2009年 06月 06日
![]() 今日の副題 「ヤンデレだと思っていると……」 ジャンル:ヤンデレノベル(?) プレイ時間:1時間程度 その他:選択肢なし、一本道。ちょいと嬉しいボイス付き。 システム:YU-RIS/ERIS 制作年:2009/6/?(フリー版) 容量(圧縮時):83.6MB 道玄斎です、こんばんは。 来週から劇的に忙しくなるので、暫くノベルゲームはプレイ出来そうにありません。 大凡、二年やってきましたが、今回ばかりは本当に忙しい。大抵「忙しくて更新出来そうにない」と宣告しても、その舌の根も乾かぬうちに更新をする、という事を繰り返してきた訳ですが、今回ばかりは。。 とはいへ、日々之雑記とか、お気楽に書けるものなんかは、スキを見て書いていこうと思います。 で、今回は、毎度毎度新作が出る度に取り上げている、「花を吐く抄女」さんの新作が出ていたので早速プレイしました。というわけで、『やんでれさんのすゝめ』です。 良かった点 ストーリーは、ボイスの紹介などもあるサイトの該当ページへのリンクを張っておく事に致しましょう。 こちらからどうぞ。 というわけで、プレイしてみました。 解凍してみてすぐに気がつくのは、従来のNScripterではなく、システムがYU-RISに変更されていた、といいう点です。このツールの採用実績も大分増えてきましたし、今後、NScripter、吉里吉里/KAG、LiveMakerに並んで、ノベルゲームの有力な制作ツールになると思われます。 ツール類も進化していますし、そろそろ、コミックメーカーとか、Yuuki! Novelなんかはキツくなってきた気がしますねぇ。 ま、それは兎も角、画面サイズが変則的で面白かったです。 割と私のイメージする「グーな感じ」に近いものになっていました。だけれども、横幅をかなり取ってしまっているので、本当にギリギリ表示される、という感じなんですよね。ツールの問題で出来る/出来ないというのは、あると思いますけれども、もうちょい小さいサイズの方が圧迫感無くプレイ出来るのではないかと思います。 そういえば、この画面サイズ、『快盗天使ツインエンジェル』と同じかな? 立ち絵が四人だか五人だか並んだりして、相当びっくりした記憶があります ここらへんも難しい所で、変則的なサイズを採用するなら、そのサイズを活かすというか、それなりの必然性がないと、場合によっては圧迫感のみ感じてしまう、なんて事もあるわけで。 気になったと云えば気になったんですけれども、システムを一新したりしており、そういう意欲的な部分は評価したいです。多分、今後も改良を続け「グー」な落としどころを見つけていかれるのではないかと。 さてさて、本作、タイトルが『やんでれさんのすゝめ』です。 「すゝめ」の「ゝ」なんですけれども、これは一般的に「踊り字」と呼ばれるものですね。同一の文字が繰り返される時に使用する一種の記号というか、文字というか。「等々力」などの「々」も踊り字ですよ。 二字以上の連続(例えば「しかじか」とか)の場合には、縦書きだと「く」の倍角を使ったりしますよね。私は、滅多にそういう事はないのですけれども、二字以上の踊り字の場合は「/\」とスラッシュを利用します。ですので、「しかじか」だったら「しか/\」としたりするわけです。濁点付けられないのが悔しい。 っと、今日は脱線多めですね……。 話を元に戻しましょう。いつもちょっと変わった世界観を出してくれる作者様の作品ですが、そこに「やんでれ」なんてキーワードがタイトルに入っており、最初、面食らいました。 一方で、「ついにそういうジャンルにも……」と期待もしていたのですが、見事に裏切られましたw 勿論良い意味で。 一般的な「ヤンデレ」って、フリーのノベルゲーム的に云えば、『止マナイ雨ニ病ミナガラ』みたいな。可愛いクセにちょっとヤバい愛し方を(一方的に)してくれる女の子に怯えて、それを楽しむジャンルというかw 「食品に何か混入させる」 「異常なレベルでの独占欲、嫉妬」 「ストーカー行為」 なんてのが、一般的な「ヤンデレ」のあり方です(?)