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久住女中本舗

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2010年 07月 09日

フリーサウンドノベルレビュー 『彼は誰刻』

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今日の副題 「その手の時間にゃぁ、不思議な事が起こります」

ジャンル:微ファンタジック百合ノベル(?)
プレイ時間:30分程度
その他:選択肢なし、一本道。
システム:NScripter

制作年:2010/2/24
容量(圧縮時):38.7MB




道玄斎です、こんばんは。
先日は、第0.5回目のラジオ放送を御きっき頂きまして誠に有り難う御座いました。一応、三周年記念ラジオって事だったのですが、結局3時間喋りっぱなしですから、喉が結構痛くなりました……。今日、ちょっと帰りしなにPCサプライコーナーを見てみたら、1400円くらいで、マイクのミュートが付いているヘッドセットがありました……。近々それに乗り換えないと……。

さてさて、今日は短編作品。
大凡30分程度で読了出来る百合(っぽさがある)って云っても差し支えないような感じのものですね。
というわけで、今回は「観測経路05地点」さんの『彼は誰刻』です。
良かった点

・独特な雰囲気が、文章や作品全体から伝わってくる。


気になった点

・やや分かりづらい点がなきにしもあらず。

ストーリーは、Vectorの紹介文から引用しておきましょう。
夕暮れ時。小雨が降る商店街を一人の少女が小走りに駆ける。
役者志望の彼女は夕方からのバイトに遅刻しかかっていた。
慌ただしく人込みを縫う中、意識するともしない意識が、商店街の片隅で一人佇む少女を捉えていた…。
なくしたはずの記憶が今、浮上する――

少女と出逢い、急速に心を奪われる半面、目に見える体調不良にも見舞われるようになったことも意識していた。
二人の行方は――

女の子同士の関係を描いたサウンドビジュアルノベルです。ジャンルで言えば百合。
※一部女の子同士の過剰なスキンシップ(百合描写)あるため、苦手な方はご注意ください。

という感じです。
実際の所、本作が「百合作品」なのか? と問われれば、そうではないような気もしますw 若干百合っぽい部分がある、というのが最も適切な云い方かもしれませんね。

私はちょっぴり百合とかが好きなので、それに反応してプレイしたわけですが、このくらいの百合未満くらいだと、きっと百合好きもそうでない方も楽しめるんじゃないかと思いますよ。
本作、別に15禁とか18禁とかじゃないですしね。

さて、本作をプレイしようと思ったもう一つのきっかけ、それはタイトルです。
『彼は誰刻』です。「かはたれどき」と読むんですが、全く同じ時間帯を指す言葉に「黄昏刻」があります。そちらはメジャーですが、「かはたれ」の方は今ひとつ市民権を得ていなような……。

「彼は誰」ですから「彼が誰だか分からない」という状態なんです。
「黄昏」=「誰そ彼」も「誰が彼だか分からない」という状態。
現代語にすれば「あいつはだれだ?」若しくは「誰だ? あいつは!」 の時間ですw

つまり……街灯やらが無い時代、夕方とか明け方とかは、ちょっと先に居る人が誰だか分からなかったわけで、そういう時間を以て「彼は誰」刻とか「誰そ彼」刻とか云ってました。
今、ちょっと追跡調査をしてみたところ、「誰そ彼」刻の方は夕方を、「彼は誰」刻の方は明け方を指すように、変化したっぽいです。

その考え方で行くと、本作のタイトルは、その内容を鑑みるに「夕方」商店街に一人佇む不思議な少女を発見して……というわけですから、タイトルの「彼は誰」は夕方を指しているっぽい?
いやぁ、私も「黄昏=誰そ彼」と「彼は誰」は全く同一の時間帯を指している、って云うほうが、感覚的にですが、しっくりきます。
で、こういう時間は更に「逢魔が刻」でもありまして、色んな事が起きたりするもんなのですよ。


ストーリーの方に踏み込んでいきましょうか。
俗に云うヴィジュアルノベルタイプで表示されていく作品ですが、文章そのものは読みやすいですね。
所謂ノベルゲームの文章、というよりは小説っぽい感じ、って云って伝わるかな? 
丁度、作中でも雨が降っていたりして、ジメジメしている今プレイすると雰囲気たっぷりですね。

微妙に影絵が出てきたり、あまり目にする事のないような、小説調の文章が独特な世界を生み出していますねぇ……。
こういう或る意味で「クセ」の部分が、フリーのノベルゲームの味わいの部分。私は結構好きですね。何となく煮え切らないような、じれったさに含めて、ね。

気になった点、というのは、人によっては今述べた微妙なじれったさなのかもしれませんが、実は「キャラが確定しづらい」という叙述上の問題でしょう。
基本、女性二人が登場キャラですが、そこに夢という形の回想シーンが入り込んできたりします。
で、端的に云えば、「今喋っている「私」とは誰を指すのか?」が極めて分かりにくいんです。

二人の会話の掛け合いなどがあれば、混乱する事はないのですが、どうも分かりづらいなぁ、と感じました。プレイするにつれて、もつれた糸がほどけていくので、段々と分かっていくんですけれどもね。
意外と、ラストの辺りは意表を突くというか、良い意味で「やられた」感もあるので、実は結構ストーリー的には深いのかも。
人物の混乱、に関しては一人称を例えば「私」と「あたし」とか、差異を付けてみたりすると解決出来る……かもしれませんね。


大体こんな感じでしょうか?
ちょっぴり優しい雰囲気の微百合作品です。
百合好きなら勿論、そうでない方も気軽にプレイしてみて下さい。


それでは、また。

by s-kuzumi | 2010-07-09 20:15 | サウンドノベル | Comments(0)
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