2009年 08月 01日
![]() 今日の副題 「切なくて痛い。ほろ苦ストーリー」 ※吟醸 ジャンル:リアルなほろ苦ストーリー(?) プレイ時間:15分程度。 その他:選択肢無し、一本道。 システム:Live Maker 制作年:2008/8/16 容量(圧縮時):9.40MB 道玄斎です、お早う御座います。 今日は久々の吟醸。んー、もしかしたらその内大吟醸にしてしまうかも、ってくらい、グッとくる作品でした(もっかいくらいプレイし直したい)。本当ならば15分という尺の短さは、番外編にするべきなのかもしれませんが、とても印象的な作品だったので、通常のレビューとして扱いたいと思います。 というわけで、今回は「やまいぬワークス」さんの『雨ではなく、雪でなく』です。 良かった点 短い作品なので、ストーリーの紹介をいつものように別立てにせず、語っていきましょうか。 何となく、ストーリー的な予備知識を持たないままプレイする方が、良いとは思うのですが……。 心の奥底に、グッと入り込んでくるような作品でした。 容量も小さいし、尺も短い。だけれども、ビジュアル的な部分でも、作り込みの部分でも瑕疵無く、ギュッと詰まった何かが確かに存在しています。 大体100~200本くらいフリーのノベルゲームをプレイすれば、或る程度作品に対して「類型」で処理してしまうような部分って、少なからずあるような気がしますが(ここでレビューを書いた分だけでも、私の場合400本くらいあって、レビューを書いていないけれどもプレイしている作品、を含めれば600本や700本くらいはプレイしているハズです。本という単位が正しいかどうかは別としてw)、本作のような作品は、「アレに似てる」とか私の良く使う言葉で言えば「ぼたんゆき系」とか、そういう区分けが出来ないタイプ。 定番のストーリーを定番のままにキッチリと纏める、というのは実は非常に難しい事ですし、丁寧に作られた定番作品は十分評価に値するものでもあります。 だけれども、今まで見たことのないタイプの作品の持つパワーや、インパクトは、やっぱり侮れないものがあります。それが細部まで丁寧に作り込まれた作品であれば、特に。 ストーリーは、SEか何かをやっていると思しき主人公の元に、従姉妹であり、幼なじみであり、且つ妹分である深雪から電話が掛かってきて「結婚するかも」と告げられる所から始まります。 早めに脱線を入れておきますと、SEの仕事の風景とか、私はSEなんてやったことないですけれども、見ていてリアリティを感じるというか、作品そのものに直結しない部分での描写もしっかりとしており、非常に好印象。そういう作品世界を支える「土台」がしっかりとしていると、やっぱりどっしりと重みが増してきますねぇ。 ちなみにpingは一般ユーザーでも普通に使って便利な機能、というかコマンド。 ちゃんとMS-DOSでも動きます。コマンドプロンプトを立ち上げて「ping /?」とか打ち込んでみて下さい。MacやLinuxなんかだと「man ping」で。「あれ? サーバー落ちてる?」なんて時に重宝するコマンドなのではないかと。 で、主人公と主人公の兄貴、そしてその二人の妹分である従姉妹の深雪。 この三者のちょっとほろ苦い三角関係的なストーリーが展開する事に。 主人公にとって、美雪は従姉妹であり妹でもあるわけですから、「恋愛」的な視点で彼女を見る事を躊躇い、微かに彼女に惹かれつつも、「兄貴」としての自分みたいな所に拘ってしまう部分が。 一方主人公の兄貴は、昔から深雪が好きで、彼女と結婚したがっているという。 そんな微妙な三者の関係を、そして三者三様の心の動きを、過去の回想を交えて見せていくという、そういうタイプの作品。 折角なので、もう一本脱線。 従姉妹同士の恋愛だったり、結婚だったり、というのはあまり一般的ではないものの、やっぱり現在でも存在していたりします。昔そういう従姉妹同士の恋愛を扱った少女マンガがあったような記憶がありますし、『源氏物語』なんかでも夕霧と雲居雁というキャラが、従姉妹同士ですが結婚します。 けれども、物語の中とは云え、夕霧と雲居雁という従姉妹同士が結婚する事に、夕霧のオヤジである所の光源氏は「従姉妹同士の結婚はねぇ……」と微妙に難色を示したりします。自分だって葵の上という従姉妹と結婚したのにねw あー、落ち着いて考えてみると、このあたり結構複雑ですねぇ。葵の上と光源氏は従姉妹同士。んでもって、二人の子供である夕霧が生まれる。 一方で、葵の上の兄貴の娘である雲居雁と夕霧が結婚するわけで、かなり近い人間関係の中で結婚が行われていますねぇ……。 そうそう、ちなみに、作中で割と多く筆が割かれる舞台は、私の居住地の近くなので(というか、良く買い物に行ったりする)、そういう面でも個人的に入り込める作品でした。 さて、本作をプレイしていて、その内容もさることながら、「を!」と思ったのは、効果的な一枚絵の使い方でした。イラスト自体も綺麗ですし、そこにちゃんと特色もあって好印象。こういうテイストの絵、凄い好きですねぇ。 同人、商業問わず、こういうゲームの一枚絵って、まぁ、割と「女の子の可愛い姿を見せる」という、そこに特化している部分が多分にあるわけで……。そんな中に「映像作品」的な一枚絵の出し方があって、良かったですね。ちなみに一枚絵は多め。 内容とイラストの出し方、或いは見せ方みたいなものが凄くマッチしていて、適度なリアルさがあって、ほろ苦くて、切ない。そんな作品の美味しさが十分に発揮されていたと思います。 正直に言えば、短い作品ですし、気になった点は殆どありません。 大体、素直にプレイすれば15分程度で読了可能なのですが、何とも云えない切なさで、一気にプレイする事が出来ず、要所要所での余韻を楽しみつつプレイしていたら、小一時間くらいかかってしまいました。 ほんの少し、胸の奥が疼くような感触があって、場合によってはちょっぴり痛い。 いや、こういうテイスト好きなんですよねぇ。 敢えて云うならば、近年の谷川史子的というか、そういう切なさをヒシヒシと感じてしまいます。 普通に、名作だと思いますし、オススメの一本です。 今回は脱線成分が多めですけれども、あんまり語ってもしょうがない部分があるのも確か。先ずはプレイしてみて欲しい。そんな作品です。 それでは、また。
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by s-kuzumi
| 2009-08-01 09:34
| サウンドノベル
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