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久住女中本舗

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2011年 07月 13日

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『語り部さんとおとぎ話』

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『語り部さんとおとぎ話』_b0110969_1558840.jpg

道玄斎です、こんにちは。
なんか、ヒマだったので、間を空けずに気になった作品をプレイしてみました。『自殺請負人』が割と長尺だったので、今回はさっくりプレイ出来て、尚かつ自分の好みに合いそうなもの、選んでみたわけです。
というわけで、今回は「mint wings」さんの『語り部さんとおとぎ話』です。



尺的には30分程度……なので、通常レビューと番外編レビューの境界線上にあるわけですが、著名なおとぎ話をモチーフにしているので、番外編にしておく方が書きやすいかな? と思ってそのようにしております。
そういう作品に対して、「気になった点」とか書くのもどうかと思うしね。

で、どうも私は、こうした「昔話」とか「おとぎ話」の類が好きみたいで、過去に幾度となく、それらをモチーフにした作品を取り上げています。
本作も、そうした系統の中に入るわけですが、決定的に違う点があります。

そう、それは「語り部さん」の存在です。
「物語」は「モノ」を「語る」わけですから、そこには語り手である「誰か」が居て、尚かつ、それを聞く「誰か」が居る事になるわけです。
本作の場合、語られる「モノ」は或る意味でおなじみのおとぎ話。そして語り手は「語り部さん」、そして「聞き手」は私達プレイヤーという事になりましょうか。

こうした、語り手、語られる内容、聞く人間が作り出す関係を、ビジュアルで上手く表現していたのも、好印象でしたね。
おとぎ話が始まると、ビジュアル的に語り部さんは暗くなって、少し影を潜めます。その代わり、おとぎ話の登場人物達は切り絵風のイラストで示され、ググッと迫ってくるように。

面白いのは、合間合間に、語り部さんが突っ込みを入れてくる、というところですね。物語を媒介にせず、直接聞き手である私達に語りかけてくれる、というか。
当然、その場合、暗く表示されていた語り部さんは、パキッと綺麗に表示されるように。また、これはどうでもいい話なんだけれども、語り部さんが可愛いんだw

所々、選択肢があるのですが、どの選択肢を選んでも、語られる内容に変化はありません。
ただ、一箇所アレを選ぶと……。


ちなみに、語られるお話は、「シンデレラ」「人魚姫」「赤ずきんちゃん」の三編です。それに序章・終章がついている、という体裁です。
「人魚姫」にはちょい同性愛的……というかBLっぽい描写があるので、苦手な方は気をつけてw
私は……例の生放送で、BLテイストの作品の実況プレイまでやってますから、全然抵抗ありませんw 別に趣味としてそういうのが好き、って人が居てもいいと思うしね。あんまりハードなアレだとちょっとリアクションに困るけどw

個人的に一番面白かったのは、やっぱり「赤ずきんちゃん」でしょうね。
「これ、どこの『LO』?」って思いましたもんw 語り終えた後、ちょっとブラックが入る語り部さんも、なんか素敵でしたしw


大体……大凡の傾向、なんですが、こうした昔話、おとぎ話をリメイクするような形で作られる作品は、ダーク志向になりがちです。
もう、かなり前ですけれども(10年以上前なのは間違いない)、『ほんとうは恐いおとぎ話』みたいな本がベストセラーになった事もありましたよね。有名な『グリム童話』なんかも、私達に馴染みのあるお話は本当に一部で、九割以上、不条理エンドだったり、なんとも云えない後味の悪い話だったり、或いは恐い話だったりするわけで……。

本作も、語り部さんは肯定してくれないとは思いますけれども、やっぱり、ダーク志向かな? という気はします。勿論、ダークだから悪いとか良いとかそういう事ではありません。

『シンデレラ』なんてのは、あれ、確か本当のヤツは、自分で切り落としちゃうんじゃなかったっけ?
ともあれ、大筋のストーリーは変えない中で、色々手を加えてリメイクしている印象でした。『シンデレラ』はそれほどでもないけれども、『人魚姫』なんかはかなり凝ってますよねぇ。ストーリーの内容と語り部さんの補足とかバッチリかみ合っていますし。

『赤ずきんちゃん』も又、ストーリーの大筋……で云ったら、そこまで手を加えていないのだけれども、キャラの立ち位置とかを上手く変更していて、凄く美味しく頂けました。
昔、福永武彦の『今昔物語』のリメイクを読んだ時のような感動が……。

また、どうでもいい話ですが、福永武彦の『草の花』という小説(文学作品です!)はBL要素があるんだよねー。って以前、どこかに書いた気もしますね……。


昔話やおとぎ話が好きな人なら迷わずプレイしてみて下さい。
絶妙なリメイク具合に思わず唸ってしまう事、請け合いです。



それでは、また。

by s-kuzumi | 2011-07-13 15:58 | サウンドノベル | Comments(0)
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