2009年 12月 22日
道玄斎です、こんばんは。 既にして軽くアルコールが入った状態なわけですが、今日も作品のご紹介。 実は、昨晩寝しなにプレイしていて、ファイルサイズからそれなりに長いかな? と思っていたらさっくり10分程度だったので番外編にて。 というわけで、今回は「かくざとう」さんの『いけにえのかごめ』です。作者様のサイトが分からなかったため、ふりーむへのリンクを張っておきます。 最初、タイトルを見て、「ホラーか?」と思ったのですが、ふりーむに載っていた紹介文を見て、「これはホラー以上の何かがあるに違いない」と思い、にわかに興味が出てきて結局一気にプレイしてしまいました。案の定、ホラーでは無かった、と。っぽい雰囲気は前半部に少しあったとしても、ね。 10分、ゆっくり読んでも恐らく20分は越えないであろうと思われますが、容量はかなり多めの約97MB。多分……これは音系のファイルに因るものかな? 高品質の音素材が多く使われていたと思います。 「ハッピーエンドじゃないけれども心があたたまる」ような作品、という事になってますが、私はこれ、意外とハッピーエンドなんじゃないかな、とも感じてしまいます。心あたたまる、というか「じわっと来る」部分も当然あって。 タイトルから考えて貰うと一番分かりやすいのですが、所謂「人柱」的な、そういう風習が作品の背景の一つとしてあります。手前味噌というか自分語りになっちゃいますが、窃かに暖めている『夏みかん(仮)』が、まさにその手の作品でしてw そんな部分で親近感を感じたり、という事は個人的にありました。 それと、本作、例の「かごめかごめ」の唄の解釈を巡っての説、なんかも取り入れられていてソッチ系が好きな人は「をっ!」となるような、部分も。 ちなみに、本作の舞台は、所謂「昔々」というような、明らかに現代とは異なる時代に設定されています(多分……)。そうした昔、人柱にされかかった少女と、その世話役をしている青年との関わり合い、みたいなものが描かれていきます。 何度も云ってますが、10分で読了可能です。が、密度は結構濃かったんじゃないかな? と思います。少女と青年の心が通い合う、その瞬間がキチンと描かれており、そこが一つの作品の盛り上がりにもなっていて、満足度は高かったです。 やっぱり、「何だかわからねぇけど、おらぁこいつの事好きなんだ」ってな事は、現実では良くあるんですが(ん? 無い?)、ノベルゲームで、その「リアル」な部分を出しちゃうと、却って分かりづらくなってしまい、結果「リアルを追い求めたが故にリアルで無くなる」みたいな部分があるような気がしますねぇ。 「何故惚れたのか?」という、お互いの心が通い合う瞬間、みたいのをプレイヤーにそれと分かる形で提示した方が、やっぱりゲーム的な意味ではリアルに感じられるんですよね。 恋愛一本タイプの作品では、何故惚れたのか? って所よりも「どうやってOKして貰うか」、又は「ヒロインの抱える問題を主人公(とヒロイン)が、どうやって乗り越えていくのか?」 「またヒロインはどういう問題を抱えているのか?」という部分の方が比重が大きい気が個人的にしています。 勿論、そういう作品があってもいいし、そうした中に名作もあります。ただ、やっぱり「恋の芽生え」みたいな部分までしっかり書かれていると、私は嬉しいですし、共感度も高くなるというw 作品のジャンルによって、こうした「恋の芽生え」の重点の置き方も、当然まちまちだと思います。 ツンデレ、だったら「何か、ツンツンして怖かったけど、意外と優しいところもある……なんかこの娘気になるぜ……」みたいに、割と明確に「恋の芽生え」みたいのが出てきたりしますが、一方ヤンデレ、になると下手すると「恋愛が成就」してから、彼女の隠されていたブラックな属性が明らかになり……みたいな事もあるわけで、「恋の芽生え」よりも、ブラック属性に重点が置かれる傾向があるような。 っと、早速脱線しまくってますが、そういう意味で、恋愛の本当に発端部分、そこがちゃんと描かれており、且つ作品にとっての一つの盛り上がりになっていた、という部分で、凄く良かったな、と。 ここで、ストーリーから一端離れて……。 実は、本作「句読点」がありません。これにはちょっと吃驚しましたw 読点(「。」ですね)が普通なら置かれるであろう場所まで来ると、「クリックで改行」になりますし、句点(「、」)でも又然り。 けれども、読みにくいか? と云われると「それほどでもない」と云う感じ。やっぱり、何だかんだで句読点が付いている文章の方が慣れていますから、違和感を感じないわけではないのですけれども、意外な程すんなり読めていけます。寧ろクリック回数が多めになる為か、テンポ良くプレイ出来る感じ。 こういう体裁をとっているのは、何か理由があるのかな? まぁ、句読点なんて昔は使っていませんからねぇ。うんと昔(1000年とかそのくらい)前は、歌(和歌ですな)が来たら、字を下げて「歌の存在を示す」ってくらいで(物語、の場合)、句読点なんて意識は無いんですよね。 江戸時代の版本とかになると、句点はないけれども、読点らしきものは出てきたりするような。今みたいに「。」ではなくて「○」と普通の字と同じ大きさで、文章の切れ目が示されます。まぁ、これも句点的に「○」を使っている事もあるんですが、やっぱり現在とは事情が異なります。 でもでも、現代では寧ろ「句点・読点」を使う方が普通で、例外としては、演出として例えば「空に文字が浮き上がる」みたいな時に、句読点は付けず、句点はスペースで示したり、なんて事はありそうです。 こういうのは、所謂「キメ」というか、ここぞって時に使う技で、だからこそ、本作が何故句読点を使用していないのか? 善し悪しの問題は別として何だか凄く気になります。 既に、番外編にも関わらず結構長くなっちゃいましたけれども、このまま突っ走りましょうw 一つ、本作で「こうしてみては?」と提案出来る部分としては、頻繁に入るアイキャッチ、でしょうか。背景素材が変わるたびに、っていうと大げさですけれども、割と頻繁にアイキャッチが入ります。 もう少し、使用頻度を押さえてみると(ここぞ、という時に使うと)、よりテンポの良さが引き立ちますし、グッとくる場面の「タメ」としての効果も出せるんじゃないかなぁ、と。 作品自体は短いですけれども、容量がちょっと大きめだったり、句読点が無かったりと変わり種の一作。 内容は、近しさも相俟って私は好きなタイプで、「さっくり遊べる感動もの」としてお勧め出来るんじゃないかな、と。 興味を持たれたら、是非プレイしてみて下さい。 それでは、また。
by s-kuzumi
| 2009-12-22 23:02
| サウンドノベル
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