2010年 07月 15日
今日の副題 「ついに登場! Ren'Pyゲーム」 ジャンル:シリアス風味のファンタジックノベル(?) プレイ時間:コンプリートまで凡そ1時間ほど。 その他:選択肢はないが、「質問」システムが組み込まれている(後述)。 システム:Ren'Py 制作年:2010/7/14 容量(圧縮時):32.1MB 道玄斎です、こんばんは。 今日は、出来たてほやほやの作品のご紹介。ついに……Ren'Pyを使用した「日本人向け」ノベルゲームがリリースされました。私も興味を持っているシステムなので、楽しくプレイ出来ました。 というわけで、今回は「堕天の旋律」さんの『フォルトゥナに口づけを -un bacio per Fortuna-』です。 良かった点 ストーリーは、サイトの方から引用しておきましょう。 悪魔の血、それが人間にとって麻薬と似た作用を持つことを誰が想像できようか。 という感じです。 少しストーリーに補足しておくと、「悪魔の血」なる一種のクスリによって、狂わされたクラリスとクラウディオの兄妹を助けたのは、中立界なる世界の存在する軍の少尉エーリスという人物。 クスリの作用によって、二人の余命が僅かであるのを知り、エーリスは二人を引き取り、生活を共にするのだが……。 と、まぁこんな感じでストーリーが進んでいきます。 大きく分けて、本作は三部構成。「1.人の命 la vita umana」「2.亡霊 fantasma」「3.終結と先 epilogo」と分ける事可能。 これは、一章読み終える事で次の章に進むことが可能になる、そういうタイプですね。 どうでもいい脱線ですが、今挙げたようにサブタイトルとか、ちょっとした所でラテン語系の言語が使われています。が、これイタリア語でしょうかね? 私はそっち系だとフランス語くらいしか分からなくて……。勿論、フランス語が堪能! なんて話じゃなくて、大学の時第二外国語で習っただけですがw 英語+ラテン語系の言語を一つ知っておくと、なんとなーく便利な気はします。 私の推理が合ってるかどうか分かりませんが、「1.人の命 la vita umana」なんかも、そういう応用で意味が分かります。laってのは、女性名詞である事を示す冠詞だと思しいので、特に考えなくてもOK。問題は「vita」と「umana」です。vitaは命とか生命とか生活とか、そういう感じ。ほら「vital」とかって云うでしょ。 「umana」も分かりにくいですけれども、これって恐らく英語で云う所の「human」なんじゃないかなぁ? 字面もちょっと似てますよね。 これ、英語で書くと「The life of human」とかその辺りじゃないかな、と思います。 こうやって見ていくと(それが合っているかどうかは兎も角として)、タイトルにある「フォルトゥナ」も何となく推測可能ですよね? これも英語で馴染みの深い単語を導くと「fortune」が出てくるハズです。あの『フォーチュンクエスト』のフォーチュンですw ってこの喩えで分かる人はいるのか?w ともあれ、幸運とかそういうフォーチュンですね。けど、これはただ幸運ってんじゃなくて、寧ろ「幸運の女神」を指しているのではないかと。 「Fortune knocks once at least at every man's door」なんて決まり文句も英語にはありますよね。この場合のFortuneも「幸運」ではなく「幸運の女神」と訳した方が良いですよね。 こういう所から作品の雰囲気なりを推測していくのが、ノベルゲーマーであり、その楽しみの一つなのですw あー、今日は脱線しまくりですねぇ……。ここんところ、中々レビューを更新出来なかったのでフラストレーションが溜まっていたのかもしれませんw さて、肝心の中身の方に入っていきましょうか。 Ren'Pyという、日本ではあまり馴染みの無いシステムを使用しているのですが、プレイしていて違和感を感じる事は殆どないと思います。いつも通りの操作でプレイ出来ます。 逆に……デフォルトのRen'Pyのシステムを良くここまでカスタマイズしたなぁ……という驚きの方が大きいですねぇ。個人的にはデフォルトのものでも全然いいんですけれども、より「お馴染み」な感じにスッキリとカスタマイズしてくれています。 で、ちょっと憂いを含んだ軍人エーリスが、謎の組織によって、言葉は悪いですがおもちゃにされていたクラリスとクラウディオの兄妹を引き取り、その最後を看取っていくんですが、後書きを見れば「プロローグ的」な作品、だと書いてあります。 確かに、何の気も無しにプレイするとそういう部分があります。そもそも「謎の組織」自体が明らかにされてませんし、「軍」の存在や、「人界」やら「中立界」という世界観の部分もサラリと記述されており、シナリオそのものにはそこまで深く関わってきません。 けれども、「そういう世界があるよ」という前提の元で話が進んでいくので、そこに決定的な消化不良感が生じたりする事が無いのはいいですね。意味深な言葉なり単語なりが意味深なまま放置されたりすると、やっぱり気になっちゃいますからねぇw 本作の大きな特徴は「質問」システムです。 普通に会話なりを見ていく際に、画面上の「?」マークが、一瞬半透明のものからクッキリと黒色で浮かび上がってくる瞬間があります。 その時に「?」マークを押すと、「質問」を投げかける事が可能になり、ストーリーが更に拓けていく。そんな作りになっていました。 確かに、最初から表示されている三章だけを読むと、プロローグ感は強いのですが、各章の隙間を埋めていくストーリーを見る事で、これはこれで「一個の作品としても纏まっている」と気がつけるようになっています。 ちなみに、私が「質問」システムに気がついたのは、一渡り三章までプレイしてタイトル画面のExtraから「あとがき」を読んだ時ですw ここは、ちょっと気になった点とも重なるので書いておきましょう。 