で、本作は選択肢、エンド数が多いとはいえ、プレイしやすい部類に入ります。 私がバッドエンドに関して気になったのは、一つは通常エンドと比較した際の「量」、そしてその「必然性」です。全十個のエンドの内、二つは通常エンド(含トゥルーエンド)、残りは皆バッドエンドなんですよね。ホラー系では王道かもしれませんが、こういうテイストの作品ではあんまりバッドエンドが多すぎるというのはどうなんだろう? と。 勿論、バッドエンドに行くことで見ることの出来る一枚絵もあるんですが、そういうストーリー的に必然性の存在するエンドなら問題ないんです。或いは、ストーリーの裏側を見せてくれるようなものとか、「じゃあ、もう一回!」と意欲をかき立ててくれるものとかね。 より具体的に云うと、バッドエンド1~2なんかは省いてしまった方が、テンポも良くなると思います。 あと、一点、バッドエンド以外で気になった点を挙げるとすれば「タイトルとのリンク」の問題でしょう。タイトルにもある「コデマリの丘」の設定を、ラストでもっと押し出せば、作品に一本芯が通りますし、感動も三割り増しくらいになるかしれませんw 大体、こんな所でしょうか? 色々と書いてしまったのですが、スタイルはオーソドックスですし、立ち絵・一枚絵は綺麗で、さっくり遊べて取っつきやすい作品だと思います。 恋愛モノ、或いは伝奇モノに食傷気味の方は、是非プレイしてみて下さい。ラストはすっきりと爽やかなエンドで、こういう作品もたまにはいいなぁ、と思える事請け合いです。 まだ処女作、という事ですので、第二弾、第三弾も期待しています。 それでは、また。
by s-kuzumi
| 2009-05-23 00:58
| サウンドノベル
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