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久住女中本舗

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2011年 04月 15日

フリーサウンドノベルレビュー 『桃色☆パニック』

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今日の副題 「ベタだけど、良質ラストに泣かされます」

ジャンル:短編恋愛ノベル(?)
プレイ時間:30分程度。
その他:選択肢無し、一本道。
システム:Live Maker

制作年:2011/4/6
容量(圧縮時):42.7MB



道玄斎です、こんばんは。
最近、憂鬱な事が多くて厭になってしまいますが、そんな時に心の支えになってくれるのがノベルゲームだったりします。大体、こういう塞ぎ込んでいる時には、短めで、且つ心が温まるような、そういう作品がいいんですよねぇ。
というわけで、今回は「INFERIOR」さんの『桃色☆パニック』です。
良かった点

・結構ありがちな展開だが、キッチリと纏まっており、ラストも良質。


気になった点

・もうちょっと作品内で語られない背後関係が分かると、より納得感が持てるかも。

ストーリーは、サイトの方から引用してきましょう。
ある日、雨に打たれ、ずぶ濡れになった少女がいた。
いつの間にか隣にいて、いつの間にか一緒に暮らすようになって、いつの間にか惹かれいた……。

こんな感じ。


このストーリーを見ると、究極的にベタな気がします。
実際、ベタベタなシチュエーションです。

外に出るのも億劫な、不精の青年八神が、梅雨の最中に思い立って、ゲームショップとコンビニに行くと、雨に打たれた少女がいて、何となく放っておけない彼は、彼女に声を掛けるのであった……。

この手のストーリーは、本当に定番で、至る所で見る事が出来るわけですけれども、「上手いベタ」と「下手なベタ」っていうのがやっぱり、あるような気がします。
定番のものを定番通りにしっかりと仕上げる事は実は難しいはずです。
「またこのパターンかよ……」と感じさせてしまうか、「定番だけれども、ちょっと面白そうだな……」と感じさせるか、そこにライターの実力が反映されるような気がします。

で、勿論、本作は「良いベタ」感があって、プレイを進めてみたら、ラストでしっかり感動させてくれる作品だった、というわけです。

あー、脱線しますが、「夜、見知らぬ女の子と出会い仲良くなる」って、現実にはなさそうですけれども、実は私、経験があったりしますw
あれは、もう何年前かな、随分昔の事なんですが、夜中に目が覚めてしまって、何の気無しにコンビニに行ったんですよね。そしたら、「お兄さん?」と声が聞こえてくるじゃないですか。きょろきょろっと周りを見回しても誰もいない。けれども、視線を下に移すと、しゃがみながら煙草をふかす妙齢のお嬢さんが居たんです。

いきなり声掛けられてますから、しばらく戸惑って、目をぱちぱちしていたら、今度は「お金かしてくれませんか?」ときましたw
そこで、私も、ハッと我に返り、「いやいや、なんでお金が必要なのよ?」と聞き返します。気がつけば煙草に火をともしていたりして。
どうやら、話を総合すると、この街にあてどなくやってきたはいいけれども、帰りの電車賃が無くて困ってる、という事でした。ってか、もう終電もない時間だよ?w まぁ、困っている人を助けるのは市民の義務ですから、「千円で足ります?」と千円札を握らせて、コンビニに入りました。

で、お約束の展開として、その娘も何故か、コンビニの中にまで着いてきますw
私は煙草とコーヒーか何かを買おうとして、お会計をしようとしたら、その娘が「実は、ストッキングが破れていて寒い……」だの「リップクリームがなくて唇がガサガサ……」だの云い出しましたw 一度、面倒を見ちゃった以上は、最後まで付き合ってやろうかと思って、取り敢えず、彼女にとって必要なもの一式と、私の買い物を持ってレジにいったら合計で3000円くらい取られて……。

って、長くなるから、この辺りでやめましょう。
っていうか、半分、これ、「出会い」じゃなくて「たかり」じゃねーかっていうw


そんな事はどうでも良くて、作品について語りましょう。
ノベルゲームを何本もプレイしている人ならば、気づくであろう、おなじみの曲、が作品を彩ります。率直に云ってしまえばありきたり、の感がなきにしもあらず、なのですが、寧ろ、定番の出会いから始まる作品ですから、定番の音楽が使用されている事、なんだか妙に納得してしまうのです。

で、作品中でも、何故かとてもナチュラルに、ヒロイン楓は、主人公八神の自宅まで着いていってしまいますw そして、奇妙な出会いから始まった奇妙な生活が始まるけれども、ヒロイン楓には何か謎があるようで……。

と、こんな感じでストーリーが進んでいきます。
あっ、大事な事、一つ云い忘れてました。ヒロイン楓は所謂「僕ッ娘」です。一人称が「僕」の女の子ですね。古くは『Kanon』の“うぐぅ”辺りから台頭してきた、ヒロイン造型です。
ちょっと幼げな容姿(18歳だったっけ?)なので、僕という一人称も良く合っていたんじゃないかな、っと。

で、やっぱり、本作の一番美味しい所はラスト、ですね。
ネタバレはしないようにする積もりなんですけれども、シンプルだけれども、ジワッと来る、とても温かい、印象的なラストでしたよ。
非常にソツ無く30分という時間で作品が完結しているのも、力量を伺わせますねぇ。


一方、気になった点は、もうちょい、作品の背後関係について知りたいな、という事。
ヒロイン楓の謎がメインなんですけれども、他にも主人公の立ち位置とかね。結局主人公は、ぷー太郎だったのか? とかw
何となく、ですが、主人公の成長なんかも併せて描かれていたらいいなぁ、なんて思いました。又、さらりと流れてしまうヒロインの設定なんかもね、もうちょい開示してくれても良かったかな? 

ただ、ここらへんは、好みの問題でもありそうです。
シンプルに無駄をそぎ落とした形で作品が成立しているので、余計なものを付与しない方が良い、という意見も当然ありましょうし、私のように、もう少し追加要素があってもな、なんて意見もありそうです。

ともあれ、30分くらいでキチッと纏まっていた、という点。そして、ラストの温かい感動が本作の何よりの魅力です。非常にベタな出だし、なんですが、是非30分最後までプレイしてみて下さい。
きっと、予想していないような、良質なラストに驚くと思いますよ。


それでは、また。

by s-kuzumi | 2011-04-15 19:54 | Comments(2)
Commented by さっちん at 2011-04-16 02:18 x
初めまして、感想ありがとうございます。えっと、この作品はADVを甘くみていた私が……というか、サウンドノベルや小説は書くことが多いのですが、ADVは初挑戦で、短編にしようと思っていたのに、書いているうちに中盤がないと不自然になってしまいました(汗)
正直、会話で進めると文量も少なくて済むと思っていたのも、大きな間違いで……自分でも書いているうちに駄目な部分が結構見えたけど、せっかく作ったので公開しようと思い、ふりーむに投稿しました(汗)

いろいろな方から感想をいただき、次にADVを書くことがあれば、是非参考にさせていただきたいと思います。
Commented by s-kuzumi at 2011-04-21 20:50
>>さっちんさん

こんばんは。はじめまして。
こちらこそ、楽しんでプレイさせて頂きました。

第二弾、第三弾の作品、今から楽しみにしていますw
そして、わざわざのコメント、本当に有り難うございました。
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