果たして、初見でプレイしてこの「質問」システムに気がつく事が出来るのか? と云われたら、恐らく7割くらいの人は気づかないんじゃないかなw そして、私と同じく「あとがき」でそれを知り、「何だろう?」と疑問に思いつつも放置していた「?」マークに注目するようになる、とw。 中々に難しい事だと思うんですが、もうちょっと「?」マークの存在感とかがあると、ナチュラルに「質問」システムが実装されている事に気がつけたのではないかと思います。例えば、質問すべきタイミングが来たら、一瞬ウエイトが掛かって、「?」マークが2、3回点滅する、とかね。 そうは云っても、取り敢えず、デフォルトで示されている三章をプレイした後に、「質問」で現れてくるストーリーをプレイした方が良い気はするんですよねぇ……。ここらへんは好みの問題ですけれども。個人的には、そういうプレイの仕方をお勧めしておく、ってことで。 で、もう一個の気になった点は、まだ若干、誤字なんかがあったり、バグが出てきたりしている箇所がある、という所。 勿論、最後までプレイ出来るんですが、一瞬「え?」となってしまうバグがありました。「質問」をしたりしていたら、シナリオが巻き戻ってしまった箇所があったりして。 NScripterや吉里吉里/KAGのように、分厚い(そして日本語の)参考書が出ていない、Ren'Pyというシステムですから、このくらいのバグは見て見ぬフリをするのも良いかもしれませんw イラストも含め、全てご自身でお作りになられている意欲的な作品でした。 Ren'Py製の作品が出てきた、って事も嬉しいですけれども、少し翳りのあるストーリーや世界観が私の好みでした。そういう設定だからこそ、ちょっと感動的なシーンもより一層冴えるんですよねぇ。 これは、多分……続編が次々とリリースされていく、という形態なのかな? 是非、全てのシナリオが出来上がったら一つの作品として発表して欲しいですね。次回作も凄い楽しみです! というわけで、久々に脱線多めになっちゃいましたが、今日はこんなところで。 それでは、また。
by s-kuzumi
| 2010-07-15 18:48
| サウンドノベル
|
Comments(4)
こんにちは、レビューありがとうございます!!
まず、バグフィックスの(はずの)パッチと、誤字含め直した(はず)のバージョンをWin、Mac、Linux版全て公開しました。 >これイタリア語でしょうかね? はい、イタリア語です。なぜか、と言うのは次作の方に関わりがありますが。 確かに英語+ラテン系の言語を一つでも知っておくと便利ですね~。ちなみに、言葉に対しての推測は全部正解です。 >システム お褒めに預かり光栄です。うわあ……。 質問システムはどうしようか迷ったのですが、やっぱり質問が追加された時に光らせるなり音を入れるなりしたほうが良さそうですね。 次の作品ではそうします。と言うか、まだまだ工夫の余地がありそうですねえ……。
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きりか
at 2010-07-17 11:21
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>ストーリー
好みでしたか! 何かすごく安心しました! やはり作風が「合わない」ものでは短い時間でも苦痛ですからね。 少し感動的なシーンが冴えていた、と勝手に解釈しつつ、我ながら無駄に感動させようとしなかったのがよかったかな、とw。 個人的に『演出的な死』などは嫌いなので、その辺りは淡々と描写しがちなんですが。 続編が次々と……ではありませんが、次と少しリンクしていると言う意味でプロローグ、なのです。 次もこの作品を読まなくても全然大丈夫な作りです。 では、最後に、もう一度ありがとうございました! そして毎回文字数オーバーな自分……(笑)。
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s-kuzumi at 2010-07-18 20:04
>>きりかさん
こんばんは。 こちらこそ、色々とお世話になっております。 又、Linux版、Mac版のリリースもおめでとうございます! 言語系の推測が全部正解、という事でホッとしておりますw 間違っても別にいいんですけれども、折角ですからカッコつけたかったんですよねw vitaの説明の時に英語の「vital」を引き合いに出せば良かったと今にして思う後悔……。 システムはデフォルトのものよりもスッキリとしていて、使いやすかったですよ! デフォルトのままのゲームだと時にゲームの尺に対してあまりにも複雑な設定が出来るものがあったりして。そうなると、折角の設定画面も煩雑に思えてしまいますからねぇ……。 「質問」システムは、個人的には「質問タイミング」が分かりにくい、という感じだったので、点滅なり音が鳴るといった工夫があっても良かったかな? と愚案致します。
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s-kuzumi at 2010-07-18 20:04
つづき
ストーリーは、大体私はこの手のちょっぴりほの暗い部分も併せ持つ作品が好きなので、楽しませて頂きました。 「演出的な死」なんてのも、時と場合によってはやっぱり演出として「効果的」だったりするわけですけれども、自分が何か書こうと思うと、大抵の場合、まっさきにそれをやってしまうという悪癖が……w こちらこそ、素敵な作品、有り難う御座いました。 そして、「あちら」の方でもどうぞ今後とも宜しくお願い申し上げます! /* 字数オーバーなのは、このブログが使いにくいせいですw 私も「もうちょっと長く記述出来ないものか?」と若干イライラしていたりしますw */ |
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