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久住女中本舗

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2010年 11月 17日

フリーサウンドノベルレビュー 『明けない夜が来る前に』

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今日の副題 「お前はもう死んでいる!」

ジャンル:死神ハートフルノベルゲーム(?)
プレイ時間:約1時間。
その他:選択肢無し、一本道。
システム:吉里吉里/KAG

制作年:2010/?/?
容量(圧縮時):132MB



道玄斎です、こんばんは。
最近、また少しノベルゲームプレイのペースを取り戻している今日この頃ですが、皆様におかれましては如何お過ごしでしょうか?
少し、プレイから遠ざかっていたせいか、最近、妙にノベルゲームをプレイする、という行為が新鮮に感じたりします。そうこうしている間に、良い作品が次々とリリースされていたようで、今回のレビューもその一つをご紹介する、という事に。
というわけで、今回は「幻創映画館」さんの『明けない夜が来る前に』です。
良かった点

・テンポ良く読める、軽やかな文体。

・読後に残る余韻が素敵。そして嬉しいヒロインフルボイスw


気になった点

・もうちょい、テーマ的な部分に迫る描写があっても良かったかも。

ストーリーは、サイトへのリンクを張っておく事に致しましょう。こちらからどうぞ。



「ヒロインが“人外”だった場合」、そのヒロインの種族(?)はなんでしょうか?
と、唐突に質問してみたわけですが、殊ノベルゲーム/サウンドノベルというフィールドに於いては、先ず「幽霊」が筆頭に来て、次に「吸血鬼」とかかな? で、三番手くらいに「死神」というものが出てくるハズですw って世の中にある全てのゲームを見たり、計ったりしたわけじゃないから分かりませんけれども、大凡納得して頂けるんじゃないかな? なんて思ってます。

本作は、その「死神」がヒロインの作品ですね。
これは、ここ一年くらい結構プレイする機会が多いような……。例えば、『Dear∽Life』や『ゆめいろの空へ』などですね(『ゆめいろ~』は天使だけれども)。
多くの場合、主人公がなにがしかの事情で、死亡する事が確定していて、死神たるヒロインが彼に死を告げに来る……なんてイントロから始まります。

本作もその例に漏れず、ヒロインが幽体となった主人公の魂を刈り取るべく、彼の前に姿を現します。
が、私、今回ばかりは読んでいてちょっと吃驚しました。なんと、死神は「普通の人間」だったんです!w 普通、死神っていうと、アッチの世界(天上界とか、或いは冥界とか、はたまた地獄とか)の住人で、それ故の異能が振るえたり……という事があるんですが、所謂普通の女の子がバイトとして死神をやっている、という設定だったんですよね。

現実ではあり得ない設定ではあるんですが、テンポ良く進むストーリーと相俟って、「そういうちょっと不思議な世界なんだな」と直ぐにプレイヤーに納得させてくれる上手さ、がありますね。
これは、文字の表示領域とも関わるんじゃないかな? と勝手に思ってます。本作、基本「一行乃至一文」がワンクリックで表示される文字の量なんですよね。
これによって、凄くテンポ良くプレイを進める事が可能に。気がつけば、グッと前のめりになって作品に没頭出来き、いつの間にか、「作品世界」の中にプレイヤーも入り込んでいる……というかそういう感触がありました。

あっ、そう言えばちょっと嬉しいヒロインのみフルボイスです。
私の場合、声を聴く……というよりもクリックを優先させてしまった感はあるのですが、ヒロインに良く合った素敵な演技でした。


ストーリーを少し補足しておきましょう。
既に肉体は死んでしまい、魂だけが現世にある状態。
それが、本作の主人公の置かれている立場ですw
そして、バイトで「死神」をやっているけれども、持ち前の性格の優しさが災いして鎌(例の死神の鎌ってヤツです。『GUNSLINGER GIRL』宜しく、楽器ケースみたいのに組み立て式で収納されてます)を振り下ろせない、そんな心優しい女の子がヒロインですね。

中々魂を刈れそうに無いヒロインと、強いての未練が「彼女が欲しかった」という主人公。
結果、「死神」たる夕美が一日、彼女になってくれる……という事になって……。
と、こんな風にストーリーは続きます。


結構切ないラストでして、私はそういうの好みですから、「この余韻がたまらんね……」と一人でしみじみしてしまいましたw
一日に満たないような、そんな数時間を描く作品ですが、要所要所をしっかりと押さえてあった為(ネコの下りをあそこに配置したのは、グーですよね)、驚くほど満足感が高い作品です。
プレイ時間こそ1時間なんですが、もう少し長くプレイしてたような……不思議な充足感があります。

強いて……気になった点を挙げるとすれば、テーマにもう少し迫れる場所があったんじゃないかな? という点。例えば夕美のバックグラウンドとかですよね。ひたむきに頑張るヒロインという意味では良いんですけれども、あまりに生活感があるというかw
最後の最後は、やっぱり夕美が焦点化されていくわけですから、「彼女が死神である理由」みたいな、テーマに深く関わってくるであろう部分を「彼女の側からも」描く事が出来たのかも? とちょっとだけ思いました(彼女が「死神」として採用された理由、は納得感が高いものでした)。
割と……こう、外的な要因で「死神」を続けている、という印象がなきにしもあらず、という感じでしょうか。勿論、それだけじゃない事は分かるんですが、それをもうちょっと表現してやっても良かったかな、と。


大体、こんな所かな?
あっ、そうだ。本作、どうやら後書きを読むと、イラストも作者さんが手がけているようです。しかも実質作業時間が2週間という……。これは相当凄いですよね。
多分、本作が処女作と思しいので、第二弾、第三弾の作品も今から楽しみですね。



それでは、また。

by s-kuzumi | 2010-11-17 20:17 | サウンドノベル | Comments(0)
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