2009年 05月 24日
今日の副題 「フリーのホラーサウンドノベルの金字塔」 ※吟醸 ジャンル:ホラーアドベンチャー プレイ時間:最短距離で進めば2時間くらい? 今回、私は約4時間掛かりました。。 その他:選択肢多数。エンドも多数。 システム:吉里吉里/KAG 制作年:2000/12/27(ver.1.0 今回は、ver.1.3にてプレイ) 容量(圧縮時):3.06MB 道玄斎です、こんばんは。 今日は、久々に「長い作品を!」と思って、懐かしの名作を持ってきました。 また、ここ何回かマルチエンドについて言及する機会も多かったので、タイミング的にも良いかなっと。それにちらっと言及したりしてましたしね。 というわけで、今回は「PIA少尉」さんによる『1999ChristmasEve』です。思いっきり季節ハズしてますが、ご了承下さいw ちなみに公式サイトは消失しているので、ゲームをダウンロード出来る場所を示している非公式サイトのURLにしていますよ。 良かった点 ストーリーはwikipediaの方から引用しておきましょう。 クリスマスイブに予約していた宿へ車で向かっていた主人公とパートナーの女性。車内にBGMを流そうとするが、ラジオからは御経の様な不気味な声が流れ、さらに突然、車のエンジンが故障してしまう。原因を調べようとエンジンルームを見てみると、中から謎の目玉がこちらを覗いていた。 こんな感じです。 このブログで、一つだけ良い点があるとするならば、それは「たまに昔の作品を織り交ぜる」という点にあるのではないかと、自画自賛ながら思っていたりします。 もう、かなり作品のストックが無くなってしまったりしたのですが、今回はその最後の砦、『1999ChristmasEve』をチョイスしてみました。 実は、トゥルーエンド到達は今回が初めて。 以前は頑張っても、第六話くらいまでしかいけなかったのですが、今回は、頑張り+ズル(攻略情報見ちゃった!)を使って、何とか最後までたどり着きました。 ちなみに、今回のプレイのポイントは、「なるべく自力で。どうしても先に進めない時のみ攻略情報を見る」というもの。そうやって試行錯誤しながら、プレイしてみたら、大凡4時間掛かっていたという……。 ただ、頭っから、適切な選択肢をスムーズに選んでいけば2時間くらいで攻略出来そうな気もします。とはいえ、やはり、怖さを味わったりする為には或る程度の自力でのプレイが必要だと思いますよ。 しかし、ここまで評価が固まっており、且つ多数のレビューがあるような作品で、何を私が今更書くんだ? って感じがしますが、例によってつらつら感想めいた事を書いていく事にしましょう。 以前から、何度も言っていますけれども、私は怖いものがニガテでもあり、且つ結構好きなんです。 ホラー作品はたまに無性にやりたくなりますし、大好きな作品の一つが、ホラー要素も強い『柵の淵』だったりするわけで。 そういえば、『柵の淵』も、リリースからかなり経ってからレビューを書いたのですが、一番お問い合わせの多い作品ですね。「オマケシナリオはどこにあるんじゃい?」とか、そういうお問い合わせですけれども。実は『柵の淵』の作者様から「教えてもいいよ」とのお言葉を頂戴しておりまして、本来の「オマケシナリオ条件」である「キーワード」を答えて下さった方には、オマケシナリオの配布場所をお教えしています。 っと脱線。 で、本作はその後のホラー作品に恐らく決定的な影響を与えたと思しき一作です。 所謂「館脱出ホラー」の典型的なものですけれども、完成度の高さ、難易度、分量、どれをとってもver.1.0が配布された2000年の時点では最高レベルのものでしょう。2000年という事は、前世紀の作品なんですよ?w 何かに導かれるように、怪しげな教会に迷い込んでしまった主人公とヒロイン。 彼らに襲いかかる魔の手……。 一体この教会は何なんだ? 無事に生還する事は出来るのか? というようなノリなんですが、兎に角怖いんだわ……。 前半、プレイを開始した直後に読経が流れてくるは、ピンポイントで怖い画像をパッと表示するは、心臓に悪い事この上ないw ストーリーそのものは、分量もきっちりあって、読みでがあるというか、遊びではばっちりあります。 内容も怖さと感動的なもの、ちょっと哲学的、宗教的な部分、或いは現代社会批判的な面もあったりして、盛り沢山の内容。 