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久住女中本舗

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2009年 08月 31日

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『perception』

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道玄斎です、こんばんは。
今日は久々の番外編。最近、割と長目の作品をプレイしていましたし、ストーリーがバシッと存在するものよりも、もうちょっと浮遊感のようなものを感じられる作品を探していたら、見つけました。ノベルゲーム/サウンドノベルっていうのとは、またちょっと違うみたいですけれども……。
というわけで、今回は「ウミユリクラゲ」さんの『perception』です。


ノベルゲーム/サウンドノベルは、絵なり音なりが存在して、更にメイン(?)の「ノベル」部分があって成り立っている、という事はわざわざ繰り返すまでもないのですが、ゲームのスタイルも基本的にはどれも同じです。
クリックする事で文章を送って、それを読んでいく。途中でウエイトが掛かったり、或いはクリック待ちの命令が挟み込まれていますけれども、基本的にはクリックしながら遊んでいく訳です。

プレイする人の読書スピード(≒クリック速度)によって、プレイ時間というのは勿論変化します。
このブログでも、毎回、参考として自分がプレイした時のプレイ時間を大まかな数字ですが書いています。ですが、今回扱う作品は13分で固定です。
というのは、本作は自動で文章が流れていく作品だからです。言い換えれば、プレイヤーから「クリックを奪った」作品です。
クリックを奪う、というのは特殊に思えますが、実は割とオーソドックスな手段でもあります。フリーのものであれ、商業のものであれ、「感動シーン」といった所では、クリックが奪われ、自動的に文字が流れていくという演出、結構目にしていませんか?
それは、文字表示領域に文字が流れていく、とは限らなくて、メインウインドウ(?)に掛かるようにして、文字が浮かんでは消え、みたいな。

本作の場合は、前編に渉って、自動で文章が綴られていくような、そんな作品ですね。
ちなみに、音楽がいいですね。一曲だけ延々とループしているのですが、作品の雰囲気にあった可愛らしくも素敵な音楽だったのではないかと。一応ヴォーカル(?)付き。

作品の背景を飾るのは、一般的な写真素材や、イラストではなく所謂ヴォイニッチ手稿。
なにやら暗号のようなものが書いてあると云われつつも、誰も解読出来ないという怪しげな本ですねw 一応、古文書という扱いですが、実は推定制作年代はそんなに古くありません。せいぜい500年くらい前のものだと云われていますよね。
で、500年くらい前のもので、「読めない」ってのは、ちょっとあり得ない事でもあります。私の所持している古文書(の切れっ端)は、800年くらい前のものですが、変体仮名を知っていれば普通に読めますから。
ですので、「暗号っぽく書いたイタズラの本」みたいな、一種の偽書的な雰囲気の漂う本です。

そんな、ちょっと幻想的でどこか怪しげな雰囲気を持った作品なわけです。
ちなみに、文章は問答無用に流れていきますが、何かの意味を掴む事が出来ないというw やぁ、こりゃ私の感性の問題なのかもしれませんけれども、難解ですよ、ねぇ……。
強いて云えば、女の子の内面世界の冒険みたいな? そんな感触はあるんですけれども。

何て云うか、本当にノベルゲームという感じではなくて、「イメージ映像」というか、そういう作品の感触があります。作者様は題して「ノベルアートシアター」と名付けていました。
前衛的っちゃ前衛的なんですけれども、どことなく古式ゆかしい感じもないわけじゃない。不思議な手触り。普通の散文というよりは、散文詩という方が適切かもしれません。

結局、作品を通して、文章などから何か「意味」を抽出出来たのか? と云われると、「良く分かりませんでした……」としか云えないw けれどもやっぱり、作品の意味みたいのを解く鍵は、タイトルにあるんじゃないかな? と思いますよ。
タイトルは『perception』、英語のperceiveの名詞形ですね。ラテン語の原義を辿ると、何かボールみたいなものを放られて、それを全身を使って抱え込むようにキャッチするというか、そういうイメージでしょうか。
そっから、知覚する、とか、受け止めるとか、理解するとか、そういう意味が派生して現在的に使われるようになっているハズです。OEDとか引けば良いんでしょうけれども、生憎所持していないので、適当な事を書いてるおそれが十分にあるわけですが。。

じゃあ、タイトルから導かれた本作の意味って何よ? って云われるとちょっと困ってしまうw
何て云うか、明確に意味がある、というよりも知覚とか感覚だとか、そういう部分に「何か」を訴える、そこが作品のキモなんじゃないかな? という気はするんですけれども。

ノベルゲームというよりは現代アート的な、そういう感じのものでした。
そういうものがお好きな方はプレイしてみては如何でしょうか?


というわけで、今日はこのへんで。
それでは、また。

by s-kuzumi | 2009-08-31 22:05 | サウンドノベル | Comments(0)
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