2011年 01月 06日
道玄斎です、こんばんは。 今日は又しても番外編、なのですが、久々にプレイしてみたくなった「和風」作品を持ってきました。まだ、松の内ですし、和風が似合う季節なのではないかと思います。 というわけで、今回は「Arim Lab」さんの『妓楼怪談』です。 さて、本作はブラウザ上でプレイ出来る、FLASHを利用した作品になっています。 実は「Arim Lab」さんの作品では、以前『桜闇夜奇譚~黒羽根~』をプレイさせて頂きましたが、本作も、ちょっぴり雰囲気が似ている所がありますね。 本作はタイトルからも分かる通り、「和風ホラー」作品です。 どうやら、原作は『耳囊』らしいのですが、それをリメイクし、ノベルゲームの形にした、という事みたい。『耳囊』は江戸時代に書かれた随筆集、という事なのですが、実際は、珍しい話恐い話などが多数収録されており、読み物として面白い……らしいですね。 私も、割と江戸時代の怪談の類は好きで、岩波文庫とかで買ってきて読んだりするのですが、『耳囊』は未読です。多分……なんですが、江戸時代くらいになれば、一応「古文」という範疇ではあるものの、そこまで文章を読んでいくのは難しくありません。 入門としては、やはり岩波文庫から出ている、江戸時代の怪談集を抜粋した『江戸怪談集』をお勧めしておきます。江戸時代の怪談のエッセンスがこの本で大分分かるはず。 ここらへんで、本作の中身に入っていくとしましょう。 舞台は遊郭。空蝉という源氏名の、ちょっと曰くありげな遊女を揚げた男の奇妙な一夜を描く作品、というのが、端的な纏めになりましょうか。 割と、遊郭言葉、郭言葉が出てきており、そこらへんに拘りが感じられます。 背景素材、音素材のチョイスのセンスも上々ですね。 ちなみに宣伝となりますが、一応私が責任者、という事になっている素材サイトNovelers' Materialというものあり、ノベルゲーム制作に役立つ素材をダウンロードしたり、或いは素材制作者として登録したり出来ます。 和風チックな曲も私は、何個か制作して登録しているので、興味があれば、是非ご覧下さいませ。 で、外はお祭りの日。だけれども遊郭はそうした外界とは無縁の苦界です。 そういう「明暗」の対比が、和風ホラーならではの隠微な空気感を作り出していますよね。 ちょっと考えれば、遊ぶ為の遊郭という施設ではあるけれども、そこで働く者達は、ある種の暗い事情があって、そこで生活をしているわけで、遊郭という場の持つ、明暗みたいなものも、やっぱりホラーとの相性は抜群だと思います。 FLASHで読み進めていく作品、ではあるのですが、選択肢があり、エンドが6つ用意されています。 所謂「即死系バッドエンド」は2つあるのですが、その他の4つは、どれも独自の味わいがあるエンドですね。 夜、気がつけば空蝉はおらず、家鳴りがしている……。挙げ句読経の声まで聞こえてきて……。 怪しい人物が刃物を持って襲いかかってきた! というようなタイプの恐さ、ではなくて、そうした「異常な空気感」で怖がらせる、というのが和風ホラーの美味しいところです。 1つのエンドを見るのには、大体10分くらいあれば事足りるのですが、コンプリートしようと思うと、少し大変かも。一時間……は掛からないにせよ、小一時間くらいは掛かってしまうかもしれませんね。 そこらへんは、FLASHというシステムに拠る所が大きいのですが、その中でも遊びやすいような工夫が随所に凝らされています。 例えば、エンディングリストこと「結末一覧」。これがあるだけで、大分プレイしやすいと思います。 又、これはちょっと気付きにくいのですが、画面の上部にマウスカーソルを合わせると、文章の速度の設定が出来たり、或いは効果音のON/OFFが可能になってますので、一つのエンドを見た段階で、文章速度を早いに設定する、とその後のプレイが楽になるかもしれませんね。 郭を巡る、ほの暗い情念を感じさせるホラー作品でした。 敢えて、気になる点を述べるとすれば、やはり、エンド数が6つなのはプレイする側としては大変かな……という辺り。『桜闇夜奇譚~黒羽根~』はエンド数が3つだったと記憶しているので、そういう意味では少しプレイしにくい部分があります。 ブラウザで気軽に遊べますので、和風ホラーがお好きな方は是非どうぞ。 折角、世間的にも和風が押し出される数少ない季節ですので、普段和風作品をプレイしない、という方も試してみては如何でしょうか? それでは、また。
by s-kuzumi
| 2011-01-06 19:23
| サウンドノベル
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