2009年 10月 16日
![]() 今日の副題 「夢に出てきちゃいそうな閉塞感」 ジャンル:ホラー プレイ時間:30分~数時間 その他:選択肢アリ、バッドエンド多数。セーブ不可。 システム:吉里吉里/KAG 制作年:2008/7/26 容量(圧縮時):14.5MB 道玄斎です、こんばんは。 重みのあるストーリーものは、今ひとつ気乗りしないのですが、単発ホラーを無性にプレイしたくなりまして、早速探してきてプレイしました。プレイ後の今、胸の内にもやもやっとしたものが残っていて、多分、そこらへんが作者様の狙いだと思うので、見事にしてやられた事になります。 というわけで、今回は「夢鳥-yumedori」さんの『3ROOMS』です。 良かった点 ストーリーは作品に付属していたReadmeのhtmファイルから引用しておきましょう。 あなたは、目覚めると見知らぬ所にいました。辺りは真っ暗で、床はコンクリート製。傍にあったジッポライターの火を点けてみると、そこは真っ白な壁に囲まれた部屋の中でした。 こんな感じ。 ホラーであり、且つミステリーなので今回もネタバレは極力避けるようにする積もりです。 ホラーと一口にジャンルを纏めても、実はいくつか種類がありますよね。 妖怪や化け物から逃げるタイプのホラー、殺人鬼のような「人間」から逃れるタイプ、あるいはサイコホラー。細かく見ていけばもっと細分化出来るハズですが、却って煩雑になるので、このくらいにしておきましょう。 さて、この分類で云えば、本作はサイコホラーに一番近いかな? という気がします。 他の要素もたんまり入っているのですが、個人的に一番怖さなんかを感じたのがそうした部分だったわけです。 扉が二枚あるだけの部屋に監禁されてしまった主人公、そして彼の恋人宏子。 この閉鎖された空間の息苦しさが、これでもかというくらいプレイヤーに襲いかかります。音楽もちょっと気味の悪い音が延々とループで鳴り響くので、余計に閉塞感を感じるようです。閉所恐怖症の人だったら、もしかするとプレイするだけで気持ち悪くなっちゃうかもしれませんねぇ。 ともあれ、本作がホラー作品であって、プレイヤーを「怖がらせたり」「特殊状況下での人間の心理を追体験させる」ようなものが、目的(少なくともその一つ)となっているはずですので、そうした試みは成功していると云えると思います。 プレイしながら、結構主人公にシンクロしてジリジリ焦りが出てきてしまったり、うんざりする程の閉塞感にへこたれそうになったりしました。繰り返しになっちゃいますが、そうした部分が本作がホラー作品たる所以でもあるわけですよね。 ちなみに、セーブ/ロードは不可能。 というか、そういう機能を意図的に搭載していないようです。よく私達がやるように「選択肢でセーブ」→「バッドエンドが来たらセーブポイントまで戻る」という手法が使えないのです。 その代わり、自動で追加されるセーブポイントが三箇所あり、何かしらのエンドを見たあとは、お好きなポイントからやり直す事が出来ます。実際は少しやり込むと、やはりセーブ/ロードが欲しくなってしまうのですが……。 エンドは所謂「エンディング」と呼ばれるものが2種類あり、内一つはTRUE ENDと銘打ってあります。それ以外に10個の「デスエンド」(つまり死亡エンド)となっており、合計で12個ですね。 今、改めて考えてみて、少し気になった点は、正規のエンディングとなる2種類と、他のバッドエンド10種類の「到達難易度」に差が無いんじゃないかな? っと。 通常だったら、やっぱりトゥルーエンドが一番到達しづらく、他のエンドは割とさっくり回収出来るようなそういう作品が多いですよね(勿論コンプリート、となるとそれなりに大変だけど)。 又、普通、トゥルー以外の、「ノーマルエンド」的なものとトゥルーエンドは割と密接に関わっていて、選択肢の時点での「好感度」とかそういう値で分岐したり、最後の数個の選択肢の選び方で分岐したりする作品も良く目にします。 ですが、本作の場合、凄く簡単にするりとトゥルーエンドを見ることが出来ても、他のエンドが全然埋まらない、なんて事も起きてきそうです。トゥルーエンドを見ても、ノーマルエンドが全然見られない、なんて事も当然起こってきますし(私もそうでした)、運良く、トゥルーエンド、ノーマルエンドを見ることが出来ても、数字の若いバッドエンドが中々埋まらないなんて事も。 これは個人的な見解ですけれども、やっぱり「正規のエンド」に到達する為の難しさと、その他のバッドエンドに到達する為の難しさには、或る程度は差みたいなものがあっても良いんじゃないかと思います。 ただ、このエンドに関して、ちょっと毛色の違うエンドが混じっていました。本作のストーリーとは殆ど無関係に、別のホラーに変化してしまうエンドです。デスエンド6ですね。 こういうエンドの変化は結構好みですし、デスエンドに到達すると、結構な確率で「真相」に触れる描写がなされたりもするので、意外な程「やる気」は持続するかも。 実を云えば、私、デスエンド10はまだ見ていないんですよね。 それ以外は全て回収出来たのですが、何故か10番だけ到達出来ません。明日にでもプレイし直してそこを埋めたい……。 結局、トゥルーエンドを見ても、「もやもや感」は消えるどころか、寧ろ増えてしまうw 幽霊を成仏させるとか、分かりやすいエンドじゃないから、なんですよね、それは。断言しても良いですけれども、本作で描かれる事件の真相を、最初っから推理する事は絶対に不可能でしょう。犯人までは到達出来てもその動機にたどり着く事は絶対に出来ないハズ。 だからこそ、物凄いもやもや感が残るストーリーになっていますし、独特な閉塞感がプレイ後も続くわけで、そこは作品にとって不可欠な部分、でもあるわけです。 結構グロいシーンとかも出てきます。ニガテな人は気をつけて。 ただひたすらに怖い部分、何だか妙に不気味な部分、そして、最初に述べたようにサイコホラー的な部分も。 で、クライマックスの事件の真相、これはホラーやグロテスク描写の耐性などの問題も含めて、賛否両論あるかな、という気はします。 逆に「分かる分かる!」って共感しちゃえる人とは、あんまり仲良くなりたくないです……w 暫くプレイしていれば犯人は割と簡単に見えてくるんですけれども、「何故?」という部分、そこが意外すぎる程意外だという、ね。 ホラー作品のラストで良く感じる「助かった!」という安堵感、そして開放感みたいなものは、あまり感じられないかもしれませんw が、独特な怖さや空間の描写は特筆すべきところがあります。 怖いのが好きで、ちょっと気になった方は是非プレイしてみて下さい。 それでは、また。
by s-kuzumi
| 2009-10-16 19:48
| サウンドノベル
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Comments(2)
![]() ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
>>かなさん
こんばんは。はじめまして。 作品のご紹介、有り難う御座いました! 『Tic Tac Toe』、どうやら英語で「三木並べ」の事みたいですね。 作品は、 http://www.youtube.com/watch?v=VMNz_24SIjo&feature=related これの事かな? ちょっとビジュアルとか、良さそうな感じですよね。 ただ、私も同じく向こうの言葉、文法体系から単語、文字の書き方に至るまで全く分からないので、辞書を引きたくても引き方すら分からないというw ともあれ、とても興味深いコメント、本当に有り難う御座いました。海外のゲーム事情もやっぱり、或る程度抑えておきたいので、凄く参考になりました!
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