2009年 07月 26日
今日の副題 「凄い豪華になってました」 ジャンル:伝奇風ノベル(本編)+学園明朗推理モノなど(おまけ) プレイ時間:本編は~1時間30分くらい。オマケまで全部読むと~4時間くらい? その他:本編、選択肢アリ。エンドは三つに分岐。トゥルーエンドあり。 システム:NScripter 制作年:2005/6/11(Ver.1.00は2003/9/1リリース。本レビューは最新のVer.2.1にてプレイ) 容量(圧縮時):15.5MB 道玄斎です、こんにちは。 今日は、昔プレイした作品をやり直してみました。元々は今から六年くらい前にリリースされたもので、多分私もその辺りにプレイしたものと推測されます。 涙が止まらないくらい感動する、とか、心臓が止まりそうな程ワクワクドキドキする、とか、そういう感じでも無いのですけれども、何故か結構気に入っていた作品で、隙を見てプレイし直そうと思っていたものです。 というわけで、今回は「CONCREATE」さんの『逢魔時』です。 良かった点 ストーリーは、サイトのURLを貼っておきましょう。こちらからどうぞ。 というわけで、久々にプレイしました。 実に5年とか6年振りくらいのものです。ストーリーもちゃんと覚えていたのですけれども、今回プレイしたヴァージョンはVer.2.1。私が最初にプレイした時よりもメジャーナンバーのヴァージョンが上がってます。それによって、立ち絵や一枚絵が追加され、且つ大量のおまけシナリオも付いた豪華版になっていました。 例によってストーリーを補足しつつ、解説めいたものを書いていきましょう。 主人公は早苗ことサナ。彼女がいつも下校中に通る公園で、女の子の姿を見かけ、その子に興味を抱き、ある日意を決して話しかける、というのがストーリーの発端となります。その公園に居た女の子は観夕(みゆう)。 で、サナと観夕の友情とか、観夕は何故、夕方公園のベンチに座っていたのか、とかそういったものが語られていく事に。 結局、観夕が待っていたのは朝観(あさみ)なる、彼女の半身的な存在の女の子なわけです。 二人の名前を見ると、そういう部分も推測出来るのですけれども(朝に夕だもんね)、一人の人間を二人に分割して、観夕と朝観が生まれた(というか、生じた?)という事みたいです。 よって、一人一人の「存在」は普通の人の二分の一。幽霊とか見えちゃうような人じゃないと、知覚出来ないわけですが、そういうモノが見えちゃう体質のサナは、観夕の事を観ることが出来た、と。 ね? 割と伝奇テイストでしょ。 けれども、そこまで前半部は伝奇伝奇していないかもしれませんね。 寧ろ焦点は、サナと観夕の友情みたいな、そっちにあるわけで、ちょっとこってり気味の伝奇テイストが出てくるのは後半からです。 さて、ここいらで脱線を一発入れておきましょうか。 観夕は名前が示す通り、夕方以降しかこの世界に居られず、又、朝観も朝から夕方までしかこの世界に居られません。二人が同時に存在出来る時間。それが逢魔が時なのでした。 大体昔から、幽霊的なモノが出てくる時間帯ってのは決まっていて、逢魔が時と丑三つ時なんですよね。何度か語っているような気がしないでもないのですが、ちょいと突っ込んでおきましょう。 一般的に幽霊的なモノはコッチとアッチの境界が曖昧な時間に多く出てくるようです。 逢魔が時は、昼でもなく夜でもなく、丑三つ時も夜でも朝でもない、ちょっと不思議な時間帯。「やうやう白くなりゆくやまぎは」なんて、正にそういう時間帯に相当するような気もしますw そうやって考えると一気に風情が無くなってしまいますけど。 で、ヤツらが出てくるのはそういう曖昧な時間帯ですが、ヤツらから逃げる為の方法もその「曖昧」というものがポイントになります。確か『今昔物語』なんかには、「橋の下」に逃げ込んだり、或いは「屋根裏」に逃げ込んだりして幽霊というか、妖怪的なものから逃れるお話があったと記憶しています。 これは、「橋の下」という空間は、地面と地下の境界的な空間であるらしく、又、屋根裏も地面と空の境界的な不思議空間だという事らしいですよ。 時間的な境界に現れるヤツらは、空間的な境界に対しては意外な程無力だったりするわけです。 話を戻すと、半分幽霊みたいな、アッチ側に片足を突っ込んでいる観夕や朝観は、逢魔が時という境界の時間でしか併存出来ない事になります。だからこそ、観夕は夕方に公園でベンチに座って朝観を待っていたんですね。 で、お互いがお互いを欠いている訳で、観夕と朝観が逢って何をしようとしているのか? 