そうそう、主人公及びヒロインは、かなり宗教学とかオカルト的なものに詳しい。 「普通、こんな詳しいヤツいねぇだろ?」と思わずつぶやいてしまいたくなるくらい、詳しいw その意味で、説明的な文章は若干多めかも。 オカルトには詳しいけれども、キャラクターの造型としてはオーソドックスなものになってます。極々普通の勤め人の主人公と、その友達以上恋人未満のヒロイン。クセの無い造型ですが、ホラー作品の場合、そのくらいの方がスッキリしていていいですよね。 オーソドックスなホラー系のノベルではあるのですが、一方で、プレイヤーに文字列を「入力」させたり、或いは選択肢選びに「制限時間」があったり、或いは微妙にRPGっぽいノリで戦闘などが行われる事もあったり、システム面でも凝った作りになっています。 こういうヴァリエーションが豊かなのは良い部分だと思います。ともすれば、単調な「しらみつぶし的な捜査」になってしまう館ホラーに、ちょっとアクセントを付けてくれる、みたいな。 概ね、こういう手法には肯定的なんですが、結構緊張感溢れる戦闘場面で、ヒロインが「パルプンテ」を唱えたりするのは如何なものか、とw 勿論、これも人によっては「ちょっとしたギャグで面白い」とかそういう感想もあると思いますが、個人的には緊張感あるシーンなので、シリアス一直線の方が良いかな、と思ったりしました。 んで、気になった点でもあるのですが、漢字の使用率が凄い高いんですよね。かなり難しい漢字もルビ無しに表示されちゃうから、「何て読むんだ?」なんて事も屡々。「篩」なんて、私読めませんでしたよw 本作の最大に気になった点は、ズバリ「難しすぎる」という点に尽きます。 何しろ、一回攻略を挫折していますからw 全部で1話~7話+最終章という構成なのですが、どのフェーズでも攻略情報が無いと厳しいんじゃ……? と思えるような難しさがあります。ですから、こまめなセーブは必須。 特に前半の難所は、「迷いの森」的な場面でしょう。 ここで何十回死亡した事か……。最初っから「一発でクリアー出来ない」事を前提にして、紙を用意して、マッピングしながら作業を進めるといいと思います。 この「迷いの森」は、情報の出し方がズルい気もしますし、バッドエンド後に見ることが出来る「支配人からのメッセージ」でもヒントを出してくれず、かなりの難所だと思われます。 ここで攻略を諦めちゃう人が出てくるくらい難しいのですが、最初っから数回バッドエンドを覚悟して、マッピングしていけば何とか何とか。 で、次の難所は「迷いの森」を抜けてすぐやってきますw この辺りの選択肢は、どうも納得いきかねる所がありますねぇ。不必要に選択肢の数が多すぎたりして、しかも選択肢の中身そのものにも、必然性があまり感じられなかったりします。 本作は、そうした意味で、選択肢捌きが難しすぎる、というのが最大の難点だと私は思っています。 選択肢の多さはそれはそれとしても、トゥルーエンドに行くためには、かなり厳しい選択肢の「中身選び」が必要となり、且つそれに関してのヒント的な何かもあまり出てこないのです。 更に、次のチャプターに移ってバッドエンドになり、支配人からのメッセージを見てみると「○章にて○○というアイテムを取っていないと進めません」的なメッセージが……。 こうした選択肢の問題を難しさはそのままでもいいのですが、もう少しスマートにすると、大分プレイのし易さも変わってくるように感じました。 大体、気になった点は以上ですけれども、容量は驚きの約3MB。 これは素直に凄いと云うしかないですね……。 こんなに中身を詰め込んで3MBというのは、現代的な感覚では考えられません。遊びでもありますし、1週間くらい掛けてプレイしても良いくらいなので。 あんまりネタバレしちゃうとアレなので、今回はそういう情報は少なめで。 大体こんな所でしょうかね。 この作品をきっかけにしてフリーのサウンドノベルにはまったという方も多数居られる、初期の名作の一つです。あんまり急いで攻略しようとせず、じっくりじっくりプレイしていくのがオススメのプレイスタイル。 それで、どうしても分からない場所は、攻略サイトでw それでは、また。
by s-kuzumi
| 2009-05-24 16:45
| サウンドノベル
|
Comments(4)