。 ですが、流石に「花を吐く抄女」さんで、巧く持ち味の部分と「ヤンデレ」な部分を融合させて一本の作品にしていました。正直、前半部は、例によってかなり難解な感じで、「ちょっとこれは……」という印象を持ったのですが、後半、本作の仕掛けというか、そこが見えてくるとかなり視界がクリアになるように思えます。 本作における「やんでれ」とは、幽霊的なものが「ノルマ達成の為」に、「人々を怖がらせ」なくてはならなくて、「リサーチ」の結果、「やんでれをしよう」とする、という事になりますw ですので、花子さん、こっくりさん等の妖怪、幽霊的なものと同列のものとして、「やんでれさん」がいるわけです。まぁ、やんでれさん自体が、「“やんでれ”とはなんぞや?」と良く分かっていない所が愛嬌がありますね。 序盤は、やんでれさんに呼び出された女の子、武者小路縁(むしゃのこうじ ゆかり)ちゃんと、やんでれさんの掛け合いが続いていく事になるのですが、この二人が、「やんでれする」為にあれこれ考えていく。そして後半ではそれを実践に移すのだけれども……というのが大まかな本作の流れです。 作中でも書かれていましたが、「やんでれ」する為には、かなりの手順が必要となります。 一、愛する相手を見つける(若しくは作る)。 二、歪んだ愛情表現を示していく。 三、相手がそれに気がつく というプロセスを経て、「相手が恐怖する」という最終目標に到達するわけです。 普通だったら、口裂け女宜しく、瞬間的、無差別的に怖がらせれば事足りるんですけれども、化け物の「怖がらせ市場」リサーチの結果「やんでれ」が良い、という事になったので、まぁ、しょうがないw この或る意味での回りくどさが、後半の面白い部分に繋がっていきますしね。 そうそう、一つ気になったんですが「お皿を数える」のはお岩さんじゃありません。 それは「番町皿屋敷」(番町だけじゃなく、色々な地名が当てられたりするんですが)です。ですので、お菊さんなんですよね。怪談好きな私としては、結構そこが気になりました。 で、やんでれさんは、やんでれであるが故に(?)、女性です。表示されるイラストを見ても明らかですね。 でも、舞台は女子校なんですよね。ヤンデレは、「女性が男性」にヤバい事をするからヤンデレなのであって、女子校だと「ヤンデレ」が成立しにくいんですよね。 相談の結果、「放課後の教室で一人黄昏れているような女の子」を狙って、お付き合いを持ちかけて、「やんでれしよう」という事になるのですが……。 もう後半なんですが、こっからが滅茶苦茶面白い所ですね。 色々仕掛けがしてあって、漢字の読み方とかね、そういう辺りを考えていけばタネは分かるんですが、「そう来たか!」という感触があって、やっぱり、この作者様らしいテイストになっていました。 そういう所に落とし込んでくれると、こっちも安心して、最後ほのぼのした気分でゲームを終了出来るので助かりましたw これが本当に殺伐恋愛系ホラーになってしまったら、前半部分が全然活きてこない事になりますからねぇ。 こういう落とし方って、意外と落語とか、そういうもの由来なんじゃないかな? と勝手に思ったりしています。 意外と伝統的な手法。だけれども、それが又面白いし、作品の大きなアクセントになっていました。 さて、最後に気になった点の誤字・脱字、読み間違いに関して、ちょっと一言。 やっぱり、少し多めでした。少し例を挙げると、「愚妹」と「愚昧」、「景気」と「契機」などで混同があったように思います。又、声優さんの読み間違いも少し多かったかも。 「清々しい」が「せいせいしい」になっていたり「旧家」が「きゅうけ」になっていたりと、少し気になりました。 大体、こんな所でしょうか。 普通のヤンデレものだと思ってプレイすると、良い意味で肩透かしを喰う事請け合いです。 気になった方はプレイしてみて下さい。 それでは、また。
by s-kuzumi
| 2009-06-06 18:55
| サウンドノベル
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