伝奇作品の類をプレイしたり、そういう本を読んだりしていれば答えは自ずと出てくると思います。。 ここらへんまで来ると大分、伝奇っぽさが全開になってきますねぇ。 そうそう、キャラクターの造型は中々悪くないと思いましたよ? 伝奇的、或いはノベルゲーム的な「らしさ」を押さえつつも、好感の持てる人物が多かったように思えます。重要人物たる観夕は、ちょっと元気系の僕っ娘で、彼女の片割れたる朝観は、クールな感じなんですが、そこにくどさとか、或いは「またこのパターンかよ……」的な違和感がないのが不思議。 文章が割と読みやすいのと関係がありそうな気もしますが、メインとなるキャラクターは魅力的です。実はその魅力は本編よりも、おまけのシナリオの方で発揮される気もしないでもないのですがw ソージなんてキャラは、本編では、正に「ザ・伝奇の登場人物」って感じですけれども、やっぱりおまけのシナリオまで読んじゃうと、結構気に入ってしまうから困ったもんだ。 さてさて、本作、トゥルーエンドを含めて三つのエンドが存在しています。 恐らく、大多数の人は一発でトゥルーエンドまで行けないのではないでしょうか? 選択肢の判定は結構シビアで、一つのミスも許さないようになっています。 ただ、他のエンドを見ると、「ヒント」が読めるようになっていますので、それを見れば、どうしたら良いかすぐに分かるハズ。 ただ……これはトゥルーエンド以外が存在する理由があまりないような気もします。一本道の方が良いんじゃないかと私なんかは思ってしまうのですが、如何でしょう? で、トゥルーエンドを見ると、タイトル画面の「Story」にシナリオが追加された旨、表示されます。 本編の補足的なシナリオ(私が最初のプレイした時にはこれが無かった)があり、本編で明言されない、背景的なシナリオとでもいいましょうか、そういうものが明らかにされます。 で、一方で最近の言葉を使うとスピンオフとかって云うんでしょうかね、本編のキャラクターを使ったちょっとギャグテイストの学園モノのシナリオも入ってます。 そのおまけシナリオを読了したら、再度おまけシナリオが2本(だったっけ?)追加されました。 「私立逢魔学園」なる、やっぱり本編のキャラクターを使った、学園ミステリーが展開されるんですが、これが多分……本編よりも長いw この私立逢魔学園だけで普通に一本の作品になっちゃう感じですね。というか、普通に楽しいお話です。 「ふぅ……凄いおまけが多いぜ……」なんて思って私立逢魔学園を読了したら、またまたおまけが追加されましたw これもそれなりのボリュームがあって……w ちょっとオチが無いような部分はあるんですが、本編キャラクターの掛け合いが結構見ていて楽しいです。おまけシナリオから顔を出すようになる、穂波ちゃんというキャラはちょっと私好みですしw そんなこんなで、おまけシナリオをコンプリートしたと思ったら、「後書き」が追加されましたw しかも、やっぱり何故か、微妙にボリュームのある、キャラクター同士の掛け合いで進んでいく後書きでした。 こんな調子で、本作のタイトルは『逢魔時』ですけれども、全体的な分量で云ったら、おまけシナリオの方が断然多い……。どっちが「本編」なんだ? とw まぁ、本編とは違ったキャラクターの側面が見れたりして、何だかんだで楽しめてしまうので、無茶苦茶豪華なおまけ付き、と前向きに考えてプレイするのが吉。 逆にこれが『逢魔時』と例えば『私立逢魔学園』なる二つの作品になっていたら、後者はプレイしたかどうかちょっと怪しいですねぇ。『逢魔時』と抱き合わせになっているからこそ、プレイしたという感じなので。当然、抱き合わせだからこそ、楽しめるものではあるんですけれども。 馬鹿みたいにクオリティが高いとか、死ぬ程感動したとかそういうのではないものの、何故か心に引っかかっていた作品です。久しぶりのプレイでは、立ち絵・一枚絵の追加、おまけの充実w などなどかなり豪華になっていて、楽しませて貰いました。 のんびりプレイしたら、普通に2~3日は楽しめるんじゃないでしょうか? 少し古めですけれども、音楽も全て自作だったりと気合いの入った作品です。 伝奇とか、女の子同士の友情とか、或いは豪華すぎるオマケシナリオとかw どこかに引っかかる部分があればプレイしてみて下さい。意外と面白いと思いますよ? それでは、また。
by s-kuzumi
| 2009-07-26 16:33
| サウンドノベル
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