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NaGISA
at 2009-05-24 23:13
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ノベルゲーム史に残る作品ですが、残念ながら私は評価して
いません。なのでレビューも書いていません。反論は承知の上ですが。 何と言いますかね。「難しい事は良い事だ」的な、制作者の わがままを強く感じたんですよ。たかが「読んで時々選ぶだけ」の ノベルゲームで、それはないんじゃないか。私は逆にこの 作品を反面教師にしました。 どんなに謎解きが困難でも、ページを繰っていけば読者が 謎を解ける推理小説と同様の手法をノベルゲームに持ち込まれても。 「分からなかったんですか? じゃ、またやり直してね」的な 作りに、当時の私は完全にぶち切れた覚えがあります(爆)。 この作品の素晴らしさを貶めるつもりは毛頭ありませんので、 そこはご理解ください。
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s-kuzumi at 2009-05-24 23:30
>>NaGISAさん
いや、私も9年くらい前にブチ切れた記憶がありますから、お気持ち良く分かります。 仰る通りで「難しさ」という要素が、作品のウリになってしまっているという事があるのではないかと。 私自身は或る程度の「難しさ」はあっても良い、と思うのですが、問題は、「難しさに対するフォロー」の面が気になりましたね。 ループ型ではないですけれども、バッドエンドに突入する事で、より作品にのめり込める要素を見せてくれたり、もう一周! と意欲をかき立ててくれたり、或いは少しづつ真実が明らかになっていったり、そういう「バッドエンド」の作品全体に於ける位置づけですね。 そうしたエンドも勿論、中にはあるのですが、全体的なエンド量からみると少なすぎると云わざるを得ない……。正直、エンド数は半分くらいでも良かったんじゃ……と思ったりします。一番納得が行かなかったのは、「ライダーキック」だとバッドエンドで、「一本背負い」だと次の章にいける、という場面ですw ともあれ、2000年という時期で、ここまでの大作を創り上げた事、後続のホラーゲームに与えた影響なんかはやはり凄いので、吟醸にしてみました。
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NaGISA
at 2009-05-24 23:35
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>>道玄斎さん
まさしくおっしゃられる通りで、道玄斎さんが推されている 「柵の淵」とは、ある意味真逆に位置しているのがこの 作品という感覚なんですよ、私としては。 2000年という時期は、私自身もノベルゲームに染まり始めた 頃であるんですが、あの時期の名作としては「ハーバー ランドでつかまえて」があります。あれも難易度はかなり 高かったですよね。が、悪い評判はききません。 それは結局、「シナリオに合わせたキャラクターメイキング」に あるのではないかと。 あの凶悪な難易度で、加えて主人公とヒロインに延々と宗教とか オカルトの話をされたら、そりゃプレイヤーはひくだろうと、 クリスチャンとなった今では思う訳ですよ(笑)。
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s-kuzumi at 2009-05-26 00:40
>>NaGISAさん
『柵の淵』と真逆にある、というのは、その通りだと思います。あれは、とっても「バッドエンド」が親切で、そこが二回目三回目のプレイへの原動力になってましたからね。 今回は、再度チャレンジで、ちゃんとトゥルーエンドを見られた事、そして攻略サイトを見てズルをしてしまって比較的簡単に最後まで到達できた為、ちょっと甘めの評価になってしまったかもしれませんw そういえば、『ハーバーランド』もズルをしなければ、トゥルーエンドまで到達出来ませんでした……w |
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